生活クラブ生協連合会は、生物多様性を損なう遺伝子組換え作物・生物に反対するパブリックコメントを2件提出しました
[15/04/23]
提供元:PRTIMES
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生活クラブ生協連合会は、4月14日の理事会で政府へ提出する意見(パブリック・コメント)を決定し、農林水産省ならびに環境省に4月21日までに提出しました。意見全文は、それぞれ下記の通りです。
遺伝子組換えカイコの第一種使用等に関する承認に先立っての意見
申請書には、遺伝子組換えカイコと野生のクワコの交雑の可能性について書かれていますが、全体的に交雑の可能性について過小評価されていると考えます。例 を挙げると「幼虫飼育中に出現した早熟個体はただちに取り除いて捕殺すること、収繭後も室内を清掃して繭や蛹はすべて回収して不活化することとしているこ とから、クワコのオス成虫と交配可能なカイコのメス成虫が蚕室内で生じることはない」(41頁35行〜42頁4行)、「桑葉に付着してクワコ幼虫が持ち込 まれても、カイコ幼虫とは異なる体色をもつことや、餌があっても動き回るなどカイコとは異なる行動をすることから、容易に発見して捕殺することができる。 同じく桑葉に付着してクワコの繭が持ち込まれても、カイコとは異なる色・形状であることから、カイコの繭と混同することはない」(42頁6〜9行)、「飼 育残渣の中で本遺伝子組換えカイコと飛来してきた野生のクワコが交尾することはない」(42頁29行)など、交雑防止については人の目に頼ったものであり、交雑を完全に防げるとは思えません。
申請書によると、カイコが野外に逸出して自然条件下で繁殖している例は報告されていないとのことですが、カイコは移動能力が低いとはいえ、植物と異なり自分で移動できます。隔離飼育区画から万一逃げ出した場合を想定した環境影響調査を行なうべきです。
また、申請書にもあるように、2011年の日本の繭生産量は220 トンであり、そのうち89.8トン(およそ40%)が群馬県で生産されています。そのような養蚕業にとって重要な地域で実験を行なうことによる遺伝子汚染への影響を評価すべきです。
以上
遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認に先立っての意見
新たな除草剤耐性作物の導入に反対です。
アリルオキシアルカノエート系除草剤の2,4-Dは、ベトナム戦争で使用された枯葉剤としても知られ、人体や野生生物に対して有害な除草剤です。除草剤ア リルオキシアルカノエート系耐性ワタを栽培すれば、2,4-Dの使用が増加すると考えられますが、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律」(以下、カルタヘナ国内法)では、農薬使用の環境影響は審査の対象ではありません。
また今回は、p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性ダイズとイソキサフルトール耐性ダイズについても申請されています。これ らの除草剤は比較的新しい農薬であり、こういった農薬の使用が新たに増加することを想定した生物多様性影響の評価も必要です。
カルタヘナ国内法が生物多様性の確保を目的としていることを考えると、カルタヘナ国内法に基づく生物多様性評価では不十分です。除草剤を長期・短期で使用 した場合の野生の動植物、昆虫、人体などに与える影響が評価されていないからです。今回申請されている遺伝子組換え作物はいずれも、栽培されれば複数の農 薬が使われることになります。このことによる生物多様性への影響を、野生の近縁種のみならず他の野生生物、昆虫、人体などについて、幅広く調査することを 求めます。
日本では除草剤アリルオキシアルカノエート系耐性のトウモロコシ、大豆、ワタが相次いで承認されており、これに続いて掛け合わせの品目が次々と承認されて きました。上に述べた幅広い環境影響調査がなされないままに、アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性作物が安易に承認されることに反対します。
除草剤アリルオキシアルカノエート系耐性作物、p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性作物、イソキサフルトール耐性作物は、 先行する除草剤グリホサートとグルホシネート耐性作物の普及によってこれらの除草剤に耐性を持つ雑草が出現したことに対応するために開発されたと認識して います。新たな除草剤耐性作物を承認することによってそれらの除草剤の使用量が増加すれば、いずれは耐性雑草が発生することは、グリホサートとグルホシ ネートの例からも明らかです。耐性雑草対策として他の除草剤に抵抗力をもつ遺伝子組換え作物を開発するのは、生物多様性に対する影響の観点からは、とるべ き手段ではないと考えます。
カルタヘナ国内法の改正を求めます
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下、カルタヘナ国内法)のもとで生物多様性評価が行なわれる項目は、競合 における優位性、有害物質の産生性、交雑性に限られており、在来の野生動植物への影響のみが評価されるため、これまで日本では遺伝子組換え作物は生物多様 性に影響がないとされてきました。
一方で、私たち生活クラブ生協の組合員が毎年行っている調査によると、港周辺と製油所へ向かう幹線道路沿いを中心に遺伝子組換えナタネの自生が毎年確認さ れます。また、2014年3月26日に農林水産省が発表した調査結果によると、八代港で遺伝子組換えトウモロコシの自生も確認されました。ナタネにはブ ロッコリー、キャベツ、カブなど多くの近縁の作物があります。また飼料用のデントコーンは日本でも栽培されています。
