【新居浜高専】新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3を用いた低学年専門導入教育を実施
[22/11/30]
提供元:PRTIMES
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オリジナル電子工作教材によるエレクトロニクスとプログラミングの基礎教育
新居浜工業高等専門学校(愛媛県新居浜市 校長:鈴木康司 以下「新居浜高専」)の電子制御工学科では、独自開発した電子工作教材“新居浜高専PICマイコン学習キット”を用いて、1年生を対象に専門分野の導入教育を実施してきました。そして、令和4年度後期からVer.3にバージョンアップして機能増強された同キットを用いた、エレクトロニクスとプログラミングの基礎を学習する教育カリキュラムが開始されました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-8298fd6b6a4c9a4bf9f8-2.jpg ]
◆新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3
電子制御工学科の1年生の専門科目「電子基礎実習」で、電子工作を通じてエレクトロニクスとプログラミングの基礎を学習するための教材として、2002年に同学科の出口幹雄教授(当時は講師)が考案したマイコン教材は、2005年に東京・秋葉原の(株)秋月電子通商に技術移転し“新居浜高専PICマイコン学習キット”として発売されました。2014年には、マイコンを更新し回路を拡充してVer.2となり、さらに、本年8月、新機種のマイコンを採用してファームウェア(注1)を新たにしたVer.3を発表しました。
Ver.3は、マイコンの周辺回路はVer.2と同じですが、回路を動作させる16種類の内蔵プログラムに加えて、回路をパソコンと繋いで、コマンド操作で対話的に回路を動作させたり、プログラムを組んで動作させたりするための“モニタプログラム(注2)”をファームウェアとして内蔵しているところが最大の特徴です。
従来、同キットを用いてマイコンのプログラミングを学習するためには、自作のプログラムを、キットに同梱のマイコンに書き込まれているファームウェアに上書きしてしまう必要がありました。この場合、元々書き込まれている16種類の内蔵プログラムが消えてしまう上に、プログラミングを学ぶ上では色々とプログラムを書き換えて何度も試行錯誤を繰り返す作業が必須となりますが、その度毎にマイコンのフラッシュメモリを書き換えることになるため、フラッシュメモリの寿命(書き換え回数の上限)を考慮するとこの点において問題がある、という欠点がありました。
Ver.3では、モニタプログラムを内蔵することによって、この問題を解決しました。モニタプログラムを使うと、パソコンとキットの回路を繋いで通信しながら、コマンド操作でLEDをON/OFFしたり音を鳴らしたりすることができるほか、pythonに似たフォーマットで簡単なプログラムを組んで動作させることができます。モニタプログラムが提供するプログラミング機能は、インタプリタとしての動作のため速度はあまり速いものではありませんし、機能も原始的なレベルのものに限られてはいますが、for文、if文、while文など、基本的なアルゴリズムを一通り実現できるツールは備わっていますので、プログラミングの初歩を学ぶ初学者にとっての教材としては有用ですし、そのシンプルさがかえって望ましいとも言えます。また、プログラムをプログラムとしてだけ捉えるのではなく、キットの回路を動作させながら、ハードウェアとの繋がりに目を留めながらプログラミングを学ぶことができることが、このモニタプログラム上でプログラミングを学ぶ最大のメリットです。
自分でハンダ付けして回路を組み立てることができるマイコンキットで、しかも、回路を思い通りに動作させるためのプログラミング環境をそれ自身が提供する本PICマイコン学習キットは、非常に独創的な教材ということができます。
[画像2: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-cf15aa1b8b2a6a0b5e9f-0.jpg ]
(注1)ファームウェア : 装置に組み込まれ、その動作を制御するために書き込まれているソフトウェアのこと。
(注2)モニタプログラム: 装置の動作を外部から制御したり、装置の状態を確認するために、ホストコンピュータと繋いで通信しながら操作できる機能を提供するプログラムのこと。
◆「電子基礎実習」の内容
「電子基礎実習」は、電子制御工学科1年生対象の通年科目で、定員40名のクラスを2つの班に分け、「電気基礎演習」と週ごとに交代しながら実施しています。
前期では、ハンダ付けの練習から始まり、キットの回路を6つのステップに分けて少しずつ組み立てています。ステップ毎に、LEDや圧電ブザー、マイク、フルカラーLED、7セグメントLEDなど、そのステップのトピックスとなる電子部品について学ぶとともに、2進数や16進数、コンピュータの仕組み、論理回路、などの基礎的事項を学習します。
後期には、製作したキットの回路を使ってプログラミングを学習します。
従来は、回路に使用しているマイコン(Microchip Technology社のPICマイコン)に書き込むプログラムをC言語で作成することを体験してもらっていましたが、この場合、先ずプログラムの開発環境の使い方に慣れることが必要である上に、マイコンが正しく動作するために必要な様々な初期設定の記述など、アルゴリズムの考え方などのプログラミングの本質的な事柄以外に注意を払わなければならないことが多く、初学者には不向きな点が多々ありました。
