変化の波:金融サービスのエコシステムにおける新たな現状
[17/10/25]
提供元:PRTIMES
提供元:PRTIMES
世界経済フォーラム(WEF)とデロイトの最新レポートで、従来型の金融サービス業界における、フィンテックの先に待ち受ける展開を考察
デロイト トーマツ グループは、本日、世界経済フォーラムがデロイトと協力して発表した最新レポートについて、レポート作成に深く関与した、デロイトの全米金融サービスリーダーRob Galaskiを招き、セミナーを開催。また、レポートについてデロイトが米国ニューヨークで2017年8月22日付で発信したプレスリリースの和訳に一部加筆し、発表しました。
デロイト トーマツ グループ(東京都港区、グループCEO 小川陽一郎)は、本日、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)がデロイトと協力して発表した最新レポートについて、レポート作成に深く関与した、デロイトの全米金融サービスリーダーRob Galaskiを招き、セミナーを開催しました。
WEFとデロイトの最新レポート「フィンテックのその先に:金融業界における潜在的なディスラプションの実証的評価」(以下 当レポート)によれば、フィンテックは金融サービスにおける競争の基盤を大きく変貌させましたが、競争の勢力図の大きな変化はまだ起きていません。当レポートでは、将来の変化をもたらす主要因を分析し、業界の未来を形作っていく可能性の高い一連のディスラプティブな要因の始まりとフィンテックを、位置付けています。
当レポートはフィンテック企業がもたらす変化についての3年にわたるリサーチの集大成であり、最終段階としてデロイトのリサーチとWEFの2015年レポートをより発展させ、金融サービスのエコシステムを変容させつつある要因をより幅広く分析しています。
Rob Galaskiは次のように話します。「フィンテックはイノベーションのスピードを変え、金融サービスのエコシステム全体にわたり顧客の期待を変化させ、業界の将来のディスラプションの基盤を築きました。フィンテック企業が競争を変容し、加えて技術進歩のペースの早まりによって、既存の勢力は急激に進化する可能性がありますが、同時に今後、急激なディスラプションに直面する可能性もあります」
「ただし、顧客のスイッチングコストは高いため、フィンテック企業は顧客基盤の獲得と規模の拡大に苦しんでいます。一方、既存の金融機関は、自らが新たなサービスを早期に提供することを目的とした企業買収やパートナーシップ形成へ向けマーケットプレイスのようにフィンテックの広がりを利用することによって、大方の予想よりも速く時流に追いつくことができています」とR. Jesse McWaters(WEF、金融イノベーション・リード)は述べます。
当レポートでは、金融サービスの勢力図を変容させる可能性のある8つの要因を明らかにしています。これらの要因には以下の3つの大きな調査結果が含まれます。
Platforms rising
顧客の選択肢が増えたことに金融サービスの開発や販売は大きく影響され、また、企業は自らの役割のシフトを迫られると予想されます。単一のチャネルから多数の金融機関につなぐ能力をもたらすプラットフォームは、金融サービス提供のための支配的モデルとなる可能性を秘めています。オープンバンキングなどを含むこれらプラットフォームは、金融サービスが特定の企業から提供されていた状況から提供企業をいつでも選択できるものに変容させていくと考えられます。その結果、プラットフォームの所有者はエコシステムの有能な管理者となり、金融サービス提供企業のニーズと顧客需要とのバランスを取っていくことを求められます。
Financial regionalization
規制における優先事項、技術力、顧客ニーズの差異は、金融のグローバル化の流れの妨げとなっており、地域それぞれの状況に見合う金融サービスに基づいた地域的なモデルに取って代わられつつあります。たとえグローバル企業であっても地域における競争面の優位性を磨き、地域のエコシステムへと同化していく明確な戦略が必要となるかもしれません。一方、テクノロジーによって参入障壁が下げられるとしても、フィンテックが複数の国々に定着していくには大きな障壁が立ちはだかる可能性が高いと考えられます。迅速に規模を拡大させようとするフィンテック企業が新規市場への参入を狙う上で、既存の金融機関はその魅力的なパートナーとなる可能性があります。
Systemically important techs
既存の金融機関が大手テクノロジー企業の中核能力に追随しようとすれば、それらの企業への依存度が高まっていく可能性が高いと考えられます。例えば、金融機関が顧客のデジタルエクスペリエンスを強化し、顧客プラットフォームからのデータや売上の獲得を求めれば、関連プロセスの拡張・展開、また人工知能(AI)をサービスに利用することによって、結果的にますます大手テクノロジー企業の持つクラウドベースインフラへの依存度を高めていくことになるでしょう。金融機関が勢力の拡大を求め新たな強みを獲得していこうとすると、難しい選択をせまられることになるでしょう。つまり、大手テクノロジー企業に依存するか、あるいは独立性を守るためにそうした企業とのかかわりを縮小させる結果、テクノロジーを利用したサービスで後れを取るリスクを受け入れるかの選択です。
