(公社)日本動物園水族館協会と共同でツシマヤマネコの保護に向けた遺伝子研究を開始
[23/09/01]
提供元:PRTIMES
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アニコムグループの先進的な遺伝解析技術を生物多様性保全に応用
ペット保険シェアNo.1(※1)のアニコム損害保険株式会社(代表取締役 野田 真吾)のグループ会社であるアニコム先進医療研究所株式会社(代表取締役社長 河本 光祐、以下 当社)は、(公社)日本動物園水族館協会(会長 村田 浩一、以下 日動水)の研究協力要請にもとづき、絶滅危惧種ツシマヤマネコの個体数の回復を目的として、遺伝性疾患の解明や遺伝的多様性の向上にむけた共同研究を開始しましたので、お知らせします。
※1:シェアは、各社の2022年の契約件数から算出。(株)富士経済発行「2023年ペット関連市場マーケティング総覧」調査
[画像: https://prtimes.jp/i/28421/116/resize/d28421-116-9e5d55e88f188f0c8a5d-0.jpg ]
ツシマヤマネコの現状
ツシマヤマネコは、日本の対馬にのみ生息するネコ科動物です。東アジアに広く分布するベンガルヤマネコのうち、最も北に生息する亜種のアムールヤマネコの地域個体群とされています。本種は、人間活動によりその個体群の維持に大きな影響が生じている動物種である「国内希少野生動植物種」に指定されているほか、国の天然記念物にも指定されています。
環境省のレッドリストでは、ツシマヤマネコは最も絶滅リスクの高い絶滅危惧種IA類に指定されています。1960年代にはおよそ300頭が生息していたとされていますが、道路工事やダムの建設などの開発による生息地の減少、自動車との衝突による交通事故に加え、鹿などを捕獲するための罠に誤ってかかってしまうことで減少し、現在の生息頭数は100頭程度と推定されています。
ツシマヤマネコを増やすためには、生息地である対馬で生息環境を改善するほか、交通事故をなくすことが重要です。しかしながらそうした対策を行っても、生息地での感染症の流行などによって野生個体の数が減少し、絶滅する危険性もあります。そのため、生息地の外、つまり対馬ではない場所でその数を増やすことも、種を維持していく上で重要です。
そこで、環境省はツシマヤマネコの保護を図るため、種の保存法にもとづく保護増殖事業を開始し、この枠組みの中で、日動水に加盟する動物園で飼育されているツシマヤマネコの数を増やす取り組みが進められています。現在飼育されているツシマヤマネコは30頭ほどですが、これらの個体は日動水ツシマヤマネコ飼育管理検討会議や計画推進会議によって繁殖ペアが慎重に検討され、飼育下繁殖が行われています。実際に、福岡市動物園をはじめとする複数の動物園で、自然交配によりツシマヤマネコの子猫が生まれているほか、よこはま動物園ズーラシアを中心とした研究チームでは人工授精に成功するなど、生息地の外でも多くのツシマヤマネコが生まれています。
本共同研究の概要
日動水が中心となって飼育下繁殖を進める中、一部の個体で、遺伝性が疑われる心疾患が確認されました。しかし、そのリスク因子については不明なままです。また、ツシマヤマネコの個体数は少なく、遺伝的多様性が極めて低いことから、その多様性の維持、向上が望まれていました。
当社グループでは、かねてからイエネコの心疾患や腎疾患に関する遺伝性心疾患のリスク評価(※2、3)や、遺伝的多様性の研究(※4)をはじめ、どうぶつ分野における遺伝学研究をリードしてまいりました。また、当社グループが目指す「すべての生命の多様性の尊重」や「野生動物保護」の実現に貢献するため、ツシマヤマネコに関しても、2021年によこはま動物園ズーラシアが中心となって進めていた人工授精の取り組みに参画しました(※5)。
この度、日動水の協力要請を受け、当社の研究開発技術を活かすことで、ツシマヤマネコの心疾患に関して遺伝的なリスクを評価するとともに、遺伝的多様性の向上に最適な繁殖計画の策定を目指します。特に、個体のすべてのゲノム情報を解析する「全ゲノム解析」と呼ばれる先進的な解析技術を応用することで、遺伝的多様性が低いツシマヤマネコにおいても効果的に研究を進めることが可能になります。また、対馬において交通事故や誤って罠にかかりケガをして保護された野生のツシマヤマネコの情報もあわせて解析し、野生個体と飼育下個体の遺伝多様性の違いについても詳細に比較する予定です。
今後も当社グループでは、さまざまな研究を通じてペットの獣医療の発展と動物福祉の向上だけでなく、生物多様性保全に向けた取り組みを進めてまいります。
※2:2023年7月25日ニュースリリース|ネコの多発性嚢胞腎における新しい遺伝子多型を発見(https://www.anicom-med.co.jp/news/20230725.html)
※3:2023年4月19日ニュースリリース|ネコの肥大型心筋症に関する遺伝子変異の存在を新たな品種で発見(https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2023/20230419/)
※4:2020年12月3日ニュースリリース|アニコムがミズーリ大学(米国)、京都大学野生動物研究センターと共同で論文発表(https://www.anicom-med.co.jp/news/20201217.html)
