離職意向のある人とない人で、入社前後のギャップに10ptの差!離職意向ありは「上司との関係性」で“安心感”を得られていない結果も
[22/08/31]
提供元:PRTIMES
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【若手社員の意識調査】 入社前後のギャップ編ー社会人1年目ー(離職意向別)
累計13,000社350万人以上の組織開発と人材開発を支援し、革新的なサービスを提供(複数の業界初のサービスを開発)し続けている株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞崎大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、社会人1年目の300人に対し、2022年7月に入社前後のギャップに関する意識調査を行いました。今回は、離職意向の有無についての属性*1で分析した調査結果を公表いたします。
*1「あなたの転職経験や意向について教えてください」という問いに対し、「転職経験なし今後予定あり」「転職経験あり今後予定あり」と回答した人を『離職意向あり』、「転職経験なし今後予定なし」「転職経験あり今後予定なし」と回答した人を『離職意向なし』と設定しています。「わからない」はその他とし対象外としています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-d46210f975b42815ca6e-1.png ]
背景
社会人は誰もが多くの障壁を体験します。特に、新入社員は学生から社会人になることで生活環境が大きく変化し、仕事の内容や人間関係、職場環境などにおいて入社前にイメージしていた理想と入社後に直面する現実との間に大きなギャップを感じ、リアリティショックを受けることもあるでしょう。そのようなリアリティショックがポジティブに働けばよいのですが、ネガティブに働けば、昨今問題視されている早期離職につながりかねません。そこで当社は、入社1年目に感じるギャップが、離職意向にどのような影響を与えているか実態調査を行いました。
調査結果の概要
1. 離職意向ありは、ない人よりも入社時のギャップを感じる割合が高く、約10ptの差
2. 離職意向ありがネガティブに感じるギャップの上位は「仕事の難易度」「生活リズムや考え方」
3. 離職意向ありが最も『会社を辞めたくなった』と感じたギャップは「社会人の生活リズムや考え方の習得」
4. 仕事に関するものは、離職意向ありは『不満』、離職意向なしは『不安』の感情に繋がりやすい
5. 『会社を辞めたくなった』ギャップ、生活リズムに続き「上司との関係性」の3項目が上位に
6. 離職意向ありは、職場の雰囲気・文化のギャップに対し、『不安・大変』とマイナスの感情を抱く
7. 様々な感情の中で、上司との相談における『安心した』が離職意向ありなしで最大の差
[画像2: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-b515e8ce0ad74de0add0-0.png ]
調査結果の詳細
1. 離職意向ありは、ない人よりも入社時のギャップを感じる割合が高く、約10ptの差
本調査では、社会人1年目(以下『新人』と記載)に対し、生活リズムや社会人としてのマナー、仕事に関すること、上司との関わりなど、11個の項目(以下『11のギャップ項目』と記載)について、入社前後にギャップを感じたか質問しました。その結果を、離職意向がある新人とない新人でどのような違いがあるか比較しました。
結果、離職意向のある新人で最もギャップを感じた項目は、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得(82.1%)」となりました。次に、「社会人の基礎的なマナーの習得(72.6%)」、「配属先(71.4%)」と続く結果でした。
一方、離職意向のない新人の感じたギャップは、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得(64.9%)」が離職意向ありと同様に最も高くなりました。2位以降は「上司から仕事のアドバイス(63.7%)」、「上司への悩み相談(57.9%)」と上司との関係性における項目が上位となりました。
全ての項目で離職意向のある新人が、ない新人を上回る結果となり、11のギャップ項目の平均値を比較したところ、離職意向のある新人では平均65.3%がギャップを感じているのに対し、離職意向のない新人では平均55.7%となり、約10ptの差に。離職意向のある人が、離職意向のない人よりも、入社前後にギャップを感じていることが明らかとなりました。(図1)
[画像3: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-a7566b4cfd4423bf4416-2.png ]
2. 離職意向ありがネガティブに感じるギャップの上位は「仕事の難易度」「生活リズムや考え方」
ここからは、離職意向のある新人に着目し、感じているギャップがネガティブなものなのか、ポジティブなものなのか、詳細を見ていきます。