この点、Ver.3にアップデートされたことにより、パソコン側はTeraTermなどの一般的なターミナルソフト(注3)を用いることができ、モニタプログラムによって、ターミナル画面を通じて、直接、対話的に回路の動作を操作することができるようになりました。また、マイコンのプログラムを格納するフラッシュメモリの寿命を気にすることなく、何度でもプログラムを書き換えて試行錯誤を繰り返すことできるようになりました。
現在、次のような順序でステップを踏みながらプログラミングについて学習を進めています。
(1)コマンドでI/Oを操作
LEDやスイッチ、圧電ブザーなどを動かしてI/O(入力と出力)について学ぶ
(2)繰り返しの無いプログラム
ステートメント(実行すべき動作の記述)を順に並べて自動的に実行させシーケンス制御の基礎を学ぶ
(3)回数の決まった繰り返し
for文の使い方と配列について学ぶ
(4)条件判断
if文(if....else....文)の使い方を学ぶ
(5)回数不定の繰り返し
while文の使い方を学ぶ
(6)キーボードによる操作
ASCIIコードとシリアル通信について学ぶ
また、2023年3月頃に、本キットVer.3を用いたエレクトロニクスとプログラミングの基礎の学習についてのガイドブックが技術評論社から発刊される予定もあり、本キットVer.3を用いたより良い教育カリキュラムの構築に向けて研究を進めています。
[画像3: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-054af0e8226c88f33b57-1.jpg ]
(注3)ターミナルソフト: ネットワークや通信ケーブルを通じて他のコンピュータと接続し、コマンドを送信したりして対話的に操作するためのソフトウェア。
新居浜工業高等専門学校について
本校は5学科からなる本科と3専攻からなる専攻科を備えた工業高等専門学校で、別子銅山の歴史文化を受け継ぐ工都・新居浜の地に1962年に創設されました。「知恵、行動力、信頼」を教育理念とし、地域とともに歩む信頼される学校をめざしています。
【学校概要】
[画像4: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-ccdbddcb2eca36b8f441-4.jpg ]
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 新居浜工業高等専門学校
所在地:愛媛県新居浜市八雲町7-1
校長名:鈴木 康司
設立:1962年4月
URL: https://www.niihama-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
新居浜工業高等専門学校 総務課総務企画係
TEL:0897-37-7704
e-mail: skika-c.off@niihama-nct.ac.jp
[画像5: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-df8a11cacdbd76b94867-3.jpg ]
〜2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます〜
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/
新居浜工業高等専門学校(愛媛県新居浜市 校長:鈴木康司 以下「新居浜高専」)の電子制御工学科では、独自開発した電子工作教材“新居浜高専PICマイコン学習キット”を用いて、1年生を対象に専門分野の導入教育を実施してきました。そして、令和4年度後期からVer.3にバージョンアップして機能増強された同キットを用いた、エレクトロニクスとプログラミングの基礎を学習する教育カリキュラムが開始されました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-8298fd6b6a4c9a4bf9f8-2.jpg ]
◆新居浜高専PICマイコン学習キットVer.3
電子制御工学科の1年生の専門科目「電子基礎実習」で、電子工作を通じてエレクトロニクスとプログラミングの基礎を学習するための教材として、2002年に同学科の出口幹雄教授(当時は講師)が考案したマイコン教材は、2005年に東京・秋葉原の(株)秋月電子通商に技術移転し“新居浜高専PICマイコン学習キット”として発売されました。2014年には、マイコンを更新し回路を拡充してVer.2となり、さらに、本年8月、新機種のマイコンを採用してファームウェア(注1)を新たにしたVer.3を発表しました。
Ver.3は、マイコンの周辺回路はVer.2と同じですが、回路を動作させる16種類の内蔵プログラムに加えて、回路をパソコンと繋いで、コマンド操作で対話的に回路を動作させたり、プログラムを組んで動作させたりするための“モニタプログラム(注2)”をファームウェアとして内蔵しているところが最大の特徴です。
従来、同キットを用いてマイコンのプログラミングを学習するためには、自作のプログラムを、キットに同梱のマイコンに書き込まれているファームウェアに上書きしてしまう必要がありました。この場合、元々書き込まれている16種類の内蔵プログラムが消えてしまう上に、プログラミングを学ぶ上では色々とプログラムを書き換えて何度も試行錯誤を繰り返す作業が必須となりますが、その度毎にマイコンのフラッシュメモリを書き換えることになるため、フラッシュメモリの寿命(書き換え回数の上限)を考慮するとこの点において問題がある、という欠点がありました。
