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Quantum Simulation Technologies, Inc.への出資を決定

東大IPCは、協創1号ファンドから、量子化学シミュレーションソフトウェアを開発するQuantum Simulation Technologies, Inc.へ50万ドルの出資を行うことを決定しました。

東京大学協創プラットフォーム開発株式会社は、東大関連ベンチャーで、米国ボストンに本社を置く、量子化学シミュレーションの民主化を通じて製薬・素材企業のR&Dの加速を目指すQuantum Simulation Technologies, Inc. に対して、50万ドルの出資を行うことを決定しました。




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東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(本社:東京都文京区本郷、代表取締役社長 植田 浩輔、以下「東大IPC」)が運営する協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合(以下「協創1号ファンド」)は、量子化学シミュレーションの民主化を通じて製薬・素材企業のR&Dの加速を目指すQuantum Simulation Technologies, Inc. (本社:米国ボストン、CEO 塩崎亨、以下「QSimulate」)へ50万ドルの出資を行うことを決定しました。


量子化学シミュレーションの民主化を通じて製薬・素材企業のR&Dの加速を目指す


QSimulateは、量子化学計算の研究をもとに、レガシーソフトウェアを使い続けている量子化学計算の技術革新を通して、新しい形のシミュレーションR&Dを提案すべく、2018年にボストンで創業しました。製薬・素材・化学企業のR&D部門向けに、先進的な量子化学シミュレーションを誰でも簡単に行うことを可能とするプラットフォーム「QSP」を提供し、R&DのDX推進を目指しています。シミュレーションの専門家でなくても手軽に活用ができ、はるかに対応領域が拡大された高速な量子化学計算システムによって、主体的な計算R&Dが可能になります。


量子化学計算とは、物質を構成する原子やその中の電子、また分子の動きをシミュレーションすることで、物質の性質やどのような化学的な反応等が起きるのかを予測・分析しようとするものです。この手法は計算機の発展とともに古くは1970年代頃から試みられてきました。


従来の量子化学に基づく精度の高いシミュレーションは膨大な計算リソース・時間を必要とするため、企業R&Dに対するインパクトは極めて限定的でした。R&Dで使われている手法も1970年代に設計されたレガシーソフトウェアの活用がメインとなっており、かつ、その活用においては熟練した研究専門職しか扱えない状態で、長い間非効率なまま放置されているという課題があります。QSimulateのソリューションは、いままで熟練研究者が手間をかけて行っていた量子化学にともなう複雑な作業を自動化し、コスト・工程数の削減を、高速化・高精度化と同時に実現しています。


また、社会的な課題として、DXによる様々なプロセスの効率化が広く認識されていますが、製薬・素材・化学企業におけるR&DにおけるDXはまだ広く浸透していません。これはR&Dが熟練科学者による経験則と複雑な作業からなることに起因しています。昨今のAI、とりわけ生成AIの台頭により、経験則がデータ駆動型のモデルで置き換えることができるようになってきましたが、これが社会に大きくインパクトを与えるためには、シミュレーションによってAIの予測を正確に評価し、またAIのモデルとなるデータを生成することが鍵となります。QSimulateは、このプロセスで重要となる量子化学シミュレーションに独自の技術を有し、R&DのDXを推進することで日本・世界の製薬・素材企業のR&Dに貢献することをミッションとしています。


日本オフィス開設へ。新素材・新薬候補を導出する総合的プラットフォームを目指す。


昨年3月に、素材・化学向けの「QSPマテリアルズ」をSaaSで提供開始し、日本でもすでにJSRやレゾナックなどで導入が広がっています。また製薬向けには、「QSPライフ・QUELO」を今年1月より提供開始し、さらにこの度、世界初の共有結合阻害剤デザインシステム「QuValentTM」を発表しました。「QuValentTM」はこれまでのシミュレーションのアプローチでは取り扱えなかった、医薬品分子とタンパク質の間の複雑な化学反応を、自動的に解析するソリューションです。医薬品分子の有効性を正確に予測する「QSPライフ・QUELO」と組み合わせることで、よりよい分子をコンピュータ上で設計することができるようになりました。


