東京大学と選挙ドットコムの共同研究成果「投票マッチングは有権者の投票に貢献」
[23/06/29]
提供元:PRTIMES
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日本最大級の選挙情報ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営するイチニ株式会社(以下、弊社)は、弊社が開発・運営している投票支援ツール「投票マッチング」に関する東京大学鳥海研究室との共同研究を行いました。
弊社は低迷する投票率向上に向けて国内の国政・地方選挙で投票マッチングを実施してきましたが、今回の共同研究結果から、投票マッチングが選挙公報やメディアと比較して有権者への投票や候補者の選びの参考となり、投票への意識づけ「Informed voting」に貢献していることを確認いたしました。一方で、特定の候補に誘導する効果は確認されませんでした。
[画像1: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-004aad8b76d2f72cf0d0-0.png ]
共同研究の背景
日本では投票率が年々低下傾向にあり、総務省によると直近の国政選挙だった2022年参議院議員選挙では約52.1%、2023年4月の統一地方選挙では道府県議会議員選挙や市町村議会議員選挙などで過去最低に落ち込みました。特に30代以下の若年層の投票率は他世代よりも低水準です。
一方で、日本で2013年4月に「ネット選挙」が解禁されて以来、投票先を選ぶための情報源としてインターネットを利用する割合は増加傾向にあります。明るい選挙推進協会の最新調査によると、18〜29歳では約42%がネットを活用しており、テレビ、新聞に次ぐ主要な媒体になりつつあります。また、「ボートマッチを利用した」という回答が2019年の参院選では0.4%だったのに対し、2022年の参院選では2.5%まで増加しました。
弊社の「投票マッチング」については、国政選挙だけでなく知事選などの地方選挙でも実施しているほか、国政政党の代表が実際に利用している動画が話題になるなど、知名度が年々向上しております。また、残念ながら実現しませんでしたが、東京都の杉並区議選での投票マッチングの計画は多くのメディアで報道されました。今後も利用者の増加が見込まれる投票マッチングについて研究し、どのような効果があるのかを皆様にお伝えすることで、これからも多くの方に安心してご利用いただきたいと考えております。
研究方法
イチニ株式会社が提供した「神奈川県知事選挙投票マッチング」結果をもとに、東大が分析しました。分析手法は、神奈川県内在住の有権者2000人に投票マッチングを行ってもらい、マッチング結果を見ない「統制群」とマッチング結果を見る「実験群」を無作為に1000人ずつに分け、「投票行動への影響」「候補者選びへの影響」「投票の促進効果」「マッチング度が最も高かった候補への投票への寄与」について比較しました。
なお、分析作業は鳥海研究室の客員研究員である香港城市大学メディアコミュニケーション学部の小林哲郎准教授を中心に行いました。
「投票マッチング」とは
政策に関する20の設問に「賛成」から「反対」までの5つの選択肢から答えを選ぶだけで、ユーザーと政党や候補者との「マッチング度」が測定できるオンラインサービスです。過去の国政選挙や地方選挙で実施した際にはその手軽さが話題を呼び、Twitterでもトレンド入り、利用者は衆院選で約350万人、参院選で約170万人にのぼり、多くの利用者から高い評価をいただきました。
投票マッチングの特徴
回答者の7〜8割が「支持政党なし」、いわゆる”無党派層”が大半です
18〜39歳の利用割合が6割を占めています
研究結果
1.投票マッチングに「特定の候補者への投票を促す効果」はありません
投票マッチングについて「特定の候補者への投票を誘導しているのではないか」というご意見をいただくことがございますが、本研究結果では「マッチング度が最も高かった候補に投票したか」という調査について統制群、実験群の間に有意差は見られませんでした。例えば、黒岩候補にマッチングされた640人のうち、実験群で黒岩氏に投票したのは実験群では39.7%であり、統制群では34.8%でしたが、この差は統計的に有意ではありませんでした。つまり、マッチング度が最も高かった候補が提示されることでその候補に投票する人が増えるとはいえず、特定の候補に誘導されるような事実は確認できないということになります。
2.投票マッチングが「投票に行くかどうか」の参考になっています
「選挙公報」「投票案内所」「新聞・テレビ・インターネット」「候補者の選挙活動」が投票に行くかどうかの参考になった程度は当然ながら実験群と統制群で差は見られませんでしたが、投票マッチングは実験群と統制群の間に有意差がみられました。つまり、投票マッチングの結果を見ることが投票に行くかどうかの参考になっています。投票マッチングが「参考になった」割合は他の情報源と比較するとやや低いものの、参考になる情報源の数が増えることは意思決定の質を上げるものと考えられます。したがって、投票マッチングは、投票に行くかどうかを考えるきっかけを与え、投票行動を有権者に意識付ける「Informed voting」に寄与しているといえます。
[画像2: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-66ed51ffc96e71f44cd9-1.png ]
