えっ、それって本当? 経済学的思考で常識は変わる! 『図解 90分でわかる経済のしくみ』発売です!
[18/03/26]
提供元:PRTIMES
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この度、株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン(取締役社長:干場 弓子、本社:東京都千代田区)より『図解 90分でわかる経済のしくみ』が発売されました。
人間は経済的な動物だと言われるほど、私たちの生活には経済が関わっています。しかし、そのわりには、私たちが経済について直観的に抱いている理解や解釈が、見当違いである場合がよくあります。本書では、基本的なことなのに誤解されやすいことを、解りやすくまとめてあります。ちょっと驚いてしまうような経済学的思考をいくつか紹介しましょう。
[画像: https://prtimes.jp/i/18193/211/resize/d18193-211-680313-0.jpg ]
倒産は必ずしも悪いことではない?!
20世紀終盤の社会主義国家の崩壊の要因として、経済効率の悪さがあげられる。例えば、国営企業では倒産はありえないため、放漫経営に陥ってもその状態に終止符を打つことができないのだ。一方、資本主義では常に効率を考えて経営しないと競争に敗れ、最悪の場合、倒産の憂き目にあうのだが、国レベルで見れば、倒産することで企業の新陳代謝が進み経済が活性化するという側面がある。
ちなみに、現在まで生き残っている社会主義国の中国とベトナムは、経済面では資本主義的な制度を取り入れてきた。そして、真っ先に取り入れたのが、国営企業が倒産できる法制度だ。莫大な借金をしても決して倒産できなかった、国営企業の悪循環を終わらせることで再出発を可能にしたのだ。
ところで、日本の地方自治体には倒産の定めがないのはご存じだろうか。そのため、負債を抱えた自治体は何十年かかってでも、その返済をしなければならないのだ。自己責任という問題もあるのだが、企業と同じように清算して、再出発できる制度を検討してもいいかもしれない。
産油国はなぜ先進国になれないのか?
中東には、石油産出によって莫大なお金が入ってくる国々がある。その桁違いの金満ぶりはお馴染みだが、そんな産油国は、なぜ先進国というにはほど遠い状態なのであろうか? その原因のひとつに、石油の輸出によって自国通貨が高くなり、他の輸出産業が育ちにくい点があげられる。
また、産油国は中東諸国やロシアなど強権国家が多いのも特徴だ。つまり、権力者が利権を握り、民主主義や経済活動の自由度が制限されて、経済成長の芽が摘まれてしまうのだ。
もし仮に、日本が産油国だったとしたら、どのような国になっていただろう。ひょっとしたら、これほどの経済発展は成し得なかったかもしれない。
財政赤字が悪いとは限らない
いまや、国の財政赤字は大きな問題として捉えられている。しかし、経済学的にみると、赤字は必ずしも悪ではない。そもそも、これは政府の借金であり、あなたの借金ではないはずだ。よく「国の借金」と言うが、それは国民と政府を同一視するような誤解をまねく表現といえるのだ。極端な話、外国籍を取得し外国に移住すれば、まったく関係のない話になってしまうのだから。
財政赤字で問題になるのは返済不能に陥ることだが、日本政府が国債を円で発行している限り、原則的にそれはありえない。政府はその分増税できるし、最後の手段として円紙幣をどんどん印刷することもできるのだ。もちろん、円の価値が暴落する危険と引き換えではある。
また、別の見方をすると、日本国債を買っているのは日本人がほとんどだから、結果的に国民の金融資産が増えていることになる。つまり、政府の赤字と民間の黒字を突き合わせれば、だいたいトントンの状態に落ち着くのだ。
ただし、ここまではあくまでも経済学の原則論にすぎない。当然ながら、国の借金は次世代を含めて豊かな社会をつくるために有効活用される必要がある。将来に生かされない支出をしていては、まったく意味が無くなってしまうのだ。
貿易収支の本当の意味
トランプ大統領は米国の貿易赤字を問題視し、輸入品の関税率を増やす計画を発表した。そして、その対象国の中には、対抗措置を検討する国が出はじめている。多くの人は貿易赤字を嫌い、貿易黒字を好んでいるようだ。つまり、黒字が貯まったり、金の準備高が増えると国力が増した気になるのだが、実はこの考え方は「重商主義」といって、主流派経済学がとうの昔に捨て去った考え方なのだ。
