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エボラ出血熱:リベリアで新規症例減少――国際社会は流行の変化に合わせた対応継続を




西アフリカのリベリアでは、過去数週にわたり、エボラ出血熱の新規症例数が減少傾向にあるが、流行終息には程遠く、国内各地で新たな感染の発生が続いている。国境なき医師団(MSF)は、国際社会の支援がこうした流行の変化に適切に応じられなければ、これまでのエボラ対策の成果も損なうことになると警鐘を鳴らしている。

<症例数、再上昇の恐れあり>

症例数の増加が続く隣国ギニアとシエラレオネとは異なり、リベリアでは今回の流行発生以来、MSFは初めて入院者数の減少を確認した。現在、首都モンロビアで運営している250床のエボラ治療センター「ELWA3」でも治療中の患者数は約50人にとどまっている。北部のフォヤでは10月30日に患者数がゼロになってから、11月9日までに新たな確定症例はない。ただ、症例数が再び上昇する恐れはある。ギニアのMSF施設では、相当数の入院患者の減少が過去2回見られたが、いずれもその後増加に転じている。

MSFで活動責任者を務めるファシル・テゼラは「リベリアでは国際支援がようやく軌道に乗り始めました。資金投入が始まり、大規模隔離施設の建設に向けてヒトとモノが投入されています。モンロビアその他地域にある既存隔離施設のキャパシティも拡充されたところです。このまま速やかな対応を続け、エボラを封じ込めるにはその戦略を見直さなければなりません。優先すべきは、新たな流行への即応と、通常の保健医療サービスの安全な再開を可能にする、これまで以上に柔軟な戦略です」と話す。

MSFの見解では、機動力のある装備の整ったチームを迅速に派遣し、積極的に流行発生地の調査を行い、包括的な対策を講じることが望ましい。この対策には患者の隔離、発症者と接触した人の追跡、安全な葬儀の執り行い、ウイルスに汚染された空間の消毒、地域社会との連携も含まれる。

MSF緊急対応コーディネーターのニコ・ハイエンベルフ医師は「フォヤではこうした包括的な手法と、地域社会の積極的な参画が、継続的な症例数減少に寄与しているのでしょう。医療活動が受け入れられて、エボラの拡大抑止に奏功するためには、地元からの信頼と理解が大変重要です」と語る。

<基礎的な保健医療サービスの再開もエボラ対策の重要な要素>

リベリアの保健医療体制はエボラ流行により、実質的に崩壊してしまった。多くの病院・診療所が閉鎖され、診療を続ける施設もエボラに対する恐怖から発熱や嘔吐の見られる患者は受け入れていない。MSFは、マラリアの予防・治療薬を大量配布するとともに、ベッド数200床の国営救済病院わきにエボラ検査所を設置し、同病院の安全な再開を支援するなど、モンロビアでの活動を軌道修正している。

「この検査所設置のように、一般の保健医療施設における感染制御策の実践が急がれます。エボラの拡大を抑止し、本来は予防可能な病気や合併症の放置による人命の損失を避けるためです。エボラ対策のための国際支援金は大部分が、特定の活動分野に使途を制限されています。ですが、各国の資金拠出者も活動実践を担う機関・団体も、その資源を柔軟に投入し、最も必要とされるところで活用できるようにすべきでしょう」と、ハイエンベルフ医師は指摘する。

ギニア、リベリア、シエラレオネにおけるMSFのエボラ流行対策では、合計約3300人が現地で活動に携わり、合計6ヵ所のエボラ治療センターと2ヵ所の1次受入施設を運営。マリでも、MSFチーム1班が同国保健省に技術支援を提供している。今回の流行発生当からこれまでにMSFが対応した患者数は5600人を超える。
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