まずは、図1からネガティブに感じる回答*2を抽出し比較したところ、「仕事の難易度」が最多で52.4%の人が『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答しました。次に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」が52.3%、「社会人の基礎的なマナーの習得」が50.0%と、3位までは半数以上の新人が『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答しました。(図2)
[画像4: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-dcb0d6883cfc81d645c5-3.png ]
*2 各ギャップ項目に対し、想定よりも難しい、勤務時間が長い、仕事量が多い、上司と話しにくい、アドバイスが細やかではない、相談しにくい、サポートがないといった回答層をネガティブと設定
次に、ポジティブに感じる回答*3を抽出し比較したところ、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」で『想定よりもとても簡単・やや簡単』と回答した割合が29.7%となりました。次に「配属先」が『希望以上によい・希望通り』と回答した割合が26.2%、「上司とのコミュニケーション」が『想定よりとてもフランクで話しやすい・ややフランクで話しやすい』が25.0%と続きました。(図3)
[画像5: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-b9fb3d4de08c1b97a351-4.png ]
*3 各ギャップ項目に対し、想定よりも簡単、勤務時間が短い、仕事量が少ない、上司と話しやすい、アドバイスが細やか、相談しやすい、サポートがあるといった回答層をポジティブと設定
続いて、離職意向のある新人へ、11のギャップ項目以外にも職場の雰囲気・文化について入社前後でどのようなギャップがあったか複数選択で質問したところ、「想定していたより意見が言いづらい風通しの悪い職場だった」が最も高く25.0%となりました。2位以降は「想定したより、自由度が高かった(20.2%)」、「想定していたより明るい雰囲気だった(17.9%)」、「想定していたより熱気にあふれる雰囲気だった(17.9%)」が続く結果となり、職場の雰囲気・文化については、ネガティブなギャップだけではなく、ポジティブなギャップも感じている結果となりました。(図4)
[画像6: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-8693d19212a5446def2e-5.png ]
3. 離職意向ありが最も『会社を辞めたくなった』と感じたギャップは「社会人の生活リズムや考え方の習得」
ここからは、離職意向のある新人が、11のギャップ項目をそれぞれどのように捉えたかを調査しました。回答項目は以下の通りです。
『嬉しいと思った』『安心した』『成長の機会だと感じた』『貢献したいと感じた』『不安に感じた』『落ち込んだ』『不満を抱いた』『大変だと感じた』『我慢した』『会社を辞めたくなった』(以下、まとめて『10の感情』と記載。うち、前半4つをプラスの感情、後半6つをマイナスの感情と設定)
まずは「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」や「社会人の基礎的なマナーの習得」でギャップを感じた新人のうち、離職意向のある新人はそのギャップをどのように捉えているか見ていきます。(図5)
結果、どちらの項目も『会社を辞めたくなった』『不安に感じた』『大変だと感じた』『落ち込んだ』などのマイナスの感情が上位を占めました。特に、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」のギャップに対し、『会社を辞めたくなった』と回答した割合は31.9%となり、11のギャップ項目で比較すると最も高い割合でした。
さらに、『不安に感じた』と回答した割合は「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」では23.2%、「社会人の基礎的なマナーの習得」では19.7%となりました。『落ち込んだ』と回答した割合は「生活リズムや社会人としての考え方の習得」では18.8%、「社会人の基礎的なマナーの習得」では13.1%となりました。どちらの感情も、11のギャップ項目の中で比較すると高い割合であることは見逃せません。
[画像7: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-900351e00f0530b3dac3-6.png ]
4. 仕事に関するものは、離職意向ありは『不満』、離職意向なしは『不安』の感情に繋がりやすい
次に、「勤務時間」「仕事の難易度」「仕事の量」における、離職意向ありの新人のギャップの捉え方を見ていきます。(図6)
