アナリスト7名による2016年の為替相場展望を一挙に公開 〜主要通貨ペアの予想レンジ、2016年の注目ポイントをご紹介〜
[15/12/28]
提供元:PRTIMES
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マネックス証券株式会社(以下「マネックス証券」)は、例年、個人投資家の皆様へ新年の為替相場展望を公開しております。2015 年は米国の利上げや欧州の追加金融緩和、人民元の切り下げ等、外国為替市場に大きな影響を与えた話題があふれた年でした。2016 年も米大統領選挙をはじめ、多くのイベントが予定されているなか、引き続き為替動向にも大きな注目が集まると考えられます。
マネックス証券では、来年の為替相場に関して、より幅広い視点での情報を提供すべく、チーフ・ストラテジスト 広木隆に加え、国内及び外資系金融機関に所属する為替相場に精通したアナリスト7 名による2016 年の主要通貨ペアの予想レンジ及び注目ポイントを調査いたしましたので、個人投資家の皆様の投資判断の一助としていただきたく、お知らせいたします。
■今回調査に回答いただいたアナリスト(順不同)
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部・首席エコノミスト 嶌峰義清氏
クレディ・アグリコル銀行 外国為替部長 斎藤裕司氏
ブラウン・ブラザーズ・ハリマン証券株式会社 通貨ストラテジスト 村田雅志氏
株式会社 FPG 証券 代表取締役社長 深谷幸司氏
株式会社インベステック 金融市場調査グループ長 チーフストラテジスト 山岡和雅氏
みずほ証券株式会社 金融市場調査部 チーフ為替ストラテジスト 山本雅文氏
マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木隆
[画像: http://prtimes.jp/i/5159/139/resize/d5159-139-301986-1.jpg ]
■2016 年の注目ポイント
嶌峰 義清氏
2016年は、前年の世界的な在庫調整が一巡し、中国をはじめとした新興国でも生産拡大局面に移行、世界同時景気回復の様相を呈すると予想。為替市場では、米利上げ回数が焦点となる。米経済は、すでに完全雇用を達成しており、将来的なインフレ圧力増大の軽減もあって段階的な利上げを余儀なくされる。米利上げは0.25×7 回を予想。
実質金利差から算出されるドル/円の妥当水準は 137.50 円。量的緩和継続のユーロは、円とともに下落基調が続く。一方、豪ドルは中国持ち直しもあって上昇基調に転じ、豪ドル/米ドル相場で 1
豪ドル=0.9 米ドル程度までの上昇を予想。
斎藤 裕司氏
金融政策の差はもちろんだが 2016 年のテーマは「リスク」エネルギー価格下落リスク、新興国リスク、地政学的リスク、中国ハードランディングリスクなど。
米国経済は、中国経済のハードランディングさえなければ緩やかな回復を続ける。来年は3-4 回の利上げを予想、2016 年末にはFF金利は1.5%到達の可能性。日銀は、来春まで(最大4 月末まで待つ可能性あり)に追加緩和すると予想している。日米金融政策の違いから年末には130 円に到達する可能性が高いとみている。
村田雅志氏
メインシナリオ
米景気拡大と利上げの両継続を背景としたドル高。原油安、中国景気の大幅減速、そして米景気の減速などリスク要因は多いが、米当局がドル高を容認する一方、日本当局が円安志向を続ける以上、ドル/円は上に向
かうとみるのが自然。
リスクシナリオ
年後半の米大統領選が近付くにつれ、米当局のドル高容認姿勢に変化が生ずる可能性がある。また原油安がさらに進み、米国のディスインフレ圧力が強まるようだと、FRB の利上げ休止期間が長引き、結果としてドル買いの動きが弱まる展開も考えられる。この場合、ドル/円の上値が重くなり130 円に達せず来年を終えることになる。
深谷 幸司氏
グローバルな経済環境は米国経済の緩やかな景気拡大を主要因にまずまず。中国経済への不安感がさらに悪化することはなく、むしろ安定感が生じる可能性も。
市場全般の動向としては、小規模のリスク回避局面はあるとしても、基本的にやや楽観的な状況は続く。米国の利上げは淡々と、四半期に1 回、0.25%のペースで実施されると想定。足元金利の上昇と継続的なドル金利先高感がドルを支える。緩やかな利上げは米債投資への妨げとならず。
米国株は利上げや長期金利上昇、ドル高のプレッシャーを受け上昇力こそ削がれるが良好な景気動向、米国経済への信認から本格的な調整局面は回避されると想定。グローバルな株価の安定、堅調地合いはなお維持され、リスク選好の悪化は防がれるとみる。
ドルは全般的に堅調推移も、ただし年末にかけては利上げペースがその先 2-3 年も同様なペースで続くかどうかに疑念も多くなることからドル高圧力も緩和する可能性がある。一方、日本においては日銀の追加緩和期待が次第に後退する可能性がある。さらに年末や2017 年を見通して量的緩和縮小が議論される環境も想定され、その場合には円先安感が弱まる、あるいは失われる可能性もある。年末にかけてドル高円安にピーク感が台頭する可能性を視野に入れたい。
ドル/円相場は堅調も 130 円には届かず、120 円台の狭いレンジで推移する可能性が大きいとみる。ユーロは、景況格差・金融政策格差を主要因に対円でも軟調。135円近い水準は維持困難で、購買力平価からみた中長期的な均衡水準である120 円台半ばに下落すると想定。リスク関連通貨は中国懸念の一巡、商品市況の底打ち・安
