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公表義務化企業の男性育休取得率は46.2%、平均取得日数は46.5日に【令和5年度「男性の育児休業等取得率の公表状況調査」結果発表】

3月末決算企業の約9割が6月中に公表完了予定。男性の育休等取得率の公表により、育休取得の促進だけでなく、人材獲得の面でも効果

2023年4月に施行された改正育児・介護休業法により、男性の育児休業取得促進のため、常時雇用する労働者が1,000人を超える事業主は、育児休業等取得の状況を1年に1回公表することが義務付けられました。
これらをうけ、2023年7月31日に、厚生労働省「イクメンプロジェクト」による「令和5年度男性の育児休業等取得率の公表状況調査」(以下「本調査」)の結果が公表され、本件に関する記者会見を厚生労働省にて実施しました。また同日、厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」(以下「基本調査」)の結果もあわせて公表されました。





[画像1: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-ed13de924496e45e0219-4.jpg ]

本調査の結果、従業員1,000人超企業のうち、3月末決算の企業の約9割が6月中に公表が完了予定であり、また男性育休等取得率は46.2%、男性の育休等平均取得日数は46.5日となりました(1,472社が有効回答企業として該当(1,000人超の企業に絞れば1,385社))。

[画像2: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-091e174ac585add13cbb-5.jpg ]


また、「取得率を公表した効果・変化」では、「社内の男性育休取得率の増加(33.1%)」、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化(31.5%)」、「新卒・中途採用応募人材の増加(8.3%)」 の順で回答が多く、男性育休取得率を公表することが、育休取得の促進だけでなく、人材獲得の面でも効果を感じている企業が多いことがわかりました。

「男性育休取得率向上の取組による効果」として、「職場風土の改善(56.0%)」、「従業員満足度・ワークエンゲージメントの向上(45.9%)」、「コミュニケーションの活性化(22.6%)」の順で回答が得られました。これにより、男性育休取得促進や取得率公表といった取組が、育休の取得を希望している当事者だけではなく、他の従業員のワークエンゲージメントや人材確保といった企業全体へも好影響を及ぼしている可能性も考えられます。

育児・介護休業法では「育児休業を取得しやすい職場の環境整備」を企業に義務づけており、その取組状況を育休等取得率別に見ると、男性の育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供(+36.0%)」や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施(+24.4%)」の取組割合が高い傾向が見られました。これらの取組が、男性育休等取得率向上に寄与している可能性も考えられます。

2022年4月から義務付けられている「育児休業に関する個別の周知・意向確認」の実施者を育休等取得率別に見ると、男性育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、個別の周知・意向確認を「直属の上司(+14.8%)」が行っている割合がやや高く、個別周知・意向確認は、直属の上司が行うことがより効果的な可能性があることが示されました。

個別の周知・意向確認の方法を育休等取得率別に見ると、男性育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、「電子メール(+17.5%)」や「対面またはオンラインによる面談(+14.6%)」を行っている割合が相対的に高く、男性育休等取得率の高い企業群では、「書面交付(-10.8%)」を行っている割合が相対的に低いことがわかりました。個別周知・意向確認は、書面交付よりも、電子メールや対面・オンラインでの面談により行うことが効果的な可能性があります。

また、厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」における男性の育休取得率は、17.13%という結果となりました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-23fe70e7f2b702311dc5-0.png ]

以上をふまえ、7月31日に厚生労働省にて記者会見を実施し、厚生労働省に対し「イクメンプロジェクト」に参加する認定NPO法人フローレンスおよび株式会社ワーク・ライフバランスが共同で、公表が義務付けられる従業員数の引き下げや、改めての働き方改革の必要性といった提言を行ったことをご報告いたします。

[表1: https://prtimes.jp/data/corp/28029/table/291_1_a821f989e5312fb6aaf516f1981f6929.jpg ]




[表2: https://prtimes.jp/data/corp/28029/table/291_2_3740f6600d4ec410d20ac7c9ab97933a.jpg ]


