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スーダン:ダルフールからの避難者の主な死因は銃撃によるもの――MSF調査




2013年に入り、推定5万人*の人びとがスーダンのダルフール地方中部での民族間抗争を避け、隣国チャドの町、ティシ周辺に避難している。国境なき医師団(MSF)は、避難民の死亡率に関する調査を行い、死亡者の大半は銃撃を中心とした暴力の犠牲者だったと明らかにした。生き延びた人びとは、銃の乱射や、村々への焼き打ち・略奪があったと報告している。
*国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)

8月に入り、ティシ駐在のMSFチームは、ダルフール地方で負傷した30人を治療。うち13人は銃創患者で、緊急手術のために近隣のワダイ州アベシェに移送された。今回の負傷者数は、MSFが過去2ヵ月に診療した中で最も多い。

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<死因の9割は銃撃>

調査によると、死亡者が報告されたのは主にダルフール地方、死因の3分の2は暴力によるもので、そのうち9割は銃撃によるものだった。

ティシでMSFが聞き取りをした難民の大半は、ダルフール地方アブガラディル村の出身。この村では少なくとも71人が死亡した大規模な襲撃事件が4月に起きている。

ティシに4月にやってきたサダムさん(仮名、33歳)は、「アブガラディルに複数の車がやってくるのが見えたのです。私は流れ弾があたり、右腕をやられ、他にも大勢の住民が殺されました。兄弟に荷車に乗せられ、1時間半かけて運ばれた先がティシの病院でした」と話している。

MSFは3月上旬、ゴズ・ベイダ郡で黄熱病の集団予防接種を展開中に、初めて集団避難の情報を入手。数週間後には、ティシ周辺の難民とチャド人帰還者に緊急医療、仮設住居用の建材、清潔な水、衛生用品の提供を開始した。

<聞き取り調査>

MSFの疫学研究部門であるエピセンターは5月半ば、人命が失われる理由がダルフール地方の暴力なのか、チャド入国後の援助不足なのかを判断するため、チャドのハラザとティシで2658世帯1万5000人余りを対象に調査を行った。調査は、ダルフール出身のスーダン人難民と、母国に戻ったチャド人帰還者の双方に対して均等に行われた。

この調査では、遺族によって明らかになった194件の死亡例のうち119件(61%)が暴力によるものとわかった。さらにこの119件中111件(93%)の死因は、2月上旬と4月上旬の2度の大規模集団避難を引き起こした特定の暴力事件に起因する銃創だった。

MSFの緊急対応コーディネーター、デルフィーヌ・シュドルジュによると、今回の調査はダルフール地方の暴力が主要な死因である事実を裏付けるものだとしている。

6月から9月の間、ティシ周辺は大部分が降雨により孤立状態となり、援助活動も規模縮小を余儀なくされる。しかし、MSFは1チームを当地に残し、患者の受け入れと治療を続けていく。

<調査結果 要旨>

●2013年前半、ダルフールで発生した民族間抗争に伴い、3万人のスーダン人と2万人のチャド人がスーダンから隣国チャドのティシへと避難した。

●5月9日から18日にかけて、チャド国内のハラザとティシの周辺地域計3ヵ所で、避難民の死亡率に関する後ろ向き調査が実施された。対象期間は1月24日から調査開始日までとし、調査対象となった1万5304人の内訳は、50.7%がチャド人帰還者、49.3%がスーダン人避難民であった。

●調査期間中の1日の粗死亡率(人口1万対)は、1.20という結果が得られた(女性0.44、男性2.03)。5歳未満児では1.28に達し、15歳未満の児童では1.84であった。(緊急事態とされる閾値は1.0)

●死亡例の61.3%は暴力が死因であったと報告され、その割合は15歳以上では83.5%に上った。避難民と帰還者の死亡例119件中111件(93.3%)の死因が銃創であり、3.4%は銃以外の武器、2.5%は火災を起因とした死であったことが遺族の報告からわかった。

●遺族の報告によると、23人がチャド入国後に死亡している。チャド国内の難民キャンプの死亡率が特に高いとする証拠は認められていない。

●調査対象者の57.4%が15歳未満の児童であった。15歳から40歳の年齢層では、女性の数が男性の数を上回っていた。

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MSFのチャドにおける活動は30年を超える。シラ州外のアベシェ、マサコリ、アム・ティマン、モイサラでは通常プログラムも展開中だ。
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