コネクテッド・インダストリーズが目指す日本の産業界の未来像
[17/10/20]
提供元:PRTIMES
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イノベーションワークショップ2017「Connected Industries〜第四次産業革命のその先へ」第1回
フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は9月20日に、イノベーションワークショップ2017の第1回を開催しました。
本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「Connected Industries〜第四次産業革命のその先へ」をテーマに、日本の未来のあるべき姿として、国が実現を目指している産業社会「コネクテッド・インダストリーズ」がどのような社会なのかを紐解きながら、企業や業界が互いにつながり、データを利活用することで生まれる新しいビジネスモデルや付加価値について、全3回にわたって議論していきます。
[画像: https://prtimes.jp/i/4374/241/resize/d4374-241-566273-0.jpg ]
【開催概要】
講演者:経済産業省大臣官房秘書課課長補佐 神田 啓史
(前 経済産業政策局産業再生課課長補佐)
テーマ:コネクテッド・インダストリーズが目指す日本の産業界の未来像
コ―ディネータ:国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター所長 前川 徹
日 時:2017年9月20日(水)18:00〜20:30
会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)
【講演概要】
◆ 2030年代の日本が目指すべき社会
経済産業省は2017年5月、2030年代の日本のあるべき将来像を示した「新産業構造ビジョン」をまとめた。IoT、AI(人工知能)、ロボティックスなどの革新的な技術を活用した成長戦略を示し、こうした新たな技術によるイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることによって、様々な社会課題を解決する社会「Society 5.0」の実現を目指している。そのためには経済成長が欠かせない。日本の産業力強化に向けて、新たな産業の在り方として打ち出したのが「Connected Industries」という概念だ。“つながる産業”という名のとおり、インターネット上だけでなく、現実の世界に存在するモノとモノ、人と機械・システム、企業と企業などあらゆるものがつながることで新しい付加価値を生み出す産業社会を目指す。背景には、米国やドイツが先行している第四次産業革命への危機感がある。
第四次産業革命の第一幕であるサイバー空間での市場競争では、Google、Apple、Facebook、Amazonなど米国のIT企業がいち早くデータを集める仕組みをつくり、プラットフォームを確立した。現在も圧倒的な主導権を握っている。一方、ドイツは国家戦略として「インダストリー4.0」を推進し、基幹産業である製造業の強化を図っている。こうした動きを受け、経産省が次なる一手として学識者や企業経営者とともに2年間かけて作り上げたのが、「新産業構造ビジョン」だ。日本の強みと弱みを見つめ直し、勝ち筋と戦略を明確に描き出した。今後は官民が一体となり「Connected Industries」を推し進めていく。
◆ リアルな世界で勝ち抜くための戦略
社会のデジタル化が進むなか、競争の舞台はインターネットの世界から、リアルな世界に移りつつある。とくにディープラーニング(深層学習)というAI技術が飛躍的に進化したことで、ビジネス展開の幅が広がり、これまでの業界の枠を越えた産業構造転換が起きつつある。たとえば自動車産業では、いまや開発の中心は電気自動車(EV)に加え、AIを搭載した自動運転車だ。GoogleをはじめIT系企業が相次いで参入し、開発競争にしのぎを削っている。また航空機のエンジンや医療機器などを手掛ける米GEは、IoTで取得した膨大なデータの分析サービスを展開し、製造業からサービス業への転換を果たした。このようにリアルとネットの融合が進んでおり、業界の枠を越えた競争が激しくなっている。
