企業の人手不足感、4月以降3割前後で推移
[20/08/26]
提供元:PRTIMES
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新型コロナウイルス拡大前の5割から大幅に減少
生産年齢人口が減少するなか、近年は人手不足の解消が企業経営において最重要課題としてあげられている。また、人手不足によって倒産に追い込まれるケースも増加傾向にある。そのため、企業には常に生産性の向上などの「働き方改革」が求められている。一方で、新型コロナウイルスの影響で国内景気は厳しい水準で推移しており、採用の見送りや失業者の増加、労働者の減少などといった雇用動向に関する注目度はより一層増している。
そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年7月調査とともに行った。
■調査期間は2020年7月16日〜31日、調査対象は全国2万3,680社で、有効回答企業数は1万1,732社(回答率49.5%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2020年7月の結果をもとに取りまとめた
■本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
<調査結果(要旨)>
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-557295-0.jpg ]
正社員が不足している企業は30.4%(前年同月比18.1ポイント減)となった。7月としては4年ぶりの3割台となり、人手不足割合は大幅に減少している。業種別では「建設」(51.9%)が最も高く、「メンテナンス・警備・検査」「教育サービス」「農・林・水産」など7業種が4割台で続いた。上位となった10業種中で8業種は人手不足割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と「各種商品小売」の2業種は増加した。また、人手が「過剰」とした企業は22.9%で同13.6ポイント増となるなど、企業の過不足感は大きく変化している
非正社員では、企業の16.6%で人手が不足していた(前年同月比13.2ポイント減)。2013年2月(16.6%)の水準まで減少している。業種別ではスーパーマーケットを含む「各種商品小売」が47.6%(同14.6ポイント減)で最も高い。次いで、「教育サービス」「飲食店」「飲食料品小売」「娯楽サービス」などが続いた
人手不足割合が高かった「旅館・ホテル」は、新型コロナウイルスの影響で大きく変化し、人手が「過剰」とする割合は正社員・非正社員ともに全業種中で最も高くなった。「飲食店」の人手不足割合は、緊急事態宣言が解除され客足が戻ったことで上昇傾向にある
正社員不足は 30.4%、人手不足割合は前年同月から 18.1 ポイント減少
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-215978-1.jpg ]
現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不 足」していると回答した企業は 30.4%となり、前年同月から 18.1 ポイント減少し 7 月としては 4 年ぶりの 3 割台に低下した。「適正」と回答した企業は 46.8%で同 4.6 ポイント増加し、半数近く の企業が人手は適正と感じている。
一方、「過剰」と回答した企業は 22.9%で同 13.6 ポイント増 となり、企業の過不足感は大きく変化している。 「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「建設」が 51.9%(前年同月比 15.6 ポイ ント減)がトップとなり、唯一 5 割を上回った。次いで、「メンテナンス・警備・検査」(48.1%、 同 20.3 ポイント減)、「教育サービス」(48.0%、同 3.2 ポイント増)、「農・林・水産」(47.1%、 同 17.8 ポイント減)など 7 業種が 4 割台で続いた。
上位となった 10 業種中で 8 業種は人手不足 割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と、スーパーマーケットを含む「各種商品小 売」の 2 業種は増加している。教育サービスでは生徒の募集が困難であるとの声が多数を占める なかで、「新型コロナウイルスの影響で授業等の日程が大幅に狂い、その調整に翻弄される状態が 続いている」(専修学校、東京都)といった声もみられた。
規模別にみると、「大企業」(36.9%)は前年同月比 22.4 ポイント減少となり、全体より減少幅 が大きい。「中小企業」は 28.9%(同 17.0 ポイント減)、「小規模企業」は 30.3%(同 11.8 ポイ ント減)となり、いずれも 10 ポイント以上減少した。
新型コロナウイルスの影響が拡大した 4 月以降は 3 割前後で推移