デロイト・グローバル金融サービス業界リーダーのBob Contriは次のように述べます。 「規制上の優先事項、技術力、新興プラットフォームの差異が、業界の大きな課題として浮上しています。これら要因に加え、将来的にすべての金融サービス業種に影響を及ぼすであろう、いまだ不確定な複数の要因があります。たとえばデジタルアイデンティティの役割、金融サービス企業がリスクをどう軽減させていくのか、データフローをどうマネタイズしていくのか、など多々あります。しかし、ディスラプションとテクノロジーの進化は、将来の破壊力となる基盤を築いており、金融業界にとって新たな現状となっていることは明白です。」
当レポートでは、以下のような要因も新たに指摘しています。
Cost commoditization:金融機関は積極的にコスト基盤をコモディティ-化し、この点における競争優位性がなくなり、差別化を図る新しい基盤を創出させていく可能性があります。
Profit redistribution:テクノロジーを利用することで組織は既存のバリューチェーンを通さず、利益の再分配ができるようになる可能性が高いです。
Experience ownership:顧客接点を持つ販売業者はカスタマーエクスペリエンスのオーナーとしての戦略的な強みを持ち、商品開発企業はより大規模化、もしくは集中化することが求められます。
Data monetization:差別化のためのデータの重要性はますます高まる可能性がありますが、取引情報などの静的なデータは、複数のソースから集約されるリアルタイムに活用できる動的データに置き換えられていくと考えられます。
Bionic workforce:機械が人間行動を再現する能力が進化していくに従い、金融機関は労働力と資本をひとまとまりの能力として扱う必要に迫られるようになると考えられます。
詳細レポート(英語)は、こちらをご覧ください。
http://www3.weforum.org/docs/Beyond_Fintech_-_A_Pragmatic_Assessment_of_Disruptive_Potential_in_Financial_Services.pdf
デロイトによる当レポートのサマリー(英語)はこちらをご覧ください。
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/global/Documents/Financial-Services/gx-fsi-beyond-fintech-summary.pdf
デロイト トーマツ グループは、本日、世界経済フォーラムがデロイトと協力して発表した最新レポートについて、レポート作成に深く関与した、デロイトの全米金融サービスリーダーRob Galaskiを招き、セミナーを開催。また、レポートについてデロイトが米国ニューヨークで2017年8月22日付で発信したプレスリリースの和訳に一部加筆し、発表しました。
デロイト トーマツ グループ(東京都港区、グループCEO 小川陽一郎)は、本日、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)がデロイトと協力して発表した最新レポートについて、レポート作成に深く関与した、デロイトの全米金融サービスリーダーRob Galaskiを招き、セミナーを開催しました。
WEFとデロイトの最新レポート「フィンテックのその先に:金融業界における潜在的なディスラプションの実証的評価」(以下 当レポート)によれば、フィンテックは金融サービスにおける競争の基盤を大きく変貌させましたが、競争の勢力図の大きな変化はまだ起きていません。当レポートでは、将来の変化をもたらす主要因を分析し、業界の未来を形作っていく可能性の高い一連のディスラプティブな要因の始まりとフィンテックを、位置付けています。
当レポートはフィンテック企業がもたらす変化についての3年にわたるリサーチの集大成であり、最終段階としてデロイトのリサーチとWEFの2015年レポートをより発展させ、金融サービスのエコシステムを変容させつつある要因をより幅広く分析しています。
Rob Galaskiは次のように話します。「フィンテックはイノベーションのスピードを変え、金融サービスのエコシステム全体にわたり顧客の期待を変化させ、業界の将来のディスラプションの基盤を築きました。フィンテック企業が競争を変容し、加えて技術進歩のペースの早まりによって、既存の勢力は急激に進化する可能性がありますが、同時に今後、急激なディスラプションに直面する可能性もあります」
「ただし、顧客のスイッチングコストは高いため、フィンテック企業は顧客基盤の獲得と規模の拡大に苦しんでいます。一方、既存の金融機関は、自らが新たなサービスを早期に提供することを目的とした企業買収やパートナーシップ形成へ向けマーケットプレイスのようにフィンテックの広がりを利用することによって、大方の予想よりも速く時流に追いつくことができています」とR. Jesse McWaters(WEF、金融イノベーション・リード)は述べます。
