小学校英語の成果は英語の音やリズムへの慣れ 中学校接続の課題は、小学校で充実していた「話す」時間の確保 〜 「小・中学校の英語教育に関する調査」結果速報〜
[11/12/05]
提供元:PRTIMES
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株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市、以下ベネッセ)では、2011年10月、全国の中学1年生 及びその母親2,688組を対象に、小学校での外国語活動(以降、「英語活動」と表記)の状況や、中学校入学後の英語教育の現状を把握するための調査を実施しました。主な調査結果は、以下のとおりです。
1.「小学校6年生の時に英語が好きだった」と答えた生徒は全体の約6割。このうち7割の生徒が、理由として「授業が楽しかったから」を選択している。また、中学1年生10月時点でも半数以上の生徒が「学校で学ぶ英語は好き」と答えている。
2.小学校の英語活動で身に付いたと思うこととして、「英語を聞くことに慣れた」「英語の音やリズムに慣れた」「外国人と接することに慣れた」を挙げている生徒が多い。
3.中学校に入ってから役立ったと思うもの、小学校卒業までにやっておきたかったと思ったことでは、「英語での簡単な会話」、アルファベットや英単語、英語の文の「読み・書き」が上位である。
4.中学校の英語の授業については概ね肯定的だが、「授業中に英語を話す時間が?なくなったこと」「外国人の先生(ALTなど)の授業が?なくなったこと」など、小学校で充実していた活動が中学校で減ったことに関して否定的である。
5.調査時点(中学1年生10月前半)の英語の学習動機で最も多かったのは、「英語のテストでいい点を取りたいから」だが、これに「英語をできるようになるのがうれしいから」「英語はこれからの国際社会で必要になると思うから」が続く。
※詳細な調査結果(数値)は、3ページ目以降に、「調査結果概要」として掲載している。
※1.〜5.の回答者数は、質問項目の設定により異なる。
(「調査結果概要」の各質問項目の横に回答者数を表記している)
小学校の英語活動を経験した生徒には、授業の楽しさから英語が好きになり、英語の音声への慣れなど、学習指導要領で掲げられている「外国語活動」のねらい通りの成果が見られます。また、中学校英語につながったものとしては、音声だけではなく英語の文字・単語・文の読み書きを挙げる生徒が多く、小・中学校の英語教育のつながりを考える上での課題であるといえます。
また、中学校の英語教育については、調査時点(中学1年生10月前半)での英語の授業に対する意識は概ね肯定的であり、英語が好きな生徒も多く、テストや入試だけではなく、英語自体への内発的な学習動機が強く現れています。しかし、授業の中で英語を話す時間やALTなどの授業が?ないことについては、小学校の英語活動で経験したこととのギャップもあるためか否定的です。学習内容が難しくなっていく中学1年生後半からの学習意欲を落とさないために、音声に慣れ親しんだ生徒たちへの授業の工夫が、中学校に求められています。
■調査概要
【時期】
2011年10月上旬
【対象・調査方法】
中学1年生、及びその母親 2,688組へのインターネット調査
*全231万人のモニター母集団のうち、30〜50歳で子どもを持つ既婚者女性、約24万人に対して予備調査を実施。
このうち、公立中学(国立、及び公立中高一貫校を除く)1年生の子どもを持つ母親及び子ども本人にアンケート協力を依頼(子どもは母親付き添いのもとで回答)。
*回答者の属性(回答者の居住地域の分布、母親の就業状況、世帯年収、子どもの授業理解度)に関して、他の公的統計等と照らし合わせた結果、以下の点で留意が必要である。
・居住地域では、東北・関東・北海道の回答者の割合がやや高め
・母親の就業状況では、専業主婦の比率が高め
・世帯年収、子どもの授業理解度等では、直接比較できるデータが?なかったが、 分析・考察に大きく影響を与えるほどの課題はなかった
【調査体制】
吉田 研作(上智大学教授)
長沼 君主(東京外国語大学専任講師)
沓澤 糸(Benesse教育研究開発センター主任研究員)
