「新入社員時のビジネススタンスと成果の関係」に関する研究結果を公開
[19/08/27]
提供元:PRTIMES
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株式会社リンクアンドモチベーション(本社:東京都中央区、代表:小笹芳央、証券コード:2170、以下当社)の研究機関 モチベーションエンジニアリング研究所は、2010年から2018年の新入社員497名に対して、「ビジネススタンスと成果の関係」に関する調査を行いましたので、結果を報告いたします。
[画像1: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-396142-0.jpg ]
■調査背景
当社では、ビジネスパーソンに求められる能力を人材要件フレーム(※)として定義しており、新入社員の成長の土台作りとして、スキル開発よりもまずはスタンス形成が重要だと提唱してきた。しかし、効果が見えづらいスタンスよりも、すぐに現場で使えるスキルを新入社員には身に付けてほしいという声があるのも事実である。そこで今回、これまで定性的にしか語られてこなかったスタンス形成の効果について定量的な調査を行った。
[画像2: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-835215-1.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-149088-2.png ]
■調査概要
【調査対象】
当社の2010~2018年度新卒入社者:計497名
【調査方法】
1.当社が保有するビジネススタンスサーベイ注1)により新入社員のスタンスをスコア化
-入社半年後・1年後・1年半後の時点で計3回サーベイを実施
2.上記サーベイ結果と人事評価注2)を紐づけし関係を調査
注1)サーベイ呼称:ダーウィンサーベイ
注2) 「パフォーマンス」「ストレッチ」の2項目による絶対評価
パフォーマンス:業績・組織への貢献度合い
ストレッチ:個人の成長・変化度合い
<ビジネススタンスサーベイ詳細>
当社では、新入社員に求められる「ビジネススタンス」をSay・Target・Action・Roleplay(以下STAR)と定義している。ビジネススタンスサーベイは、STARをさらに分類した8領域/40項目に関する全84問で構成される(表1)。
40項目に対して「どのくらい求めているか(=期待度)」「どのくらい満足しているか(=満足度)」を職場上司・メンバーがそれぞれ回答することでスコアが算出される。
※期待度・満足度は5段階で回答
※上司版・メンバー版でそれぞれ結果を算出
表1. ビジネススタンスサーベイの質問項目
[画像4: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-565533-3.jpg ]
■調査結果
1.新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与える。
・ビジネススタンスサーベイを実施した期(当期)では、スコアが高いほど人事評価も高くなる傾向があった。
・サーベイ実施の3か月後から2年後においても、当期ほどではないものの、スコアが高いほど人事評価が高くなる傾向にあった。
・これより、新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与えることが明らかになった。
図2. ビジネススタンスサーベイのスコアと各時期の人事評価との関係
[画像5: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-374246-4.jpg ]
2.新入社員のスタンス形成には、単発の研修だけでなく、継続的なフィードバックが求められる。
そのためには、半年に1回程度スタンス形成の状況を可視化することが望ましい。
・3回のサーベイを通してスコアは大きく向上しており、特に2回目(入社1年後)から3回目(入社1年半後)の期間の上昇幅が大きい。
・スコアの標準誤差を見ると、3回目(入社1年半後)の結果が一番ばらつきが小さい。これより、1年以上同じ観点でフィードバックをすることは、新入社員全体の底上げに繋がると考えられる。
・以上から、新入社員のスタンス形成には、単発の研修だけでなく、継続的なフィードバックが求められる。そのためには、半年に1回程度スタンス形成の状況を可視化することが望ましい。
[画像6: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-740387-5.jpg ]
3.スタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要である。
その後、成長に応じて周囲への視野拡大と協働を促していくことが効果的だと考えられる。
・サーベイ1回目で、スコアの上昇に相関の高い項目は、「発信性」「目的性」「効率性」「確動性」に集中していた。ここから、スタンス形成の初期段階では、特にSay、Target、Actionが重要であることが明らかになった。
・サーベイ3回目はSay、Actionの項目の相関係数が低下し、Target、Roleplayに関する項目の相関が高い結果となった。
・以上から、スタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要だと言える。その後、成長に応じて周囲への視野拡大と協働を促していくことが効果的だと考えられる。
▼ビジネススタンスサーベイの実施回ごとにスコアと各40項目の相関係数を表2に示し、相関係数が0.7以上(強い相関)の項目に色付けを行った。
表2. ビジネススタンスサーベイ実施回数毎のスコアと各項目の相関係数
[画像7: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-888474-6.jpg ]
■結論
新入社員時のスタンス形成は、その後の成果に好影響を与える。スタンス形成には、単発の研修だけでなく、職場での継続的なフィードバックや、スタンス形成の順序を意識した育成が重要である。