年度内の日本オフィス開設を目指し、R&Dに力を入れている製薬・化学・素材企業が多い日本での導入拡大を目指すとともに、R&DのDX推進をサポートするソリューションの提供拡大を第一ステップとして支援を展開しています。


更に今後は、量子化学計算、分子動力学シミュレーションにおける構造や組成から物性を予測する純解析ができるという強みに、AI探索を加えることで、求められる機能や特性を満たす分子を予測する逆解析の実現に向けた機械学習との連携強化も目指してまいります。最終的に、QSimulateのソリューションによって、一気通貫で新素材・新薬開発を加速する総合的プラットフォームを目指します。
塩崎CEOは東京大学及びノースウエスタン大学にて長年量子化学シミュレーションの研究をされ、その技術を元に起業されました。また、現在は東京大学大学院工学系研究科佐藤健准教授と共同研究をし、研究内容の実装に務めています。
東大IPCは、「シミュレーションの民主化」という新しい切り口のR&DのDX支援サービスである点を高く評価すると共に、海外で起業した東京大学出身者のディープテックスタートアップの日本進出を支援することで、東京大学及び日本のスタートアップエコシステムのグローバル化に貢献すべく、出資に至りました。



Quantum Simulation Technologies, Inc. CEO 塩崎亨 コメント

この度はQSimulateのミッション、「シミュレーションの民主化」に共感していただき、弊社の日本進出に際して出資いただきましたことを大変嬉しく思います。東京大学周辺のスタートアップ・エコシステムは、豊富な人材や協業・共同研究の可能性といったさまざまな面で、弊社のようなディープテック・スタートアップには魅力的です。今後、東京大学IPCのネットワークを通じて東京大学の研究室との共同研究をさらに促進してまいります。そして、東京大学IPCさまのご支援のもと日本オフィスの開設と製薬・素材企業に対する本格的な事業展開を進めてまいります。


東京大学協創プラットフォーム開発株式会社 マネージャー 川島奈子  コメント

この度はQSimulateの「シミュレーションの民主化」という新しい切り口のR&DのDX支援サービスである点を高く評価し、出資に至りました。
量子化学シミュレーションは、その利用のハードルの高さから、長年R&Dの中でも限られた人数の専門家が利用するのみとなっており、大きなアップデートもなく放置されてきました。この状況を打破すべく、研究の世界から飛び出して米国でご起業された塩崎CEO、そして同じく専門性の高い素晴らしいチームの皆さんのご支援ができることをうれしく思います。
QSimulateのサービスを通じて、シミュレーション領域という最後のピースがR&D人材全体に開放されることで、R&DのDXが強く促進されると確信しております。期待しております。


東京大学周辺の持続可能なイノベーション・エコシステムの発展を目指す、協創1号ファンド


協創1号ファンドは、東京大学関連ベンチャーの育成促進と、東京大学を取り巻くベンチャーキャピタルの質・量の充実、を中心に据えて運用を行なうことで、東京大学の周辺に持続可能なイノベーション・エコシステムを構築し、世界のベンチャー創出拠点の一つとなることに寄与することを目的としています。具体的な運用として、今までに6つのベンチャーキャピタルへのLP出資(ファンド オブ ファンズ)と、30社以上の東京大学関連ベンチャーへの直接投資を行い、現在も積極的に東京大学関連ベンチャーへの直接投資を行っています。


東大IPCは、イノベーション・エコシステムの発展のため、ベンチャーキャピタルやオープンイノベーションを推進する企業との連携とともに、東京大学関連ベンチャーへの直接投資による育成促進を更に進めていきます。


Quantum Simulation Technologies, Inc.について
概要  量子化学シミュレーションソフトウェアの開発・サービス提供
設立  2018年4月
所在地 米国マサチューセッツ州ボストン
代表者 CEO 塩崎 亨
URL  https://qsimulate.com/



東京大学協創プラットフォーム開発株式会社(東大IPC)について
概要  東京大学周辺のイノベーション・エコシステムの発展を目指す投資事業会社
設立  2016年1月
株主  国立大学法人東京大学(100%)
所在地 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学南研究棟アントレプレナーラボ261
代表者 代表取締役社長 植田浩輔
URL  https://www.utokyo-ipc.co.jp/
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