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IBMが127量子ビットの画期的な量子プロセッサーを公開

・先鋭的なパッケージ技術を活用し、単体の量子プロセッサー上で初めて127量子ビットを提供
・新しいプロセッサーの公開により、量子システムの性能向上に向けたIBMの業界最先端のロードマップをさらに推進
・将来の量子プロセッサーを搭載する次世代量子システム IBM Quantum System Twoのシステム・デザインのプレビューを公開





[画像: https://prtimes.jp/i/46783/186/resize/d46783-186-ee087a3d30c309797ab0-0.jpg ]

[米国ニューヨーク州アーモンク - 2021年11月16日(現地時間)発] -- IBM(NYSE:IBM)は本日、量子ハードウェア、ソフトウェア、および量子エコシステムの拡大におけるマイルストーンを紹介するための年次イベントIBM Quantum Summit 2021( https://summit.quantum-computing.ibm.com/home )において、新しい127量子ビットの「Eagle」プロセッサーを発表しました。「Eagle」は量子物理学に基づいたデバイスで、大規模な計算を行える可能性を持った、画期的なプロセッサーです。これは、量子回路を古典コンピューターで正確にシミュレートできないハードウェアの開発という分岐点に達した、ということを示しています。またIBMは、次世代の量子システムであるIBM Quantum System Twoに向けた計画のプレビューも公開しています。

量子コンピューティングでは、原子より小さいレベルの物質における基本的な量子性を利用し、コンピューティング能力を大幅に向上させる可能性を提供します。量子コンピューティングの基本的な計算単位は、量子ビットの量子ゲートへの割り当てと測定といった量子回路です。量子プロセッサーの量子ビット数が増えるほど、より複雑で有益な量子回路を実行させることができます。

IBMは近年、量子ハードウェアのスケーリングにより、複雑な量子回路が、意味のある問題で量子システムが古典システムの性能を凌ぐ「量子優位性(Quantum Advantage)」に到達するための道筋を含む、量子コンピューティングの詳細なロードマップを公開しました。Eagleプロセッサーは、このスケーリングの道筋に沿った最新の段階です。

IBMは、規模、品質、および速度という3つのパフォーマンス属性を通して、量子コンピューティング・ハードウェアの進捗状況を評価します。規模は、量子プロセッサー上の量子ビット数で評価され、実行できる量子回路の大きさを決定します。品質は、量子ボリュームで評価され、実際の量子デバイス上で量子回路がどれだけ正確に稼働するかを表します。速度は、IBMが2021年11月に導入したCLOPS(Circuit Layer Operations Per Second)( https://research.ibm.com/blog/circuit-layer-operations-per-second )によって評価され、多数の量子回路で構成される実計算の実行可能性を表します。

127量子ビットのEagleプロセッサー
「Eagle」は、IBM初の100を超える実行可能で接続された量子ビットを持ち、使用可能な形で展開された量子プロセッサーです。2020年に公開した65量子ビットの「Hummingbird」プロセッサー、および2019年に公開した27量子ビットの「Falcon」プロセッサーの後継にあたります。この画期的進歩を達成するために、IBMの研究者は、エラーを低減するための量子ビット配置の設計や、必要なコンポーネント数を減らすためのアーキテクチャーといった、既存の量子プロセッサー開発を通じて得られたイノベーションをさらに発展させました。Eagleで導入された新しい技術は、量子ビットを単一層に配置したまま、制御のための配線を複数の層で行うものです。この手法を採用することによって、高い品質を維持しながら量子ビット数を大幅に増やすことができます。

量子ビット数の増加により、ユーザーは実験やアプリケーションの実行にあたり、新たなレベルで複雑な問題を探索することができるようになります。たとえば、機械学習の最適化や、エネルギー産業から創薬のプロセスに至るまでの分野で活用可能な、新しい分子や物質のモデリングなどが挙げられます。「Eagle」は、その規模が古典コンピューターで正確にシミュレートすることができないとされる、初めての量子プロセッサーです。実際に、127量子ビットのプロセッサー上の状態を表現するために必要な古典コンピューターのビット数は、現在生きている75億人を超える人々の原子の総数を上回っています。

IBMシニア・バイス・プレジデント、IBM Researchディレクターのダリオ・ギル(Darío Gil)は次のように述べています。「『Eagle』プロセッサーの登場は、量子コンピューターが実用的なアプリケーションにおいて、古典コンピューターの性能を凌駕する日に向けた大きな一歩です。量子コンピューティングには、ほぼあらゆる業界を変革する力があり、現代における最大の問題に取り組むことに役立つ力があります。だからこそ、IBMは迅速に量子ハードウェアとソフトウェアの設計を革新し、量子および古典コンピューティングのワークロードが相互に補完し合う方法を確立し、量子コンピューティング産業の成長に必要不可欠なグローバル・エコシステムを形成し続けるのです」