「勤務時間」にギャップを感じた離職意向のある新人が抱く感情は、『不満を抱いた(20.4%)』が最も高く、『成長の機会と感じた』『会社を辞めたくなった』がどちらも18.5%と続く結果となりました。離職意向のある新人は、想定していた働き方とは違うことに対し、不満・辞めたいと感じている人が多くいることがわかります。また、11のギャップ項目で比較した際に、『成長の機会と感じた』を選択した新人の割合が最も高かったのは、「勤務時間」についてでした。このうち、約7割が「想定よりも短かった・やや短かった」と回答した一方、「想定よりも長かった・やや長かった」と回答した割合も3割いました。
「仕事の難易度」にギャップを感じた離職意向のある新人は『大変だと感じた(23.1%)』『会社を辞めたくなった(21.2%)』『不安に感じた(17.3%)』『不満を抱いた(17.3%)』とマイナス感情が上位を占める結果となりました。しかし、実は離職意向のない新人と比較すると、離職意向のない人も『不安に感じた(28.1%)』と回答した人が多く、その割合は離職意向のある新人よりも10.8pt高い結果となりました(参考資料1.)。「仕事の難易度」は、離職の有無にかかわらずネガティブに捉えられやすい項目であることが読み取れます。
「仕事の量」に関しては、1位が同率で『不満を抱いた』『大変だと感じた』が25.5%でした。不満を抱いた人の内訳を見てみると、約4割が「想定より少ない・やや少ない」と回答したことより、もっと仕事を与えてほしいといった不満を抱えている層が一定数いることがわかります。
[画像8: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-ad1c562a049f383ae307-7.png ]
■参考資料1.
[画像9: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-e237849311f6748f2e47-9.png ]
5. 『会社を辞めたくなった』ギャップ、生活リズムに続き「上司との関係性」の3項目が上位に
続いて、上司との関係性において、離職意向のある人がギャップをどのように捉えているか調査しました。(図7)
「上司とのコミュニケーション」においては、離職意向のある新人は『会社を辞めたくなった(23.6%)』『不安に感じた(23.6%)』とマイナスの感情が上位にあがりました。次に『安心した(16.4%)』が続き、上司がフランクで話しやすいことにプラスの感情を抱いている人が一部いることもわかりました。しかしその割合は、離職意向のない新人と比較すると、12.8ptも少ない結果となりました(後述、図9参照)。
「上司からの仕事のアドバイス」は、『会社を辞めたくなった』が25.5%となり、次に『不満を抱いた(18.2%)』『貢献したいと思った(16.4%)』となりました。
「上司への悩み相談」では、『会社を辞めたくなった』が28.6%となり、次に『不安に感じた』が20.4%、『成長の機会と感じた』が16.3%と続きました。『会社を辞めたくなった』と回答した割合は、11のギャップ項目で比較すると、生活リズムや社会人としての考え方に次いで2位と高く、上司へ悩み相談ができるか否かが、会社を辞めたいと感じるかに強く影響しているといえます。また一方で『成長の機会と感じた』と回答した人も11のギャップ項目の中で2位と高い結果となり、上司に相談ができている人は成長の機会とプラスに捉えていることがわかりました。
「上司からのスキルアップサポート」では、『不満を抱いた』と『我慢した』が同率の24.5%でした。特に、『我慢した』と回答した割合は、11のギャップ項目の中で最も高い結果になったことから、上司からスキルアップに関するサポートがない状況に対して我慢している新人が多くいることがわかります。
「上司とキャリアについて話す場」では、『会社を辞めたくなった』が22.9%と最も高く、次に『不安に感じた』『大変だと感じた』が20.8%と同率になりました。
上司との関係性においては、成長の機会や貢献など、プラスの感情を抱いている層も一部いますが、会社を辞めたくなった、不安、不満、我慢といったマイナスの感情が目立ちました。特に『会社を辞めたくなった』と回答した人を各ギャップで多い順に見ていくと、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得(31.9%)」に次いで2位に「上司への悩み相談(28.6%)」、3位「上司からの仕事のアドバイス(25.5%)」、4位「上司とのコミュニケーション(23.6%)」と、上司との関わりに関する項目が2位から4位の上位を占めています。
[画像10: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-deb85297e03c1683a0ca-14.png ]
[画像11: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-8a394bf687c59d74c4a7-15.png ]
6. 離職意向ありは、職場の雰囲気・文化のギャップに対し、『不安・大変』とマイナスの感情を抱く
職場の雰囲気や文化のギャップについて、離職意向のある新人の捉え方を調査しました。(図8)
「配属先」においては、離職意向のある新人の23.3%が『会社を辞めたくなった』と回答しました。次に『貢献したいと感じた(20.0%)』『成長の機会だと感じた・落ち込んだ(15.0%)』と続きました。
「職場の雰囲気・文化」については、『不安に感じた』が23.9%、『大変だと感じた』が18.3%、『会社を辞めたくなった』が15.5%と続きました。