3.投票マッチングは候補者を選ぶ参考になっています
上記2.と同様に、投票マッチングは候補者選びの参考にもなっています。マッチング結果を見ない統制群では32.3%が参考になったと回答したのに対して、マッチング結果を見た実験群では40.0%が参考になったと回答し、両者では統計的に有意な差がみられました。
投票マッチング結果の提示画面では、マッチング度に関わらず全ての候補者の政策や情報を確認し比較することができるので、候補者を選ぶ参考になっていると考えられます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-deacaa1a76032aad4a1b-2.png ]
今後について
次期衆院選や知事選などの地方選挙で投票マッチングを実施していきます。より多くの方に利用していただけるような施策を打ち出していくほか、結果の分析や共同研究についても引き続き行っていくなど、今後も有権者の皆様にとって有意義なサービスを提供するよう努めていく所存です。詳細については決まり次第リリースいたします。
【東京大学 鳥海研究室】
主な研究テーマは、計算社会科学に基づく社会システムの設計と人工知能技術の社会応用。社会や集団など人が大勢集まることによって構成されるシステムを対象として、マイニング(ビッグデータから意味のある情報を抽出する技術)、モデリング(社会の状態を仮想空間に再現し、シミュレーションを行うこと)、デザインを研究の柱としています。最近では、炎上やデマ分析と対策、ニュース閲覧行動の分析など情報空間でのリスク低減手法の開発などを題材に、社会とメディアの関係性を探る研究などを進行しています。
研究室公式サイト:http://syrinx.q.t.u-tokyo.ac.jp/
鳥海不二夫教授プロフィール:https://www.sys.t.u-tokyo.ac.jp/memberpage/%E9%B3%A5%E6%B5%B7%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E5%A4%AB/
【イチニ株式会社】
2023年4月の統一地方選挙期間中には5130万PVを記録した選挙情報ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営し、国内の選挙情報や立候補者の情報をデータベース化し管理しています。選挙や政治にまつわるプラットフォームを構築し、情報の透明性を保つことで、有権者のみなさまがより政治に参加しやすい環境づくりを支援しています。その他、地方議員向けの勉強会なども実施し、官民学の連携による多様なネットワークを創出し、オープンな場での議論により、イノベーションを促進します。
公式ウェブサイト:https://ichi-ni.jp/
選挙ドットコム公式サイト:https://go2senkyo.com/
本リリースに含まれていない分析結果を含め、今回の共同研究の結果についてのお問い合わせはイチニ株式会社へお願いいたします。
弊社は低迷する投票率向上に向けて国内の国政・地方選挙で投票マッチングを実施してきましたが、今回の共同研究結果から、投票マッチングが選挙公報やメディアと比較して有権者への投票や候補者の選びの参考となり、投票への意識づけ「Informed voting」に貢献していることを確認いたしました。一方で、特定の候補に誘導する効果は確認されませんでした。
[画像1: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-004aad8b76d2f72cf0d0-0.png ]
共同研究の背景
日本では投票率が年々低下傾向にあり、総務省によると直近の国政選挙だった2022年参議院議員選挙では約52.1%、2023年4月の統一地方選挙では道府県議会議員選挙や市町村議会議員選挙などで過去最低に落ち込みました。特に30代以下の若年層の投票率は他世代よりも低水準です。
一方で、日本で2013年4月に「ネット選挙」が解禁されて以来、投票先を選ぶための情報源としてインターネットを利用する割合は増加傾向にあります。明るい選挙推進協会の最新調査によると、18〜29歳では約42%がネットを活用しており、テレビ、新聞に次ぐ主要な媒体になりつつあります。また、「ボートマッチを利用した」という回答が2019年の参院選では0.4%だったのに対し、2022年の参院選では2.5%まで増加しました。
弊社の「投票マッチング」については、国政選挙だけでなく知事選などの地方選挙でも実施しているほか、国政政党の代表が実際に利用している動画が話題になるなど、知名度が年々向上しております。また、残念ながら実現しませんでしたが、東京都の杉並区議選での投票マッチングの計画は多くのメディアで報道されました。今後も利用者の増加が見込まれる投票マッチングについて研究し、どのような効果があるのかを皆様にお伝えすることで、これからも多くの方に安心してご利用いただきたいと考えております。
研究方法
イチニ株式会社が提供した「神奈川県知事選挙投票マッチング」結果をもとに、東大が分析しました。分析手法は、神奈川県内在住の有権者2000人に投票マッチングを行ってもらい、マッチング結果を見ない「統制群」とマッチング結果を見る「実験群」を無作為に1000人ずつに分け、「投票行動への影響」「候補者選びへの影響」「投票の促進効果」「マッチング度が最も高かった候補への投票への寄与」について比較しました。
