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Workforce Innovation-生産性革命〜日本の労働生産性は、本当に低いのか〜

ワークス主催「COMPANY Forum 2017」オープニングスピーチ

株式会社ワークスアプリケーションズは、2017年11月22日(水)グランドハイアット東京にて、「COMPANY Forum 2017」を開催いたしました。オープニングセッションでは、弊社代表取締役最高経営責任者 牧野正幸がスピーチを行いました。




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日本の労働生産性は、本当に低いのか


安倍政権が「労働生産性の向上」を政策として掲げるほど、日本の労働生産性の低さが社会の関心を集めた2017年。OECDデータによると、日本の労働生産性は主要先進7カ国の中で最も低く、労働者一人当たりではOECD加盟35カ国中22位となっている*。3位のアメリカと比べても約6割の低水準にとどまっている。

「この結果に違和感を持つ方が多いのではないか。特に製造業やサービス業においては今なお、諸外国に引けを取らないどころか、世界トップの現場力が日本にはある。」スピーチの冒頭、牧野はこう切り出した。振り返ると、日本は現場力を生かした“カイゼン”運動を行うことで、高度経済成長を遂げて先進国入りを果たした。この “カイゼン”が各社の個別最適化を推進し、国際競争力を高めてきたのだ。しかしながら、時を経た現代においては、個別最適化によるメリットよりもデメリットのほうが大きくなっていると指摘する。

「競争領域と非競争領域を線引きすることなく、非競争領域であるバックオフィスまで個別最適を追求してきた。それが今の日本企業の高コスト体質を生んだ。」結果としてバックオフィス業務に従事する人件費とそのオペレーションコストが生産性を下げる要因になっているという。

この状況に至った背景は何だろうか。アメリカと日本の雇用の違いから読み解くと、アメリカは労働者階層が大きくホワイトカラーとブルーカラーに分かれており、ジョブディスクリプションが明確に存在する。翻って日本は、新卒一括採用の慣習からも見て取れるように、大学進学率が高く大部分が高水準の教育を受けており、労働の質および意欲ともに高い人材が揃っている。この環境があってこそ、日本企業の強みとなる現場力は築かれた。とはいえ、企業戦略にかかる制度――人事戦略や財務戦略等は別にして、給与計算や経理の月次処理といったオペレーションは、独自性を追求することで競争優位を獲得できるものではない。これは、人事・給与管理、財務・管理会計のみに限らない。例えば販売においても、販売行為そのものは各社の創意工夫があるべきだが、その販売の後ろにある販売管理業務はバックオフィスなのだ。

「多くの企業は、人事部門、財務部門、営業部門、生産管理部門といったすべての部門においてバックオフィスコストの削減を進めてきた。その一つには、人員削減がある。経営としては正しい判断といえるが、結果として残った高報酬で優秀な人材がオペレーションに追われるという状況になってしまった。」

優秀な人材が“意思決定”や“戦略実行”に時間を充てることができずに、データ入力からはじまりデータ抽出・加工、資料作成、日々の細かな確認作業に至るまで、様々なオペレーションに忙殺されているのだ。


バックオフィス改革の重要性 〜日本の強みを引き出すIT基盤のあり方〜


このように高コスト体質となってしまったバックオフィスをいかに改善していくか。日本の現場力を生かしつつ、個別から全体最適へ、今こそ変えていくべきだ。この考えは、「バックオフィス改革」として政府による提言もなされている。

それは、日本独自の成長戦略として打ち出された「Connected Industries」である。ドイツ政府の「インダストリー4.0」や、米国の企業連合主導の「インダストリアル・インターネット」に対抗するものであり、世耕経済産業大臣を中心に、各界の有識者が参画し、具体案の策定が進められてきた。

その中で、日本全体のバックオフィス業務のプロセスやシステムの共通化という横断的施策が掲げられた。つまり、競争領域と非競争領域を見極めて、非競争領域であるバックオフィスにおいては日本全体でフォーマットを定めて全体最適化を図っていく。そうでなければ、このロボティクスやAIの時代で起こる発展に取り残されてしまう、と警鐘を鳴らしているのだ。

そもそも、ERPパッケージソフト(Enterprise Resource Planning)は、非競争領域の全体最適を図るために開発されたのが始まりである。しかしながら、日本において海外の主流製品を導入しようにも、日本の複雑な商習慣に合わせるためにはカスタマイズが不可欠である。カスタマイズ費用がかさむ上に、システムそのものや、そのオペレーションも非常に複雑化してしまった実態がある。多額のIT投資によって効率化を推進したとしても、むしろコンピュータを動かすために、人が膨大な時間と工数をかけて作業しなければならなくなっている。

「これらの問題を解決するべく、当社は日本企業の業務をすべて標準機能として取り込むことで、あらゆる企業の業務を共通のパッケージソフトで支えてきた。」そうして、今では大手1,300企業グループ超から吸収した“業務のオペレーションノウハウ”を生かして、AIを組み込んだ次世代のビジネスアプリケーション「HUE」で企業の生産性最大化を目指している。
[画像2: https://prtimes.jp/i/11485/102/resize/d11485-102-928700-3.jpg ]




生産性向上の壁 〜人とコンピュータと業務を隔てる大きな溝〜


とはいえ、これまで多くの企業がIT化の推進をはじめ、業務の標準化、マニュアル化、プロセスの整備等、様々な取り組みを進めてきたことだろう。それでもなお、生産性向上という壁にぶつかってきた。

