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日本CTX研究会、「日本におけるDCT普及に向けた提言」を公開

多様なステークホルダーとの議論より、課題解決の方向性(総論6および各論21)を提示




株式会社三菱総合研究所(代表取締役社長:籔田健二、以下 MRI)は、9月20日に、主催する日本CTX研究会において、国内の治験形態の転換(Clinical Trial Transformation:CTX)により国際共同治験への参画を一層促進し、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を目指すための活動の一環として、「日本におけるDCT普及に向けた提言」を公開しました。

1.背景
近年、国内におけるドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロス※1が再び問題視され、国の検討会等でも危機感が示されています。その要因のひとつとして、日本の国際共同治験への参画率の低さが挙げられます(2021年に実施された国際共同治験1,051件に対して日本の参加率は19.6%※2)。新薬へのアクセスの確保には、日本が国際共同治験に参加できる、すなわち「治験に選ばれる」ために国内の治験環境を整える必要があります。そのための手段には治験形態の転換(Clinical Trial Transformation:CTX)が不可欠です。

CTXとは、治験をより効率的・効果的に実施するために、治験の組み立て方や、運用、通例等の形態を転換することです。海外では、治験の分散化(Decentralized Clinical Trial:DCT※3)による効率化と患者の治験参加機会増加、治験計画段階から前向きに品質を管理するアプローチ、および適正な市場価値に基づく費用算定などが進んでいます。一方、日本ではこうした取り組みが遅れており、国際的な潮流に対応すべくCTXを推進し、国際共同治験への参画を向上させることが急務です。

2. 経緯
MRIは、2023年10月1日に立ち上げた日本CTX研究会※4において、最初のトピックとして、DCTを取り上げました。課題の優先度から、「相互理解の促進」と「実績・エビデンスの創出を促す環境づくり」に焦点を当てて2つの分科会を設置し、会員と議論を行うとともに、会員外の医療機関や患者会との対話を実施、日本CTX研究会の1年間の活動の成果として提言書をとりまとめました。

3. 提言書の概要
提言書では、まず、DCTがもたらすメリットや実施において考慮される観点、課題などの現状認識について、DCTに関する多様なステークホルダーの視点を横断的に考慮して整理しました。次に、「環境整備の推進」および「横断的展開の推進」の観点から、総論として、国内のDCT普及に向けて国や業界等が取り組むべき全体方策を「日本におけるDCT普及に向けた6つの提言」としてとりまとめました。

日本におけるDCT普及に向けた提言(総論)
- 治験におけるジャパンパッシング※5等の危機感を共有し、DCTを切り口として、日本の治験環境を「世界から選ばれる治験環境」に変革するための施策を推進
- 治験に係る契約の標準化やFMV※6の導入、DXによる治験の効率化・プロセスの統一化、診療報酬等によるDCT実施のインセンティブ付与、治験・DCTに適応可能な日常診療からのシステム整備等を推進
- DCTを実施する上で必要とされる(新たな)職種や役割、人材要件を整理
- 国が主導する特別研究班や研究開発支援等を通じて、DCT導入による実際の治験環境向上・費用対効果等に関するエビデンスを確立
- DCTに関する相談窓口の設置、又は課題やノウハウを共有可能な「場」を構築し、DCTのFAQや特有の手順・ノウハウを広く提供する基盤を整備
- 規制当局や学会等を含む多様なステークホルダーが本音でDCTを議論できる「場」を構築


日本におけるDCT普及に向けた提言(総論)
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/50210/153/50210-153-ad4a825649b6127d1f7362adfaf5c01f-1484x608.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


さらに、各論として、DCTの要素を5つに分け、各要素の導入・実施の際の基本的な考え方・留意点を示すとともに、各要素にかかる21のトピックごとに「現状」、「課題・ニーズ」と、具体的な「解決の方向性」を提言しました。解決の方向性としては、1)法・規制の改正、2)法・規制の明確化、3)業界・学会等で情報共有・共通認識の醸成、4)各社・各医療機関での取り組みの4つに大別されますが、法・規制の改正が必須でないトピックについては、各ステークホルダーが同時並行で取り組みを進めることで、DCTの普及はより一層加速されるものと考えています。

