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気候変動に伴う浸水リスクを高速にシミュレーションする環境省の開発途上国向けWebサービス「FloodS」を構築




[画像: https://prtimes.jp/i/67590/277/resize/d67590-277-95838ddd3988751b1fef-0.png ]

 株式会社日立製作所(以下、日立)は、このたび、環境省の請負事業のもと、アジア太平洋地域をはじめとする開発途上国での利用を想定した、浸水予測Webサービス「FloodS」(以下、本サービス)を構築し、11月30日から環境省が無償で提供を開始します。
 本サービスは、河川氾濫、降雨、高潮による浸水状況の時間変化を高速にシミュレーションし、Webブラウザーの地図上に予測結果を表示するものです。気候変動に脆弱なアジア・太平洋諸国などの行政官向けに提供し、水文*1の専門知識を持たないユーザーであっても、直感的な操作で容易に浸水シミュレーションが可能です。本サービスにより、開発途上国における気候変動による浸水リスクの把握や気候変動への適応策*2の立案を支援します。
*1 水の動きやそれに伴うさまざまな現象
*2 今後数十年〜数百年の気候変動による悪影響を軽減するための対応策(防災計画など)

■背景
 近年、気候変動により引き起こされる豪雨、海面上昇などによる浸水が世界中で問題となっています。アジア太平洋地域をはじめとした多くの開発途上国においても、浸水リスクの把握と適応策の検討、実施が喫緊の課題となっています。一方で、適応政策を担う行政官自身が容易に操作できるシミュレーションツールや、浸水ハザードマップを有する地域は少なく、費用効果の高い適応策の検討に難しさがありました。このような状況を受け、環境省は2023年6月にEWS官民連携協議会*3を立ち上げるなど、「気候変動適応法27条*4」に基づいた気候変動適応の国際協力に取り組んでいます。その一環として本サービスを日立が構築することになりました。
*3 早期警戒システム導入促進に係る国際貢献に関する官民連携協議会:https://www.ewsi.green/ 
*4 気候変動適応法:https://www.env.go.jp/earth/earth/tekiou/page_00608.html
27条(国際協力の推進)の詳細は、上記ページ内「気候変動適応法 条文」を参照

■本サービスの特長
 本サービスは日立グループの技術*5を活用しており、水文の専門家ではないユーザーを想定し、直感的で分かりやすいインターフェースを提供することで、開発途上国の行政官がより容易に浸水シミュレーションを実施できるように設計されています。
 既存の予測ツールは、大半が専門技術者向けで高性能なパソコンや膨大な地形データを準備する必要がありましたが、本サービスはシミュレーションしたい浸水リスク(河川氾濫・降雨・高潮)に応じて水深や降雨量などの条件を入力するだけで、Web上でリアルタイムに地球全域の予測結果を見ることができます。また、盛土、トンネルや堤防などの対策を講じた場合のシミュレーションも可能です。
 特に過去20年以内に大規模な河川災害が発生した地域、高潮や今後の海面上昇による浸水の発生リスクが高い地域については、より精緻なDEM*6(数値標高モデル)を導入しているため、詳細なシミュレーションを実施できます。その他の地域についても、標高データ(MERIT DEM)と河川地形データ(MERIT Hydro)*7をあらかじめ導入しており、全世界の河川流域や沿岸域で簡易なシミュレーションが可能です。
 なお、本サービスの運用は、アジア太平洋地域で気候変動適用の研究拠点として活動するアジア工科大学(AIT)のアジア太平洋地域資源センター(RRC.AP)*8が担います。
*5株式会社日立パワーソリューションズの提供するリアルタイム洪水シミュレータ「DioVISTA/Flood」の技術を活用。「DioVISTA」は株式会社日立パワーソリューションズの日本における登録商標
 https://www.hitachi-power-solutions.com/service/digital/diovista/flood/index.html 
*6 DEM(Digital Elevation Model):地表面の標高データ。地表面を等間隔の正方形に区切り、それぞれの正方形の中心点に標高値を持たせている
*7 東京大学 生産技術研究所で開発された複数の衛星観測データと独自の地形解析アルゴリズムを組み合わせた河川地形データセット
*8 AIT:Asian Institute of Technology
RRC.AP:Regional Resource Centre for Asia and the Pacific

■今後について
 今後も日立は、デジタル技術を活用した官民連携での国際協力の取り組みなどを通じ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成や、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化に対する適応力強化など社会インフラの強靭化を支援していきます。

■環境省 気候変動適応室からのコメント
 「FloodS」は本邦産官学に蓄積された適応技術を統合して開発された政策意思決定サービスです。浸水による社会経済への被害軽減が喫緊の政策課題となっている、気候変動に脆弱な国や地域の行政官に適応策実施に向けた資金調整ストーリー構築を支援します。
 環境省とAITは「FloodS」を国際協力に活用し、気候変動に強靭な流域・沿岸社会の実現に協力します。

■イベント出展について
 本日から12月12日まで、アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイで開催される、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)のジャパン・パビリオン(日立ブース)にて本サービスを紹介します。
https://www.cop28.com/ 

■浸水予測Webサービス「FloodS」の公開Webページ
https://top.floods.green/ 
※「FloodS」掲載Webページ(Asia-Pacific Climate Change Adaptation Information Platform)
https://ap-plat.nies.go.jp/data_tools/index.html

■日立製作所について
 日立は、データとテクノロジーでサステナブルな社会を実現する社会イノベーション事業を推進しています。お客さまのDXを支援する「デジタルシステム&サービス」、エネルギーや鉄道で脱炭素社会の実現に貢献する「グリーンエナジー&モビリティ」、幅広い産業でプロダクトをデジタルでつなぎソリューションを提供する「コネクティブインダストリーズ」の事業体制のもと、ITやOT(制御・運用技術)、プロダクトを活用するLumadaソリューションを通じてお客さまや社会の課題を解決します。デジタル、グリーン、イノベーションを原動力に、お客さまとの協創で成長をめざします。2022年度(2023年3月期)の連結売上収益は10兆8,811億円、2023年3月末時点で連結子会社は696社、全世界で約32万人の従業員を擁しています。
 詳しくは、日立のウェブサイト(https://www.hitachi.co.jp/ )をご覧ください。

■お問い合わせ先
株式会社日立製作所 公共システム営業統括本部 カスタマ・リレーションズセンタ [担当:森下]
https://www.hitachi.co.jp/Div/jkk/inquiry/inquiry.html

以上
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