リナグリプチンとインスリンとの併用投与が、低血糖症発現リスクを増加させることなく、有意な血糖降下作用を示す
[12/06/18]
提供元:PRTIMES
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この資料は、ドイツ ベーリンガーインゲルハイムと米国イーライリリー・アンド・カンパニーが6月9日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。また海外の試験であるため、日本の承認内容と異なることがあります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。
第72回米国糖尿病学会(ADA)で発表された他の第3相臨床試験データでは、メトホルミンとの併用における持続的な血糖コントロールを示す
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、米国糖尿病学会でリナグリプチンに関するランダム化第3相臨床試験と事後解析の結果を発表しました。この結果は、他の糖尿病治療薬による併用療法にリナグリプチンの追加療法を受けた成人2型糖尿病患者で、臨床的に意義のある血糖コントロールが得られることを示しました ,2。リナグリプチンは、成人2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を目的に、食事療法と運動療法に加えて1日1回服用する錠剤です3。
「2型糖尿病は、慢性の進行性疾患で、長期間にわたって血糖をコントロールするのは非常に困難です」とエバーハルト・カール大学(ドイツ)のバプティスト・ガルヴィッツ(Baptist Gallwitz)教授は「メトホルミンは標準的な一次治療で、最終的には多くの患者さんに血糖目標値を維持するためのインスリンが必要となります。今回発表された2つの試験結果は、リナグリプチンが疾患の早期及び後期の双方で臨床的に意義のある血糖コントロールを提供できることを示しています。またリナグリプチンは1用量で血糖コントロールが可能な糖尿病治療薬です。そのため患者さんは用量調節の必要がなく、常に適切な用量で服薬していると医師も安心することができるのです」と述べました。
発表された第3相臨床試験(ポスター番号999-P)の結果は、基礎インスリン単独、またはメトホルミン及び/またはピオグリタゾンとの併用療法への追加療法としてのリナグリプチンが、プラセボと比べて、成人2型糖尿病患者の血糖値を有意に低下させることを示しました。リナグリプチンは24週時点で体重増加と低血糖症発現リスクを増加させることなく、HbA1cベースライン平均値8.3%からプラセボ調整平均変化量で0.65% (p<0.0001)低下させました1。HbA1c値は糖尿病患者で、過去2〜3カ月の血糖コントロール指標を得るために測定されます
第3相臨床試験(ポスター番号 1044-P)の事後解析では、メトホルミンを服用している軽度高血糖の2型糖尿病患者をランダム化し、リナグリプチンまたはグリメピリドを追加投与したところ、104週後に体重及び/または低血糖症発現リスクを増加させることなくHbA1c目標値である7%未満を達成した患者の割合は、リナグリプチン投与群で54%、グリメピリド投与群で23%と、リナグリプチン投与群で高く2、血糖値の改善は同等であることが確認されました2。
2型糖尿病患者に対する基礎インスリンへの追加療法としてのリナグリプチンの有効性と安全性
この52週間の多施設ランダム化プラセボ対照第3相臨床試験では、成人2型糖尿病患者を対象に、基礎インスリン単独、またはメトホルミン及び/またはピオグリタゾンとの併用への追加療法としてのリナグリプチンの有効性と安全性が評価されました。試験には、メトホルミン及び/またはピオグリタゾンの有無を問わず、安定量の基礎インスリン(インスリングラルギン、インスリンデテミル、NPHインスリン) 1による血糖コントロールが不十分な患者1,261例が含まれました。患者はリナグリプチン5mgまたはプラセボのいずれかの投与を1日1回受けるようランダム化されました。有効性の主要評価項目は、ベースラインから24週目までのHbA1c値の平均変化量で、その期間に基礎インスリン、メトホルミン及び/またはピオグリタゾンの用量は安定を保っていました1。
24週目時点で、リナグリプチン投与群はベースラインからプラセボ調整平均変化量は- 0.65%で、有意なHbA1c値の低下を達成しました1。有害事象の発現率はリナグリプチン投与群で 71.8%、プラセボ投与群で72.5%でした。低血糖症の発現率はリナグリプチン投与群で25.7%、プラセボ投与群で27.3%と、両群で差はありませんでした1。さらに、ベースラインからの体重変化は、リナグリプチン投与群(-0.17 kg ± 0.11 kg)、プラセボ投与群(+0.13 kg ± 0.12 kg)で差はありませんでした(p=0.07)1。
メトホルミンを服用している軽度高血糖の2型糖尿病患者において、リナグリプチンは、2年間にわたり体重及び低血糖症を増加させることなく、HbA1C目標値を達成する複合評価項目が、グリメピリドを上回る
104週間の試験の事後解析では、メトホルミンを服用している2型糖尿病成人患者に、リナグリプチンまたはグリメピリドを追加投与し、体重増加(ベースラインに対して1 kg未満の体重増加と定義)及び低血糖症の発現(治験実施計画書に従って定義されたイベント)がなく、HbA1c目標値(7%未満)を達成した患者の割合が比較評価されました2。
