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エボラ出血熱:感染したMSFの米国人医師が回復し退院




国境なき医師団(MSF)の医師でエボラ出血熱と診断されていたクレイグ・スペンサーが11月11日、ニューヨーク市のベルビュー病院を退院した。同医師は西アフリカのギニアにおける任務中にエボラウイルスに感染していた。

米国疾病対策センター(CDC)の確定検査に基づき、スペンサー医師の治療を担当するチームは身体からウイルスが駆逐され、既に伝染性はないと判断した。スペンサー医師は10月23日、MSF米国事務局に発熱を報告、事務局が即時にニューヨーク市保健精神衛生局に取り次ぎ、間もなくベルビュー病院に搬送。同病院での検査でエボラ感染が確認された後入院した。

MSFの米国事務局長ソフィー・デロネーは「クレイグの回復はこの上ない喜びです。そして、ベルビュー病院の治療チームによる素晴らしい治療に大変感謝しています。エボラ流行は依然として西アフリカを席巻し、対策に携わる医療援助スタッフの継続的な協力が求められています。この危機的事態には、医療援助スタッフ・一般市民双方の取り組みが必要です。クレイグが実践したように、医療スタッフは帰国後、自身の健康監視に細心の注意を払わなければなりません。その一方で、市民の皆様にはそうした有志の援助スタッフを非難するばかりか、威嚇するようなことは控えていただきたいのです」と訴える。

MSFスタッフがエボラウイルスに感染した場合は必ず徹底的な調査が行われ、必要に応じて、医療安全指針も改訂される。MSFスタッフの感染例の大半は、医療施設ではなくスタッフの居住地域で発生したことがわかっている。スペンサー医師の事例は現在も調査継続中だ。

西アフリカのギニアでエボラ流行が公式に宣言された3月22日以来、域内で4959人が亡くなり、1万3263人が感染。過去最大の流行となり、現在もギニア、リベリア、シエラレオネの3ヵ国を苦しめている。

MSFは、隔離環境を備えたベッド合計約600床を備えたエボラ治療センター6ヵ所と、1次受入施設2ヵ所を運営。流行発生以来、通算700人余りの外国人スタッフを現地に派遣し、感染の確認された約3500人を含む5600人余りの患者を受け入れてきた。このうち約1400人がエボラを克服している。医療の提供に加え、MSFは医療スタッフの研修、感染制御策支援、感染者と接触した人の追跡調査、疫学的監視、家庭向けの感染予防・住宅消毒用キットの配布、葬儀のための安全対策も行っている。

また、リベリアでは約30万人を対象とした抗マラリア薬の大量配布を開始した。これは従来医療の機会が極めて限られていた首都モンロビアの人口過密の最貧地区における罹患・死亡例の低減を目指すものであり、保健医療施設でのエボラ感染リスクを軽減する目的もある。
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