日本は最大の遺伝子組換え作物の輸入国であり、長期的に考えると、輸入された遺伝子組換え作物による農作物の汚染が懸念されます。今回の意見募集がされて いる4つの作物の承認に反対するとともに、農作物への影響も評価の対象とする、農薬の使用の影響も評価するなど、カルタヘナ国内法の抜本的改正を求めま す。
以上
遺伝子組換えカイコの第一種使用等に関する承認に先立っての意見
申請書には、遺伝子組換えカイコと野生のクワコの交雑の可能性について書かれていますが、全体的に交雑の可能性について過小評価されていると考えます。例 を挙げると「幼虫飼育中に出現した早熟個体はただちに取り除いて捕殺すること、収繭後も室内を清掃して繭や蛹はすべて回収して不活化することとしているこ とから、クワコのオス成虫と交配可能なカイコのメス成虫が蚕室内で生じることはない」(41頁35行〜42頁4行)、「桑葉に付着してクワコ幼虫が持ち込 まれても、カイコ幼虫とは異なる体色をもつことや、餌があっても動き回るなどカイコとは異なる行動をすることから、容易に発見して捕殺することができる。 同じく桑葉に付着してクワコの繭が持ち込まれても、カイコとは異なる色・形状であることから、カイコの繭と混同することはない」(42頁6〜9行)、「飼 育残渣の中で本遺伝子組換えカイコと飛来してきた野生のクワコが交尾することはない」(42頁29行)など、交雑防止については人の目に頼ったものであり、交雑を完全に防げるとは思えません。
申請書によると、カイコが野外に逸出して自然条件下で繁殖している例は報告されていないとのことですが、カイコは移動能力が低いとはいえ、植物と異なり自分で移動できます。隔離飼育区画から万一逃げ出した場合を想定した環境影響調査を行なうべきです。
また、申請書にもあるように、2011年の日本の繭生産量は220 トンであり、そのうち89.8トン(およそ40%)が群馬県で生産されています。そのような養蚕業にとって重要な地域で実験を行なうことによる遺伝子汚染への影響を評価すべきです。
以上
遺伝子組換えダイズ、ワタ及びトウモロコシの第一種使用等に関する承認に先立っての意見
新たな除草剤耐性作物の導入に反対です。
アリルオキシアルカノエート系除草剤の2,4-Dは、ベトナム戦争で使用された枯葉剤としても知られ、人体や野生生物に対して有害な除草剤です。除草剤ア リルオキシアルカノエート系耐性ワタを栽培すれば、2,4-Dの使用が増加すると考えられますが、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性 の確保に関する法律」(以下、カルタヘナ国内法)では、農薬使用の環境影響は審査の対象ではありません。
また今回は、p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性ダイズとイソキサフルトール耐性ダイズについても申請されています。これ らの除草剤は比較的新しい農薬であり、こういった農薬の使用が新たに増加することを想定した生物多様性影響の評価も必要です。
カルタヘナ国内法が生物多様性の確保を目的としていることを考えると、カルタヘナ国内法に基づく生物多様性評価では不十分です。除草剤を長期・短期で使用 した場合の野生の動植物、昆虫、人体などに与える影響が評価されていないからです。今回申請されている遺伝子組換え作物はいずれも、栽培されれば複数の農 薬が使われることになります。このことによる生物多様性への影響を、野生の近縁種のみならず他の野生生物、昆虫、人体などについて、幅広く調査することを 求めます。
日本では除草剤アリルオキシアルカノエート系耐性のトウモロコシ、大豆、ワタが相次いで承認されており、これに続いて掛け合わせの品目が次々と承認されて きました。上に述べた幅広い環境影響調査がなされないままに、アリルオキシアルカノエート系除草剤耐性作物が安易に承認されることに反対します。
除草剤アリルオキシアルカノエート系耐性作物、p-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ阻害型除草剤耐性作物、イソキサフルトール耐性作物は、 先行する除草剤グリホサートとグルホシネート耐性作物の普及によってこれらの除草剤に耐性を持つ雑草が出現したことに対応するために開発されたと認識して います。新たな除草剤耐性作物を承認することによってそれらの除草剤の使用量が増加すれば、いずれは耐性雑草が発生することは、グリホサートとグルホシ ネートの例からも明らかです。耐性雑草対策として他の除草剤に抵抗力をもつ遺伝子組換え作物を開発するのは、生物多様性に対する影響の観点からは、とるべ き手段ではないと考えます。
カルタヘナ国内法の改正を求めます
「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」(以下、カルタヘナ国内法)のもとで生物多様性評価が行なわれる項目は、競合 における優位性、有害物質の産生性、交雑性に限られており、在来の野生動植物への影響のみが評価されるため、これまで日本では遺伝子組換え作物は生物多様 性に影響がないとされてきました。
一方で、私たち生活クラブ生協の組合員が毎年行っている調査によると、港周辺と製油所へ向かう幹線道路沿いを中心に遺伝子組換えナタネの自生が毎年確認さ れます。また、2014年3月26日に農林水産省が発表した調査結果によると、八代港で遺伝子組換えトウモロコシの自生も確認されました。ナタネにはブ ロッコリー、キャベツ、カブなど多くの近縁の作物があります。また飼料用のデントコーンは日本でも栽培されています。
日本は最大の遺伝子組換え作物の輸入国であり、長期的に考えると、輸入された遺伝子組換え作物による農作物の汚染が懸念されます。今回の意見募集がされて いる4つの作物の承認に反対するとともに、農作物への影響も評価の対象とする、農薬の使用の影響も評価するなど、カルタヘナ国内法の抜本的改正を求めま す。
以上