解析は、2年後に(空腹時血漿グルコース及びHbA1c閾値に従い)レスキュー薬を使用せずに治療を継続しているper-protocol集団を対象に行われました。リナグリプチン投与群233例、グリメピリド投与群271例の計504例の患者が評価対象となりました。HbA1cベースライン平均値は、リナグリプチン投与群7.2%、グリメピリド投与群7.3%と差はありませんでした。104週後のリナグリプチン投与群及びグリメピリド投与群のベースラインからのHbA1c値の平均変化量は-0.6%で、両群で76%の患者がHbA1c目標値(7%未満)を達成しました。リナグリプチン投与群とグリメピリド投与群の比較では、低血糖症の発現率は、リナグリプチン投与群で6%、グリメピリド投与群で22%でした。体重増加はリナグリプチン投与群で22%、グリメピリド投与群で55%でした。結果、リナグリプチン投与群で54%、グリメピリド投与群で23%と、リナグリプチン投与群は、グリメピリド投与群よりも有意に高い割合の患者が複合評価項目(体重増加及び/または低血糖発症がなくHbA1c目標値を達成した割合)を達成しました。リナグリプチンの複合評価項目達成のオッズ比は4倍でした(p<0.0001)2。
リナグリプチンは、日本では、2011年7月1日に食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病患者の治療薬(単独療法)として、日本ベーリンガーインゲルハイムが、トラゼンタ(R)錠 5mg(一般名:リナグリプチン)」の製造販売承認を取得しました。他の糖尿病治療薬との併用についての臨床効果及びや安全性は確立されていません。
糖尿病について
1型及び2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています4。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90〜95%を占めます5。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなった場合に発症する慢性疾患です6。
日本では、1型および2型糖尿病の患者数は約2,210万人7と推定されています。また、2型糖尿病患者の42%が慢性腎臓病(CKD)のステージ2(軽度GFR低下を伴う腎障害)以上を合併しているとの報告があります8。また、腎機能低下のリスクの高い高血圧を合併している2型糖尿病患者さんの割合は40%との報告もあります9。このように、2型糖尿病患者さんの多くが高血圧や微量アルブミン尿症を合併しており、腎機能低下リスクが高い状態にさらされています。
References
1 BI/Lilly Data. Yki-Jarvinen H, Duran-Garcia S, Pinnetti S, et al. Efficacy and Safety of Linagliptin as Add-On Therapy to Basal Insulin in Patients With Type 2 Diabetes. Poster No. 999-P. Presented at the American Diabetes Association(R) 72nd Scientific Sessions. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 BI/Lilly Data. Gallwitz B, Rosenstock J, et al. Linagliptin is More Effective than Glimepiride at Achieving a Composite Outcome of A1C Target with No Hypoglycemia and No Weight Gain over two Years in Mildly Hyperglycemic Type 2 Diabetes Patients on Metformin. Poster No. 1044-P. Presented at the American Diabetes Association’s (ADA’s) 72nd Scientific Sessions(R). June 8-12, Philadelphia, PA.
3 Tradjenta(TM) (linagliptin) tablets. Highlights of Prescribing Information. Initial US Approval: 2011.
4 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: The Global Burden. 2011. http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/the-global-burden. Accessed on: April 11, 2012.
5 Centers for Disease Control and Prevention. National diabetes fact sheet: national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
6 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: What is Diabetes? http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/what-is-diabetes. Accessed on: April 11, 2012.