人手不足割合を月次の推移でみると、新型コロ ナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され経 済活動が停滞した 4 月に、正社員の人手不足割合 は大幅に減少した。緊急事態宣言が続いた 5 月も さらに減少し、5 月 25 日の全国解除を経て 6 月以 降も 3 割前後で推移している。非正社員も、4 月 以降はほぼ横ばいが続いている。業種による差は みられるものの、「営業案件が減り人手が余って きている」(労働者派遣、大阪府)といった声があ げられている。
非正社員不足は 16.6%、正社員と同様に「過剰」の割合が大幅に増加
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-752635-2.jpg ]
非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は 16.6%となり(前 年同月比 13.2 ポイント減)、2013 年 2 月(16.6%)の水準まで減少した。「適正」は 62.2%(同 0.4 ポイント減)でほぼ横ばいとなった一方で、「過剰」は 21.2%(同 13.5 ポイント増)となり 大きく増加している。 業種別にみると、スーパーマーケットを含む「各種商品小売」は 47.6%となり、最も高かった。
前年同月より 14.6 ポイント減少したものの、他業種より割合が高かった。次いで、「教育サービ ス」(43.5%、同 7.8 ポイント増)が続き、正社員と同様に増加している。以下、「家具類小売」 (40.0%、同 5.5 ポイント減)も 4 割台となったほか、「飲食店」(38.6%、同 41.4 ポイント減)、 「飲食料品小売」(37.1%、同 26.5 ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(36.7%、同 18.1 ポイント減)、「医薬品・日用雑貨品小売」(33.3%、同 14.5 ポイント減)、「娯楽サービス」(33.3%、 同 27.8 ポイント減)などが 3 割台で続いた。
規模別では、「大企業」は 17.3%(同 16.9 ポイント減)、「中小企業」は 16.4%(同 12.1 ポイ ント減)、「小規模企業」は 17.2%(同 11.0 ポイント減)で、すべての企業規模で 1 割台となっ た。
これまで人手不足の割合が 1 位で推移してきた「飲食店」では、2020 年 1 月時点の 76.9%から 緊急事態宣言が発出された 4 月に大きく減少して 16.4%となり、この間 60.5 ポイントの減少と なった。緊急事態宣言が 2020 年 5 月 25 日に解除され徐々に客足が戻ったこともあり、7 月は 51 業種中 4 番目に高い人手不足割合となった。同様に人手不足が顕著だった「旅館・ホテル」では、 正社員・非正社員ともに 2020 年 1 月の時点で 6 割以上の企業で人手不足を感じていた。しかし、 4 月にかけて大きく減少した。飲食店は 6 月以降やや上昇傾向にある一方で、旅館・ホテルは 1 割 台で横ばいの推移が続いている。
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-215978-1.jpg ]
[画像5: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-286260-4.jpg ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-268503-5.jpg ]
人手の「過剰」、「旅館・ホテル」が正社員・非正社員ともトップ
新型コロナウイルスの影響で人手不足割合が大きく減少した一方で、人手を「過剰」としてい る割合は増加している。業種別にみると、「旅館・ホテル」が正社員・非正社員ともにトップとな り、「飲食店」も上位となった。また、自動車需要の落ち込みにより「輸送用機械・器具製造」も 人手過剰割合が正社員・非正社員とも 50%前後に増加した。
[画像7: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-730351-6.jpg ]
「TDB 景気動向調査」(帝国データバンク)によると、7 月の景気 DI は 29.1 と前月から 1.5 ポ イント増加し、国内景気は一部で持ち直しの動きがみられた一方、厳しい水準での推移が続いた。 こうしたなか、正社員の人手不足を感じている企業は 30.4%となり、7 月としては 4 年ぶりに 4 割を下回った。非正社員は前年同月から 13.2 ポイント減少の 16.6%となった。とりわけ「各種 商品小売」は内食需要の拡大などもあり最も高くなっている。これまで人手不足割合が高水準だ った「旅館・ホテル」「飲食店」はともに人手を「過剰」とする割合が高くなっている。 新型コロナウイルスの影響により、5 割前後で推移していた人手不足割合は 3 割まで減少した。 しかし、企業からは「どの程度まで業務量が回復するかわからないが、潜在的にある人手不足は 解決していない」(塗装工事、大阪府)といった声があり、新型コロナウイルスが収束に近づき業 務量が増加する過程で再び人手不足に陥るケースも想定される。今後は、徐々に経済活動の制約 が解除されていくなかで、人手不足割合がどのように推移するか注視する必要があろう。