離職意向のある新人は、職場の雰囲気や文化について、ポジティブなギャップを感じる人が一定数いながらも、『不安』『会社辞めたい』『大変』など、マイナスな感情を抱く人が多いことがわかります。
[画像12: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-140059730c5d48994266-16.png ]
7. 様々な感情の中で、上司との相談における『安心した』が離職意向ありなしで最大の差
最後に、離職意向がある新人と、ない新人が回答した10の感情の割合の差を比較し、最も大きな差に焦点を当てました。最も差があった項目は『安心』であり、11のギャップ項目の中の「上司への悩み相談」において最大の差が出ました。離職意向のある人はわずか8.2%となりましたが、離職意向のない人は30.3%も回答し、離職の有無で22.1ptも差がありました。(図9)
[画像13: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-42096d77a152edb5cff3-12.png ]
では、上司への悩み相談に対して、新人はどのような悩みを相談したいと思っているでしょうか。新人が入社前後に、先輩や同期からのアドバイス・相談で助かったことがどんなことだったかを質問してみたところ、先輩の場合「仕事につまずいた時(27.4%)」「会社や仕事に不満を感じた時(25.0%)」「職場の人との人間関係に悩んだ時(22.6%)」という順位となりました。一方、同期の場合、「職場の人との人間関係に悩んだ時(28.6%)」「自分の成長に不安を感じた時(20.2%)」「キャリアについて不安を感じた時(19.0%)」となりました。
[画像14: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-317e3d22ca5a52c01679-13.png ]
まとめ
今回の調査より、社会人1年目が直面する入社前後のギャップのうち、離職意向のある新人ほどギャップを感じていることが明らかとなりました。
特に、学生と社会人の大きな違いでもある生活リズムや考え方、マナーの習得に関しては「辞めたい」という気持ちに大きく影響していました。また、簡単だと思っていたのに意外とできず、落ち込んでしまう新人も一部いることがわかりました。仕事や職場、人間関係などがうまくいっているかに焦点が当たりがちですが、社会人としての第一歩である生活リズムや考え方といったところで悩みを抱えていないか、うまく馴染めず苦労していないか確認し、サポートしてあげることが早期離職の防止につながるでしょう。また、このような“つまずき”があることを、内定期間を通し事前に伝えておくことで、大きな問題になることを防止できるかもしれません。
勤務時間や仕事の難易度・量など、仕事に関するギャップでは、離職意向に関わらず、不満や不安を感じる新人が多いことがわかりました。これらの不満・不安の感情を取り除くためには、入社前からどのような業務があるかなどを、正しく伝えることが重要です。また、配属後もどこでどのように不満・不安を抱えているかは個人により異なることを理解したうえで、上司や先輩など周囲が細やかにサポートしていくことが大切といえます。
さらに、上司との関係性においてギャップを感じている新人のうち、離職意向のある新人は「辞めたい」と感じる傾向が強く、離職意向のない新人は「安心した」という感情を抱く結果も明らかとなりました。その差は、上司とのコミュニケーションやアドバイス・悩みなど、相談できる環境があるか否かが大きく影響しており、組織として相談しやすい環境づくりを意識的に行っていくことが求められます。また、上司とのコミュニケーションが鍵となることを理解し、上司は新人が悩みを抱えていないか、つまずいていないか、部下の様子をよく観察し、対話を通して安心感を抱かせることが重要でしょう。
調査概要
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/5749/table/94_1_a083e17b0ef78932d30598b50a3ee735.jpg ]
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人1年目の入社前後のギャップ(離職意向別)編)】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/5749/table/94_2_96fda8895f26d23ad3b35c003e470105.jpg ]
累計13,000社350万人以上の組織開発と人材開発を支援し、革新的なサービスを提供(複数の業界初のサービスを開発)し続けている株式会社ラーニングエージェンシー(旧トーマツ イノベーション株式会社、本社 東京都千代田区、代表取締役社長 眞崎大輔)および人と組織の未来創りに関する調査・研究を行うラーニングイノベーション総合研究所では、社会人1年目の300人に対し、2022年7月に入社前後のギャップに関する意識調査を行いました。今回は、離職意向の有無についての属性*1で分析した調査結果を公表いたします。
