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【大阪工業大学】海の宝石に着想得た新発光材料を開発

集まると光り、力加減で光の強さが変化




 大阪工業大学(学長:井上晋)応用化学科の平井智康准教授と台湾・国立陽明交通大学の李明家准教授らの研究グループは、「海の宝石」とも称される夜光虫に着想を得た新たな発光材料を開発しました。集まると光り、力の加減で光り方が変化する特徴があり、未来の光電子デバイスや3Dディスプレーなどへの応用が期待されます。

【本件のポイント】
 ● 夜光虫の幻想的な光に着想を得た新たな発光材料を開発
 ● 柔らかいプラスチックを使い、力の加減で光の強さを変えられる
 ● 将来の光電子デバイスや3Dディスプレーなどへの応用が期待
[画像: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/140284/227/140284-227-928a99518e624c5ca10a3b6386fe503e-1176x884.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
開発した発光材料。引っ張った部分が青く光っている。偏光顕微鏡で撮影


 自然界には多くの生物発光現象が存在しています。海洋ではクラゲやエビ、イカなどが発光器官を用いて光を放ち、浜辺では夜光虫の青白く輝く光を見ることができます。夜光虫の発光現象は、波や風などの外的刺激を受けることで体内にある発光物質「ルシフェリン」と酵素「ルシフェラーゼ」が反応することに起因し、幻想的な光は「ブルーティアーズ(青い涙)」や「海の宝石」などと呼ばれています。
 このブルーティアーズに着想を得て、平井准教授らは非共役・非芳香族※1のシロキサン系高分子を使った円偏光発光※2材料の開発に世界で初めて成功しました。
 天然アミノ酸であるシステインのキラリティー※3を利用し、柔らかいプラスチックの骨組み(直鎖状ポリシロキサン主鎖)にシステイン由来の素材組み込むことで、安定したらせん構造を作り出すことに成功しました。この高分子は、「クラスター誘起円偏光発光」と呼ばれる発光メカニズムにより、効率よく光らせることができます。
 従来の発光材料に多く見られる環境毒性や凝集誘起消光※4といった課題を回避できる点も、本材料の大きな特長です。更に、圧縮や伸長などの機械的刺激にも強く、分子の集合状態に起因する可逆的光学活性の変調※5を示すことから、力の加減で光の強さを変化できる新しいキラルフォトニクス材料として注目されます。
 本成果は、次世代キラル光電子デバイス、3Dディスプレー、バイオメディカルイメージング、スマートセンシング材料などへの応用展開が期待され、機械制御型キラル発光材料の新たな設計指針を提供するものです。
 本研究は、国立研究開発法人エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のムーンショット型研究事業(JPNP18016)、JSPS科研費(JP22K05245)により推進され、米国化学会(ACS)の化学系トップオープンアクセスジャーナルである「JACS Au」に掲載されました。

URL:https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/jacsau.5c01533
用語説明
 ※1 共役:
   二重結合や三重結合などの多重結合が単結合を挟んで交互に並んでいる構造のこと。分子の中で
   電子が自由に動き回ることができるため、多くの「光る分子」はこの構造を持っている。
   芳香族:
   ベンゼン環と呼ばれる非常に安定した構造を持つ有機化合物のグループ。蛍光やリン光を発する
   性質を持つものがある。
 ※2 円偏光:
   発光する時に右回りか左回りか、らせんを描くように振動する光。太陽光などの自然光には、右
   円偏光と左円偏光が等量に含まれている。
 ※3キラリティー:
   物質の特性を表す概念。自分自身の鏡像と重ね合わせることができない分子を「キラル」とい
   い、その性質をキラリティーという。右手と左手は鏡像関係にあるが、重ね合わせることができ
   ないのでキラルになる。鏡像と重ね合わせることのできる物体や分子は「アキラル」と呼ぶ。キ
   ラリティーを持つ物質や構造が光の性質にどのような影響を与えるかという研究が「キラルフォ
   トニクス」。
 ※4 凝集誘起消光:
   薄い溶液の中では強く光るけれど、高濃度になると分子が積み重なって光らなくなること。
 ※5 分子の集合状態に起因する可逆的光学活性の変調:
   分子そのものは変わらず、集まり方が変わるだけで、光に対する性質が元に戻ったり変わったり
   する現象。

論文情報
論文名 Non-Conjugated Linear Polysiloxane with Cluster-Triggered Circularly Polarized
    Luminescence
   (和訳:クラスタートリガー円偏光発光を示す非共役直鎖ポリシロキサン)

著者名 Hao-Cheng Yu, Tomoki Mure, Towa Shinoda, Chi-Shan Lu, Kai Terami,
    Shunsuke Morii, Shih-Han Li, Tomoyasu Hirai*, Ming-Chia Li*
    *は責任著者

雑誌名  JACS Au

DOI  10.1021/jacsau.5c01533

公表日  2026年1月13日(オンライン公開)
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