今後主戦場となるリアルな世界での競争を勝ち抜くには、どれだけ大量のデータを取得し、いかにソフトウエアとハードウエアを融合できるかが大きな鍵を握る。そこに日本企業の勝機があると考えている。理由は3つある。1つめは、リアルデータを取得しやすい点だ。世界を走る自動車のうち約3分の1を日本車が占め、産業用ロボットでも日本メーカーのシェアは非常に高い。現場からデータを吸い上げる土壌がすでに整っている分野が多いといえる。2つめは、日本の「モノ」の強さだ。日本はこれまでも先進技術をいち早く取り込み、モノを刷新し続ける力で世界リードしてきた。次のリアルな世界の競争においては、ハードとソフトを新たな形で融合させ、迅速に社会実装を進めていく必要があり、それを実現できる技術力が日本にはある。3つめは、日本が“課題先進国”であるという点だ。高齢社会にどう対応するかは世界共通の課題だが、日本は世界に先行して超高齢社会を迎えている。医療や介護、ヘルスケアで画期的なサービスや製品が誕生すれば、その後同様の課題を抱える国々に対して提供し、グローバルに展開することができる。こうした強みを踏まえ、今後は日本の戦略分野として「移動(自動運転)」「製造(スマートサプライチェーン)」「健康・医療・介護」「暮らし(街づくり、シェアリング等)」の4つに重点的に取り組んでいく。
◆ 世界に先駆けてプラットフォームの構築を
第一幕のサイバーの世界では、日本はプラットフォームの覇権争いで敗北した。しかし、第二幕のリアルな世界では、まだ主導権を握る国や企業はいない。だからこそ日本はアドバンテージを活かし、膨大なリアルデータを解析し、社会実装して新たなビジネスを生み出すデータサイクルを、世界に先駆けて完成させることが重要だ。この「リアルデータプラットフォーム」を構築するには、データ活用を個社に閉じず、企業や業界を越えてオープンにし、互いに連携して活用していかなければならない。なぜならリアルな世界では、1社だけでこのデータサイクルを完成させるのは困難だからだ。日本にイノベーションを生み出す「リアルデータプラットフォーム」をいち早く築き上げ、世界の産業界をリードしていきたい。
従来の企業の経営リソース(ヒト、モノ、カネ)に加えて、これからはデータ(情報)が非常に重要になってくる。データの利活用を促すための規制緩和や人材育成に向けて、各省庁と協力しながら横断的な施策を進めていくほか、イノベーションの創出につなげるべく、試行錯誤のための社会実証を許容する「レギュラトリー・サンドボックス」制度も導入する。また経済の新陳代謝を促し、企業の競争力強化につなげる「産業競争力強化法」を来年改正する予定だ。「新産業構造ビジョン」の実現に向けて、国として全面的に後押ししていく。
【本ワークショップに関するお問い合わせ】
FIF事務局 TEL:03-5740-5817
フューチャー イノベーション フォーラム(代表:牛尾治朗・ウシオ電機株式会社会長、金丸恭文・フューチャー株式会社会長兼社長、以下FIF)は9月20日に、イノベーションワークショップ2017の第1回を開催しました。
本ワークショップは、次世代リーダーの育成と業界の枠を越えた企業同士の交流を深める場として、2007年にスタートしました。本年は「Connected Industries〜第四次産業革命のその先へ」をテーマに、日本の未来のあるべき姿として、国が実現を目指している産業社会「コネクテッド・インダストリーズ」がどのような社会なのかを紐解きながら、企業や業界が互いにつながり、データを利活用することで生まれる新しいビジネスモデルや付加価値について、全3回にわたって議論していきます。
[画像: https://prtimes.jp/i/4374/241/resize/d4374-241-566273-0.jpg ]
【開催概要】
講演者:経済産業省大臣官房秘書課課長補佐 神田 啓史
(前 経済産業政策局産業再生課課長補佐)
テーマ:コネクテッド・インダストリーズが目指す日本の産業界の未来像
コ―ディネータ:国際大学 グローバル・コミュニケーション・センター所長 前川 徹
日 時:2017年9月20日(水)18:00〜20:30
会 場:フューチャーアーキテクト株式会社(東京都品川区)
【講演概要】
◆ 2030年代の日本が目指すべき社会
経済産業省は2017年5月、2030年代の日本のあるべき将来像を示した「新産業構造ビジョン」をまとめた。IoT、AI(人工知能)、ロボティックスなどの革新的な技術を活用した成長戦略を示し、こうした新たな技術によるイノベーションを、あらゆる産業や社会生活に取り入れることによって、様々な社会課題を解決する社会「Society 5.0」の実現を目指している。そのためには経済成長が欠かせない。日本の産業力強化に向けて、新たな産業の在り方として打ち出したのが「Connected Industries」という概念だ。“つながる産業”という名のとおり、インターネット上だけでなく、現実の世界に存在するモノとモノ、人と機械・システム、企業と企業などあらゆるものがつながることで新しい付加価値を生み出す産業社会を目指す。背景には、米国やドイツが先行している第四次産業革命への危機感がある。
