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世界最大の古典『神曲』を、須賀敦子と藤谷道夫の師弟共訳による新訳で刊行!

新シリーズ「須賀敦子の本棚 全9巻」ついに刊行開始

須賀と愛弟子の共同作業が結実した画期的な新訳版『神曲』誕生!





大詩人ダンテが著した、世界最大の古典『神曲』を、須賀敦子と藤谷道夫の師弟共訳による新訳で刊行!
驚くべき新解釈満載!世界最大の古典があらたな姿で出現する。


[画像1: https://prtimes.jp/i/12754/170/resize/d12754-170-488086-2.jpg ]


河出書房新社(東京都渋谷区 代表取締役社長 小野寺優)は、〈須賀敦子没後20年記念出版〉新シリーズ「須賀敦子の本棚 全9巻」の刊行を開始、第1巻『神曲』を発売しました。

この新訳の元となった須賀訳は、おそらく須賀が40代のころ、自習用のノートに記されたものです。
1981年、須賀52歳のとき、藤谷が『神曲』を勉強したいと須賀のもとを訪れ、それから5年にわたって、藤谷は須賀の研究室で『神曲』を学ぶことになりました。ただ、その5年間に一度も、須賀はかつての自分の『神曲』訳を持ち出すことはなく、須賀が自習のためとはいえ、「地獄篇」と「煉獄篇」を全訳していたことを藤谷が知ったのは、須賀の没後でした。
須賀の教えで『神曲』のすばらしさに目覚めた藤谷は、その後フィレンツェ留学などを経つつダンテ研究に没頭し、いまや日本を代表するダンテ学者となりました。

その藤谷が今回、亡き師の教えを胸に、師の訳詩を補い、全世界の最新の研究成果を取り入れた詳細な注釈や解説を加え、大古典のまったく新しい世界を開きました。まさに師と愛弟子の共同作業が奇跡的に実を結んだ、類い稀な一冊です。


●本書巻末エッセイ「解説、というか読みかた指南/池澤夏樹」より
おずおずとした講読が最後には立派なダンテの専門家を生んだ。彼女が優れた師であり、彼が才能のある弟子であり、なによりも『神曲』が生涯をかけるに価するほど魅力的な文学であった。(中略)
この『神曲』、すなわち二人の共同作業でできあがった文体、藤谷がそれにつけた注釈ならびに解説はまこと瞠目に価する。注釈は彼の後の研究成果がもっぱらなのだろうが、それにしてもこの広さと深さには驚かざるを得ない。
「第一歌」の最初の一行から衝撃なのだ。
この訳で「人の世の歩みのちょうど半ばにあったとき」とある部分は、従来はダンテ自身が三十五歳、すなわち七十年と考えられていた寿命の半分の時と読まれてきた。しかしこの訳はこれを人類の歴史の中間点と読む。(中略)この点についての注釈と解説は周到で、ほうとため息をつくばかり。今まで自分は何を読んできたのだと考えてしまう。
その先には『神曲』ぜんたいの主題の見事な要約がある。


●『神曲』とは何か(本書巻末「『神曲』の理解のために/藤谷道夫」より)
*『神曲』は、文学作品(詩作品)と言うよりも百科全書的「文化の総体」と呼んだ方がふさわしい。このため、文学や歴史、哲学を始めとしてあらゆるジャンルの読者の興味を掻き立ててきた。
*警世の書として、ダンテは『神曲』を通して当時の社会の腐敗・堕落を痛烈に揶揄している。その批判の対象は聖職者であり、政治家であり、商人たちである。
*『神曲』は、神に至る精神の道のり、魂のルート・マップにも映るであろう。人が自己の悪と対峙しながら、自身の精神の深みへと降りてゆき、真の自分自身を見出す魂の救済の旅である。あるいは、人類の歴史の旅にも映る。
*『神曲』を読めば、旧約聖書と新約聖書およびギリシャ神話を読んだことになる。ダンテの時代、聖書はイタリア語で読むことはできなかった。しかし、『神曲』は聖書の主要な箇所すべてを網羅し、解説付きで作品に取り込んでいる。このため、『神曲』は最初のイタリア語訳聖書の役をなしている。『神曲』を読めば、ラテン語を知らない一般の人々も、新旧の聖書(キリスト教の根本)とギリシャ神話(西洋古典の粋)を読んだのと同じ知識が得られる。
*実はダンテは『神曲』を通して宗教改革とルネサンスを目指していたのである。ダンテが『神曲』をラテン語ではなく、イタリア語(トスカーナ方言)で書いた理由はまさにここにある。
*『神曲』はこれまで誰も書いたことのないような恋愛詩であり、永遠の片思いの詩である。