[画像8: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-466186-7.jpg ]
生産年齢人口が減少するなか、近年は人手不足の解消が企業経営において最重要課題としてあげられている。また、人手不足によって倒産に追い込まれるケースも増加傾向にある。そのため、企業には常に生産性の向上などの「働き方改革」が求められている。一方で、新型コロナウイルスの影響で国内景気は厳しい水準で推移しており、採用の見送りや失業者の増加、労働者の減少などといった雇用動向に関する注目度はより一層増している。
そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年7月調査とともに行った。
■調査期間は2020年7月16日〜31日、調査対象は全国2万3,680社で、有効回答企業数は1万1,732社(回答率49.5%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2020年7月の結果をもとに取りまとめた
■本調査の詳細なデータは景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
<調査結果(要旨)>
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-557295-0.jpg ]
正社員が不足している企業は30.4%(前年同月比18.1ポイント減)となった。7月としては4年ぶりの3割台となり、人手不足割合は大幅に減少している。業種別では「建設」(51.9%)が最も高く、「メンテナンス・警備・検査」「教育サービス」「農・林・水産」など7業種が4割台で続いた。上位となった10業種中で8業種は人手不足割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と「各種商品小売」の2業種は増加した。また、人手が「過剰」とした企業は22.9%で同13.6ポイント増となるなど、企業の過不足感は大きく変化している
非正社員では、企業の16.6%で人手が不足していた(前年同月比13.2ポイント減)。2013年2月(16.6%)の水準まで減少している。業種別ではスーパーマーケットを含む「各種商品小売」が47.6%(同14.6ポイント減)で最も高い。次いで、「教育サービス」「飲食店」「飲食料品小売」「娯楽サービス」などが続いた
人手不足割合が高かった「旅館・ホテル」は、新型コロナウイルスの影響で大きく変化し、人手が「過剰」とする割合は正社員・非正社員ともに全業種中で最も高くなった。「飲食店」の人手不足割合は、緊急事態宣言が解除され客足が戻ったことで上昇傾向にある
正社員不足は 30.4%、人手不足割合は前年同月から 18.1 ポイント減少
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-215978-1.jpg ]
現在の従業員の過不足状況を尋ねたところ(「該当なし/無回答」を除く)、正社員について「不 足」していると回答した企業は 30.4%となり、前年同月から 18.1 ポイント減少し 7 月としては 4 年ぶりの 3 割台に低下した。「適正」と回答した企業は 46.8%で同 4.6 ポイント増加し、半数近く の企業が人手は適正と感じている。
一方、「過剰」と回答した企業は 22.9%で同 13.6 ポイント増 となり、企業の過不足感は大きく変化している。 「不足」していると回答した企業を業種別にみると、「建設」が 51.9%(前年同月比 15.6 ポイ ント減)がトップとなり、唯一 5 割を上回った。次いで、「メンテナンス・警備・検査」(48.1%、 同 20.3 ポイント減)、「教育サービス」(48.0%、同 3.2 ポイント増)、「農・林・水産」(47.1%、 同 17.8 ポイント減)など 7 業種が 4 割台で続いた。
上位となった 10 業種中で 8 業種は人手不足 割合の大幅な減少がみられるなか、「教育サービス」と、スーパーマーケットを含む「各種商品小 売」の 2 業種は増加している。教育サービスでは生徒の募集が困難であるとの声が多数を占める なかで、「新型コロナウイルスの影響で授業等の日程が大幅に狂い、その調整に翻弄される状態が 続いている」(専修学校、東京都)といった声もみられた。
規模別にみると、「大企業」(36.9%)は前年同月比 22.4 ポイント減少となり、全体より減少幅 が大きい。「中小企業」は 28.9%(同 17.0 ポイント減)、「小規模企業」は 30.3%(同 11.8 ポイ ント減)となり、いずれも 10 ポイント以上減少した。
新型コロナウイルスの影響が拡大した 4 月以降は 3 割前後で推移