*1「あなたの転職経験や意向について教えてください」という問いに対し、「転職経験なし今後予定あり」「転職経験あり今後予定あり」と回答した人を『離職意向あり』、「転職経験なし今後予定なし」「転職経験あり今後予定なし」と回答した人を『離職意向なし』と設定しています。「わからない」はその他とし対象外としています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-d46210f975b42815ca6e-1.png ]
背景
社会人は誰もが多くの障壁を体験します。特に、新入社員は学生から社会人になることで生活環境が大きく変化し、仕事の内容や人間関係、職場環境などにおいて入社前にイメージしていた理想と入社後に直面する現実との間に大きなギャップを感じ、リアリティショックを受けることもあるでしょう。そのようなリアリティショックがポジティブに働けばよいのですが、ネガティブに働けば、昨今問題視されている早期離職につながりかねません。そこで当社は、入社1年目に感じるギャップが、離職意向にどのような影響を与えているか実態調査を行いました。
調査結果の概要
1. 離職意向ありは、ない人よりも入社時のギャップを感じる割合が高く、約10ptの差
2. 離職意向ありがネガティブに感じるギャップの上位は「仕事の難易度」「生活リズムや考え方」
3. 離職意向ありが最も『会社を辞めたくなった』と感じたギャップは「社会人の生活リズムや考え方の習得」
4. 仕事に関するものは、離職意向ありは『不満』、離職意向なしは『不安』の感情に繋がりやすい
5. 『会社を辞めたくなった』ギャップ、生活リズムに続き「上司との関係性」の3項目が上位に
6. 離職意向ありは、職場の雰囲気・文化のギャップに対し、『不安・大変』とマイナスの感情を抱く
7. 様々な感情の中で、上司との相談における『安心した』が離職意向ありなしで最大の差
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調査結果の詳細
1. 離職意向ありは、ない人よりも入社時のギャップを感じる割合が高く、約10ptの差
本調査では、社会人1年目(以下『新人』と記載)に対し、生活リズムや社会人としてのマナー、仕事に関すること、上司との関わりなど、11個の項目(以下『11のギャップ項目』と記載)について、入社前後にギャップを感じたか質問しました。その結果を、離職意向がある新人とない新人でどのような違いがあるか比較しました。
結果、離職意向のある新人で最もギャップを感じた項目は、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得(82.1%)」となりました。次に、「社会人の基礎的なマナーの習得(72.6%)」、「配属先(71.4%)」と続く結果でした。
一方、離職意向のない新人の感じたギャップは、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得(64.9%)」が離職意向ありと同様に最も高くなりました。2位以降は「上司から仕事のアドバイス(63.7%)」、「上司への悩み相談(57.9%)」と上司との関係性における項目が上位となりました。
全ての項目で離職意向のある新人が、ない新人を上回る結果となり、11のギャップ項目の平均値を比較したところ、離職意向のある新人では平均65.3%がギャップを感じているのに対し、離職意向のない新人では平均55.7%となり、約10ptの差に。離職意向のある人が、離職意向のない人よりも、入社前後にギャップを感じていることが明らかとなりました。(図1)
[画像3: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-a7566b4cfd4423bf4416-2.png ]
2. 離職意向ありがネガティブに感じるギャップの上位は「仕事の難易度」「生活リズムや考え方」
ここからは、離職意向のある新人に着目し、感じているギャップがネガティブなものなのか、ポジティブなものなのか、詳細を見ていきます。
まずは、図1からネガティブに感じる回答*2を抽出し比較したところ、「仕事の難易度」が最多で52.4%の人が『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答しました。次に「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」が52.3%、「社会人の基礎的なマナーの習得」が50.0%と、3位までは半数以上の新人が『想定よりもとても難しい・やや難しい』と回答しました。(図2)
[画像4: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-dcb0d6883cfc81d645c5-3.png ]
*2 各ギャップ項目に対し、想定よりも難しい、勤務時間が長い、仕事量が多い、上司と話しにくい、アドバイスが細やかではない、相談しにくい、サポートがないといった回答層をネガティブと設定
次に、ポジティブに感じる回答*3を抽出し比較したところ、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識など)の習得」で『想定よりもとても簡単・やや簡単』と回答した割合が29.7%となりました。次に「配属先」が『希望以上によい・希望通り』と回答した割合が26.2%、「上司とのコミュニケーション」が『想定よりとてもフランクで話しやすい・ややフランクで話しやすい』が25.0%と続きました。(図3)
