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メキシコで常態化する女性への拷問 性的虐待で自白を迫る 

アムネスティ・インターナショナルは、メキシコで、逮捕された経験がある女性100人に聞き取り調査を行った。その結果、組織犯罪撲滅の成果を示すために、治安当局が自白を引き出そうと女性に対し性的虐待を日常的に加えている実態が浮かび上がった。




[画像: http://prtimes.jp/i/5141/98/resize/d5141-98-344505-1.jpg ]



聞き取った女性全員が、逮捕や尋問で、警察や陸軍、海軍の取調べ担当者からなんらかの嫌がらせを受けた。うち72人は性的虐待を、さらにそのうちの33人は強かんされたと証言した。

66人は判事などに性的虐待を訴えたが、捜査されたのは22件にとどまった。それらが訴追されたのか否かはわからない。

逮捕後の女性に対する拷問の実態は、常軌を逸していた。性暴力が取調べの手法として定着しているようだ。

麻薬撲滅を掲げる当局は、本当の犯罪者を見つけることよりも、投獄の実績を挙げること躍起になっている。最も標的にされやすいのは、社会の片隅に追いやられた女性たちだ。

接触した女性たちは、取調べ中に性的虐待を受けたり、殴られたり、体をまさぐられたり、電気ショックを受けていた。ほとんどが、組織犯罪や麻薬犯罪の容疑を受け、多くが自白を強要された上、犯罪者としてメディアの前に引き出される。貧しい環境に育った彼女たちには、弁護士を雇う余裕もない。

モニカさん(26才)は2013年2月、6人の警官に強かんされ、性器に電気ショックを受け、ビニール袋をかぶされて窒息寸前にさせられ、水の入ったバケツに頭を突っ込まれるなどの虐待を受けた。治安当局者は、彼女が犯罪組織の一員だという自白を無理に引き出そうとした。モニカさんの兄弟と夫も拘束されていて、2人が拷問を受けるところを見せつけられることもあった。

拷問の後、夫とともに検察庁に連れて行かれる途中、拷問で衰弱していた夫は彼女の腕の中で息を引き取った。モニカさんは後に、麻薬組織の一員であることを認める署名を強要された。

2014年8月にメキシコ人権委員会がモニカさんに対する拷問があったという報告を出したが、その後、起訴された者は誰もいなかった。モニカさんは現在、組織犯罪容疑の裁判の結果を刑務所で待っている。今年4月、同人権委員会は、彼女の虐待事件を捜査すべきだという勧告を出した。しかし、収監は続いている。

国は、当局の女性に対する性的虐待や暴力への対応と阻止に向けた措置を早急に実施すべきだ。最近、内務省内に、女性への性的拷問問題に取り組むタスクフォースが設置された。拷問防止や捜査を担当する連邦職員を束ねる役割を持つ。しかし設置後9カ月が経過したが、活動は休眠状態で、タスクフォースに提出された事案3件についても進展はない。

議会は現在、延び延びになっていた拷問に関する法案の審議を行っている。前向きな内容が盛り込まれているが、拷問で得られた供述を証拠と認めない違法証拠収集排除に関する規定を強化する必要がある。


アムネスティ日本公式サイト www.amnesty.or.jp
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