アストラゼネカのアカラブルチニブ(Calquence)、慢性リンパ性白血病患者さんに対する長期有効性と忍容性を2つの臨床試験で示す
[20/06/22]
提供元:PRTIMES
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ACE-CL-001試験では、4年以上経過後も未治療患者さんの全奏効率は97%、持続的安全性プロファイルを示す。ASCEND試験では、アカラブルチニブによる治療を受けた再発または難治性患者さんの82%が18ヵ月時点で無増悪生存状態を維持、対照群では48%にとどまる。
本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年6月12日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、6月12日、第II相ACE-CL-001試験および第III相ASCEND試験の詳細データから、最も一般的な成人白血病の1つである慢性リンパ性白血病(CLL)に対して、Calquence(R)(以下、アカラブルチニブ)が長期にわたる有効性および忍容性が示されたことを発表しました (1,2,3)。
これらの試験データは、2020年6月11日から14日にバーチャル形式で開催された第25回欧州血液学会(EHA)年次総会にて発表されました。
単一群を対象としたACE-CL-001試験では、1次治療における単剤療法としてアカラブルチニブによる治療を受けたCLL患者さんの86%が、中央値4年以上の追跡期間において治療を継続していました。この試験の全奏効率は97%(完全奏効:7%、部分奏効:90%)で、遺伝子変異(17p欠失およびTP53突然変異)、免疫グロブリンH鎖遺伝子(IGHV)非変異、および複雑核型を含む高リスクを有する患者さんのサブグループにおいては100%の全奏効率を示しました。なお、安全性所見では新たな長期的問題は認められませんでした (1,4)。
加えてASCEND試験の最終データ解析では、試験対象となった再発性または難治性CLL患者さんのうち、18ヵ月時点で生存かつ病勢進行も認められなかった患者さんの割合が、アカラブルチニブ投与群では82%だったのに対し、リツキシマブとidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群では48%でした (2)。本試験は、中間データ解析時点において、独立判定委員会(IRC)の評価による無増悪生存期間の主要評価項目を、すでに ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019062501.html ) 達成しています (5)。
Weill Cornell Medicine CLL Research Centerの所長であるRichard R. Furman氏は次のように述べています。「2つの試験データによって、アカラブルチニブにおいて新たな安全上の問題がないことが示され、未治療および再発または難治性の患者さんに対して意味のある長期的な臨床的ベネフィットを提供できることが確認されました。このアカラブルチニブの安全性プロファイルにより、病勢進行まで治療継続することが患者さんにとって重要かつ妥当なものになったと言えます」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「この長期データは、CLL患者さんに対して良好な安全性プロファイルを有するアカラブルチニブが持続的な奏効をもたらすことを裏付けています。CLL患者さんは概して70歳以上で合併症を有しており、加えて長期にわたって治療を必要とすることが多いため、持続的な安全性および有効性プロファイルは患者さんのQOLに直結します」。
第II相ACE-CL-001試験結果は、第III相ELEVATE TN試験の開発における情報データとなっており、第III相ELEVATE TN試験を第III相ASCEND試験のデータに併用することで、CLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんに対するアカラブルチニブの米国での承認 ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019120901.html ) につながりました。
未治療CLLにおけるアカラブルチニブ:第II相試験から4.4年間の追跡調査(抄録#S163)
第II相ACE-CL-001試験では、CLLの未治療患者さんにおけるアカラブルチニブ(100mgを1日2回投与 [n=62] または200mgを1日1回投与 [n=37])の安全性および有効性を検討しました1。2015年5月1日時点で、200mg 1日1回投与法を受けてきた患者さんが100mg 1日2回投与法に切り替えられました (1)。
[画像1: https://prtimes.jp/i/24308/211/resize/d24308-211-926208-0.jpg ]
奏効率は、高リスク(IGHV [n=57] 非変異、17p欠失 [n=9]、TP53変異 [n=9]、および複雑核型 [n=12])を有する患者さんの各サブグループ内で100%であり、リンパ節病変の縮小が全患者さん(n=97)で認められました (1)。
データカットオフ時点で、アカラブルチニブ投与群の患者さん85例(86%)が治療を継続していました。6例の患者さんが有害事象(AEs)のために治療を中止し、3例の患者さんが病勢進行(PD)のために治療を中止しました。出血、高血圧、心房細動のためにアカラブルチニブ投与を中止した患者さんはいませんでした。有害事象の発現率は、概ね試験の経過とともに低下しました。試験で最も多く認められた有害事象(40%以上)は、下痢(52%)、頭痛(45%)、上気道感染症(44%)、関節痛(42%)、挫傷(42%)でした。全グレードおよびグレード3以上の注目すべき有害事象は、感染症(それぞれ84%および15%)、出血(66%、3%)、高血圧(22%、11%)、白血球減少(9%、9%)、および血小板減少症(3%、1%)でした。心房細動(全グレード)は患者さんの5%に発現し、そのうちグレード3以上は2%でした。非黒色腫皮膚がん(全グレード)を除く二次性悪性腫瘍(SPM)は、患者さんの11%に認められました (1)。重篤な有害事象(SAEs)は患者さんの38%で報告されました。2例以上の患者さんに発現した重篤な有害事象は、肺炎(n=4)および敗血症(n=3)でした (1)。
再発または難治性CLLにおけるアカラブルチニブの第III相ASCEND試験最終データ(抄録#S159II)
