アニメ「チェンソーマン」コラボで一時的にユーザーが増加した『NIKKE』_コラボで獲得したユーザーは『NIKKE』には定着せず
[23/04/27]
提供元:PRTIMES
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コラボ前よりもユーザー数は減少傾向
モバイルゲームでは他のIPとのコラボイベントはメジャーな施策となっています。IPコラボの目的は既存のゲームユーザーの満足度を上げるだけではなく、そのゲーム自体にはあまり興味を示すことがなかった新しいユーザー層を獲得するという利点があります。
今回は、2022年11月、リリースと同時に100万人規模のアクティブユーザーを獲得した話題作『勝利の女神:NIKKE』(以下:『NIKKE』)が、リリースから3ヶ月後の2023年2月に実施した、TVアニメ「チェンソーマン」のコラボでユーザー数がどのように増加したのか、また、コラボで獲得したユーザーがどのように推移したのかを見てきます。
株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集しております。また弊社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しております。
モバイルゲームでは他のIPとのコラボイベントはメジャーな施策となっています。IPコラボの目的は既存のゲームユーザーの満足度を上げるだけではなく、そのゲーム自体にはあまり興味を示すことがなかった新しいユーザー層を獲得するという利点があります。
今回は、2022年11月、リリースと同時に100万人規模のアクティブユーザーを獲得した話題作『勝利の女神:NIKKE』(以下:『NIKKE』)が、リリースから3ヶ月後の2023年2月に実施した、TVアニメ「チェンソーマン」のコラボでユーザー数がどのように増加したのか、また、コラボで獲得したユーザーがどのように推移したのかを見てきます。
iGageの詳細はこちら:https://www.gameage.jp/igage/
[画像1: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-f7a504fc32a626ff1606-0.jpg ]
■コラボ開始週は13.8万人の【新規/復帰ユーザー】を獲得
『NIKKE』の「チェンソーマン」とのコラボは2023年2月15日に情報が公開されました。「チェンソーマン」はジャンプ作品ということもあり、10代から20代の人気が高いIPで、Twitterでは関連ワードがいくつもトレンドに入り、告知ツイートは1.5万回以上リツイートされるなど、大きな話題となりました。その1週間後、2月22日から3月15日までコラボイベントが開催され、プレイアブルキャラクターとして、「マキマ」「パワー」「姫野」の実装と、コラボストーリーやステージなどが実装されました。
では、TVアニメ「チェンソーマン」とのコラボで『NIKKE』のユーザーがどのように変動したのか見ていきます。
ユーザーのプレイステイタスを見ると、情報が公開された2月13日週の時点で、前週の倍近い2.8万人の新規ユーザーを獲得し、【休眠/離脱】していた7.8万人のユーザーが復帰しています。
また、コラボイベントが開始された2月20日週では、新規ユーザーは5.3万人、復帰ユーザーは8.5万人と、合わせて14万人近いユーザーが増加しています。その後もコラボ期間中は常に毎週5万人以上のユーザーを獲得しており、コラボイベントが一定の成果を上げたことが確認できました。
しかしながら、コラボ期間中のユーザー数の推移には高止まり傾向は見られず、2週目から減少トレンドに転じたことがわかります。結果的に続落傾向に歯止めはかからず、コラボ終了後の3月20日週には、ついにコラボ開始以前のユーザー数を下回ってしまいました。【グラフ1.】
この現象については、2月15日にPC版のリリースが開始されたことで、モバイル版ではなくPC版をプレイしているユーザーが増加したことに起因するのではという可能性も考えられるため、アプリ版の本作のコラボイベントに参加したユーザーが刹那的に離脱してしまったと断ずるには詳細な分析が不足しています。それを踏まえても、約一か月続いたこのコラボイベントで、サービス開始時期から半減したマーケットにテコ入れし、ユーザー数(ウィークリーアクティブユーザー)を50万人規模に引き上げたかったというのが運営者の本音ではないでしょうか。
[画像2: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-778fb898ef5dc6c00c66-1.jpg ]
■コラボ終了前からユーザー数が減少
それでは次に、コラボ期間にどのようなユーザーが増加したのかを見ていきます。
『NIKKE』のユーザーは男性が90%以上を占めていますが、その中でも、20代と30代男性だけで約70%、10代と40代の男性ユーザーはそれぞれ10%という構成になっています。【グラフ2.】