◆ご参考◆
【 Benesse 教育研究開発センターの活動/Benesse教育情報サイトでの情報提供について 】
Benesse教育研究開発センター(http://benesse.jp/berd/)では、今後も、時代の変化に即したテーマで調査や研究活動を行い、その結果を広く社会に開示することで、さまざまな方々との議論の輪を広げていきたいと考えています。
*「小・中学校の英語教育に関する調査(速報)」の詳細も、2012年1月より、こちらのサイトでご確認いただけます。
「Benesse教育情報サイト」(http://benesse.jp/)
ベネッセが保有する教育関連の各種データを公開しています。
■調査結果概要
1.小学校6年生の時に英語が好きだった」と答えた生徒は全体の約6割。このうち7割の生徒が、理由として「授業が楽しかったから」を選択している。また、中学1年生10月時点でも半数以上の生徒が「学校で学ぶ英語は好き」と答えている。
●学校の英語の好き嫌い(小学6年生の時)
小学6年生の時に「英語が好きだった」に対して、全体の62.9%の生徒が「そう思う(とても+まあ)」と回答している。調査時点(中学1年生10月)でも「学校の英語は好き」への肯定的な回答が半数を超える。
●学校の英語が好きだった理由(小学6年生の時)
小学6年生の時「英語が好きだった」と答えた生徒に、その理由を尋ねたところ、「授業が楽しかったから」を選択した生徒が73.3%に上った。
2.小学校の英語活動で身に付いたと思うこととして、「英語を聞くことに慣れた」「英語の音やリズムに慣れた」「外国人と接することに慣れた」を挙げている生徒が多い。
●小学校の英語活動で身に付いたと思うこと
「小学校の英語活動で身に付いたと思うこと」について、50.8%の生徒が「英語を聞くことに慣れたこと」と回答。「英語の音やリズムに慣れたこと」41.2%、「外国の人と接することに慣れたこと」35.9%がこれに続く。
3.中学校に入ってから役立ったと思うもの、小学校卒業までにやっておきたかったと思ったことでは、「英語での簡 単な会話」、アルファベットや英単語、英語の文の「読み・書き」が上位である。
●中学校に入ってから役立ったと思うもの
「中学校に入ってから役立ったと思うもの」については、「アルファベットを書くこと」41.0%、「アルファベットを読むこと」40.8%と最も多く、これに「英語での簡単な会話」34.4%が続く。
●小学校卒業までにやっておきたかったと思ったこと
「小学校卒業までにやっておきたかったと思ったこと」は、「英単語を書くこと」が33.1%と最も多く、「英語での簡単な会話」32.8%、「英単語を読むこと」26.9%、「英語の文を書くこと」26.7%がこれに続くなど、「読み・書き」の項目が上位に多い。
4.中学校の英語の授業については概ね肯定的だが、「授業中に英語を話す時間が少なくなったこと」「外国人の先生(ALTなど)の授業が少なくなったこと」など、小学校で充実していた活動が中学校で減ったことに関して否定的である。
●現在の英語の授業への意識
中学校の英語の授業への意識を尋ねたところ、ほとんどの項目で「よい」「まあよい」という肯定的回答が半数を超え、小学校に比べて学習の負担は増えるものの概ね肯定的にとらえている。しかし、「外国人の先生(ALTなど)の授業が?なくなったこと」23.0%(「よくない」+「あまりよくない」は65.4%)、「授業中に英語を話す時間が?ないこと」25.4%(「よくない」+「あまりよくない」は65.0%)など、小学校では充実していた活動が中学校で少なくなったことに対しては肯定的な回答が少ない。
5.調査時点(中学1年生10月前半)の英語の学習動機で最も多かったのは、「英語のテストでいい点を取りたいから」だが、これに「英語をできるようになるのがうれしいから」「英語はこれからの国際社会で必要になると思うから」が続く。
●英語の学習動機
82.4%の生徒が「英語のテストでいい点を取りたいから」を選択したが、他にも「英語をできるようになるのがうれしいから」70.9%、「英語はこれからの国際社会で必要となると思うから」が68.0%など、中学1年生の10月段階では内発的動機づけが強い生徒も多い。