各論としてとりまとめたDCTの5つの要素
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/50210/153/50210-153-f9e1215a409b3f1001315eaafce3881f-1484x304.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]



また、別紙として、DCTを導入する際の参考として、パートナー医療機関を活用した治験のプロセスとモデルケースならびにDCTの取組事例をとりまとめました。

本提言書により、治験環境の変化、現在の国内治験環境に対する危機意識と課題、その解決策についての理解が国内で広がり、課題解決に向けたより大きな動きにつながることに期待しています。

なお、提言書は、日本CTX研究会ホームページにて公開しています。

日本CTX研究会(https://j-ctx.mri.co.jp/

4. 今後の見通し
日本CTX研究会では、2024年10月からの第2期会員を募集しています。第2期では、DCTに限らず、より大きな視座から治験を迅速化に必要な変革を検討する分科会と、DCT実装のために医療機関で必要となるソフト面(人材、体制整備等)の環境整備を整理する分科会の2つを立上げ、CTX推進に向けた議論を進めます。

新規参画等、ご関心がある方は下記の「内容に関するお問合せ先」までご連絡ください。


※1:海外で承認・使用されている医薬品が日本で承認されて使用できるまでの時間差がある、もしくは国内では未承認で使用できないこと。
※2:医薬産業政策研究所(2022年7月)「近年における国際共同治験の動向調査」政策研ニュースNo.66。
※3:分散化臨床試験。デジタル技術を活用し、治験の中心となる医療機関に来院することなく治験参加者の自宅や近隣のかかりつけ医など遠隔地で実施する治験。オンライン治験やリモート治験とも呼ばれます。
※4:日本CTX研究会ホームページ:治験に関するさまざまなステークホルダー(製薬企業、CRO・SMO、ITベンダー、医療機関等)が参画する活動により、国内の治験環境を変革することで国際共同治験への参画を維持・向上し、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの解消を目指すMRIが主催する研究会。
https://j-ctx.mri.co.jp/
※5:医薬品開発においては、国際共同治験に日本が参加できない、日本で治験が実施されないこと。
※6:Fair Market Value(市場適正価格)。業務量や市場価格等に基づいて、医療機関および治験の依頼者である企業の双方が納得して算定した価格のこと。

参考
日本CTX研究会は、東京都の創薬・医療系スタートアップ育成支援事業「Blockbuster TOKYO」の活動の一環として実施しています。Blockbuster TOKYOについてBlockbuster TOKYOは、東京都創薬・医療系ベンチャー育成支援事業として、東京都との協定に基づきエコシステム形成支援者(プロモーター)が連携し、ブランド構築及び効果的な発信を行いながら、様々な支援策を実行し、グローバルレベルのスタートアップ創出のための支援環境を整備しています。MRIは、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)(本社:東京都中央区日本橋室町、理事長:岡野栄之)、CIC Toranomon合同会社(本社:東京都港区虎ノ門、職務執行者: Timothy Rowe)との3者共同事業体として、Blockbuster TOKYOのプロモーターに採択されています。

Blockbuster TOKYO(https://www.link-j.org/bbt/


お問い合わせ先
株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
【内容に関するお問い合わせ】
  ヘルスケア事業本部
  「日本CTX研究会」事務局 吉田、永野、折居、川上
  Tel:03-6858-1480
  E-mail:jctx@ml.mri.co.jp
【Blockbuster TOKYOに関するお問い合わせ】
  ヘルスケア事業本部 川上
  Tel:03-6858-1480
  E-mail:blockbuster_tokyo@ml.mri.co.jp
【報道機関からのお問い合わせ】
  グループ広報部
  E-mail:media@mri.co.jp
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