牧野は「人とコンピュータと業務の間に大きな溝があることに問題がある」と断言する。これは、コンシューマアプリケーションの進化を例にとれば一目でわかる。メルカリは、個人の売買において、人とスマートフォンの距離を極限まで減らした。売りたい商品の写真をアップするだけで、続いて登録すべき内容や同じ商品の過去の売買情報までをも次々とサジェストしてくれる。また、チャット機能を内包することで出品者と購入者のスムーズなコミュニケーションを可能にし、満足度向上に貢献している。

一方で、従来のエンタープライズアプリケーションが抱える制約は、業務の非効率性を生んだ――まず、コンピュータの処理プロセス通りに進めなければ作業が完結しない。すべての処理を完了してからでないと次の処理を始められないだけでなく、後で誤りがあると分かった場合には最初からやり直さなければならない。本来、その処理過程を把握・共有することができれば、その場で疑問に思ったことを関係者に質問し、回答を得ることができる。このコラボレーションによって、確認や修正が容易になり作業スピードは飛躍的にあがるはずなのだ。

[画像3: https://prtimes.jp/i/11485/102/resize/d11485-102-692272-4.jpg ]

これらの業務の処理内容やプロセスは、実はコンピュータがオペレーションログとして記録している。「HUE」のAIは、これらのログを業務のオペレーションノウハウとして学習させることで、人が行う処理に応じて“次にしたいのはこれですか?”“欲しい情報はこれですか?”とサジェストすることができる。加えて、チャット等のコミュニケーションツールを業務システムと統合することで、ひとつのプラットフォーム上での共同作業や人と人との共有や確認といったコラボレーションも可能だ。「このサジェストとコラボレーションこそ、飛躍的な生産性向上をもたらすと考えている」と牧野は強調する。


コラボレーションが導き出す働き方の新たな解


インターネットは、ネットワーク上の情報が充実したからこそ普及した。企業で新たなテクノロジーを普及・定着させるには、情報をいかに負担なく収集・管理するかが鍵となる。「従来、企業において情報というものは暗黙知的なもの。一人ひとりに質問を投げかけながら“この件は、多分彼に聞いたらわかるんじゃないか”と地道に探し回るしか手段がなかった。しかし、これらの情報を見える化し、ナレッジマネジメントを行おうにも、社員への普及・定着が進まず情報を管理しきれないという課題があった。これを、解決するのが業務の“コラボレーション”である。」

つまり、社員に情報入力を業務として課しても、作業負担が大きいため浸透しない。しかし、社員同士のコミュニケーションがコンピュータを通じて行われれば、そのやりとりの内容をナレッジとして蓄積・活用できる。何より、社員の負担が低いので普及しやすく、情報の量、質ともに確保できるというわけだ。

こうしたコラボレーションは、一つの業務を行う過程で、他の関連業務との連動や組織の壁を越えた連携を実現し、判断スピードを速め、問題解決を促進するという効果ももたらす。

例えばマニュアル一つとっても、過去に一度行われた質問とそれに対する回答がマニュアル上にコメントとして蓄積されれば、以降同様の疑問を持つ人は、そのコメントを見るだけで解決できるようになる。さらには、管理者だけでなく全員でマニュアルの共同編集ができるようにすれば、その時々の運用の中で生じた気づきや注意点を反映したQ&Aの更新ができ、常に最新・最適なマニュアルとしてアップデートされ続ける。

[画像4: https://prtimes.jp/i/11485/102/resize/d11485-102-266303-2.jpg ]

「インターネット百科事典『Wikipedia』は、ボランティアで運営され、アップデート頻度が非常に高い。これは、誰もが編集権限を与えられているという最大の強みが生かされている。企業内の業務においても、品質管理部門や商品管理部門といった管理者でないと編集できないという考え方は、現代のテクノロジーの進歩に合わせて変わっていくべき。企業全体でのコラボレーションによって蓄積されるものが、本質的な業務のノウハウというものであり、その仕組みを作ることができれば、業務効率を高めつつ業務ノウハウを蓄積し続けられる。これが大きなポイントである。」

こうして従来の形式的な型にはまった業務から脱し、AIをアシスタントにして、活発なコラボレーションが生まれる働き方を取り入れることで、生産性は大幅に向上するのだ。

「オペレーションをコンピュータに任せ、ノウハウをコンピュータが補うことで、新人でも業務が回せるようになる。中途市場における人材の流動化という観点からみても、日本の企業にとってプラスになると思う。また、オープンイノベーションを促進するためにも、業務のあり方の抜本的な変革は不可欠である。優秀な人材が揃うバックオフィスを本当の戦略部門へと進化させていくことができれば、日本の未来は明るい。」


*就業者1人当たり|2015年/35カ国比較 ※出典:労働生産性の国際比較2016年版 公益財団法人日本生産性本部


<開催概要>


[画像5: https://prtimes.jp/i/11485/102/resize/d11485-102-720781-1.jpg ]

「COMPANY Forum」は、人工知能型ビジネスアプリケーション「HUE」によるバックオフィス改革を通じて、日本企業の生産性を高めようとするワークスアプリケーションズが、年に一度開催するビジネスカンファレンスです。日本企業における日頃の業務や経営戦略における課題解決の一助となればという思いから、2004年から開催しています。国を挙げて"働き方改革"が叫ばれた2017年は、「Workforce Innovation」をテーマにし、人工知能(AI)をはじめとする最先端技術・ビッグデータの活用など、多彩なセッションを開催いたしました。

・名称:COMPANY Forum 2017
・主催:株式会社ワークスアプリケーションズ
・日時:2017年11月22日(水)
・参加費:事前申込制・参加無料
・スポンサー:キリンビバレッジ株式会社、キリンビバレッジバリューベンダー株式会社、大正製薬株式会社、日本たばこ産業株式会社
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