定、などを背景に同様に底打ちないし安定推移と予想。対円ではやや持ち直し傾向とみる。
山岡 和雅氏
(1)FRB による利上げペース
15 年12 月15/16 日のFOMC で0.25%の利上げに踏み切り、2008 年12 月から続いた事実上のゼロ金利政策がついに解除された。参加メンバーによる2016 年末のFF金利見通しは1.375%(中央値)と、来年4 回の利上げを見込んでいる。これは前回2004 年の利上げ局面の半分のペース。年8 回開かれるFOMC のうち、議長会見や
参加メンバーによる経済・インフレ見通し発表のある4 回のFOMC(3 月、6 月、9月、12 月)で利上げを実施するという見方が基本となりそう。もっとも、新興国を中心とした海外市場情勢やエネルギー安を受けての低インフレ傾向などから、持続可能性については懸念もある。FOMC の想定する年4 回のペースが守られるのかどうかが、2016 年の為替市場を左右するもっとも大きな材料となりそう。
(2)米大統領選挙
2016 年11 月8 日に第45 代大統領を決める選挙が予定されている。共和党は実業家のドナルド・トランプ氏が直近世論調査で40%を超える圧倒的な支持率を現状で得ている。政治経験がなく、暴言・放言が目立つ同氏が勝ち上がると、政治的な不透明感が一気に強まる。経済政策的にも未知数なところが大きい。対中や対日関係の悪化懸念も含め、ドルに対する大きな不確定要素となりそう。
(3)NY 原油
12 月4 日のOPEC 総会での減産見送りに端を発したNY 原油の下げが来年はどこまで進むのか。OPEC の月次報告書による11 月にOPEC 加盟国が増産に踏み切ったことが判明するなど、ここに来て需給バランスの崩れが強く意識されている。史上最大級と言われるエルニーニョ現象の影響で、今年の北半球はかなりの暖冬が予想されており、暖房用オイル(ヒーティングオイル)需要が相当弱まるという予想も供給過剰懸念を強めている。原油及びその他エネルギー資源価格の低下は、天然資源輸出に頼る新興国経済にかなりの痛手となる。米国の利上げによって投資資金の新興国から米国への移動が意識されるなか、動きが加速される可能性も。進展次第では、為替市場でも、対新興国及び資源国に対する円高の進行だけでなく、リスク警戒感による全面的な円高まで警戒する必要が出てくる。
山本 雅文氏
来年以降も米国で利上げが続くと想定すると、対主要通貨で緩やかなドル高が継続しそうだ。ドルが相対的に上昇しやすいのは、ECB が追加緩和姿勢を維持している対ユーロ相場となりそうだが、パリティ(1 ユーロ=1 ドル)へ下落するには、ユーロ圏の明確な景気減速や米経済の大幅な加速が必要となりそうだ。
こうした中、ドル/円も米国主導の世界景気の緩やかな加速の前提のもとで 125円方向へのじり高基調となりそうだ。125 円を超えられるかは、本邦政府が更なる円安容認へ方針転換することが必要だが、少なくとも夏の参院選前は難しいだろう。時折、リスクオフイベントが起こり下落する局面もあるだろうが、ドルの押し目買い需要は根強く円高は一時的となりそうだ。日銀よりもECB の方が追加緩和の可能性が高いとすると、ユーロ/円には下落圧力がかかり続けるとみられる。
原油や鉄鉱石などのコモディティ価格の下落継続を前提とすると、豪ドルは下落が続きそうだ。ただしこれまでの下落が大きかったこともあり、来年中のいずれかのタイミングで反転の兆しが見えてくる可能性がある点は注意しておきたい。
広木 隆
これまでのドル高・円安シナリオが反転する。
これまでのドル高・円安シナリオとは、
米国:景気が良い⇒FRB は利上げ
日本:デフレ脱却取り組み続く⇒日銀は異次元緩和継続
というものだったが、そのシナリオは完全にやり尽くした感がある。
2016 年は、
米国:FRB は利上げしたものの、そのペースは緩慢
日本:日銀の QQE もトーンダウンもしくは打ち止め感
という新たなシナリオを確認していくことになるだろう。当然、これまでと逆の動き、すなわちドル安円高となるだろう。
ユーロは、ユーロ安が行き過ぎた修正に入る。金融緩和は継続するが、そのおかげで景気が持ち直している。ユーロの再評価につながるだろう。
原油資源価格も底打ちを探る展開に。中国景気に対する過度な不安も後退する。よって豪ドルは強含む場面が多くなると予想する。
マネックス証券では、チーフ・ストラテジスト 広木隆による株式投資戦略、シニア・マーケットアナリスト 金山敏之による個別企業に関する投資情報をはじめ、各種セミナーやレポートによる多面的かつ重層的な投資情報を提供することによりさらなるサービス向上を目指してまいります。
詳細はマネックス証券ウェブサイト(http://www.monex.co.jp/)をご覧ください。
※上記為替相場展望は、2015 年12 月28 日現在の各種情報や指標等を参考にした各アナリストの分析結果であ
り、将来の成果を保証するものではありません。
※各商品のリスクや実際の投資にあたっては契約締結前交付書面をよくお読みいただき、ご不明な点はお取引開始前にご確認ください。
以上
【マネックス証券株式会社について】
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