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*3 各ギャップ項目に対し、想定よりも簡単、勤務時間が短い、仕事量が少ない、上司と話しやすい、アドバイスが細やか、相談しやすい、サポートがあるといった回答層をポジティブと設定
続いて、離職意向のある新人へ、11のギャップ項目以外にも職場の雰囲気・文化について入社前後でどのようなギャップがあったか複数選択で質問したところ、「想定していたより意見が言いづらい風通しの悪い職場だった」が最も高く25.0%となりました。2位以降は「想定したより、自由度が高かった(20.2%)」、「想定していたより明るい雰囲気だった(17.9%)」、「想定していたより熱気にあふれる雰囲気だった(17.9%)」が続く結果となり、職場の雰囲気・文化については、ネガティブなギャップだけではなく、ポジティブなギャップも感じている結果となりました。(図4)
[画像6: https://prtimes.jp/i/5749/94/resize/d5749-94-8693d19212a5446def2e-5.png ]
3. 離職意向ありが最も『会社を辞めたくなった』と感じたギャップは「社会人の生活リズムや考え方の習得」
ここからは、離職意向のある新人が、11のギャップ項目をそれぞれどのように捉えたかを調査しました。回答項目は以下の通りです。
『嬉しいと思った』『安心した』『成長の機会だと感じた』『貢献したいと感じた』『不安に感じた』『落ち込んだ』『不満を抱いた』『大変だと感じた』『我慢した』『会社を辞めたくなった』(以下、まとめて『10の感情』と記載。うち、前半4つをプラスの感情、後半6つをマイナスの感情と設定)
まずは「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」や「社会人の基礎的なマナーの習得」でギャップを感じた新人のうち、離職意向のある新人はそのギャップをどのように捉えているか見ていきます。(図5)
結果、どちらの項目も『会社を辞めたくなった』『不安に感じた』『大変だと感じた』『落ち込んだ』などのマイナスの感情が上位を占めました。特に、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」のギャップに対し、『会社を辞めたくなった』と回答した割合は31.9%となり、11のギャップ項目で比較すると最も高い割合でした。
さらに、『不安に感じた』と回答した割合は「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得」では23.2%、「社会人の基礎的なマナーの習得」では19.7%となりました。『落ち込んだ』と回答した割合は「生活リズムや社会人としての考え方の習得」では18.8%、「社会人の基礎的なマナーの習得」では13.1%となりました。どちらの感情も、11のギャップ項目の中で比較すると高い割合であることは見逃せません。
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4. 仕事に関するものは、離職意向ありは『不満』、離職意向なしは『不安』の感情に繋がりやすい
次に、「勤務時間」「仕事の難易度」「仕事の量」における、離職意向ありの新人のギャップの捉え方を見ていきます。(図6)
「勤務時間」にギャップを感じた離職意向のある新人が抱く感情は、『不満を抱いた(20.4%)』が最も高く、『成長の機会と感じた』『会社を辞めたくなった』がどちらも18.5%と続く結果となりました。離職意向のある新人は、想定していた働き方とは違うことに対し、不満・辞めたいと感じている人が多くいることがわかります。また、11のギャップ項目で比較した際に、『成長の機会と感じた』を選択した新人の割合が最も高かったのは、「勤務時間」についてでした。このうち、約7割が「想定よりも短かった・やや短かった」と回答した一方、「想定よりも長かった・やや長かった」と回答した割合も3割いました。
「仕事の難易度」にギャップを感じた離職意向のある新人は『大変だと感じた(23.1%)』『会社を辞めたくなった(21.2%)』『不安に感じた(17.3%)』『不満を抱いた(17.3%)』とマイナス感情が上位を占める結果となりました。しかし、実は離職意向のない新人と比較すると、離職意向のない人も『不安に感じた(28.1%)』と回答した人が多く、その割合は離職意向のある新人よりも10.8pt高い結果となりました(参考資料1.)。「仕事の難易度」は、離職の有無にかかわらずネガティブに捉えられやすい項目であることが読み取れます。
「仕事の量」に関しては、1位が同率で『不満を抱いた』『大変だと感じた』が25.5%でした。不満を抱いた人の内訳を見てみると、約4割が「想定より少ない・やや少ない」と回答したことより、もっと仕事を与えてほしいといった不満を抱えている層が一定数いることがわかります。
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■参考資料1.