16世紀のスペインは中南米から大量の金を略奪したが、結果的に国内はインフレの嵐となった。モノやサービスの供給が変わらないのに貨幣、金が増えた結果だ。つまり、国富とは紙幣や金ではなく、人が生み出すモノやサービスなのだ。
貿易収支とはモノの輸出入のことだが、現代はサービスや金融の国際間取引の方が活発なため、これらを含めた経常収支を物差しにすることが多くなった。そして、国内供給が追いつかないほど国内需要が旺盛な国は、外国からの輸入が増え結果的に赤字となる。逆に、国内で生産するよりも需要が少ない国は、黒字になるわけだ。こうなると、需要が旺盛な赤字国の経済のほうが、活発とみなすことができるはずだ。
仮に、すべての国が黒字を目指した場合、輸入制限競争になって世界経済が沈滞するは明らかだ。そもそも、どこかの国が黒字になれば、必ずどこかの国が赤字になるのは当然だ。そして、それが健全な姿であり、活発な貿易そのものが経済の活性化につながるのだ。赤字だ、黒字だと結果をあまり心配することは意味をなさない。実際、21世紀に入ってからの米国や英国の経常収支はほとんど赤字が続いているが、どちらも高めの経済成長率を維持しているのは事実である。
本書の項目
1章 「モノの値段」から学ぶ経済の基本
2章 経済学の目で世の中を見てみよう
3章 政治と経済の関係はどうなっているのか?
著者プロフィール
長瀬勝彦(ながせ かつひこ)
首都大学東京大学院社会科学研究科教授。1961年岩手県遠野市生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。東京大学博士(経済学)。主な著書に『意思決定のマネジメント』(東洋経済新報社)、『意思決定のストラテジー』(中央経済社)、『あなたがお金で損をする本当の理由』(日経ビジネス人文庫)、訳書に『行動意思決定論』(M.H.ベイザーマン& D.A.ムーア著、白桃書房)など。
【書籍情報】
タイトル:図解 90分でわかる経済のしくみ
定価:1400円(税別)
発売日:2018年3月25日
ISBN: 978-4-7993-2246-8
判型:四六判・ソフトカバー/ 200ページ
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ディスカヴァーサイト:http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799322468
【販売サイト】
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/479932246X
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/15390620/
セブンネットショッピング:https://7net.omni7.jp/detail_isbn/9784799322468
ディスカヴァーサイト:http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799322468
人間は経済的な動物だと言われるほど、私たちの生活には経済が関わっています。しかし、そのわりには、私たちが経済について直観的に抱いている理解や解釈が、見当違いである場合がよくあります。本書では、基本的なことなのに誤解されやすいことを、解りやすくまとめてあります。ちょっと驚いてしまうような経済学的思考をいくつか紹介しましょう。
[画像: https://prtimes.jp/i/18193/211/resize/d18193-211-680313-0.jpg ]
倒産は必ずしも悪いことではない?!
20世紀終盤の社会主義国家の崩壊の要因として、経済効率の悪さがあげられる。例えば、国営企業では倒産はありえないため、放漫経営に陥ってもその状態に終止符を打つことができないのだ。一方、資本主義では常に効率を考えて経営しないと競争に敗れ、最悪の場合、倒産の憂き目にあうのだが、国レベルで見れば、倒産することで企業の新陳代謝が進み経済が活性化するという側面がある。
ちなみに、現在まで生き残っている社会主義国の中国とベトナムは、経済面では資本主義的な制度を取り入れてきた。そして、真っ先に取り入れたのが、国営企業が倒産できる法制度だ。莫大な借金をしても決して倒産できなかった、国営企業の悪循環を終わらせることで再出発を可能にしたのだ。
ところで、日本の地方自治体には倒産の定めがないのはご存じだろうか。そのため、負債を抱えた自治体は何十年かかってでも、その返済をしなければならないのだ。自己責任という問題もあるのだが、企業と同じように清算して、再出発できる制度を検討してもいいかもしれない。
産油国はなぜ先進国になれないのか?