※5:2022年3月24日ニュースリリース|国内初のツシマヤマネコの人工授精にアニコムグループが遺伝子検査で協力(https://www.anicom.co.jp/news-release/2021/20220324/)
ペット保険シェアNo.1(※1)のアニコム損害保険株式会社(代表取締役 野田 真吾)のグループ会社であるアニコム先進医療研究所株式会社(代表取締役社長 河本 光祐、以下 当社)は、(公社)日本動物園水族館協会(会長 村田 浩一、以下 日動水)の研究協力要請にもとづき、絶滅危惧種ツシマヤマネコの個体数の回復を目的として、遺伝性疾患の解明や遺伝的多様性の向上にむけた共同研究を開始しましたので、お知らせします。
※1:シェアは、各社の2022年の契約件数から算出。(株)富士経済発行「2023年ペット関連市場マーケティング総覧」調査
[画像: https://prtimes.jp/i/28421/116/resize/d28421-116-9e5d55e88f188f0c8a5d-0.jpg ]
ツシマヤマネコの現状
ツシマヤマネコは、日本の対馬にのみ生息するネコ科動物です。東アジアに広く分布するベンガルヤマネコのうち、最も北に生息する亜種のアムールヤマネコの地域個体群とされています。本種は、人間活動によりその個体群の維持に大きな影響が生じている動物種である「国内希少野生動植物種」に指定されているほか、国の天然記念物にも指定されています。
環境省のレッドリストでは、ツシマヤマネコは最も絶滅リスクの高い絶滅危惧種IA類に指定されています。1960年代にはおよそ300頭が生息していたとされていますが、道路工事やダムの建設などの開発による生息地の減少、自動車との衝突による交通事故に加え、鹿などを捕獲するための罠に誤ってかかってしまうことで減少し、現在の生息頭数は100頭程度と推定されています。
ツシマヤマネコを増やすためには、生息地である対馬で生息環境を改善するほか、交通事故をなくすことが重要です。しかしながらそうした対策を行っても、生息地での感染症の流行などによって野生個体の数が減少し、絶滅する危険性もあります。そのため、生息地の外、つまり対馬ではない場所でその数を増やすことも、種を維持していく上で重要です。
そこで、環境省はツシマヤマネコの保護を図るため、種の保存法にもとづく保護増殖事業を開始し、この枠組みの中で、日動水に加盟する動物園で飼育されているツシマヤマネコの数を増やす取り組みが進められています。現在飼育されているツシマヤマネコは30頭ほどですが、これらの個体は日動水ツシマヤマネコ飼育管理検討会議や計画推進会議によって繁殖ペアが慎重に検討され、飼育下繁殖が行われています。実際に、福岡市動物園をはじめとする複数の動物園で、自然交配によりツシマヤマネコの子猫が生まれているほか、よこはま動物園ズーラシアを中心とした研究チームでは人工授精に成功するなど、生息地の外でも多くのツシマヤマネコが生まれています。
本共同研究の概要
日動水が中心となって飼育下繁殖を進める中、一部の個体で、遺伝性が疑われる心疾患が確認されました。しかし、そのリスク因子については不明なままです。また、ツシマヤマネコの個体数は少なく、遺伝的多様性が極めて低いことから、その多様性の維持、向上が望まれていました。
当社グループでは、かねてからイエネコの心疾患や腎疾患に関する遺伝性心疾患のリスク評価(※2、3)や、遺伝的多様性の研究(※4)をはじめ、どうぶつ分野における遺伝学研究をリードしてまいりました。また、当社グループが目指す「すべての生命の多様性の尊重」や「野生動物保護」の実現に貢献するため、ツシマヤマネコに関しても、2021年によこはま動物園ズーラシアが中心となって進めていた人工授精の取り組みに参画しました(※5)。
この度、日動水の協力要請を受け、当社の研究開発技術を活かすことで、ツシマヤマネコの心疾患に関して遺伝的なリスクを評価するとともに、遺伝的多様性の向上に最適な繁殖計画の策定を目指します。特に、個体のすべてのゲノム情報を解析する「全ゲノム解析」と呼ばれる先進的な解析技術を応用することで、遺伝的多様性が低いツシマヤマネコにおいても効果的に研究を進めることが可能になります。また、対馬において交通事故や誤って罠にかかりケガをして保護された野生のツシマヤマネコの情報もあわせて解析し、野生個体と飼育下個体の遺伝多様性の違いについても詳細に比較する予定です。
今後も当社グループでは、さまざまな研究を通じてペットの獣医療の発展と動物福祉の向上だけでなく、生物多様性保全に向けた取り組みを進めてまいります。
※2:2023年7月25日ニュースリリース|ネコの多発性嚢胞腎における新しい遺伝子多型を発見(https://www.anicom-med.co.jp/news/20230725.html)
※3:2023年4月19日ニュースリリース|ネコの肥大型心筋症に関する遺伝子変異の存在を新たな品種で発見(https://www.anicom-sompo.co.jp/news-release/2023/20230419/)
※4:2020年12月3日ニュースリリース|アニコムがミズーリ大学(米国)、京都大学野生動物研究センターと共同で論文発表(https://www.anicom-med.co.jp/news/20201217.html)
※5:2022年3月24日ニュースリリース|国内初のツシマヤマネコの人工授精にアニコムグループが遺伝子検査で協力(https://www.anicom.co.jp/news-release/2021/20220324/)