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テストベッドの聖地・山梨県が推進する実証実験プロジェクト「第3期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」採択企業7社による成果発表会

 山梨県(知事:長崎幸太郎)は、令和5年3月10日に「第3期TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」における採択企業7社の実証実験の成果発表会を開催しました。




 当事業は令和4年9月から令和5年2月までの半年間にわたり、産学官金と多くの方の協力のもと実施され、成果発表会ではプロジェクトを推進した各企業の担当者の高い熱量とともに、それぞれ実証実験の成果、そして今後の事業展望についての発表が行われました。

 開催に先立って、主催の山梨県リニア未来創造局 次長の安藤氏より「イノベーションの創出、チャレンジする気持ちを大事にする山梨県として社会課題の解決に向けて意欲を持ってチャレンジする人を積極的に応援していきたい。ぜひ今後も山梨のフィールドをチャレンジする場として考えていただきたい。」との挨拶がありました。

 以下、各プロジェクトの概要と成果報告をご紹介します。

1.株式会社ヘッジホッグ・メドテック
[画像1: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-d38fd63218d211332957-19.jpg ]

概要:頭痛による生産性低下の可視化と、疾患啓発及び医療機関との連携の実証

[画像2: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-13cb39999caaeb2330cb-3.jpg ]

■背景:
企業で発生している健康関連コストの中で、健康問題に起因する生産性の低下は経済的損失が最も大きく、特に頭痛についての経済損失は年間約2.3兆円にのぼるとされています。一方、こうした症状は企業の健康診断データにおいて重要度高く取り扱われることが少ないため、表面化しづらいという課題がありました。

■目的:
従業員の生産性を可視化する「健康経営サーベイ」と頭痛の受診勧奨プログラム「頭痛ヘッジfor健康経営」を提供し、企業は従業員の健康問題が及ぼす経済的損失とアプローチすべき従業員の属性の把握、従業員の中の頭痛患者に対しては症状学習や医師への受診を促すことで症状改善をサポートすることを目指しました。

■成果:
山梨県内の3企業の協力を得て、延べ269名に約2週間のサーベイ調査を実施しました。調査期間の中で、体調不良が一度も無いと回答した社員は7%のみで、多くの方が何らかの不調を抱えて働いているということが判明しました。
体調不良による生産性の低下率は約11%であり、年間の労働生産性損失額としては9,271万円にのぼります。そのうち、全体の約41%以上の人が頭痛を感じながら仕事をしていることがあると回答しており、頭痛による年間の労働生産性損失額は2,012万円にも及ぶことが判明しました。

■展望:
この問題をより多くの方に認知されるよう学会発表などを通じて、社会の意識変革に貢献していきたいと考えています。
また、サーベイ及び頭痛プログラムの参加率に一定の課題が残ったため、インセンティブやコンテンツの拡充を図り、より多くの方の参加を促進できるよう改善していきます。

2.株式会社テラ・ラボ

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概要:航空リモートセンシング等を活用し、大規模災害発生時における災害対策DXの社会実装に向けた実証実験

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■背景:

[画像5: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-d886440e00c0ea980ab3-12.png ]

大規模災害発生時には、迅速で正確な情報収集、人材の不足、関係各所との情報の共有や連携等の課題が指摘されるほか、客観情報による災害リスク情報や事後の調査・分析等による減災施策などの課題を抱えていました。


■目的:
大規模災害の頻度が増える昨今、客観的な情報の迅速な把握と多くの場所/機関での同時共有により、早期の正確な情報把握と、スムーズな情報共有による意思決定や活動の精度を高めることを目指します。まず、網羅的な広域情報を迅速に計測し共有すること、次に共有方法と搭載するコンテンツとシステムの操作、そして共有した広域情報の活用度を「地図情報を活用した災害対応演習」にて評価することとしました。

■成果:
[画像6: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-87f2b07f667e9530d2c1-13.jpg ]

県防災危機管理課及び県内3市町の協力を得て、関係者20名による釜無川、笛吹川の各1か所を破堤箇所と想定した図上演習を実施しました。広域計測及びクラウドでの共有システムへの格納までを設計した時間通りに実施でき、またクラウドを用いた多組織での広域情報の同時共有の演習も行いました。演習後は「助けられる人を助けられ、災害時の対応が早くなれる。(自衛隊も消防も事前に分かれば、支援も素早くできる)」、「重ね図でリアルが見える。地図で見える。初動が変わる。」などのご意見をいただきました。
一方で、「システムに慣れる機会があるとよい」、「広域情報と多組織間共有であることから広域での取組としてはどうか」、また訓練や平時・災害後の検討や検証での活用方法などについても多くのご意見もいただき、今後の改善や取り組みついてのご示唆をいただく貴重な機会となりました。