前項で解説したように、コラボの告知が行われた2月13日週からユーザー数が増加を始めましたが、年齢層別に見ると、コラボ開始週には20代男性は20.8万人、10代男性は9.2万人まで増加しています。特に10代男性はイベント発表前である2月6日週と比較すると2倍に増加しています。その反面、ユーザー数の増加が鈍かったのは、30代と40代の男性で、30代男性はコラボ前後を比較しても増加数は2万人未満、40代男性も増加数は1万人未満となっています。【グラフ3.】
この増加数の違いは、やはりコラボ先である「チェンソーマン」が10代から20代に支持されたIPであるこということが要因になっていると推察されます。
次に、コラボイベント前後のユーザー数の推移を年齢層別に見てみます。
前項で3月13日週のイベント終了を待たず、コラボ開始翌週からユーザー数が減少したと解説しましたが、イベント終了後の3月20日週のユーザー数は、イベント開始時よりもほとんどの年代で減少したことがわかります。【グラフ3.】特に減少が大きいのは、増加数が顕著であった10代と20代の男性であり、せっかく獲得できた【新規/復帰ユーザー】が、何らかの理由で離脱してしまったものと考えられます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-939d909c2778fd15f81a-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-6a212498d49254db5d35-3.jpg ]
今回は、iGageで取得したファクトデータのご紹介に留め、ユーザー増減の深い要因分析までは行っておりませんが、ログデータで確認された【新規/復帰ユーザー】と【離脱ユーザー】の年齢層が、「チェンソーマン」IPのそれとほぼ一致しているということからも、コラボで参入したユーザーが早期に離脱し、定着しなかったことが推察できました。
モバイルゲームアプリと著名IPとのコラボレーション施策は、ゲームの活性化と同時に、長期に渡るゲームの運営サービスにおいて生じる、既存ユーザーの高齢化や新作ゲームの出現に伴う【離脱】【休眠】に歯止めをかけ、本来は当該ゲームへの興味関心が薄いユーザーを、人気IPとのコラボによって【新規】参入させることにより、健全なサービスを継続するための不可欠な戦略となっています。
今後も弊社では、ゲーム業界で数多く行われるコラボ施策やイベントがどのような効果をもたらしたのか、調査/分析を行ってまいります。
[画像5: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-da6b50d530697daadd6a-4.jpg ]
モバイルゲームでは他のIPとのコラボイベントはメジャーな施策となっています。IPコラボの目的は既存のゲームユーザーの満足度を上げるだけではなく、そのゲーム自体にはあまり興味を示すことがなかった新しいユーザー層を獲得するという利点があります。
今回は、2022年11月、リリースと同時に100万人規模のアクティブユーザーを獲得した話題作『勝利の女神:NIKKE』(以下:『NIKKE』)が、リリースから3ヶ月後の2023年2月に実施した、TVアニメ「チェンソーマン」のコラボでユーザー数がどのように増加したのか、また、コラボで獲得したユーザーがどのように推移したのかを見てきます。
株式会社ゲームエイジ総研(代表取締役社長:光井誠一)は、「ゲームビジネスに特化したマーケティングリサーチ&コンサルティングファーム」として様々な分析を行っています。ゲーム市場規模をまとめた定期刊行レポートとして「Monthly Game Trend Radar(マンスリー・ゲームトレンドレーダー)」の発刊、プラットフォーム別のアクティブユーザー数や、ネットワークサービスでのゲームに関する情報取得などのデータも収集しております。また弊社が運用しているマーケティングデータサービス「iGage(アイゲージ)」では約240万名のスマートデバイスのユーザーのログを自動取得しており、動向やトレンドなども観測しております。
モバイルゲームでは他のIPとのコラボイベントはメジャーな施策となっています。IPコラボの目的は既存のゲームユーザーの満足度を上げるだけではなく、そのゲーム自体にはあまり興味を示すことがなかった新しいユーザー層を獲得するという利点があります。
今回は、2022年11月、リリースと同時に100万人規模のアクティブユーザーを獲得した話題作『勝利の女神:NIKKE』(以下:『NIKKE』)が、リリースから3ヶ月後の2023年2月に実施した、TVアニメ「チェンソーマン」のコラボでユーザー数がどのように増加したのか、また、コラボで獲得したユーザーがどのように推移したのかを見てきます。
iGageの詳細はこちら:https://www.gameage.jp/igage/
[画像1: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-f7a504fc32a626ff1606-0.jpg ]
■コラボ開始週は13.8万人の【新規/復帰ユーザー】を獲得