なお、分析作業は鳥海研究室の客員研究員である香港城市大学メディアコミュニケーション学部の小林哲郎准教授を中心に行いました。
「投票マッチング」とは
政策に関する20の設問に「賛成」から「反対」までの5つの選択肢から答えを選ぶだけで、ユーザーと政党や候補者との「マッチング度」が測定できるオンラインサービスです。過去の国政選挙や地方選挙で実施した際にはその手軽さが話題を呼び、Twitterでもトレンド入り、利用者は衆院選で約350万人、参院選で約170万人にのぼり、多くの利用者から高い評価をいただきました。
投票マッチングの特徴
回答者の7〜8割が「支持政党なし」、いわゆる”無党派層”が大半です
18〜39歳の利用割合が6割を占めています
研究結果
1.投票マッチングに「特定の候補者への投票を促す効果」はありません
投票マッチングについて「特定の候補者への投票を誘導しているのではないか」というご意見をいただくことがございますが、本研究結果では「マッチング度が最も高かった候補に投票したか」という調査について統制群、実験群の間に有意差は見られませんでした。例えば、黒岩候補にマッチングされた640人のうち、実験群で黒岩氏に投票したのは実験群では39.7%であり、統制群では34.8%でしたが、この差は統計的に有意ではありませんでした。つまり、マッチング度が最も高かった候補が提示されることでその候補に投票する人が増えるとはいえず、特定の候補に誘導されるような事実は確認できないということになります。
2.投票マッチングが「投票に行くかどうか」の参考になっています
「選挙公報」「投票案内所」「新聞・テレビ・インターネット」「候補者の選挙活動」が投票に行くかどうかの参考になった程度は当然ながら実験群と統制群で差は見られませんでしたが、投票マッチングは実験群と統制群の間に有意差がみられました。つまり、投票マッチングの結果を見ることが投票に行くかどうかの参考になっています。投票マッチングが「参考になった」割合は他の情報源と比較するとやや低いものの、参考になる情報源の数が増えることは意思決定の質を上げるものと考えられます。したがって、投票マッチングは、投票に行くかどうかを考えるきっかけを与え、投票行動を有権者に意識付ける「Informed voting」に寄与しているといえます。
[画像2: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-66ed51ffc96e71f44cd9-1.png ]
3.投票マッチングは候補者を選ぶ参考になっています
上記2.と同様に、投票マッチングは候補者選びの参考にもなっています。マッチング結果を見ない統制群では32.3%が参考になったと回答したのに対して、マッチング結果を見た実験群では40.0%が参考になったと回答し、両者では統計的に有意な差がみられました。
投票マッチング結果の提示画面では、マッチング度に関わらず全ての候補者の政策や情報を確認し比較することができるので、候補者を選ぶ参考になっていると考えられます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/19431/90/resize/d19431-90-deacaa1a76032aad4a1b-2.png ]
今後について
次期衆院選や知事選などの地方選挙で投票マッチングを実施していきます。より多くの方に利用していただけるような施策を打ち出していくほか、結果の分析や共同研究についても引き続き行っていくなど、今後も有権者の皆様にとって有意義なサービスを提供するよう努めていく所存です。詳細については決まり次第リリースいたします。
【東京大学 鳥海研究室】
主な研究テーマは、計算社会科学に基づく社会システムの設計と人工知能技術の社会応用。社会や集団など人が大勢集まることによって構成されるシステムを対象として、マイニング(ビッグデータから意味のある情報を抽出する技術)、モデリング(社会の状態を仮想空間に再現し、シミュレーションを行うこと)、デザインを研究の柱としています。最近では、炎上やデマ分析と対策、ニュース閲覧行動の分析など情報空間でのリスク低減手法の開発などを題材に、社会とメディアの関係性を探る研究などを進行しています。
研究室公式サイト:http://syrinx.q.t.u-tokyo.ac.jp/
鳥海不二夫教授プロフィール:https://www.sys.t.u-tokyo.ac.jp/memberpage/%E9%B3%A5%E6%B5%B7%E4%B8%8D%E4%BA%8C%E5%A4%AB/
【イチニ株式会社】
2023年4月の統一地方選挙期間中には5130万PVを記録した選挙情報ポータルサイト「選挙ドットコム」を運営し、国内の選挙情報や立候補者の情報をデータベース化し管理しています。選挙や政治にまつわるプラットフォームを構築し、情報の透明性を保つことで、有権者のみなさまがより政治に参加しやすい環境づくりを支援しています。その他、地方議員向けの勉強会なども実施し、官民学の連携による多様なネットワークを創出し、オープンな場での議論により、イノベーションを促進します。
公式ウェブサイト:https://ichi-ni.jp/
選挙ドットコム公式サイト:https://go2senkyo.com/
本リリースに含まれていない分析結果を含め、今回の共同研究の結果についてのお問い合わせはイチニ株式会社へお願いいたします。