ASCEND試験は、無作為化多施設非盲検国際共同第III相試験です。本試験では、再発または難治性CLL患者さんを対象に、アカラブルチニブ(100mgを1日2回投与)の有効性および安全性を、治験担当医師の選択によりリツキシマブ+Idelalisib(IdR)またはベンダムスチン(BR)との比較において検討しました (2)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/24308/211/resize/d24308-211-922943-1.jpg ]
患者さんのうち、アカラブルチニブ投与群の16%、IdR投与群の56%、およびBR投与群の17%が有害事象のため治療を中止しました。本試験のアカラブルチニブ投与群において、グレードにかかわらず患者さんの15%超に発現した主な有害事象は、頭痛(22%)、リンパ球減少(21%)、下痢(20%)、上気道感染症(20%)、咳嗽(16%)、貧血(16%)でした。アカラブルチニブ投与群と比較対照群に発現した注目すべき有害事象は、心房細動(全グレード、それぞれ6%および3%)、大出血(重篤な出血、グレード3以上の出血、あらゆるグレードのCNS(中枢神経系)出血:全グレード、アカラブルチニブ投与群、比較対照群とも3%)、感染症(グレード≧3、それぞれ20%および25%)、および非黒色腫皮膚がんを除くSPM(全グレード、それぞれ5%および2%)でした。重篤な有害事象(全グレード)は、アカラブルチニブ投与群の33%、IdR投与群の56%、およびBR投与群の26%に発現しました (2)。
※アカラブルチニブ、Idelalisibは本邦未承認です。
以上
*****
慢性リンパ性白血病(CLL)について
CLLは成人白血病において最も患者数が多く、2016年には世界で新たに105,000例、2020年には米国で新たに21,040例が診断されており、患者数は治療の発展に伴い増加するとみられています (3,6,7,8)。CLLでは、骨髄中の過剰な造血幹細胞が異常なリンパ球となり、これらの異常細胞によって、感染症に対する防御力が低下することが知られています (3)。異常細胞数が増えるに従い、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため (3)、貧血、感染および出血を引き起こす可能性があります (3)。BTKを通るB細胞受容体のシグナルは、CLLの基本的な増殖情報伝達経路の一つです。
アカラブルチニブ(Calquence)について
アカラブルチニブは、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。アカラブルチニブはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します (4,9)。B細胞内においてBTKシグナルは、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています4。
アカラブルチニブは9カ国で成人CLL患者さんの治療薬として、14カ国で少なくとも1回の前治療歴のあるマントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者さんの治療薬として承認されています。また、米国でのMCLに対する適応は、全奏効率に基づいた迅速承認取得を受けて承認されています。本適応症に対する継続的な承認は、確認試験による臨床的ベネフィットの検証および説明が条件となる可能性があります。広範な臨床開発プログラムの一環として、現在、アストラゼネカとAcerta Pharmaでは、アカラブルチニブについて、23の臨床試験を実施しています。アカラブルチニブは、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫、およびその他の血液悪性腫瘍を含む複数のB細胞性の血液がんの治療薬として開発中です。
アストラゼネカにおける血液がん領域について
がん領域における強みを活かし、アストラゼネカは血液がんを4つの重点がん疾患領域のひとつとして確立しました。当社の血液がんフランチャイズは米国FDAにより承認された2つの治療薬と血液がん治療薬候補の広範なポートフォリオのための強固なグローバル開発プログラムを有しています。Acerta Pharmaはアストラゼネカの血液がん領域における中核的研究開発拠点としての役割を果たしています。アストラゼネカはアンメットニーズに応えるために治療薬の創薬および開発を進展させるため、志を同じくするサイエンス志向の企業と提携しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたOncologyを成長基盤として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。
アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca. (英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Byrd JC, et al. Acalabrutinib in Treatment-Naïve Chronic Lymphocytic Leukemia: Mature Results From Phase 2 Study Demonstrating Durable Remissions and Long-Term Tolerability. Abstract S163 presented at the Virtual Edition of the 15th European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
2. Ghia P, et al. Acalabrutinib (Acala) vs Idelalisib plus Rituximab (IdR) or Bendamustine plus Rituximab (BR) in Relapsed/Refractory (R/R) Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL): ASCEND Final Results. Abstract S159 presented at the Virtual Edition of the 15th European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
3. National Cancer Institute. Chronic Lymphocytic Leukemia Treatment (PDQ(R))–Patient Version. Available online. Accessed June 2020.