人手不足割合を月次の推移でみると、新型コロ ナウイルスの影響で緊急事態宣言が発出され経 済活動が停滞した 4 月に、正社員の人手不足割合 は大幅に減少した。緊急事態宣言が続いた 5 月も さらに減少し、5 月 25 日の全国解除を経て 6 月以 降も 3 割前後で推移している。非正社員も、4 月 以降はほぼ横ばいが続いている。業種による差は みられるものの、「営業案件が減り人手が余って きている」(労働者派遣、大阪府)といった声があ げられている。
非正社員不足は 16.6%、正社員と同様に「過剰」の割合が大幅に増加
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-752635-2.jpg ]
非正社員が「不足」していると回答した企業(「該当なし/無回答」を除く)は 16.6%となり(前 年同月比 13.2 ポイント減)、2013 年 2 月(16.6%)の水準まで減少した。「適正」は 62.2%(同 0.4 ポイント減)でほぼ横ばいとなった一方で、「過剰」は 21.2%(同 13.5 ポイント増)となり 大きく増加している。 業種別にみると、スーパーマーケットを含む「各種商品小売」は 47.6%となり、最も高かった。
前年同月より 14.6 ポイント減少したものの、他業種より割合が高かった。次いで、「教育サービ ス」(43.5%、同 7.8 ポイント増)が続き、正社員と同様に増加している。以下、「家具類小売」 (40.0%、同 5.5 ポイント減)も 4 割台となったほか、「飲食店」(38.6%、同 41.4 ポイント減)、 「飲食料品小売」(37.1%、同 26.5 ポイント減)、「メンテナンス・警備・検査」(36.7%、同 18.1 ポイント減)、「医薬品・日用雑貨品小売」(33.3%、同 14.5 ポイント減)、「娯楽サービス」(33.3%、 同 27.8 ポイント減)などが 3 割台で続いた。
規模別では、「大企業」は 17.3%(同 16.9 ポイント減)、「中小企業」は 16.4%(同 12.1 ポイ ント減)、「小規模企業」は 17.2%(同 11.0 ポイント減)で、すべての企業規模で 1 割台となっ た。
これまで人手不足の割合が 1 位で推移してきた「飲食店」では、2020 年 1 月時点の 76.9%から 緊急事態宣言が発出された 4 月に大きく減少して 16.4%となり、この間 60.5 ポイントの減少と なった。緊急事態宣言が 2020 年 5 月 25 日に解除され徐々に客足が戻ったこともあり、7 月は 51 業種中 4 番目に高い人手不足割合となった。同様に人手不足が顕著だった「旅館・ホテル」では、 正社員・非正社員ともに 2020 年 1 月の時点で 6 割以上の企業で人手不足を感じていた。しかし、 4 月にかけて大きく減少した。飲食店は 6 月以降やや上昇傾向にある一方で、旅館・ホテルは 1 割 台で横ばいの推移が続いている。
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-215978-1.jpg ]
[画像5: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-286260-4.jpg ]
[画像6: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-268503-5.jpg ]
人手の「過剰」、「旅館・ホテル」が正社員・非正社員ともトップ
新型コロナウイルスの影響で人手不足割合が大きく減少した一方で、人手を「過剰」としてい る割合は増加している。業種別にみると、「旅館・ホテル」が正社員・非正社員ともにトップとな り、「飲食店」も上位となった。また、自動車需要の落ち込みにより「輸送用機械・器具製造」も 人手過剰割合が正社員・非正社員とも 50%前後に増加した。
[画像7: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-730351-6.jpg ]
「TDB 景気動向調査」(帝国データバンク)によると、7 月の景気 DI は 29.1 と前月から 1.5 ポ イント増加し、国内景気は一部で持ち直しの動きがみられた一方、厳しい水準での推移が続いた。 こうしたなか、正社員の人手不足を感じている企業は 30.4%となり、7 月としては 4 年ぶりに 4 割を下回った。非正社員は前年同月から 13.2 ポイント減少の 16.6%となった。とりわけ「各種 商品小売」は内食需要の拡大などもあり最も高くなっている。これまで人手不足割合が高水準だ った「旅館・ホテル」「飲食店」はともに人手を「過剰」とする割合が高くなっている。 新型コロナウイルスの影響により、5 割前後で推移していた人手不足割合は 3 割まで減少した。 しかし、企業からは「どの程度まで業務量が回復するかわからないが、潜在的にある人手不足は 解決していない」(塗装工事、大阪府)といった声があり、新型コロナウイルスが収束に近づき業 務量が増加する過程で再び人手不足に陥るケースも想定される。今後は、徐々に経済活動の制約 が解除されていくなかで、人手不足割合がどのように推移するか注視する必要があろう。
[画像8: https://prtimes.jp/i/43465/158/resize/d43465-158-466186-7.jpg ]