7 厚生労働省2007年国民健康・栄養調査
8 Yokoyama H, et al. Diabetes Care 30: 989, 2007
9 Iimura O: Hypertens Res 19: S1-S8, 1996
第72回米国糖尿病学会(ADA)で発表された他の第3相臨床試験データでは、メトホルミンとの併用における持続的な血糖コントロールを示す
2012年6月9日、ドイツ、インゲルハイム/米国、インディアナポリス
ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニー(NYSE: LLY)は、米国糖尿病学会でリナグリプチンに関するランダム化第3相臨床試験と事後解析の結果を発表しました。この結果は、他の糖尿病治療薬による併用療法にリナグリプチンの追加療法を受けた成人2型糖尿病患者で、臨床的に意義のある血糖コントロールが得られることを示しました ,2。リナグリプチンは、成人2型糖尿病患者の血糖コントロール改善を目的に、食事療法と運動療法に加えて1日1回服用する錠剤です3。
「2型糖尿病は、慢性の進行性疾患で、長期間にわたって血糖をコントロールするのは非常に困難です」とエバーハルト・カール大学(ドイツ)のバプティスト・ガルヴィッツ(Baptist Gallwitz)教授は「メトホルミンは標準的な一次治療で、最終的には多くの患者さんに血糖目標値を維持するためのインスリンが必要となります。今回発表された2つの試験結果は、リナグリプチンが疾患の早期及び後期の双方で臨床的に意義のある血糖コントロールを提供できることを示しています。またリナグリプチンは1用量で血糖コントロールが可能な糖尿病治療薬です。そのため患者さんは用量調節の必要がなく、常に適切な用量で服薬していると医師も安心することができるのです」と述べました。
発表された第3相臨床試験(ポスター番号999-P)の結果は、基礎インスリン単独、またはメトホルミン及び/またはピオグリタゾンとの併用療法への追加療法としてのリナグリプチンが、プラセボと比べて、成人2型糖尿病患者の血糖値を有意に低下させることを示しました。リナグリプチンは24週時点で体重増加と低血糖症発現リスクを増加させることなく、HbA1cベースライン平均値8.3%からプラセボ調整平均変化量で0.65% (p<0.0001)低下させました1。HbA1c値は糖尿病患者で、過去2〜3カ月の血糖コントロール指標を得るために測定されます
第3相臨床試験(ポスター番号 1044-P)の事後解析では、メトホルミンを服用している軽度高血糖の2型糖尿病患者をランダム化し、リナグリプチンまたはグリメピリドを追加投与したところ、104週後に体重及び/または低血糖症発現リスクを増加させることなくHbA1c目標値である7%未満を達成した患者の割合は、リナグリプチン投与群で54%、グリメピリド投与群で23%と、リナグリプチン投与群で高く2、血糖値の改善は同等であることが確認されました2。
2型糖尿病患者に対する基礎インスリンへの追加療法としてのリナグリプチンの有効性と安全性
この52週間の多施設ランダム化プラセボ対照第3相臨床試験では、成人2型糖尿病患者を対象に、基礎インスリン単独、またはメトホルミン及び/またはピオグリタゾンとの併用への追加療法としてのリナグリプチンの有効性と安全性が評価されました。試験には、メトホルミン及び/またはピオグリタゾンの有無を問わず、安定量の基礎インスリン(インスリングラルギン、インスリンデテミル、NPHインスリン) 1による血糖コントロールが不十分な患者1,261例が含まれました。患者はリナグリプチン5mgまたはプラセボのいずれかの投与を1日1回受けるようランダム化されました。有効性の主要評価項目は、ベースラインから24週目までのHbA1c値の平均変化量で、その期間に基礎インスリン、メトホルミン及び/またはピオグリタゾンの用量は安定を保っていました1。
24週目時点で、リナグリプチン投与群はベースラインからプラセボ調整平均変化量は- 0.65%で、有意なHbA1c値の低下を達成しました1。有害事象の発現率はリナグリプチン投与群で 71.8%、プラセボ投与群で72.5%でした。低血糖症の発現率はリナグリプチン投与群で25.7%、プラセボ投与群で27.3%と、両群で差はありませんでした1。さらに、ベースラインからの体重変化は、リナグリプチン投与群(-0.17 kg ± 0.11 kg)、プラセボ投与群(+0.13 kg ± 0.12 kg)で差はありませんでした(p=0.07)1。
メトホルミンを服用している軽度高血糖の2型糖尿病患者において、リナグリプチンは、2年間にわたり体重及び低血糖症を増加させることなく、HbA1C目標値を達成する複合評価項目が、グリメピリドを上回る
104週間の試験の事後解析では、メトホルミンを服用している2型糖尿病成人患者に、リナグリプチンまたはグリメピリドを追加投与し、体重増加(ベースラインに対して1 kg未満の体重増加と定義)及び低血糖症の発現(治験実施計画書に従って定義されたイベント)がなく、HbA1c目標値(7%未満)を達成した患者の割合が比較評価されました2。