■展望
災害時のオペレーション、多組織間共有はほぼ設計通りに運用・活用できたことから、実装に向けたシステムの改善と運用体制の構築に向け取り組んで参ります。併せて、平時における訓練や防災・インフラの点検などの実証も進めており、有事にも平時にも客観的地形データとその活用を通じて貢献できるよう励んで参ります。

3.ファストドクター株式会社

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概要:オンライン救急サポート

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■背景:
救急搬送が年々増加傾向にある中で、搬送される患者の半数が軽症者で、救急車のコンビニ利用といわれるような課題が生じており、多くの地域では外来診療のニーズがピークアウトし、在宅医療の拡大が求められています。

■目的:
現実的に24時間の在宅医療体制をとることは難しいのが現状であり、手の届きにくい夜間休日の初期救急医療をオンライン診療で対応・補完することを目的に取り組みを実施しました。患者の症状に応じて救急隊や病院と連携する環境をつくり、医師の判断をもとに二次救急への連携や処方箋の配送などにも対応しました。

■成果:
笛吹市役所、医師会、薬剤師会、二次救急病院の理解、協力のもと、夜間・休日のオンライン診療の対応を行いました。笛吹市の広報誌掲載や市内保育園・幼稚園へのチラシの配架の結果、6歳未満の小児利用が顕著で子育て世代の多くのニーズを捉えることができました。電話相談の割合も高いため、ファストドクターで補完できる余地も多く存在することが明確になりました。当初の課題から想定していた通り、緊急度の高い症例が少ない結果であったほか、オンライン診療の申込〜診察まで平均10分54秒と自宅から診療所へ行って診察するよりも早く医師と連携ができるということがわかりました。

■展望
休日診療や在宅当番医の負荷を軽減でき、かつ緊急性の判断と軽症者の救急車利用の抑制の効果が期待できます。今後は山梨県全域で展開をしていくためのディスカッションを連携して実施していきたいと考えています。


4.株式会社キッチハイク

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概要:保育園留学(R)を活用した地域と域外をつなぐ関係人口経済圏の創出

[画像10: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-65964e15cd293355dd04-17.jpg ]

■背景:
保育園留学(R)の施設の立ち上げにあたっては子育て家族のニーズが高まっている反面、受け入れ地域の関係者がニーズに確証が持てずに受け入れの準備が進まないという課題がありました。

■目的:
保育園留学(R)の実装前にプレオープンを行い、需要の可視化をすることで、関係者の不安の払拭と地域関係者の投資リスク軽減、参加者の日程調整のしやすさなどを目的とし、全国の子育て家族を対象に、正式募集のお知らせの登録とモニター募集を実施しました。

■成果:
県内4市町で保育園留学のプレオープンを実施しました。実証実験中に正式募集のお知らせ登録が目標数の2倍を上回るご家族から登録をいただき、需要の可視化に成功しました。需要の可視化とモニター受け入れにより、受け入れ側の施設・地域関係者からは9割以上保育園留学(R)の実施意向をいただくことができました。

■展望:
需要を可視化することで自治体の導入判断を後押しするのに有効であるという確証が得られました。今回の結果を他自治体への提案にも活かし山梨県から、そして日本全国へ保育園留学(R)を広めていき、子育て家族を流動させることで日本の活性化に貢献していきたいと思います。

5.インフィック株式会社

[画像11: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-2029ef71319d6e28ed98-23.jpg ]

概要:ポータブルエコーを活用した、見守りシステムとの連携を介して実現する排泄業務DX改善プロジェクト

[画像12: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-75e074709687bc6503ad-6.jpg ]

■背景:
これまでの排泄介助業務はベテランの経験や勘、または決まった時刻にトイレ誘導をするといったことが常で、ご利用者様本人の尊厳が損なわれることもあり、介護士にとっても業務上多大な負荷が発生していました。

■目的:
個人の経験や勘に頼っていた業務を、パーソナライズされた業務へと移行することで、劇的な業務プロセスの改善を目指します。ポータブルエコーを通じてスマートフォンで直腸と膀胱を可視化できるサービスを活用し、見守りシステムとデータ連携することで個々人の排泄のパターンを掴みます。その情報をもとにドクターやナースと情報連携し、ご利用者様のリズムに合わせた排泄の声掛けや誘導を可能としていきます。

■成果:
県内の3介護施設及び1障害者支援施設に協力のもと、ポータブルエコーを用いた実証実験を行いました。今回、最大で約30%の排泄介助にかかる業務時間と回数の削減ができると判明しました。この結果から今後、1日あたりに最大約40分の時間短縮が期待できると試算されました。
ベテランであっても新人であっても大差なく、同じ情報の共有が可能となったことで業務レベルの均一化が図れ、また、わかりやすく使い勝手が良いため介護現場のDXの入口としての効果も期待できるとの声もありました。協力施設からは、「データで見える化することで、職員間での情報共有やケアの質の向上を図ることができた。」との声もいただきました。