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5. 『会社を辞めたくなった』ギャップ、生活リズムに続き「上司との関係性」の3項目が上位に
続いて、上司との関係性において、離職意向のある人がギャップをどのように捉えているか調査しました。(図7)
「上司とのコミュニケーション」においては、離職意向のある新人は『会社を辞めたくなった(23.6%)』『不安に感じた(23.6%)』とマイナスの感情が上位にあがりました。次に『安心した(16.4%)』が続き、上司がフランクで話しやすいことにプラスの感情を抱いている人が一部いることもわかりました。しかしその割合は、離職意向のない新人と比較すると、12.8ptも少ない結果となりました(後述、図9参照)。
「上司からの仕事のアドバイス」は、『会社を辞めたくなった』が25.5%となり、次に『不満を抱いた(18.2%)』『貢献したいと思った(16.4%)』となりました。
「上司への悩み相談」では、『会社を辞めたくなった』が28.6%となり、次に『不安に感じた』が20.4%、『成長の機会と感じた』が16.3%と続きました。『会社を辞めたくなった』と回答した割合は、11のギャップ項目で比較すると、生活リズムや社会人としての考え方に次いで2位と高く、上司へ悩み相談ができるか否かが、会社を辞めたいと感じるかに強く影響しているといえます。また一方で『成長の機会と感じた』と回答した人も11のギャップ項目の中で2位と高い結果となり、上司に相談ができている人は成長の機会とプラスに捉えていることがわかりました。
「上司からのスキルアップサポート」では、『不満を抱いた』と『我慢した』が同率の24.5%でした。特に、『我慢した』と回答した割合は、11のギャップ項目の中で最も高い結果になったことから、上司からスキルアップに関するサポートがない状況に対して我慢している新人が多くいることがわかります。
「上司とキャリアについて話す場」では、『会社を辞めたくなった』が22.9%と最も高く、次に『不安に感じた』『大変だと感じた』が20.8%と同率になりました。
上司との関係性においては、成長の機会や貢献など、プラスの感情を抱いている層も一部いますが、会社を辞めたくなった、不安、不満、我慢といったマイナスの感情が目立ちました。特に『会社を辞めたくなった』と回答した人を各ギャップで多い順に見ていくと、「生活リズムや社会人としての考え方(顧客志向・当事者意識)の習得(31.9%)」に次いで2位に「上司への悩み相談(28.6%)」、3位「上司からの仕事のアドバイス(25.5%)」、4位「上司とのコミュニケーション(23.6%)」と、上司との関わりに関する項目が2位から4位の上位を占めています。
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6. 離職意向ありは、職場の雰囲気・文化のギャップに対し、『不安・大変』とマイナスの感情を抱く
職場の雰囲気や文化のギャップについて、離職意向のある新人の捉え方を調査しました。(図8)
「配属先」においては、離職意向のある新人の23.3%が『会社を辞めたくなった』と回答しました。次に『貢献したいと感じた(20.0%)』『成長の機会だと感じた・落ち込んだ(15.0%)』と続きました。
「職場の雰囲気・文化」については、『不安に感じた』が23.9%、『大変だと感じた』が18.3%、『会社を辞めたくなった』が15.5%と続きました。
離職意向のある新人は、職場の雰囲気や文化について、ポジティブなギャップを感じる人が一定数いながらも、『不安』『会社辞めたい』『大変』など、マイナスな感情を抱く人が多いことがわかります。
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7. 様々な感情の中で、上司との相談における『安心した』が離職意向ありなしで最大の差