4. Calquence (acalabrutinib) [prescribing information]. Wilmington, DE; AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2019.
5. Ghia P, et al. ASCEND Phase 3 Study of Acalabrutinib vs Investigator’s Choice of Rituximab Plus Idelalisib (IdR) or Bendamustine (BR) in Patients with Relapsed/Refractory (R/R) Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL). Abstract LB2606 at the 2019 European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
6. Global Burden of Disease Cancer Collaboration. Global, Regional, and National Cancer Incidence, Mortality, Years of Life Lost, Years Lived With Disability, and Disability-Adjusted Life-Years for 29 Cancer Groups, 1990 to 2016. JAMA Oncol. 2018;4(11):1553-1568.
7. American Cancer Society. Key Statistics for Chronic Lymphocytic Leukemia. Available online. Accessed June 2020.
8. Jain N, et al. Prevalence and Economic Burden of Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL) in the Era of Oral Targeted Therapies. Blood. 2015;126:871.
9. Wu J, Zhang M & Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).
本資料はアストラゼネカ英国本社が2020年6月12日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、6月12日、第II相ACE-CL-001試験および第III相ASCEND試験の詳細データから、最も一般的な成人白血病の1つである慢性リンパ性白血病(CLL)に対して、Calquence(R)(以下、アカラブルチニブ)が長期にわたる有効性および忍容性が示されたことを発表しました (1,2,3)。
これらの試験データは、2020年6月11日から14日にバーチャル形式で開催された第25回欧州血液学会(EHA)年次総会にて発表されました。
単一群を対象としたACE-CL-001試験では、1次治療における単剤療法としてアカラブルチニブによる治療を受けたCLL患者さんの86%が、中央値4年以上の追跡期間において治療を継続していました。この試験の全奏効率は97%(完全奏効:7%、部分奏効:90%)で、遺伝子変異(17p欠失およびTP53突然変異)、免疫グロブリンH鎖遺伝子(IGHV)非変異、および複雑核型を含む高リスクを有する患者さんのサブグループにおいては100%の全奏効率を示しました。なお、安全性所見では新たな長期的問題は認められませんでした (1,4)。
加えてASCEND試験の最終データ解析では、試験対象となった再発性または難治性CLL患者さんのうち、18ヵ月時点で生存かつ病勢進行も認められなかった患者さんの割合が、アカラブルチニブ投与群では82%だったのに対し、リツキシマブとidelalisibまたはベンダムスチンの併用療法群では48%でした (2)。本試験は、中間データ解析時点において、独立判定委員会(IRC)の評価による無増悪生存期間の主要評価項目を、すでに ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019062501.html ) 達成しています (5)。
Weill Cornell Medicine CLL Research Centerの所長であるRichard R. Furman氏は次のように述べています。「2つの試験データによって、アカラブルチニブにおいて新たな安全上の問題がないことが示され、未治療および再発または難治性の患者さんに対して意味のある長期的な臨床的ベネフィットを提供できることが確認されました。このアカラブルチニブの安全性プロファイルにより、病勢進行まで治療継続することが患者さんにとって重要かつ妥当なものになったと言えます」。
アストラゼネカのオンコロジー研究開発エグゼクティブバイスプレジデントであるJosé Baselgaは次のように述べています。「この長期データは、CLL患者さんに対して良好な安全性プロファイルを有するアカラブルチニブが持続的な奏効をもたらすことを裏付けています。CLL患者さんは概して70歳以上で合併症を有しており、加えて長期にわたって治療を必要とすることが多いため、持続的な安全性および有効性プロファイルは患者さんのQOLに直結します」。
第II相ACE-CL-001試験結果は、第III相ELEVATE TN試験の開発における情報データとなっており、第III相ELEVATE TN試験を第III相ASCEND試験のデータに併用することで、CLLまたは小リンパ球性リンパ腫(SLL)患者さんに対するアカラブルチニブの米国での承認 ( https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2019/2019120901.html ) につながりました。
未治療CLLにおけるアカラブルチニブ:第II相試験から4.4年間の追跡調査(抄録#S163)