Ver.3では、モニタプログラムを内蔵することによって、この問題を解決しました。モニタプログラムを使うと、パソコンとキットの回路を繋いで通信しながら、コマンド操作でLEDをON/OFFしたり音を鳴らしたりすることができるほか、pythonに似たフォーマットで簡単なプログラムを組んで動作させることができます。モニタプログラムが提供するプログラミング機能は、インタプリタとしての動作のため速度はあまり速いものではありませんし、機能も原始的なレベルのものに限られてはいますが、for文、if文、while文など、基本的なアルゴリズムを一通り実現できるツールは備わっていますので、プログラミングの初歩を学ぶ初学者にとっての教材としては有用ですし、そのシンプルさがかえって望ましいとも言えます。また、プログラムをプログラムとしてだけ捉えるのではなく、キットの回路を動作させながら、ハードウェアとの繋がりに目を留めながらプログラミングを学ぶことができることが、このモニタプログラム上でプログラミングを学ぶ最大のメリットです。
自分でハンダ付けして回路を組み立てることができるマイコンキットで、しかも、回路を思い通りに動作させるためのプログラミング環境をそれ自身が提供する本PICマイコン学習キットは、非常に独創的な教材ということができます。
[画像2: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-cf15aa1b8b2a6a0b5e9f-0.jpg ]
(注1)ファームウェア : 装置に組み込まれ、その動作を制御するために書き込まれているソフトウェアのこと。
(注2)モニタプログラム: 装置の動作を外部から制御したり、装置の状態を確認するために、ホストコンピュータと繋いで通信しながら操作できる機能を提供するプログラムのこと。
◆「電子基礎実習」の内容
「電子基礎実習」は、電子制御工学科1年生対象の通年科目で、定員40名のクラスを2つの班に分け、「電気基礎演習」と週ごとに交代しながら実施しています。
前期では、ハンダ付けの練習から始まり、キットの回路を6つのステップに分けて少しずつ組み立てています。ステップ毎に、LEDや圧電ブザー、マイク、フルカラーLED、7セグメントLEDなど、そのステップのトピックスとなる電子部品について学ぶとともに、2進数や16進数、コンピュータの仕組み、論理回路、などの基礎的事項を学習します。
後期には、製作したキットの回路を使ってプログラミングを学習します。
従来は、回路に使用しているマイコン(Microchip Technology社のPICマイコン)に書き込むプログラムをC言語で作成することを体験してもらっていましたが、この場合、先ずプログラムの開発環境の使い方に慣れることが必要である上に、マイコンが正しく動作するために必要な様々な初期設定の記述など、アルゴリズムの考え方などのプログラミングの本質的な事柄以外に注意を払わなければならないことが多く、初学者には不向きな点が多々ありました。
この点、Ver.3にアップデートされたことにより、パソコン側はTeraTermなどの一般的なターミナルソフト(注3)を用いることができ、モニタプログラムによって、ターミナル画面を通じて、直接、対話的に回路の動作を操作することができるようになりました。また、マイコンのプログラムを格納するフラッシュメモリの寿命を気にすることなく、何度でもプログラムを書き換えて試行錯誤を繰り返すことできるようになりました。
現在、次のような順序でステップを踏みながらプログラミングについて学習を進めています。
(1)コマンドでI/Oを操作
LEDやスイッチ、圧電ブザーなどを動かしてI/O(入力と出力)について学ぶ
(2)繰り返しの無いプログラム
ステートメント(実行すべき動作の記述)を順に並べて自動的に実行させシーケンス制御の基礎を学ぶ
(3)回数の決まった繰り返し
for文の使い方と配列について学ぶ
(4)条件判断
if文(if....else....文)の使い方を学ぶ
(5)回数不定の繰り返し
while文の使い方を学ぶ
(6)キーボードによる操作
ASCIIコードとシリアル通信について学ぶ
また、2023年3月頃に、本キットVer.3を用いたエレクトロニクスとプログラミングの基礎の学習についてのガイドブックが技術評論社から発刊される予定もあり、本キットVer.3を用いたより良い教育カリキュラムの構築に向けて研究を進めています。
[画像3: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-054af0e8226c88f33b57-1.jpg ]
(注3)ターミナルソフト: ネットワークや通信ケーブルを通じて他のコンピュータと接続し、コマンドを送信したりして対話的に操作するためのソフトウェア。
新居浜工業高等専門学校について
本校は5学科からなる本科と3専攻からなる専攻科を備えた工業高等専門学校で、別子銅山の歴史文化を受け継ぐ工都・新居浜の地に1962年に創設されました。「知恵、行動力、信頼」を教育理念とし、地域とともに歩む信頼される学校をめざしています。
【学校概要】
[画像4: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-ccdbddcb2eca36b8f441-4.jpg ]
学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 新居浜工業高等専門学校
所在地:愛媛県新居浜市八雲町7-1
校長名:鈴木 康司
設立:1962年4月
URL: https://www.niihama-nct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関
【お問い合わせ先】
新居浜工業高等専門学校 総務課総務企画係
TEL:0897-37-7704
e-mail: skika-c.off@niihama-nct.ac.jp
[画像5: https://prtimes.jp/i/75419/242/resize/d75419-242-df8a11cacdbd76b94867-3.jpg ]
〜2022年度、高等専門学校制度は創設60周年を迎えます〜
https://www.kosen-k.go.jp/Portals/0/60th/