『NIKKE』の「チェンソーマン」とのコラボは2023年2月15日に情報が公開されました。「チェンソーマン」はジャンプ作品ということもあり、10代から20代の人気が高いIPで、Twitterでは関連ワードがいくつもトレンドに入り、告知ツイートは1.5万回以上リツイートされるなど、大きな話題となりました。その1週間後、2月22日から3月15日までコラボイベントが開催され、プレイアブルキャラクターとして、「マキマ」「パワー」「姫野」の実装と、コラボストーリーやステージなどが実装されました。
では、TVアニメ「チェンソーマン」とのコラボで『NIKKE』のユーザーがどのように変動したのか見ていきます。
ユーザーのプレイステイタスを見ると、情報が公開された2月13日週の時点で、前週の倍近い2.8万人の新規ユーザーを獲得し、【休眠/離脱】していた7.8万人のユーザーが復帰しています。
また、コラボイベントが開始された2月20日週では、新規ユーザーは5.3万人、復帰ユーザーは8.5万人と、合わせて14万人近いユーザーが増加しています。その後もコラボ期間中は常に毎週5万人以上のユーザーを獲得しており、コラボイベントが一定の成果を上げたことが確認できました。
しかしながら、コラボ期間中のユーザー数の推移には高止まり傾向は見られず、2週目から減少トレンドに転じたことがわかります。結果的に続落傾向に歯止めはかからず、コラボ終了後の3月20日週には、ついにコラボ開始以前のユーザー数を下回ってしまいました。【グラフ1.】
この現象については、2月15日にPC版のリリースが開始されたことで、モバイル版ではなくPC版をプレイしているユーザーが増加したことに起因するのではという可能性も考えられるため、アプリ版の本作のコラボイベントに参加したユーザーが刹那的に離脱してしまったと断ずるには詳細な分析が不足しています。それを踏まえても、約一か月続いたこのコラボイベントで、サービス開始時期から半減したマーケットにテコ入れし、ユーザー数(ウィークリーアクティブユーザー)を50万人規模に引き上げたかったというのが運営者の本音ではないでしょうか。
[画像2: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-778fb898ef5dc6c00c66-1.jpg ]
■コラボ終了前からユーザー数が減少
それでは次に、コラボ期間にどのようなユーザーが増加したのかを見ていきます。
『NIKKE』のユーザーは男性が90%以上を占めていますが、その中でも、20代と30代男性だけで約70%、10代と40代の男性ユーザーはそれぞれ10%という構成になっています。【グラフ2.】
前項で解説したように、コラボの告知が行われた2月13日週からユーザー数が増加を始めましたが、年齢層別に見ると、コラボ開始週には20代男性は20.8万人、10代男性は9.2万人まで増加しています。特に10代男性はイベント発表前である2月6日週と比較すると2倍に増加しています。その反面、ユーザー数の増加が鈍かったのは、30代と40代の男性で、30代男性はコラボ前後を比較しても増加数は2万人未満、40代男性も増加数は1万人未満となっています。【グラフ3.】
この増加数の違いは、やはりコラボ先である「チェンソーマン」が10代から20代に支持されたIPであるこということが要因になっていると推察されます。
次に、コラボイベント前後のユーザー数の推移を年齢層別に見てみます。
前項で3月13日週のイベント終了を待たず、コラボ開始翌週からユーザー数が減少したと解説しましたが、イベント終了後の3月20日週のユーザー数は、イベント開始時よりもほとんどの年代で減少したことがわかります。【グラフ3.】特に減少が大きいのは、増加数が顕著であった10代と20代の男性であり、せっかく獲得できた【新規/復帰ユーザー】が、何らかの理由で離脱してしまったものと考えられます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-939d909c2778fd15f81a-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-6a212498d49254db5d35-3.jpg ]
今回は、iGageで取得したファクトデータのご紹介に留め、ユーザー増減の深い要因分析までは行っておりませんが、ログデータで確認された【新規/復帰ユーザー】と【離脱ユーザー】の年齢層が、「チェンソーマン」IPのそれとほぼ一致しているということからも、コラボで参入したユーザーが早期に離脱し、定着しなかったことが推察できました。
モバイルゲームアプリと著名IPとのコラボレーション施策は、ゲームの活性化と同時に、長期に渡るゲームの運営サービスにおいて生じる、既存ユーザーの高齢化や新作ゲームの出現に伴う【離脱】【休眠】に歯止めをかけ、本来は当該ゲームへの興味関心が薄いユーザーを、人気IPとのコラボによって【新規】参入させることにより、健全なサービスを継続するための不可欠な戦略となっています。
今後も弊社では、ゲーム業界で数多く行われるコラボ施策やイベントがどのような効果をもたらしたのか、調査/分析を行ってまいります。
[画像5: https://prtimes.jp/i/39514/129/resize/d39514-129-da6b50d530697daadd6a-4.jpg ]