第四次産業革命の第一幕であるサイバー空間での市場競争では、Google、Apple、Facebook、Amazonなど米国のIT企業がいち早くデータを集める仕組みをつくり、プラットフォームを確立した。現在も圧倒的な主導権を握っている。一方、ドイツは国家戦略として「インダストリー4.0」を推進し、基幹産業である製造業の強化を図っている。こうした動きを受け、経産省が次なる一手として学識者や企業経営者とともに2年間かけて作り上げたのが、「新産業構造ビジョン」だ。日本の強みと弱みを見つめ直し、勝ち筋と戦略を明確に描き出した。今後は官民が一体となり「Connected Industries」を推し進めていく。
◆ リアルな世界で勝ち抜くための戦略
社会のデジタル化が進むなか、競争の舞台はインターネットの世界から、リアルな世界に移りつつある。とくにディープラーニング(深層学習)というAI技術が飛躍的に進化したことで、ビジネス展開の幅が広がり、これまでの業界の枠を越えた産業構造転換が起きつつある。たとえば自動車産業では、いまや開発の中心は電気自動車(EV)に加え、AIを搭載した自動運転車だ。GoogleをはじめIT系企業が相次いで参入し、開発競争にしのぎを削っている。また航空機のエンジンや医療機器などを手掛ける米GEは、IoTで取得した膨大なデータの分析サービスを展開し、製造業からサービス業への転換を果たした。このようにリアルとネットの融合が進んでおり、業界の枠を越えた競争が激しくなっている。
今後主戦場となるリアルな世界での競争を勝ち抜くには、どれだけ大量のデータを取得し、いかにソフトウエアとハードウエアを融合できるかが大きな鍵を握る。そこに日本企業の勝機があると考えている。理由は3つある。1つめは、リアルデータを取得しやすい点だ。世界を走る自動車のうち約3分の1を日本車が占め、産業用ロボットでも日本メーカーのシェアは非常に高い。現場からデータを吸い上げる土壌がすでに整っている分野が多いといえる。2つめは、日本の「モノ」の強さだ。日本はこれまでも先進技術をいち早く取り込み、モノを刷新し続ける力で世界リードしてきた。次のリアルな世界の競争においては、ハードとソフトを新たな形で融合させ、迅速に社会実装を進めていく必要があり、それを実現できる技術力が日本にはある。3つめは、日本が“課題先進国”であるという点だ。高齢社会にどう対応するかは世界共通の課題だが、日本は世界に先行して超高齢社会を迎えている。医療や介護、ヘルスケアで画期的なサービスや製品が誕生すれば、その後同様の課題を抱える国々に対して提供し、グローバルに展開することができる。こうした強みを踏まえ、今後は日本の戦略分野として「移動(自動運転)」「製造(スマートサプライチェーン)」「健康・医療・介護」「暮らし(街づくり、シェアリング等)」の4つに重点的に取り組んでいく。
◆ 世界に先駆けてプラットフォームの構築を
第一幕のサイバーの世界では、日本はプラットフォームの覇権争いで敗北した。しかし、第二幕のリアルな世界では、まだ主導権を握る国や企業はいない。だからこそ日本はアドバンテージを活かし、膨大なリアルデータを解析し、社会実装して新たなビジネスを生み出すデータサイクルを、世界に先駆けて完成させることが重要だ。この「リアルデータプラットフォーム」を構築するには、データ活用を個社に閉じず、企業や業界を越えてオープンにし、互いに連携して活用していかなければならない。なぜならリアルな世界では、1社だけでこのデータサイクルを完成させるのは困難だからだ。日本にイノベーションを生み出す「リアルデータプラットフォーム」をいち早く築き上げ、世界の産業界をリードしていきたい。
従来の企業の経営リソース(ヒト、モノ、カネ)に加えて、これからはデータ(情報)が非常に重要になってくる。データの利活用を促すための規制緩和や人材育成に向けて、各省庁と協力しながら横断的な施策を進めていくほか、イノベーションの創出につなげるべく、試行錯誤のための社会実証を許容する「レギュラトリー・サンドボックス」制度も導入する。また経済の新陳代謝を促し、企業の競争力強化につなげる「産業競争力強化法」を来年改正する予定だ。「新産業構造ビジョン」の実現に向けて、国として全面的に後押ししていく。
【本ワークショップに関するお問い合わせ】
FIF事務局 TEL:03-5740-5817