当レポートでは、金融サービスの勢力図を変容させる可能性のある8つの要因を明らかにしています。これらの要因には以下の3つの大きな調査結果が含まれます。
Platforms rising
顧客の選択肢が増えたことに金融サービスの開発や販売は大きく影響され、また、企業は自らの役割のシフトを迫られると予想されます。単一のチャネルから多数の金融機関につなぐ能力をもたらすプラットフォームは、金融サービス提供のための支配的モデルとなる可能性を秘めています。オープンバンキングなどを含むこれらプラットフォームは、金融サービスが特定の企業から提供されていた状況から提供企業をいつでも選択できるものに変容させていくと考えられます。その結果、プラットフォームの所有者はエコシステムの有能な管理者となり、金融サービス提供企業のニーズと顧客需要とのバランスを取っていくことを求められます。
Financial regionalization
規制における優先事項、技術力、顧客ニーズの差異は、金融のグローバル化の流れの妨げとなっており、地域それぞれの状況に見合う金融サービスに基づいた地域的なモデルに取って代わられつつあります。たとえグローバル企業であっても地域における競争面の優位性を磨き、地域のエコシステムへと同化していく明確な戦略が必要となるかもしれません。一方、テクノロジーによって参入障壁が下げられるとしても、フィンテックが複数の国々に定着していくには大きな障壁が立ちはだかる可能性が高いと考えられます。迅速に規模を拡大させようとするフィンテック企業が新規市場への参入を狙う上で、既存の金融機関はその魅力的なパートナーとなる可能性があります。
Systemically important techs
既存の金融機関が大手テクノロジー企業の中核能力に追随しようとすれば、それらの企業への依存度が高まっていく可能性が高いと考えられます。例えば、金融機関が顧客のデジタルエクスペリエンスを強化し、顧客プラットフォームからのデータや売上の獲得を求めれば、関連プロセスの拡張・展開、また人工知能(AI)をサービスに利用することによって、結果的にますます大手テクノロジー企業の持つクラウドベースインフラへの依存度を高めていくことになるでしょう。金融機関が勢力の拡大を求め新たな強みを獲得していこうとすると、難しい選択をせまられることになるでしょう。つまり、大手テクノロジー企業に依存するか、あるいは独立性を守るためにそうした企業とのかかわりを縮小させる結果、テクノロジーを利用したサービスで後れを取るリスクを受け入れるかの選択です。
デロイト・グローバル金融サービス業界リーダーのBob Contriは次のように述べます。 「規制上の優先事項、技術力、新興プラットフォームの差異が、業界の大きな課題として浮上しています。これら要因に加え、将来的にすべての金融サービス業種に影響を及ぼすであろう、いまだ不確定な複数の要因があります。たとえばデジタルアイデンティティの役割、金融サービス企業がリスクをどう軽減させていくのか、データフローをどうマネタイズしていくのか、など多々あります。しかし、ディスラプションとテクノロジーの進化は、将来の破壊力となる基盤を築いており、金融業界にとって新たな現状となっていることは明白です。」
当レポートでは、以下のような要因も新たに指摘しています。
Cost commoditization:金融機関は積極的にコスト基盤をコモディティ-化し、この点における競争優位性がなくなり、差別化を図る新しい基盤を創出させていく可能性があります。
Profit redistribution:テクノロジーを利用することで組織は既存のバリューチェーンを通さず、利益の再分配ができるようになる可能性が高いです。
Experience ownership:顧客接点を持つ販売業者はカスタマーエクスペリエンスのオーナーとしての戦略的な強みを持ち、商品開発企業はより大規模化、もしくは集中化することが求められます。
Data monetization:差別化のためのデータの重要性はますます高まる可能性がありますが、取引情報などの静的なデータは、複数のソースから集約されるリアルタイムに活用できる動的データに置き換えられていくと考えられます。
Bionic workforce:機械が人間行動を再現する能力が進化していくに従い、金融機関は労働力と資本をひとまとまりの能力として扱う必要に迫られるようになると考えられます。
詳細レポート(英語)は、こちらをご覧ください。
http://www3.weforum.org/docs/Beyond_Fintech_-_A_Pragmatic_Assessment_of_Disruptive_Potential_in_Financial_Services.pdf
デロイトによる当レポートのサマリー(英語)はこちらをご覧ください。
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/global/Documents/Financial-Services/gx-fsi-beyond-fintech-summary.pdf