最初の「Eagle」プロセッサーは、IBM Quantum Network( https://www.ibm.com/quantum-computing/ibm-q-network/ )の一部メンバーに対し、実験的デバイスとしてIBM Cloud上で提供されています。

「Eagle」プロセッサーに関する技術的な詳細情報は、ブログ( https://www.ibm.com/blogs/think/jp-ja/ibm-quantum-eagle-breaks-the-100-qubit-barrier/ )をご覧ください。

IBM Quantum System Two
2019年に、IBMは世界初の統合された量子コンピューティング・システムであるIBM Quantum System Oneを発表しました。それ以来、IBMはこれらのシステムをクラウド経由で利用可能なIBM Quantumサービスの基盤として提供すると共に、ドイツのフラウンホーファー研究機構( https://research.ibm.com/blog/fraunhofer-quantum-system-one )や日本の東京大学( https://newsroom.ibm.com/2021-07-26-IBM-and-the-University-of-Tokyo-Unveil-Japans-Most-Powerful-Quantum-Computer )向けに稼働させました。また、10年間のDiscovery Accelerator パートナーシップの一環として、IBMでは初のオンプレミスの民間向け量子コンピューティング・システムを、アメリカのクリーブランド・クリニック( https://newsroom.ibm.com/2021-03-30-Cleveland-Clinic-and-IBM-Unveil-Landmark-10-Year-Partnership-to-Accelerate-Discovery-in-Healthcare-and-Life-Sciences )に近日設置する予定です。また本日、韓国ソウルの延世大学校とのパートナーシップを発表し、韓国初の量子システムとなるIBM Quantum System Oneを導入する予定です。詳しくは、こちら( https://newsroom.ibm.com/2021-11-16-IBM-and-Yonsei-University-Unveil-Collaboration-to-Bring-IBM-Quantum-System-One-to-Korea )をご覧ください。

IBMがプロセッサーの拡張を続けるにつれ、IBM Quantum System Oneの基盤を超える進化が期待されています。これを受け、IBMは新たな量子コンピューティングシステム、IBM Quantum System Twoのコンセプトを公開します。IBM Quantum System Twoは、IBMが今後開発を計画している433量子ビットと1,121量子ビットのプロセッサーで動作するように設計されています。

IBMフェローでQuantum Computing担当バイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ(Dr. Jay Gambetta)は次のように述べています。「IBM Quantum System Twoは、継続的な拡張に向けて、システム基盤のモジュラリティーや柔軟性が重要とされる、将来の量子コンピューティング・データセンターの片鱗をうかがわせるものです。System TwoはIBMの持つ量子と古典コンピューティング双方における伝統を継承し、技術スタックのどのレベルにおいても新しいイノベーションをもたらします」

IBM Quantum System Twoの中心にあるのは、モジュラリティーのコンセプトです。IBMがハードウェアのロードマップにおいて進化し、より大規模な量子ビットのプロセッサーを開発するにあたり、制御ハードウェアのスケーリングに必要とされる柔軟性とリソースが備わっていることがますます重要になります。必要とされるリソースには、ユーザーが量子ビットの操作を可能にする制御装置や、量子ビットが量子特性を発揮できる低温環境を維持するための極低温冷却システムなどがあります。

IBM Quantum System Twoの設計は、拡張性のある新世代の量子ビット制御装置と共に、高密度の極低温部品とケーブルを組み込みます。さらに、IBM Quantum System Twoは、Blueforsと共同で設計した、これまでにない革新的な構造設計を特徴とする、新しい極低温プラットフォームを導入します。このプラットフォームによって、より大規模なプロセッサーを搭載するのに必要となるハードウェアの収容スペースを最大化すると共に、エンジニアがハードウェアに容易にアクセスして修理を行うことが可能になります。

また、この新しい設計は、より大規模で共有可能な極低温の稼働環境を提供できる可能性を高め、最終的には複数の量子プロセッサーを接続できる可能性へとつながります。IBM Quantum System Twoのプロトタイプは、2023年に稼働を開始する予定です。

IBMの将来の方向性および指針に関する記述は、予告なく変更または撤回する場合があります。これらは目標および目的を提示するためにのみ使用しています。

IBM Researchについて
詳しくは、https://www.ibm.com/jp-ja/quantum-computingを参照してください。

当報道資料は、2021年11月16日(現地時間)にIBM Corporationが公開したプレスリリースの抄訳です。原文は下記URL(英語)を参照ください。
https://newsroom.ibm.com/2021-11-16-IBM-Unveils-Breakthrough-127-Qubit-Quantum-Processor

商標
IBM、IBM ロゴ、ibm.com、IBM Cloudは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corp.の商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、http://www.ibm.com/legal/copytrade.shtml (US)をご覧ください。
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