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機械が自らを制御

モノのインターネット化(IoT)が未来の工場を支援/ Industry 4.0:フレキシブル ファクトリー&プロダクション

・生産能力をリアルタイムで調整
・サイバーフィジカル システムが現実世界と仮想世界をリンク
・部品が機械に情報を伝達


未来の工場では、部品自身がどのように処理「されたい」のかを機械に伝え、小ロット生産やカスタマイズ製品の生産も効率的に進められるようになります。

シュトゥットガルト/ベルリン - モノのインターネット化(IoT)には、世界のすべてのモノに繋がるという大きな可能性が秘められています。そして、未来の工場の前提となるのは、すべて の機械とその機械から生み出される製品が密接なつながりを持つことで、「Industry 4.0」がそのキーワードとなります。

第1次〜第3次産業革命
長い産業史の中でも技術革新が著しく進んだ期間は、「産業革命」と呼ばれています。蒸気機関の発明によって、炭鉱夫や荷役業などの辛い肉体労働の負担が著 しく軽減したことを第1次産業革命とすると、第2次産業革命の特徴は、プロセスを各ステップに分類して生産をスピードアップし、より早く、より安く、そし てより効率的な生産を可能としたことで、これによってマス マーケットが成り立ちました。その代表的な例が米国で量産されたフォード・モデルTで、このモデルは1908年から1927年にかけて約1,500万台生 産されました。また、第3次産業革命は、コンピューター、ロボットと機械を制御して生産のオートメーション化を著しく進め、コスト削減につなげたことだと されており、現在の産業もその状態が続いています。

現在:第4次産業革命(Industry 4.0)
未来の産業はこれらの上に成り立っており、今後はさらに柔軟性がプラスされます。たとえば、部品自身がいつ、どのように処理「されたい」のかを機械に伝え るなど、自身を制御する能力をもつようになっていきます。また、カスタマイズ化が進む現在のトレンドが、この流れにいっそう拍車をかけています。こうした 工場の中で、潤滑油となるのは情報です。情報は、機械やロボットが各プロジェクトに対しどう制御すべきかを伝達します。

機械、ソフトウェアと情報のこうした密接な連携は、「サイバーフィジカル システム」と呼ばれます。このシステムは、機械的なコンポーネントと電気的なコンポーネントをプログラムでネットワーク化し、インターネット経由で通信で きるようにしたもので、これにより世界各地の生産拠点間、さらに企業の枠を超えた一定の協力・調整が可能になります。また、こうしたサイバーフィジカル システムは、現実世界と仮想世界のリンクも可能にします。

「ドイツの産業により大きなチャンスを」
ロバート・ボッシュGmbHの取締役会会長を務めるフォルクマル・デナーはこう述べます。「Industry 4.0は、ドイツの産業においてサプライヤーとユーザー双方にさまざまなチャンスをもたらすことになります。その1つが、高コストの拠点でも生産を継続で きるようになることです」。ただ、こうした生産には、単なる機械以上の、専門的なスキルと独創的な発想をもつエキスパートの力が欠かせません。

スポーツ用シューズのコンフィグレーター
こうした例の1つとしてスポーツ用シューズのカスタマイズが挙げられます。靴の甲の部分はグリーン、ロゴはダーク レッド、靴ひもはイエローといったように、顧客がウェブサイト上でクリックして自分の求めるシューズを設定できるようになっています。表示されたイメージ が顧客の希望にマッチする場合には、クリック1つで工場にそのオーダーを送ることができます。工場では、ロボットがオーダー通りの素材を選び、それを機械 まで運び、カットしロゴ付けをして、顧客が希望したシューズが作られます。そしてシューズが完成すると、発送部門がそれを顧客に向けて発送します。すべて が自動化されているため、顧客は自分が発注したオーダーがどの段階まで進んだかをいつでもEメールで確認できます。また、シューズ メーカーのサプライ システムは、素材が不足しそうなときにその素材を適時に手配することもできます。

このように、情報をベースに進むフレキシブルなサイバーフィジカル システムは生産能力をリアルタイムで調整できるため、コスト パフォーマンスの優れたカスタマイズ シューズだけでなく、自分でデザインしたTシャツ、カスタム ブレンドのシリアルやPCまで、非常に幅広く対応できます。

部品が自分の処理プロセスを「把握」
デナーは別の例としてハウジングを引き合いに出して説明しました。「未来の生産ラインでは、ハウジングは製造エリアから組立ホールまで、オートメーション システムにより運ばれるようになります。部品自体がさまざまな処理工程を「把握」し、全自動式の運搬システムを使って次の処理を行う機械に進み、どのよう な仕様の完成品に仕上げるべきかを伝えます。この流れは後続の物流チェーンを含め、プロセスごとに行われます。こうした流れの前提条件となるのはソフト ウェアとハードウェアを組み込んだオープン システム アーキテクチャで、これが新たな考え方やコラボレーションのあり方につながっていくでしょう」

通信を行う「スマート オブジェクト」
ドイツの複数の企業団体が参画する「Industry 4.0」プラットフォームも同じように進んでいます。「このボトルにはどの洗剤を入れるべきか、この地金板はどのようにカットされるべきか、スペアパーツ をどこに送る必要があるかなど、「Industry 4.0」の時代ではその答えを製品が自分で判断し、機械に自分で処理内容を伝えるようになります。つまり、「モノ」が賢くなるのです。これらのモノには、 必要な情報を組み込んだバーコードやRFIDチップが取り付けられています。このデータをスキャナーとコンピューターが読み取り、機械が適切に対応できる よう、その情報をオンラインで送信するといった流れで「スマート オブジェクト」が通信を行い、これがモノのインターネット化につながります。こうして、現実の世界と仮想世界がサイバーフィジカル システムにより近づいていくことになります」

ドイツ連邦教育研究省のヨハンナ・ヴァンカ大臣は、スピードがカギを握ると強調します。「経済は今、第4次産業革命の入口に立っています。 Industry 4.0プロジェクトは私たちにとって、プロセスをカスタマイズし、ドイツの豊かさを長期にわたり確かなものにするための大きなチャンスとなります。この分 野の研究は、生産プロセスの新たな組織化や構造の変革に大いに役立ってくれるはずです。こうした研究から生まれた成果を日々の事業に少しでも早くに活かす ことが、この先非常に重要になってくるでしょう」
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