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半導体を守る「ナノひっつき虫」の開発に成功〜オリジナル樹脂でフッ酸に対する保護膜を容易に形成〜

株式会社ダイセル(大阪市北区)は、半導体製造工程で多用されるフッ酸などのエッチング液から、半導体基板を保護する材料の開発に成功し、その成果をアメリカ合衆国アリゾナ州フェニックスで開催された半導体ウェットプロセスに関する著名な国際学会「THE SURFACE PREPARATION AND CLEANING CONFERENCE 2022」にて発表しました。




半導体製造プロセスには、さまざまな膜をフッ酸などのエッチング液に溶解させて目的の形を作り上げるウェットエッチングと呼ばれる工程があります。ウェットエッチングでは、できるだけ短時間で、溶かしたい膜だけを溶解することが求められます。溶かしたい膜と溶かしたくない膜の溶解速度の比を選択比といい、できるだけ選択比を高くすることが微細加工技術の鍵といわれています。

エッチングの選択比を改良する手法として、目的の場所に選択的に膜を形成する領域選択的成膜(Area Selective Deposition、以下ASD法)という手法が注目を浴びています。このASD法により、溶かしたくない膜の上に選択的に保護膜を形成することで、エッチング液への溶解を抑制することができます。しかしながらASD法は、一般に高真空下で極めて高価なガスに基板を暴露する必要があり、コストおよび生産性に課題がありました。

そうした課題に対し、当社はエッチング液に対する保護液剤として当社オリジナルの樹脂を含有する液剤を開発しました。当社オリジナルの樹脂はシリコン窒化膜に対し強く吸着する作用を持つため、本液剤でウェハを処理することによりシリコン窒化膜上に選択的に保護膜を形成し、フッ酸への溶解を抑制します。その一方で、シリコン酸化膜のエッチング速度には悪影響を与えません。この吸着力の強さから、当社は保護液剤に含有する当社オリジナル樹脂を「ナノひっつき虫」と名付けました。
当社の保護液剤は、生産性はそのままにエッチング選択比を向上させ、低コストでエッチングすることが可能です。また、半導体製造工場で使用されているエッチング液はそのまま使用できることも利点です。

本製品は、2022年12月14日〜16日に東京ビッグサイトにて開催されるSEMICON Japan 2022の当社の出展ブースおよび出展社セミナーでも紹介します。

[画像: https://prtimes.jp/i/35577/113/resize/d35577-113-244305ecb215bbdd7fc8-0.jpg ]
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