JLL、2020年までの大型先進物流施設市場を予測 首都圏・関西とも高水準の供給続くが、賃料は堅調に推移
[16/10/27]
提供元:PRTIMES
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2016年10月27日 東京‐総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)は、物流不動産における賃貸市場を分析したレポート「首都圏※1と関西※2の物流不動産賃貸市場」を発刊いたしました。
本レポートでは、今までに発刊した首都圏と関西における物流不動産賃貸市場に関する市況や見通しについて、再度分析を行い、まとめています。ハイライトは以下の通りです。
■首都圏
??首都圏所在の大型先進物流施設※3の新規供給量は、2016年に32.6万坪、2017年から2020年の4年間の合計で123万坪となり、年平均で31万坪が新規供給されると予想している。これは2006年から2015年までの年平均17万坪に比べ、80%強多い供給となる。インターネット通販や3PLの旺盛な需要により、ディベロッパーや投資家が新規開発に積極的なことが背景となっている。2020年末での市場規模は、2015年末比1.8倍の350万坪と予想している。
図表1:首都圏における大型先進物流施設の新規供給量
[画像1: http://prtimes.jp/i/6263/169/resize/d6263-169-644288-0.jpg ]
首都圏の先進大型物流施設の賃料は、2016年以降堅調に推移し、2020年までの5年間の上昇率は合計4.4%となると予想している(5年間の年平均上昇率<CAGR>としては0.9%)。2020年の月額賃料予測は、直近のピークである2007年の坪当たり4,756円を10%近く下回るものの、市場自体の構造が大きく変化し、経済合理性やマーケットメカニズムに基づいた形で、確立期から成長期入りとなる可能性が高いとみており、中長期的に堅調に推移するとの見方は変わらない。
今回の賃料上昇率予測4.4%が、前回11.1%※4よりも低くなっている要因として、新規供給の拡大に加え、エリアミックスの変化があげられる。2017年と2018年の都心40-60キロメートル圏における新規供給比率は、合計で40%近くに上昇し、2006年から2016年の約20%と比較して、ほぼ倍増のレベルになっている。道路ネットワークの拡充により利便性は増しているものの、賃料は都心からの距離に反比例する傾向があり、賃料が低めのエリアにおける供給比率増加が、全体の賃料上昇を抑制する要因となっている。
図表2:首都圏における大型先進物流施設の新規供給:前回と今回の比較
[画像2: http://prtimes.jp/i/6263/169/resize/d6263-169-571441-1.jpg ]
インターネット通販の売上拡大による物流不動産の新規需要について、関東地方では2020年までの新規需要は年平均で15万坪と想定している。インターネット通販の拡大基盤はより堅固になっており、プレーヤーの増加や、消費者へのアプローチやビジネスモデルも多様化し、裾野が急拡大していることから、新規供給の過半スペースはインターネット通販の拡大によって吸収されると想定できる見方は変わらない。また、アウトバウンドEコマース(越境EC)も本格的に立ち上がり始めており、越境EC事業者からの物流施設への需要拡大も期待できる。
■関西
?関西における大型先進物流施設の新規供給量は、2017年から2020年までの4年間で合計62.7万坪、年平均で15.7万坪と予想している。2004年から2016年までの年平均供給量と比べると2.9倍という高い水準の供給となる。2020年末での合計床面積は、2015年末比2.3倍の134万坪と予想している。市場規模でみると、首都圏の同床面積比で40%の水準となる。
図表3:関西における大型先進物流施設の新規供給量
[画像3: http://prtimes.jp/i/6263/169/resize/d6263-169-395027-2.jpg ]
関西における先進大型物流施設の賃料上昇率は、2016年以降2020年までの5年間で合計3.5%と予想している。インターネット通販を中心に旺盛な需要が予想されるものの、2017年から2018年の供給急増を背景に、2017年年央から2018年は空室率が10%台後半まで上昇すると予測されることから、賃料は踊り場となり、その後は上昇基調に戻ると分析している。
首都圏と同様に、前回の上昇率予測6.2%※5よりも今回の予測3.5%は低くなっている。関西内陸部における先進大型物流施設の新規供給はごく最近始まったばかりで、その供給量が2016年から2018年にかけて大きく伸び、新規プロジェクトにはテナントからの需要も強いことから、需要は全体の過半を占めるとみられている。一方、それ以外のエリアで新規需要がやや低調な状況が一部に出てきており、この部分を保守的に賃料予測に織り込んだことが、賃料上昇率を若干引き下げる要因となっている。
図表4:関西における大型先進物流施設のエリア別新規供給比率
[画像4: http://prtimes.jp/i/6263/169/resize/d6263-169-257366-3.jpg ]
2020年の予想月額賃料は坪当たり3,900円弱となり、よく言われた3,500円の水準は過去のものとなる。首都圏の賃料と比べてもその差は15%弱となり、オフィスなど他のカテゴリーと比べてもギャップは非常に小さい。
インターネット通販売上拡大分による関西における物流不動産の新規需要は、2020年までに年5万坪と想定している。供給面の制約で潜在化した需要や、既存施設からの大型施設への統合や移転需要が出てくることも十分ありえるとみており、上振れる可能性も十分ある。
JLLインダストリアル&リテール スペシャリスト 二瓶博和は次のように述べています。
「今回改めて2020年までの市場予測を見直しました。大型先進物流施設の供給が前回より上振れた首都圏と、かつてない高水準な供給となる関西ともに、賃料は堅調に推移することが確認できました。インターネット通販中心に需要は堅調で、「待てば賃料は下がる」状況の再来は期待しにくくなる中、適時適切な物流拠点戦略がますます重要になるとみています。将来の供給物件の中から早めに検討することも、より有効になるでしょう。」
【補足】
※1 首都圏: 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
※2 関西 : 大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、滋賀県、和歌山県
※3 JLLの大型先進物流施設の定義:延床面積50,000m2 以上で竣工が2000年以降の賃貸物流施設
※4 2015年12月7日発刊 「首都圏の物流不動産賃貸市場:揺籃期を脱し、確立・成長期に」レポート
※5 2016年4月14日発刊 「西の物流不動産賃貸市場:黎明から確立へ」レポート
「首都圏と関西の物流不動産賃貸市場」の詳細はwww.joneslanglasalle.co.jpをご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、包括的な不動産サービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。世界80ヵ国、従業員約60,000名、280超拠点で展開し、年間の手数料収入は約52億米ドル、総売上高は60億米ドルに上ります。2015度は、プロパティマネジメント及び企業向けファシリティマネジメントにおいて、約3億7,200万m2 (約1億1,200万坪)の不動産ポートフォリオを管理し、1,380億米ドルの取引を完了しました。JLLグループで不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネジメントは、総額591億米ドルの資産を運用しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。
JLLのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在16ヵ国、92事業所で34,000名超のスタッフを擁しています。JLLは、2016年インターナショナル・プロパティ・アワード・アジア・パシフィックにて、合計15の賞を受賞しました。2015年ユーロマネー・リアル・エステート・アワードでは、最優秀リアル・エステート・アバイザーに選出されました。詳細な情報はホームページをご覧下さい。www.joneslanglasalle.co.jp