■展望:
定期的なデータ取得や検査をする場所の確保が難しく、データを取得しサービスに落とし込む過程に課題が残りました。今後も協力各社・機関との連携を継続し、自社クラウドへのデータ取り込みルートを確立し、並行して分析手法の方向性のアルゴリズム化を行い、プログラム実装できるよう事業を進めていきます。

6.株式会社コーピー

[画像13: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-2b4d95679539d30097b7-20.jpg ]

概要:製造業の生産性向上を実現する画像解析AIを用いた作業工程解析ソフトウェアの開発

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■目的:
製造現場での録画データを用いて、AIを活用し通常と異なる工程サイクルを発見することで今まで気付かなかった異常を発見・通知することで、管理者や生産技術者が問題視すべき工程を把握でき、効果的なオペレーションに改善できるようにすることを目指しました。

■成果:
県内の製造業者に協力をいただき、作業エリアに設置させていただいたWebカメラにて作業工程を録画し、その動画のAI解析を実施しました。結果、工程の中での大きな異常値の検知は、短時間でかなりの数を捉えることができました。しかし、標準作業の中で作業者のレベルに応じた細かい異常値を検知する方法には工夫が必要であることも判明しました。

■展望:
今後も継続的に取り組んでいき、山梨県における人手不足解消などに貢献していきたいと思います。今回の実証で課題としてハード面、ソフト面の双方に課題が見つかったため、改善を図っていきます。
協力会社からは、今後改善にかける時間の短縮ができ、製造業だけでなく、製造業以外の業界にも活用できる可能性のあるものだと思うので応援したいというコメントをいただきました。

7.アイリス株式会社

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概要:咽頭画像診断の有用性検証プロジェクト

[画像16: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-8db84fc374885e78d04c-4.jpg ]

■目的:
nodocaは、咽頭(のど)の画像を専用カメラで撮影し、画像と問診情報などからインフルエンザの陽性陰性を判定する医療機器。判定精度と、患者さんの検査時の痛みの程度を評価する「臨床研究」を行いました。

■成果:
山梨大学・山梨県立中央病院に協力をいただき、県立中央病院に外来受診される患者さんにnodocaを使用いただきました。結果、開発時と同程度の精度(特異度)を確認できました。また、患者さんのアンケートから痛みの少ない検査であることを実証しました。加えて、研究実施自体を通じて、大規模な病院でnodocaを運用する際の様々なノウハウを得ました。

■展望:
今回得られたデータやアンケート結果を開発にフィードバックし、製品の改善を進めていきます。また、この実証実験で得られた成果については、今後論文化を進める予定です。
協力医療機関と引き続き共同研究を継続・発展させ、山梨県内でのさらなる研究開発を推進していきたいと思います。

審査員からの総評では、「事業化するためのテストベッド環境の提供は全国的にも珍しく貴重であること」、「全国からスタートアップが集まり、地域との連携が生まれていること」、「半年の短い期間で続々と成果が出ていることは驚異的であり、明確な課題が見つかっていることも素晴らしい」とのコメントとともに、各社の成果発表への感想等も伝えられました。

TRY YAMANASHI!事例から振り返るリニア実証実験事業

[画像17: https://prtimes.jp/i/78927/146/resize/d78927-146-b2cacdc63ffccdc05b76-10.jpg ]

7社の成果発表の後には、「TRY YAMANASHI!事例から振り返るリニア実証実験事業」と「みんなで語ろう!これからの山梨とスタートアップ」の2つのトークセッションも行われました。
実証実験に参加したスタートアップからは、自社で実証に協力してもらいたいといきなり連絡してもなかなか進まないことが多い中で、自治体がスタートアップとパートナー企業の間を繋ぎ、さらに事業の成長や今後の展開もサポートしてもらえた、と山梨県に対しての感謝の言葉がありました。
パートナー企業からは、始めはサポートすることに不安を感じたものの、新たな事業の可能性を探れる良い機会を得られたことはメリットだった。また、山梨県が実施している事業のため安心して取り組むことができた、と前向きな感想が述べられていました。

■「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」について
リニア中央新幹線が品川から名古屋までつながり、山梨県にも駅ができる予定です。劇的に環境が変わることを見据え、2020年に「リニアやまなしビジョン」を策定しました。
「リニアやまなしビジョン」に基づき、スタートアップの新しい技術やサービスの実証実験など、リニア開業効果の最大化に向けた取り組みをオール山梨で進めています。その中で始まったのが「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」です。第3期までの間に、21件のプロジェクトを支援・サポートしています。

山梨県公式のブランド情報発信サイト「ハイクオリティやまなし」にて公開。
「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」以外にも、山梨県の様々な魅力について特集しております。
▼「TRY!YAMANASHI!実証実験サポート事業」第3期成果発表会
https://hq-yamanashi.jp/article/a01238/
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