第II相ACE-CL-001試験では、CLLの未治療患者さんにおけるアカラブルチニブ(100mgを1日2回投与 [n=62] または200mgを1日1回投与 [n=37])の安全性および有効性を検討しました1。2015年5月1日時点で、200mg 1日1回投与法を受けてきた患者さんが100mg 1日2回投与法に切り替えられました (1)。
[画像1: https://prtimes.jp/i/24308/211/resize/d24308-211-926208-0.jpg ]
奏効率は、高リスク(IGHV [n=57] 非変異、17p欠失 [n=9]、TP53変異 [n=9]、および複雑核型 [n=12])を有する患者さんの各サブグループ内で100%であり、リンパ節病変の縮小が全患者さん(n=97)で認められました (1)。
データカットオフ時点で、アカラブルチニブ投与群の患者さん85例(86%)が治療を継続していました。6例の患者さんが有害事象(AEs)のために治療を中止し、3例の患者さんが病勢進行(PD)のために治療を中止しました。出血、高血圧、心房細動のためにアカラブルチニブ投与を中止した患者さんはいませんでした。有害事象の発現率は、概ね試験の経過とともに低下しました。試験で最も多く認められた有害事象(40%以上)は、下痢(52%)、頭痛(45%)、上気道感染症(44%)、関節痛(42%)、挫傷(42%)でした。全グレードおよびグレード3以上の注目すべき有害事象は、感染症(それぞれ84%および15%)、出血(66%、3%)、高血圧(22%、11%)、白血球減少(9%、9%)、および血小板減少症(3%、1%)でした。心房細動(全グレード)は患者さんの5%に発現し、そのうちグレード3以上は2%でした。非黒色腫皮膚がん(全グレード)を除く二次性悪性腫瘍(SPM)は、患者さんの11%に認められました (1)。重篤な有害事象(SAEs)は患者さんの38%で報告されました。2例以上の患者さんに発現した重篤な有害事象は、肺炎(n=4)および敗血症(n=3)でした (1)。
再発または難治性CLLにおけるアカラブルチニブの第III相ASCEND試験最終データ(抄録#S159II)
ASCEND試験は、無作為化多施設非盲検国際共同第III相試験です。本試験では、再発または難治性CLL患者さんを対象に、アカラブルチニブ(100mgを1日2回投与)の有効性および安全性を、治験担当医師の選択によりリツキシマブ+Idelalisib(IdR)またはベンダムスチン(BR)との比較において検討しました (2)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/24308/211/resize/d24308-211-922943-1.jpg ]
患者さんのうち、アカラブルチニブ投与群の16%、IdR投与群の56%、およびBR投与群の17%が有害事象のため治療を中止しました。本試験のアカラブルチニブ投与群において、グレードにかかわらず患者さんの15%超に発現した主な有害事象は、頭痛(22%)、リンパ球減少(21%)、下痢(20%)、上気道感染症(20%)、咳嗽(16%)、貧血(16%)でした。アカラブルチニブ投与群と比較対照群に発現した注目すべき有害事象は、心房細動(全グレード、それぞれ6%および3%)、大出血(重篤な出血、グレード3以上の出血、あらゆるグレードのCNS(中枢神経系)出血:全グレード、アカラブルチニブ投与群、比較対照群とも3%)、感染症(グレード≧3、それぞれ20%および25%)、および非黒色腫皮膚がんを除くSPM(全グレード、それぞれ5%および2%)でした。重篤な有害事象(全グレード)は、アカラブルチニブ投与群の33%、IdR投与群の56%、およびBR投与群の26%に発現しました (2)。
※アカラブルチニブ、Idelalisibは本邦未承認です。
以上
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慢性リンパ性白血病(CLL)について
CLLは成人白血病において最も患者数が多く、2016年には世界で新たに105,000例、2020年には米国で新たに21,040例が診断されており、患者数は治療の発展に伴い増加するとみられています (3,6,7,8)。CLLでは、骨髄中の過剰な造血幹細胞が異常なリンパ球となり、これらの異常細胞によって、感染症に対する防御力が低下することが知られています (3)。異常細胞数が増えるに従い、健全な白血球、赤血球および血小板が減少するため (3)、貧血、感染および出血を引き起こす可能性があります (3)。BTKを通るB細胞受容体のシグナルは、CLLの基本的な増殖情報伝達経路の一つです。
アカラブルチニブ(Calquence)について
アカラブルチニブは、次世代の選択的ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤です。アカラブルチニブはBTKに共有結合することでその阻害作用を発揮します (4,9)。B細胞内においてBTKシグナルは、B細胞の増殖、輸送、走化、および接着に必要な情報伝達系の活性化を引き起こすことが知られています4。
アカラブルチニブは9カ国で成人CLL患者さんの治療薬として、14カ国で少なくとも1回の前治療歴のあるマントル細胞リンパ腫(MCL)の成人患者さんの治療薬として承認されています。また、米国でのMCLに対する適応は、全奏効率に基づいた迅速承認取得を受けて承認されています。本適応症に対する継続的な承認は、確認試験による臨床的ベネフィットの検証および説明が条件となる可能性があります。広範な臨床開発プログラムの一環として、現在、アストラゼネカとAcerta Pharmaでは、アカラブルチニブについて、23の臨床試験を実施しています。アカラブルチニブは、CLL、MCL、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、濾胞性リンパ腫、およびその他の血液悪性腫瘍を含む複数のB細胞性の血液がんの治療薬として開発中です。
アストラゼネカにおける血液がん領域について