●従業員数1,000人超の企業の男性育休等取得率は46,2%。平均取得日数は46.5日
 今回調査に回答した、従業員数1,000人超の企業の結果では男性育休等取得率が46.2%でした。法改正により、男性育休等取得率の公表が義務付けられた効果により、[1] [2] 対象となった企業では取組が進み育休等取得率が高まったと考えられます。

 一方で男性の育休等取得率と平均取得日数には、弱い負の相関(男性の育休取得率が高いほど、平均取得日数は短くなる)が見られました。

[画像4: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-884ab79336691ebc4d9b-1.png ]

注:計算方法の関係上、育休取得率は100%を超える場合がある。

●育休取得率公表により人材獲得の面で効果も
男性育休取得率を公表した企業が感じている効果・変化では、「社内の男性育休取得率の増加(33.1%)」、「男性の育休取得に対する職場内の雰囲気のポジティブな変化(31.5%)」、「新卒・中途採用応募人材の増加(8.3%)」 の順で回答が多い結果となりました。これより、育休取得率の公表で育休取得の促進だけでなく、人材獲得の面でも効果を感じている企業があることがわかりました。

[画像5: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-f06fa374a221cf811d6a-2.png ]


●「育休事例の提供」や「育休に関する研修」が取得率向上のカギ
育児・介護休業法では育児休業を取得しやすい職場の環境整備を企業に義務付けており、その取組状況を育休取得率別に見ると、男性の育休等取得率の高い(80%以上)企業群では、取得率が低い(20%未満)企業群と比べて、「自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供(+36.0%)」や「育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施(+24.4%)」の取組割合が高い傾向が見られました。従業員に対する育休事例の提供や研修の実施で、育休のイメージをより具体化し、正しい知識を身につけることが、育休取得率向上のカギであると考えられます。

[画像6: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-fbf9e58d83c5ab35a337-3.png ]


[表3: https://prtimes.jp/data/corp/28029/table/291_3_bccddfc0f53956aa40bdd2ac987c6590.jpg ]



[画像7: https://prtimes.jp/i/28029/291/resize/d28029-291-e40508b117f55e465487-6.jpg ]

 官邸の「こども未来戦略会議」では少子化対策の議論が多くかわされましたが、男性の育休取得は、その後の男性の家事育児時間の長さと因果関係があることが研究として解明されており、男性の家事育児時間が長い家庭ほど、第二子以降の誕生率が高いこともわかっています。少子化が深刻な日本社会にとって、男性育休の取得促進は社会を上げてさらに力強く推進していくべき施策といえます。

令和4年度雇用均等基本調査によると男性育休取得率が17.13%であるのに対して、男性育休等取得率の公表を義務付けられた企業では46.2%と高く、取得日数も46.5日と長いことも注目に値します。2023年4月から施行された改正育児・介護休業法では、男性育休等取得率の公表は従業員数1,000人超の企業にのみ義務付けられています。しかし、社会全体にはいまだに男性が育休を取得しづらく、短期間で復帰せざるを得ない状況が見られます。

今回の調査においても、約1割の企業が男性育休取得率を公表した効果として「新卒・中途採用応募人材の増加」と人材獲得上のプラス効果を上げています。また、新入社員男性の8割が男性育休を取得したいと回答しています(日本生産性本部・2017年度)。人材獲得に課題のある中小企業ほど男性育休に積極的に取り組むことが経営戦略として欠かせないことが分かります。また、厚生労働省委託事業「職場のハラスメントに関する実態調査」(2021年) (https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_18384.html)によると、パタハラ(パタニティハラスメント)被害の経験は従業員数1,000人以上の企業では2割であるのに対して、99人以下の企業では3割にのぼります。こうしたことから、現在、公表が義務付けられているのは従業員数1,000人超の企業ですが、人材獲得に課題を抱えている中小企業にも範囲を広げていくことにより、経営の力としていくことが重要です。
若い世代が安心して企業へ入社することができ、第一子の子育てが「妻だけのワンオペ孤独体験」ではなく「夫婦で感情を共有できるハッピー体験」となることで、第二子・第三子に夫婦が前向きになれる環境を作っていくことが日本社会の課題を解決していくことにつながります。改めてイクメンプロジェクトから提言したいことは、長時間労働社会・休みを取れない社会・文化の変革なしに男性の育児休業取得促進や、女性活躍促進は成立し得ない、ということです。まず社会構造が先行して変わらなければ、育児中に夫婦間でのやりくりが限界に達していがみ合うことになり、そんな両親を見て育つ子どもにもその社会感は受け継がれるために、少子化を加速させる負の連鎖は止められません。育児をする男性社員や女性社員を支援したり保護したりするのではなく、現状の「育児などできるわけがない日本社会全体の働き方そのもの」を変えるのが真の少子化対策です。