最後に、離職意向がある新人と、ない新人が回答した10の感情の割合の差を比較し、最も大きな差に焦点を当てました。最も差があった項目は『安心』であり、11のギャップ項目の中の「上司への悩み相談」において最大の差が出ました。離職意向のある人はわずか8.2%となりましたが、離職意向のない人は30.3%も回答し、離職の有無で22.1ptも差がありました。(図9)
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では、上司への悩み相談に対して、新人はどのような悩みを相談したいと思っているでしょうか。新人が入社前後に、先輩や同期からのアドバイス・相談で助かったことがどんなことだったかを質問してみたところ、先輩の場合「仕事につまずいた時(27.4%)」「会社や仕事に不満を感じた時(25.0%)」「職場の人との人間関係に悩んだ時(22.6%)」という順位となりました。一方、同期の場合、「職場の人との人間関係に悩んだ時(28.6%)」「自分の成長に不安を感じた時(20.2%)」「キャリアについて不安を感じた時(19.0%)」となりました。
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まとめ
今回の調査より、社会人1年目が直面する入社前後のギャップのうち、離職意向のある新人ほどギャップを感じていることが明らかとなりました。
特に、学生と社会人の大きな違いでもある生活リズムや考え方、マナーの習得に関しては「辞めたい」という気持ちに大きく影響していました。また、簡単だと思っていたのに意外とできず、落ち込んでしまう新人も一部いることがわかりました。仕事や職場、人間関係などがうまくいっているかに焦点が当たりがちですが、社会人としての第一歩である生活リズムや考え方といったところで悩みを抱えていないか、うまく馴染めず苦労していないか確認し、サポートしてあげることが早期離職の防止につながるでしょう。また、このような“つまずき”があることを、内定期間を通し事前に伝えておくことで、大きな問題になることを防止できるかもしれません。
勤務時間や仕事の難易度・量など、仕事に関するギャップでは、離職意向に関わらず、不満や不安を感じる新人が多いことがわかりました。これらの不満・不安の感情を取り除くためには、入社前からどのような業務があるかなどを、正しく伝えることが重要です。また、配属後もどこでどのように不満・不安を抱えているかは個人により異なることを理解したうえで、上司や先輩など周囲が細やかにサポートしていくことが大切といえます。
さらに、上司との関係性においてギャップを感じている新人のうち、離職意向のある新人は「辞めたい」と感じる傾向が強く、離職意向のない新人は「安心した」という感情を抱く結果も明らかとなりました。その差は、上司とのコミュニケーションやアドバイス・悩みなど、相談できる環境があるか否かが大きく影響しており、組織として相談しやすい環境づくりを意識的に行っていくことが求められます。また、上司とのコミュニケーションが鍵となることを理解し、上司は新人が悩みを抱えていないか、つまずいていないか、部下の様子をよく観察し、対話を通して安心感を抱かせることが重要でしょう。
調査概要
[表1: https://prtimes.jp/data/corp/5749/table/94_1_a083e17b0ef78932d30598b50a3ee735.jpg ]
*本調査を引用される際は【ラーニングエージェンシー「若手社員の意識調査(社会人1年目の入社前後のギャップ(離職意向別)編)】と明記ください
*各設問において読み取り時にエラーおよびブランクと判断されたものは、欠損データとして分析の対象外としています
*構成比などの数値は小数点以下第二位を四捨五入しているため、合計値が100%とならない場合がございます
[表2: https://prtimes.jp/data/corp/5749/table/94_2_96fda8895f26d23ad3b35c003e470105.jpg ]