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航空機推進系大出力電動モータの試作機の開発に成功

IHIは,秋田県立大学(学長:小林淳一氏)と秋田大学(学長:山本文雄氏)および秋田県内地域企業等と共同で,出力250kWの航空機推進系大出力電動モータの試作機の開発に成功しました。




 今回開発した電動モータは,航空機エンジンと連携した電動ハイブリッド推進システムとして開発に取り組んでいるものです。出力250kW級は,乗用車用の排気量3リッターターボエンジンに匹敵する大出力モータで,永久磁石と鉄心で構成される心臓部を,容積約3リッターに収めたコンパクト設計で,航空機エンジンに搭載するために重要な軽量化も実現しています。

 IHIでは,本モータを1MW以上まで増強することで,200人乗りの中型旅客機に電動ハイブリッド推進システムとして搭載されることを想定しています。
[画像1: https://prtimes.jp/i/89117/97/resize/d89117-97-a74f2a378de2f165ee4d-0.jpg ]




[画像2: https://prtimes.jp/i/89117/97/resize/d89117-97-ff5e0af97f888040e7d0-1.png ]


 今回の開発は,秋田県立大学と秋田大学が,内閣府「地方大学・地域産業創生交付金」の交付事業を受けて共同で運営する電動化システム共同研究センター(センター長:榊 純一氏)と,IHIおよび秋田県内の地域企業等が連携して取り組んでいるもので,永久磁石を高密度磁石配列(ハルバッハ配列※)に基づき配置することで磁石の利用効率を最大化し,大出力(高効率)化,小型化,軽量化に成功したものです。

 本開発においてIHIは,試作機の構造設計における共同検討と,固定子(ステータ:モータ部品の回転しない部分)の製造上の課題解決に取り組みました。小型・軽量で大出力化を実現するためには,回転子(ロータ)は高密度磁石配列にする必要があるため個々の磁石の反発する力が強く,また,ステータは数多くのスロット(溝)に大出力コイルを高密度に配置する必要があることから,それぞれ従来工法では工業化が難しいとされていましたが,今回,コイルやコア(鉄心)の製造工法における開発を進め,これらの課題を克服しました。

  IHIでは,引き続き航空機の電動化に向けた電動ハイブリッド推進システムの開発に取り組み,2030年代の実用化を目指すととも,航空機システム全体の電動化・最適化にも取り組んでいきます。

※ ハルバッハ配列:永久磁石の特別な配置方法。一般の磁石配置では,両面は同じ磁力となっているのに対し,配列の片側の磁力を増強し,反対側の磁力をほぼゼロにすることで,磁石の利用効率を最大化することが可能。
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