解析は、2年後に(空腹時血漿グルコース及びHbA1c閾値に従い)レスキュー薬を使用せずに治療を継続しているper-protocol集団を対象に行われました。リナグリプチン投与群233例、グリメピリド投与群271例の計504例の患者が評価対象となりました。HbA1cベースライン平均値は、リナグリプチン投与群7.2%、グリメピリド投与群7.3%と差はありませんでした。104週後のリナグリプチン投与群及びグリメピリド投与群のベースラインからのHbA1c値の平均変化量は-0.6%で、両群で76%の患者がHbA1c目標値(7%未満)を達成しました。リナグリプチン投与群とグリメピリド投与群の比較では、低血糖症の発現率は、リナグリプチン投与群で6%、グリメピリド投与群で22%でした。体重増加はリナグリプチン投与群で22%、グリメピリド投与群で55%でした。結果、リナグリプチン投与群で54%、グリメピリド投与群で23%と、リナグリプチン投与群は、グリメピリド投与群よりも有意に高い割合の患者が複合評価項目(体重増加及び/または低血糖発症がなくHbA1c目標値を達成した割合)を達成しました。リナグリプチンの複合評価項目達成のオッズ比は4倍でした(p<0.0001)2。
リナグリプチンは、日本では、2011年7月1日に食事療法、運動療法のみで十分な効果が得られない2型糖尿病患者の治療薬(単独療法)として、日本ベーリンガーインゲルハイムが、トラゼンタ(R)錠 5mg(一般名:リナグリプチン)」の製造販売承認を取得しました。他の糖尿病治療薬との併用についての臨床効果及びや安全性は確立されていません。
糖尿病について
1型及び2型糖尿病の患者数は、世界で3億6600万人と推定されています4。大半が2型糖尿病で、糖尿病全体のおよそ90〜95%を占めます5。糖尿病は、インスリンというホルモンを生体が適切に分泌、利用しにくくなった場合に発症する慢性疾患です6。
日本では、1型および2型糖尿病の患者数は約2,210万人7と推定されています。また、2型糖尿病患者の42%が慢性腎臓病(CKD)のステージ2(軽度GFR低下を伴う腎障害)以上を合併しているとの報告があります8。また、腎機能低下のリスクの高い高血圧を合併している2型糖尿病患者さんの割合は40%との報告もあります9。このように、2型糖尿病患者さんの多くが高血圧や微量アルブミン尿症を合併しており、腎機能低下リスクが高い状態にさらされています。
References
1 BI/Lilly Data. Yki-Jarvinen H, Duran-Garcia S, Pinnetti S, et al. Efficacy and Safety of Linagliptin as Add-On Therapy to Basal Insulin in Patients With Type 2 Diabetes. Poster No. 999-P. Presented at the American Diabetes Association(R) 72nd Scientific Sessions. June 8-12, Philadelphia, PA.
2 BI/Lilly Data. Gallwitz B, Rosenstock J, et al. Linagliptin is More Effective than Glimepiride at Achieving a Composite Outcome of A1C Target with No Hypoglycemia and No Weight Gain over two Years in Mildly Hyperglycemic Type 2 Diabetes Patients on Metformin. Poster No. 1044-P. Presented at the American Diabetes Association’s (ADA’s) 72nd Scientific Sessions(R). June 8-12, Philadelphia, PA.
3 Tradjenta(TM) (linagliptin) tablets. Highlights of Prescribing Information. Initial US Approval: 2011.
4 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: The Global Burden. 2011. http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/the-global-burden. Accessed on: April 11, 2012.
5 Centers for Disease Control and Prevention. National diabetes fact sheet: national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the United States, 2011. Atlanta, GA: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, 2011.
6 International Diabetes Federation. IDF Diabetes Atlas, 5th Edition: What is Diabetes? http://www.idf.org/diabetesatlas/5e/what-is-diabetes. Accessed on: April 11, 2012.
7 厚生労働省2007年国民健康・栄養調査
8 Yokoyama H, et al. Diabetes Care 30: 989, 2007
9 Iimura O: Hypertens Res 19: S1-S8, 1996