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ベーリンガーインゲルハイム、COPD(慢性閉塞性肺疾患)治療薬の第2相臨床試験結果を発表

- チオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬[LAMA])とオロダテロール*(長時間作用性β2刺激薬[LABA])の併用投与により、肺機能を有意に改善

- 1日1回投与のチオトロピウムとオロダテロール配合剤を開発中

- 同配合剤の第3相臨床試験プログラムTOviTO(R)が進行中

当プレスリリースについて
当資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム(Boehringer Ingelheim GmbH)が9月3日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。

2012年9月3日、ドイツ/インゲルハイム
ベーリンガーインゲルハイムは、2012年欧州呼吸器学会会議(ERS)にて、COPD(慢性閉塞性肺疾患)患者を対象とした第2相臨床試験結果を発表しました。チオトロピウムとオロダテロール併用投与は、オロダテロール単剤投与に比べて、COPD患者の肺機能(FEV1**)を24時間にわたり有意に改善したことが明らかになりました1。

この改善は、レスピマット(R)ソフトミスト吸入器を用い、チオトロピウムとオロダテロールのすべての併用投与群(チオトロピウム 1.25μg、2.5μg、5μg/オロダテロール 5μg、10μg)でオロダテロール単剤投与群(5μg、10μg)と比較し示されました1。いずれの投与もレスピマット(R)ソフトミスト吸入器を用いて吸入されました2-5。
4週間のチオトロピウムとオロダテロール併用投与後、FEV1 AUC0-6(投与6時間までの1秒量の時間平均)はベースラインより平均342 mL上昇し、トラフFEV1***は、平均166 mLの上昇がみられました。

チオトロピウムとオロダテロール併用投与群は、オロダテロール単剤投与群と比べて、平均で、144 mL(FEV1 AUC0-6)、ならびに84 mL(トラフFEV1)の上昇がみられました。

本試験は、配合剤の至適用量の確認を目的に、有効成分のすべての用量群を慎重に検討した包括的な第2相臨床試験プログラムの最終試験です。

本試験に関する論文の筆頭著者であるマルティニ病院(オランダ/フローニンゲン)呼吸器科のルネ・アールバー(Dr. Rene Aalbers)医師は次のように述べています。「作用機序の異なる2種類の長時間作用性気管支拡張剤を併用することで、COPD治療の効果が相互補完的に高まることが期待できます。チオトロピウムはすでに確立された1日1回投与の長時間作用性抗コリン薬(LAMA)であり、オロダテロールは24時間にわたり気管支拡張作用が持続する、開発中の有望な1日1回投与の長時間作用 性β2刺激薬(LABA)です。オロダテロールは、低用量で、速やかな効果発現と長時間の気管支拡張作用が期待でき、チオトロピウムに最適な併用パートナーと言えます」。

この第2相臨床試験は、4週間投与、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、インコンプリートクロスオーバー用量探索試験として実施され、気管支拡張剤投与後のFEV1予測値の30%以上80%未満のCOPD患者232人を対象としています。

チオトロピウムとオロダテロール配合剤の用量検討のため、チオトロピウム(1.25μg、2.5μg、5μg)をオロダテロール(5μgまたは10μg)と併用投与し、オロダテロールの単剤投与群(5μgまたは10μg)と比較されました。

この試験では、チオトロピウムとオロダテロールの併用投与群とオロダテロール単剤投与群とを4週間投与時のトラフFEV1とFEV1 AUC0-6で比較しています。

なお、単剤投与、併用投与のいずれの群においても、良好な安全性が確認されました。

ベーリンガーインゲルハイム医薬開発担当上級副社長Prof.クラウス・デュギは次のように述べました。「ベーリンガーインゲルハイムは、世界初の長時間作用性吸入抗コリン薬チオトロピウムの最適な配合パートナーとして、24時間にわたる持続的な効果を発揮する1日1回投与のオロダテロール(LABA)の開発を進めています。今回示された結果により、チオトロピウムとオロダテロールの配合剤の開発が前進し、この配合剤は、COPD患者さんの新たな治療選択肢になりうるであろうと確信しています」。

*現在、オロダテロールはCOPD治療を適用に承認されておりません。
**FEV1:1秒量
***トラフFEV1:反復して投与される薬剤の次の投与時点の直前に計測されるFEV1 値。投与後約24 時間の時点で測定されます。

肺の生活習慣病COPD(慢性閉塞性肺疾患:慢性気管支炎・肺気腫)
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、喫煙習慣が主な原因となる肺の生活習慣病で、以前は肺気腫や慢性気管支炎と呼ばれていたものを包括したものです。進行性で、息切れから日常生活に支障を来し6、更には在宅酸素療法の実施や、死に直結します。

