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第39回「石橋湛山賞」受賞作決定

 2018年度・第39回の「石橋湛山賞」(石橋湛山記念財団主宰、東洋経済新報社、経済倶楽部後援)受賞作は、国立情報学研究所教授の新井紀子氏による『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018年2月刊)に決定いたしました。全国の有識者からご推薦いただいた40を超える著作の中から、厳正なる審査を経て選出されました。
 「東ロボ君」と名付けた人工知能(AI)を育ててきた新井氏は、本書でAIの可能性と限界をリアルに解明し、「AIが人間の知力を上回るとき、いわゆる“シンギュラリティ”が到来する」という巷間に流布する説に対しては、数学者として、これを明確に否定します。
 一方、AIが代替することのできない能力、“意味”を理解する「読解力」こそが重要であるとして、独自に基礎的読解力を診断するテスト(RST)を開発し、全国2万5000人に調査を行った結果、3人に1人が「簡単な文章が読めない」ことがわかったといいます。
 本書はAIについて、わかりやすく説明する啓蒙書であると同時に、現在の日本の教育に警鐘を鳴らし、子どもたちに「教科書を読める能力」=読解力をつける教育実践を提起する教育書でもあり、教育者でもあった石橋湛山の名を冠した本賞にふさわしいものといえます。
 授賞式は10月11日(木)、また記念講演(経済倶楽部主催)は11月30日(金)に東洋経済ビルで行われます。


新井 紀子 著『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(東洋経済新報社、2018年2月刊)
新井 紀子(あらいのりこ)氏 略歴
国立情報学研究所教授、同社会共有知研究センター長
一般社団法人「教育のための科学研究所」代表理事・所長
東京都出身。一橋大学法学部およびイリノイ大学数学科卒業、イリノイ大学5年一貫制大学院数学研究科単位取得退学(ABD)。
東京工業大学より博士(理学)を取得。専門は数理論理学。
2011年より人工知能プロジェクト「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトディレクタを務める。
2016年より読解力を診断する「リーディングスキルテスト」の研究開発を主導する。
著書に『ハッピーになれる算数』『生き抜くための数学入門』(イースト・プレス)、『数学は言葉』(東京図書)、
『改訂新版 ロボットは東大に入れるか(よりみちパン!セ)』(新曜社)などがある。


授賞式
日時:2018年10月11日(木)10時30分〜
記念講演
日時:2018年11月30日(金)13時〜(会員制)
会場:東洋経済ビル9階 経済倶楽部ホール(東京都中央区日本橋本石町1-2-1)


「石橋湛山賞」について
 石橋湛山賞は、石橋湛山記念財団により、東洋経済新報社と経済倶楽部の後援の下に、1980年に創設されました。政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られています。
 政界・経済界・学界・マスコミ関係者から寄せられた推薦論文・著書をもとに、財団理事・評議員らによる選考委員会が授賞候補を数点に絞ります。この中から最終選考委員の奥村洋彦(学習院大学名誉教授)、叶芳和(経済評論家)、田中秀征(福山大学客員教授)、山縣裕一郎(東洋経済新報社 代表取締役会長) 各氏の合議を経て、最終選考委員会の場で決定します。
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