がん領域における強みを活かし、アストラゼネカは血液がんを4つの重点がん疾患領域のひとつとして確立しました。当社の血液がんフランチャイズは米国FDAにより承認された2つの治療薬と血液がん治療薬候補の広範なポートフォリオのための強固なグローバル開発プログラムを有しています。Acerta Pharmaはアストラゼネカの血液がん領域における中核的研究開発拠点としての役割を果たしています。アストラゼネカはアンメットニーズに応えるために治療薬の創薬および開発を進展させるため、志を同じくするサイエンス志向の企業と提携しています。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカはオンコロジー領域において歴史的に深い経験を有しており、患者さんの人生と当社の将来を変革する可能性のある新薬ポートフォリオを数多く保有しています。2014年から2020年までの期間に発売を予定する少なくとも6つの新薬、および低分子・バイオ医薬品の広範な開発パイプラインを有する当社は、肺がん、卵巣がん、乳がんおよび血液がんに焦点を当てたOncologyを成長基盤として進展させることに注力しています。中核となる成長基盤に加え、当社は、Acerta Pharma社を介した血液学領域への投資に象徴されるような、戦略を加速する革新的な提携および投資についても積極的に追求していきます。
アストラゼネカは、がん免疫治療、腫瘍ドライバー遺伝子変異と耐性メカニズム、DNA損傷修復および抗体薬物複合体の4つの科学的基盤を強化し、個別化医療を推し進める併用療法の開発に挑戦し続けることでがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器・自己免疫疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca. (英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. Byrd JC, et al. Acalabrutinib in Treatment-Naïve Chronic Lymphocytic Leukemia: Mature Results From Phase 2 Study Demonstrating Durable Remissions and Long-Term Tolerability. Abstract S163 presented at the Virtual Edition of the 15th European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
2. Ghia P, et al. Acalabrutinib (Acala) vs Idelalisib plus Rituximab (IdR) or Bendamustine plus Rituximab (BR) in Relapsed/Refractory (R/R) Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL): ASCEND Final Results. Abstract S159 presented at the Virtual Edition of the 15th European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
3. National Cancer Institute. Chronic Lymphocytic Leukemia Treatment (PDQ(R))–Patient Version. Available online. Accessed June 2020.
4. Calquence (acalabrutinib) [prescribing information]. Wilmington, DE; AstraZeneca Pharmaceuticals LP; 2019.
5. Ghia P, et al. ASCEND Phase 3 Study of Acalabrutinib vs Investigator’s Choice of Rituximab Plus Idelalisib (IdR) or Bendamustine (BR) in Patients with Relapsed/Refractory (R/R) Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL). Abstract LB2606 at the 2019 European Hematology Association (EHA) Annual Meeting. Available online. Accessed June 2020.
6. Global Burden of Disease Cancer Collaboration. Global, Regional, and National Cancer Incidence, Mortality, Years of Life Lost, Years Lived With Disability, and Disability-Adjusted Life-Years for 29 Cancer Groups, 1990 to 2016. JAMA Oncol. 2018;4(11):1553-1568.
7. American Cancer Society. Key Statistics for Chronic Lymphocytic Leukemia. Available online. Accessed June 2020.
8. Jain N, et al. Prevalence and Economic Burden of Chronic Lymphocytic Leukemia (CLL) in the Era of Oral Targeted Therapies. Blood. 2015;126:871.
9. Wu J, Zhang M & Liu D. Acalabrutinib (ACP-196): a selective second-generation BTK inhibitor. J Hematol Oncol. 2016;9(21).