WHOの統計から、2005年現在で世界では2億1,000万人がCOPDに罹患しています。また、乳がんと糖尿病を合わせた死者数よりも多く7、年間300万人がCOPDを原因として亡くなるとの実態が示されました8。日本では疫学調査から、500万人以上がCOPDに罹患していると推計されていますが(NICEスタディ2001年)、実際に治療を受けているのはわずか約17万人に過ぎません(厚生労働省統計2008年)。また、進行したCOPD患者に起こる増悪は、呼吸機能の低下を加速させるといわれています。早期診断と適切な治療の継続が、患者の予後や生活の質を大きく好転させます9。

オロダテロールについて
オロダテロールは、COPDの維持療法におけるチオトロピウムの最適な併用パートナーとして、ベーリンガーインゲルハイムが開発を進めている、1日1回投与の長時間作用性β2作動薬(LABA)です。オロダテロールは、24時間にわたり肺機能(FEV1)を有意に改善します。TOviTO(R)第3相臨床試験プログラムでは、1日1回投与のチオトロピウムとオロダテロール配合剤の有用性が検討されています。現在、オロダテロールは日本でCOPDを適応に承認されていません。

チオトロピウムについて
世界発の1日1回投与の長時間作用性抗コリン薬スピリーバ(R)(チオトロピウム)は、欧州でCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の維持療法を適応にハンディヘラー(R)吸入器を用いた製剤として発売されてから、本年で10年を迎えました。スピリーバ(R)(チオトロピウム)は、これまでに175以上の臨床試験を重ね、世界でもっとも多くの処方実績のあるCOPD治療薬です。また、その豊富な臨床データの蓄積により、確立された有効性と安全性プロファイルを備えています。

ベーリンガーインゲルハイムについて
ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と44,000人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

ベーリンガーインゲルハイムにとって、社会的責任を果たすことは、企業文化の最も重要な柱の一つです。事業を展開する世界の国々において、社会問題に取り組み、社員とその家族を思いやり、全社員に平等な機会を提供することが、 ベーリンガーインゲルハイムの基盤です。そして、尊重と誠実を重んじ、環境保護と持続可能な社会の実現に向けて貢献することが、ベーリンガーインゲルハイムの本質であり使命です。

2011年度は132億ユーロ(約1兆4,624億円)の売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の23.5%相当額を研究開発に投資しました。

日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約2,700人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。


ベーリンガーインゲルハイムについての詳細情報は:
http://www.boehringer-ingelheim.com/(ベーリンガーインゲルハイム)
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp/(ベーリンガーインゲルハイム ジャパン)

References
1. Aalbers R, Maleki-Yazdi MR, Hamilton A, et al. Dose-finding study for tiotropium and olodaterol when administered in combination via the Respimat(R) inhaler in patients with COPD. ERS 2012 abstract P2882.
2. Brand P et al. Respimat(R) Soft MistTM inhaler preferred to Diskus(R) by Patients with COPD and /or Asthma. J Aerosol Med 2007; 20(2): 165.
3. Hodder R, Price D. Patient Preference for Inhaler Devices in Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Experience with Respimat(R) Soft MistTM Inhaler. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2009; 4: 381-390.
4. Hodder R, Reese PR, Slaton T. Asthma Patients Prefer Respimat(R) Soft MistTM Inhaler to Turbohaler. Int J Chronic Obstruct Pulm Dis 2009; 4: 225-232. 5. Schuermann W, Schmidtmann S, Moroni P, et al. Respimat(R) Soft MistTM Inhaler versus hydrofluroalkane metered dose inhaler: patient preference and satisfaction. Treatm Respir Med 2005;4 : 53-61.
6. Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease. Global strategy for the diagnosis, management and prevention of chronic obstructive pulmonary disease. 2011. Available from: http://www.goldcopd.org
7. World Health Organization. World Health Report 2004. Statistical Annex. Annex table 2 and 3:120-1311
8. World Health Organization. Global Alliance Against Chronic Respiratory Diseases. http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs315/en/index.html. (Accessed 10 December 2010)
9. Wilkinson TMA, Donaldson GC, Hurst JR et al. Early therapy improves outcomes of exacerbations of chronic obstructive pulmonary disease. Am J Respir Crit Care Med 2004; 169: 1298-1303.
10. Dhand R. Aerosol Plumes: Slow and Steady Wins The Race. J Aerosol Med 2005; 18(3): 261-63.
11. Hochrainer D, Holz H. Comparison of Aerosol Velocity and Spray Duration of Respimat(R) Soft MistTM Inhaler and Pressurized Metered Dose Inhalers. J Aerosol Med 2005; 18(3): 273-282.
12. Freytag F, Golisch W, Wolf K. New soft mist inhaler is effective and easy to use in patients with asthma and COPD. Eur Respir J 2005; 26 (Suppl 49): 338s.


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