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イエメンで1日に子ども600人以上がコレラの疑いと診断

イエメンは、4月末以降、昨年10月に続き、再びコレラ流行の危機に直面しています。これまで、イエメンでは、1日に平均1,000件以上のコレラと疑われる症例が報告されており、うち3人に2人が15歳未満の子どもです*1。セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所のスタッフは、現在のペースでいくと6月末までにコレラが疑われる症例は6万5,000件以上にのぼると予想され、爆発的な大流行になるだろうと警鐘を鳴らします。




[画像: https://prtimes.jp/i/5097/128/resize/d5097-128-487759-1.jpg ]

4月末のコレラの発生から最初の3週間で、コレラおよび急性水様性下痢症の流行により、すでに少なくとも242人が犠牲になっており、これは前回の流行時の同じ期間の20倍以上の犠牲者です。あまりにも感染拡大の速度が速く、十分な対応ができない中で、感染拡大を抑えきれなくなっています。もし、7月の雨期の始まりまでに、コレラや急性水様性下痢症の拡大を抑止できなければ、数百人どころか数千人の犠牲者が出る可能性があります。

イエメンには220万人の栄養不良の子どもがいます。すでに、5歳未満の子どもが10分に1人の割合で予防可能な原因によって犠牲になっています*2。栄養不良により体の弱った子どもは、コレラおよび急性水様性下痢症に対して最も脆弱な状態にあります。

この速い感染拡大と時を同じくして、現在も続く紛争により、保健医療システムや衛生施設、公共インフラが崩壊寸前となっています。首都サヌアの清掃作業員は、数ヶ月にわたる賃金未払いに対してストライキを行っており、通りにはゴミがあふれ、大雨で洪水が発生した際には、放置されたゴミにより上水道が汚染されました。そして、今、再び雨期が迫っています。また、現在も続く空爆や砲撃により破壊された下水道もあります。イエメン国内の保健医療施設の半数以上が機能しておらず、人口の3分の2に当たる1,400万人が安全な飲み水を手に入れることができません。

サヌアの病院に勤務するザイード医師は、「先週、私たちは毎分2〜3件のコレラの疑いがある患者を受け入れました。先月は、私自身だけで、1日に180件の感染が疑われる症例を診ました。治療が必要な患者は驚くほど大勢おり、人々は廊下に横たわり、また、ベッド数が足りないため、時には6人の子どもを1つのベッドに寝かせなければならないこともあります。私たちは、国際機関に支援の拡大を求めています。この病院は多くの困難に直面しています。医薬品や医療用品が不足し、十分な人数の医師と看護師がおらず、手を洗う場所さえありません」と話します。

前回のコレラ流行(2016年10月〜2017年1月)では、1日に平均160件の感染が疑われる症例の報告がありましたが*3、今回はその時よりも速く感染拡大が進んでいます。セーブ・ザ・チルドレンをはじめ人道支援団体の活動で、コレラの感染拡大を抑えることは可能ですが、そのための資金は大幅に不足しており、また、残された時間はわずかです。

セーブ・ザ・チルドレン イエメン事務所代表代理ムシン・シディキーは、「適切な措置が講じられなければ、現在の状況下で、セーブ・ザ・チルドレンはじめ人道支援団体がコレラの流行を食い止めることが難しくなってきています。コレラの感染はあまりにも速く広がっており、感染拡大を防止するためには1,700万ポンド(およそ24.4億円)の資金が必要ですが、そのうち20%にあたる資金しか調達のめどが立っていません。子どもたちは、本来は予防できる病気によって、私たちのすぐ目の前で死の危険に晒されています。私たちは、コレラの症状や予防などに対する人々の意識を高めたり、下痢治療センターの運営支援や、医療用品や経口補水用キットの配布を行うことで状況を変えることができます。手遅れになる前に、医療用品の輸入規制が解除される必要があり、そして、今すぐに資金が必要です」と訴えます。

セーブ・ザ・チルドレンは、コレラの感染拡大を防止するために必要な医薬品の調達や、スタッフの確保、衛生環境改善のための緊急の資金援助を求めます。また、全ての紛争当事者に、サヌア空港の商業空域の開放や、主要港ホデイダ港の完全な港湾機能の保証などを含む、制限のない人道支援のアクセス確保と医薬品やその他必要な物品の輸入規制の解除を求めます。

*1世界保健機関(WHO)の報告によると、2016年10月の発生では、コレラの疑いがある患者のうち64%が15歳未満であった。
*2 国連人道問題調整事務所(OCHA) http://www.unocha.org/yemen/crisis-overview
*3 OCHA https://www.humanitarianresponse.info/en/node/138772

<セーブ・ザ・チルドレン概要>
セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる、育つ、守られる、参加する、「子どもの権利」が実現されている世界を目指して活動する子ども支援の国際NGOです。1919年に英国で設立され、現在、日本を含む29の国と地域の独立したメンバーが連携し、約120ヶ国で子ども支援活動を展開しています。
http://www.savechildren.or.jp/
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