ビジネススタンスサーベイにおけるスコアと成果(人事評価)の関係を調査した結果から、新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与えることが明らかになった。この結果によって、スキル開発とスタンス形成の優先順位付けには至らなかったものの、新入社員育成においてスタンス形成を行うことの重要性が定量的にも示された。さらに今回の調査結果から、スタンス形成において重視するべきポイントが示唆された。 それは、スタンス形成では単発の研修のみならず、半年に一回程度新入社員の状況を把握し、職場での継続的なフィードバックを行うことが重要だということである。また、新入社員のスタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要だということが明らかになった。上司だけでなく、普段協働しているメンバーからの働きかけがあるとより効果的だと考える。本調査では新入社員のスタンス形成の重要性を定量的に示したことに加えて、そのスタンス形成の方法について有益な示唆を得ることが出来た。
しかし、新入社員の即戦力化に唯一絶対の正解はなく、今後も様々な議論が交わされていくだろう。一方で共通して言えることは、どのような新入社員育成施策を行っていくにしても、育成効果を定着させるためには、単発の研修という「点」の施策だけではなく、継続的な「線」での施策が重要だということである。また上司だけでなく職場として「面」で新入社員を育成することも共通して重要だと言えるのではないだろうか。
■現場責任者のコメント
働き方改革に伴う生産性向上要請の高まりから、多くの企業において新入社員の即戦力化の重要度は増しています。弊社では創業当初から新入社員研修を企業様に提供していますが、新入社員が早期に成長・活躍するためには土台となるスタンス形成が欠かせないものの、業務に直結する分かりやすいスキルではないため、「重要性は感じるが、どこまで注力すべきか分からない」というお悩みを多くお聞きしてきました。そのような企業にとって、今回の分析を通じてスタンス形成と成果の相関が認められたこと、またその形成プロセスについて示唆が得られたことは、大きな意味があります。事業成果につながる人材開発という意味でも、本レポートをきっかけに新入社員時のスタンス形成の重要性が見直され、その強化が進むことを期待したいと思います。
[画像8: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-251332-7.jpg ]
<プロフィール>
冨樫 智昭(とがし ともあき)
株式会社リンクアンドモチベーション カンパニー長
2004年東京大学卒業後、リンクアンドモチベーション入社。
2017年に、大手企業向け新規事業推進組織立ち上げに参画。
2018年には、大手企業向け組織人事コンサルティング部門 カンパニー長に就任。
メーカー・金融・インフラ・サービスなど様々な企業の組織変革プロジェクトを統括。
■リンクアンドモチベーションについて
・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証一部)
・本社:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 12階
・創業:2000年4月
・リンクアンドモチベーショングループの事業構造
組織開発ディビジョン(コンサル・アウトソース事業、イベント・メディア事業)
個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングディビジョン(ALT配置事業、人材紹介・派遣事業)
ベンチャー・インキュベーション
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■調査背景
当社では、ビジネスパーソンに求められる能力を人材要件フレーム(※)として定義しており、新入社員の成長の土台作りとして、スキル開発よりもまずはスタンス形成が重要だと提唱してきた。しかし、効果が見えづらいスタンスよりも、すぐに現場で使えるスキルを新入社員には身に付けてほしいという声があるのも事実である。そこで今回、これまで定性的にしか語られてこなかったスタンス形成の効果について定量的な調査を行った。
[画像2: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-835215-1.png ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-149088-2.png ]
■調査概要
【調査対象】
当社の2010~2018年度新卒入社者:計497名
【調査方法】
1.当社が保有するビジネススタンスサーベイ注1)により新入社員のスタンスをスコア化
-入社半年後・1年後・1年半後の時点で計3回サーベイを実施
2.上記サーベイ結果と人事評価注2)を紐づけし関係を調査
注1)サーベイ呼称:ダーウィンサーベイ
注2) 「パフォーマンス」「ストレッチ」の2項目による絶対評価
パフォーマンス:業績・組織への貢献度合い
ストレッチ:個人の成長・変化度合い
<ビジネススタンスサーベイ詳細>
当社では、新入社員に求められる「ビジネススタンス」をSay・Target・Action・Roleplay(以下STAR)と定義している。ビジネススタンスサーベイは、STARをさらに分類した8領域/40項目に関する全84問で構成される(表1)。
40項目に対して「どのくらい求めているか(=期待度)」「どのくらい満足しているか(=満足度)」を職場上司・メンバーがそれぞれ回答することでスコアが算出される。
※期待度・満足度は5段階で回答
※上司版・メンバー版でそれぞれ結果を算出
表1. ビジネススタンスサーベイの質問項目
[画像4: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-565533-3.jpg ]
■調査結果
1.新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与える。
・ビジネススタンスサーベイを実施した期(当期)では、スコアが高いほど人事評価も高くなる傾向があった。
・サーベイ実施の3か月後から2年後においても、当期ほどではないものの、スコアが高いほど人事評価が高くなる傾向にあった。