中東には、石油産出によって莫大なお金が入ってくる国々がある。その桁違いの金満ぶりはお馴染みだが、そんな産油国は、なぜ先進国というにはほど遠い状態なのであろうか? その原因のひとつに、石油の輸出によって自国通貨が高くなり、他の輸出産業が育ちにくい点があげられる。
また、産油国は中東諸国やロシアなど強権国家が多いのも特徴だ。つまり、権力者が利権を握り、民主主義や経済活動の自由度が制限されて、経済成長の芽が摘まれてしまうのだ。
もし仮に、日本が産油国だったとしたら、どのような国になっていただろう。ひょっとしたら、これほどの経済発展は成し得なかったかもしれない。
財政赤字が悪いとは限らない
いまや、国の財政赤字は大きな問題として捉えられている。しかし、経済学的にみると、赤字は必ずしも悪ではない。そもそも、これは政府の借金であり、あなたの借金ではないはずだ。よく「国の借金」と言うが、それは国民と政府を同一視するような誤解をまねく表現といえるのだ。極端な話、外国籍を取得し外国に移住すれば、まったく関係のない話になってしまうのだから。
財政赤字で問題になるのは返済不能に陥ることだが、日本政府が国債を円で発行している限り、原則的にそれはありえない。政府はその分増税できるし、最後の手段として円紙幣をどんどん印刷することもできるのだ。もちろん、円の価値が暴落する危険と引き換えではある。
また、別の見方をすると、日本国債を買っているのは日本人がほとんどだから、結果的に国民の金融資産が増えていることになる。つまり、政府の赤字と民間の黒字を突き合わせれば、だいたいトントンの状態に落ち着くのだ。
ただし、ここまではあくまでも経済学の原則論にすぎない。当然ながら、国の借金は次世代を含めて豊かな社会をつくるために有効活用される必要がある。将来に生かされない支出をしていては、まったく意味が無くなってしまうのだ。
貿易収支の本当の意味
トランプ大統領は米国の貿易赤字を問題視し、輸入品の関税率を増やす計画を発表した。そして、その対象国の中には、対抗措置を検討する国が出はじめている。多くの人は貿易赤字を嫌い、貿易黒字を好んでいるようだ。つまり、黒字が貯まったり、金の準備高が増えると国力が増した気になるのだが、実はこの考え方は「重商主義」といって、主流派経済学がとうの昔に捨て去った考え方なのだ。
16世紀のスペインは中南米から大量の金を略奪したが、結果的に国内はインフレの嵐となった。モノやサービスの供給が変わらないのに貨幣、金が増えた結果だ。つまり、国富とは紙幣や金ではなく、人が生み出すモノやサービスなのだ。
貿易収支とはモノの輸出入のことだが、現代はサービスや金融の国際間取引の方が活発なため、これらを含めた経常収支を物差しにすることが多くなった。そして、国内供給が追いつかないほど国内需要が旺盛な国は、外国からの輸入が増え結果的に赤字となる。逆に、国内で生産するよりも需要が少ない国は、黒字になるわけだ。こうなると、需要が旺盛な赤字国の経済のほうが、活発とみなすことができるはずだ。
仮に、すべての国が黒字を目指した場合、輸入制限競争になって世界経済が沈滞するは明らかだ。そもそも、どこかの国が黒字になれば、必ずどこかの国が赤字になるのは当然だ。そして、それが健全な姿であり、活発な貿易そのものが経済の活性化につながるのだ。赤字だ、黒字だと結果をあまり心配することは意味をなさない。実際、21世紀に入ってからの米国や英国の経常収支はほとんど赤字が続いているが、どちらも高めの経済成長率を維持しているのは事実である。
本書の項目
1章 「モノの値段」から学ぶ経済の基本
2章 経済学の目で世の中を見てみよう
3章 政治と経済の関係はどうなっているのか?
著者プロフィール
長瀬勝彦(ながせ かつひこ)
首都大学東京大学院社会科学研究科教授。1961年岩手県遠野市生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。東京大学博士(経済学)。主な著書に『意思決定のマネジメント』(東洋経済新報社)、『意思決定のストラテジー』(中央経済社)、『あなたがお金で損をする本当の理由』(日経ビジネス人文庫)、訳書に『行動意思決定論』(M.H.ベイザーマン& D.A.ムーア著、白桃書房)など。
【書籍情報】
タイトル:図解 90分でわかる経済のしくみ
定価:1400円(税別)
発売日:2018年3月25日
ISBN: 978-4-7993-2246-8
判型:四六判・ソフトカバー/ 200ページ
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ディスカヴァーサイト:http://www.d21.co.jp/shop/isbn9784799322468
【販売サイト】
Amazon:https://www.amazon.co.jp/dp/479932246X
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/15390620/
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