[画像2: https://prtimes.jp/i/12754/170/resize/d12754-170-150909-0.jpg ]


【書籍情報】
「須賀敦子の本棚 全9巻」
[第1回配本・第1巻]
書名:神曲 地獄篇 (第1歌〜第17歌)
著者名:ダンテ・アリギエーリ 須賀敦子/藤谷道夫 訳 注釈・解説=藤谷道夫
体裁:四六寸伸判/468ページ/本体:2900円(税別)
ISBN:9784309619910


※[須賀敦子の本棚・特設サイト]web.kawade.co.jp/bungei/1911/

【著訳者紹介】
ダンテ・アリギエーリ Dante Alighieri(1265〜1321)
ルネサンスをもたらしたフィレンツェ出身の詩人(イタリア語で著述)・学者(ラテン語で著述)。『神曲』の他に、『抒情詩集』、『新生』(韻文と散文の混淆作品)、『饗宴』(自身のカンツォーネの百科全書的解説)、『俗語詩論』(ラテン語による言語学と詩論)、『帝政論』(ラテン語による政治統治論)、『牧歌』(ラテン語による書簡詩)、『水陸論』(ラテン語による地学論文)があるが、さらにフランス語の『薔薇物語』をイタリア語で要約・翻案した『イル・フィオーレ』と『愛の物語』も若きダンテの作とみなされている。
[画像3: https://prtimes.jp/i/12754/170/resize/d12754-170-752632-1.jpg ]



須賀敦子(すが・あつこ)
1929年兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。53年よりパリ、ローマに留学、その後ミラノに在住。多くの日本文学をイタリア語に訳して紹介する。71年帰国後、慶應義塾大学で文学博士号取得、上智大学比較文化学部教授を務める。91年『ミラノ 霧の風景』で講談社エッセイ賞、女流文学賞を受賞。98年逝去。著書に『コルシア書店の仲間たち』『ヴェネツィアの宿』『トリエステの坂道』『ユルスナールの靴』など。訳書に『ウンベルト・サバ詩集』、N・ギンズブルグ『ある家族の会話』、A・タブッキ『インド夜想曲』、I・カルヴィーノ『なぜ古典を読むのか』など。没後『須賀敦子全集』(全8巻・別巻1)刊行。


藤谷道夫(ふじたに・みちお)
1958年生まれ。広島県出身。慶應義塾大学仏文科卒業。筑波大学大学院博士課程文芸・言語研究科文学専攻単位取得満期退学。学部・大学院時代の5年間、須賀敦子から個人的に『神曲』を学ぶ。須賀からフィレンツェを勧められてイタリア政府給費留学生としてフィレンツェ大学に留学。この留学がダンテのフィレンツェ方言の理解に大きな助けとなる。現、慶應義塾大学文学部教授。著書に『Shinkyoku, il canto divino. Leggere Dante in Oriente』『ダンテ『神曲』における数的構成』、訳書にM・マリエッティ『ダンテ』など。論文に“Dalla legge ottica alla poesia: la metamorfosi di «Purgatorio» XV 1-27” など。
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