原因は、日本の異常な働き方にあります。日本社会には、経営者が時間外労働を恒常的にあてにする構造があります。ゆえに、長時間労働できない育児中や介護中の社員がハラスメントを受けたり、評価されずにキャリアを諦めたりすることにつながるのです。それが若者が結婚や出産を控える根本的な要因にもなっていると言えます。

育児当事者にフォーカスを当てて支援することの限界に気付き、経営者が長時間労働に頼る構造を変革すべきです。働き方の構造を変えることにより注力し、本気で構造を改革していくべきであることを提言します。

◆イクメンプロジェクトについて
 「イクメンプロジェクト」は育休制度見直しと合わせ、社会全体で、男性がもっと積極的に育児に関わることができる一大ムーブメントを巻き起こすべく、2010年6月に発足し、以降、様々な活動を展開してきました。2021年6月に育児・介護休業法が改正され、新たな「産後パパ育休(出生時育児休業)」が創設され、制度改正は段階的に進められてきました。今後「イクメンプロジェクト」では、新たな制度である産後パパ育休や企業の取り組みなどが社会に浸透・定着し、あらゆる職場で男性が育児休業を取るのは当然、となることを目指していきます。今後も各分野の有識者等で構成される推進委員会を設置し、イクメンの皆さん、ご家族や企業・自治体等イクメンサポーターの皆さんとともに、時代を牽引していきます。
今回の記者会見に登壇した駒崎弘樹、小室淑恵の両名は、推進委員会委員(駒崎は座長)としてイクメンプロジェクトに参画しています。
?イクメンプロジェクト サイトURL:https://ikumen-project.mhlw.go.jp/

◆株式会社ワーク・ライフバランスについて
2006年創業、以来15年以上にわたり企業の働き方改革により業績と従業員のモチベーションの双方を向上させることにこだわり、働き方改革コンサルティング事業を中心に展開。これまでに自治体・官公庁も含め企業2,000社以上を支援。残業30%削減に成功し、営業利益18%増加した企業や、残業81%削減し有給取得率4倍、利益率3倍になった企業など、長時間労働体質の企業への組織改革が強み。
主な事業内容:
・働き方改革コンサルティグ事業・講演・研修事業
・コンテンツビジネス事業・コンサルタント養成事業
・働き方改革支援のためのITサービス開発・提供
?株式会社ワーク・ライフバランス コーポレートサイトURL:https://work-life-b.co.jp/

◆認定NPO法人フローレンスについて
こども達のために、日本を変える。フローレンスは、子育てと仕事の両立、そして未来を担う子どもたちを社会で育むために、事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で社会課題の解決や価値創造の構造に働きかけ、たくさんの仲間と共に「新しいあたりまえ」をつくる、国内有数の認定NPO法人です。
日本初の訪問型・共済型病児保育事業団体として2004年に設立され、待機児童問題解決のための「おうち保育園」モデルが、2015年度に「小規模認可保育所」として国策化されたほか、障害児に専門的に長時間保育を提供する日本初の「障害児保育事業」や、子どもの虐待問題解決のため「赤ちゃん縁組事業」、子どもの貧困を解決する「こども宅食事業」などの取り組みを加速しています。
?認定NPO法人フローレンス コーポレートサイトURL: https://florence.or.jp/
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