・これより、新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与えることが明らかになった。
図2. ビジネススタンスサーベイのスコアと各時期の人事評価との関係
[画像5: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-374246-4.jpg ]
2.新入社員のスタンス形成には、単発の研修だけでなく、継続的なフィードバックが求められる。
そのためには、半年に1回程度スタンス形成の状況を可視化することが望ましい。
・3回のサーベイを通してスコアは大きく向上しており、特に2回目(入社1年後)から3回目(入社1年半後)の期間の上昇幅が大きい。
・スコアの標準誤差を見ると、3回目(入社1年半後)の結果が一番ばらつきが小さい。これより、1年以上同じ観点でフィードバックをすることは、新入社員全体の底上げに繋がると考えられる。
・以上から、新入社員のスタンス形成には、単発の研修だけでなく、継続的なフィードバックが求められる。そのためには、半年に1回程度スタンス形成の状況を可視化することが望ましい。
[画像6: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-740387-5.jpg ]
3.スタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要である。
その後、成長に応じて周囲への視野拡大と協働を促していくことが効果的だと考えられる。
・サーベイ1回目で、スコアの上昇に相関の高い項目は、「発信性」「目的性」「効率性」「確動性」に集中していた。ここから、スタンス形成の初期段階では、特にSay、Target、Actionが重要であることが明らかになった。
・サーベイ3回目はSay、Actionの項目の相関係数が低下し、Target、Roleplayに関する項目の相関が高い結果となった。
・以上から、スタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要だと言える。その後、成長に応じて周囲への視野拡大と協働を促していくことが効果的だと考えられる。
▼ビジネススタンスサーベイの実施回ごとにスコアと各40項目の相関係数を表2に示し、相関係数が0.7以上(強い相関)の項目に色付けを行った。
表2. ビジネススタンスサーベイ実施回数毎のスコアと各項目の相関係数
[画像7: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-888474-6.jpg ]
■結論
新入社員時のスタンス形成は、その後の成果に好影響を与える。スタンス形成には、単発の研修だけでなく、職場での継続的なフィードバックや、スタンス形成の順序を意識した育成が重要である。
ビジネススタンスサーベイにおけるスコアと成果(人事評価)の関係を調査した結果から、新入社員時のスタンス形成は、その後数年間の成果に好影響を与えることが明らかになった。この結果によって、スキル開発とスタンス形成の優先順位付けには至らなかったものの、新入社員育成においてスタンス形成を行うことの重要性が定量的にも示された。さらに今回の調査結果から、スタンス形成において重視するべきポイントが示唆された。 それは、スタンス形成では単発の研修のみならず、半年に一回程度新入社員の状況を把握し、職場での継続的なフィードバックを行うことが重要だということである。また、新入社員のスタンス形成の初期段階では目的意識の醸成に加えて、率直な発信と行動を促すことが重要だということが明らかになった。上司だけでなく、普段協働しているメンバーからの働きかけがあるとより効果的だと考える。本調査では新入社員のスタンス形成の重要性を定量的に示したことに加えて、そのスタンス形成の方法について有益な示唆を得ることが出来た。
しかし、新入社員の即戦力化に唯一絶対の正解はなく、今後も様々な議論が交わされていくだろう。一方で共通して言えることは、どのような新入社員育成施策を行っていくにしても、育成効果を定着させるためには、単発の研修という「点」の施策だけではなく、継続的な「線」での施策が重要だということである。また上司だけでなく職場として「面」で新入社員を育成することも共通して重要だと言えるのではないだろうか。
■現場責任者のコメント
働き方改革に伴う生産性向上要請の高まりから、多くの企業において新入社員の即戦力化の重要度は増しています。弊社では創業当初から新入社員研修を企業様に提供していますが、新入社員が早期に成長・活躍するためには土台となるスタンス形成が欠かせないものの、業務に直結する分かりやすいスキルではないため、「重要性は感じるが、どこまで注力すべきか分からない」というお悩みを多くお聞きしてきました。そのような企業にとって、今回の分析を通じてスタンス形成と成果の相関が認められたこと、またその形成プロセスについて示唆が得られたことは、大きな意味があります。事業成果につながる人材開発という意味でも、本レポートをきっかけに新入社員時のスタンス形成の重要性が見直され、その強化が進むことを期待したいと思います。
[画像8: https://prtimes.jp/i/6682/232/resize/d6682-232-251332-7.jpg ]
<プロフィール>
冨樫 智昭(とがし ともあき)
株式会社リンクアンドモチベーション カンパニー長
2004年東京大学卒業後、リンクアンドモチベーション入社。
2017年に、大手企業向け新規事業推進組織立ち上げに参画。
2018年には、大手企業向け組織人事コンサルティング部門 カンパニー長に就任。
メーカー・金融・インフラ・サービスなど様々な企業の組織変革プロジェクトを統括。
■リンクアンドモチベーションについて
・代表取締役会長:小笹 芳央
・資本金:13億8,061万円
・証券コード:2170(東証一部)
・本社:東京都中央区銀座6-10-1 GINZA SIX 12階
・創業:2000年4月
・リンクアンドモチベーショングループの事業構造
組織開発ディビジョン(コンサル・アウトソース事業、イベント・メディア事業)
個人開発ディビジョン(キャリアスクール事業、学習塾事業)
マッチングディビジョン(ALT配置事業、人材紹介・派遣事業)
ベンチャー・インキュベーション