アフガニスタン:クンドゥーズ病院爆撃に関する内部調査を公表
[15/11/07]
提供元:PRTIMES
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国境なき医師団(MSF)は、10月3日にアフガニスタン北部で起きた、米軍によるMSF外傷センターへの爆撃に関する内部調査報告書を公表した。調査では病院内からの視点で、空爆が起きる前から直後までの経緯を時系列で精査したが、病院が爆撃を受けるに至った理由はなんらみつからなかった。当時病院敷地内には武装戦闘員はおらず、敷地内もしくは敷地内から外部に向けた戦闘行為はいずれも行われていなかった。
[画像: http://prtimes.jp/i/4782/296/resize/d4782-296-651041-1.jpg ]
「殺害と破壊」という目的をもって行われた爆撃
この爆撃では、13人のMSFスタッフ、10人の患者、身元不明の7人を含む少なくとも30人が命を落としている。調査では病院のベッドの上で焼かれた患者、頭部や手足を失った医療スタッフ、燃える建物から逃げるところを上空から撃たれた人びとについても記述している。
外傷センターの運営で中心的な役割を担っていたMSFベルギーのクリストファー・ストークス事務局長は「病院内からの見方としては、この爆撃は『殺害と破壊』という目的をもって行われたと言えます。しかしどのような理由で行われたのかは依然としてわかりません。爆撃機のコクピットから何が見えていたのか、米軍とアフガニスタン軍の指揮系統内で何が起きていたのかは全く明らかにされていないのです」と訴える。
この調査により爆撃前後に病院内で起きた事実関係は立証された。また本調査は病院のGPS座標をMSFが紛争当事者に提供してきた経緯の詳細、およびMSFが空爆停止を求めるために軍当局者にかけた通話記録も記述している。それはすなわち、国際人道法にもとづいて病院の中立性を尊重することが爆撃以前に取り決められ、MSFは紛争の全当事者から合意を得ていたことを意味している。
MSFインターナショナル会長、ジョアンヌ・リュー医師は、MSFの立場で守るべき取り決めは順守していたと強調、「外傷センターは病院として完全に機能した状態で、空爆が始まった時も手術が行われている最中でした。MSFの『院内への武器持ち込み禁止』ルールは守られ、病院は空爆が始まった時まで完全にMSFの管理下にあったのです」と説明する。
戦闘員にも差別されることなく治療を受ける権利
空爆当時、病院内には105人の患者がいた。中には紛争の両陣営の負傷した戦闘員のほか、女性や子どももおり、等しく治療を受けていた。
ストークスは「現在見られるいくつかの公式見解の中には、私たちがタリバンの兵士を治療していたという理由から病院への爆撃は正当化されると指摘するものもあります。負傷した戦闘員は国際法に明記されている患者であり、攻撃を免れ、差別されることなく治療を受ける権利があります。負傷戦闘員を治療したかどで、医療従事者が処罰されたり攻撃されることなど決してあってはならないのです」と強く訴える。
本報告書は現在もMSFが行っている内部調査の一部であり、この140床の外傷センターで勤務していた現地雇用スタッフと外国人スタッフ合計60人からの聞き取り調査のほか、内外の情報、爆撃前後に撮影された病院の写真、eメールの通信記録と電話の通話記録に基づいている。
リュー会長は「この爆撃によって、患者が最も必要としている時に彼らを治療する手段が失われてしまいました。患者を治療している最中の病院を、いきなり保護の対象から外し攻撃する権利など誰にもないのです」と述べている。
<参考>
内部調査報告書(和文抜粋版)
http://www.msf.or.jp/library/pressreport/pdf/20151106_J_Kunduz.pdf
国際人道法に基づく「医療保護」の原則
http://www.msf.or.jp/news/detail/headline_2559.html
[画像: http://prtimes.jp/i/4782/296/resize/d4782-296-651041-1.jpg ]
「殺害と破壊」という目的をもって行われた爆撃
この爆撃では、13人のMSFスタッフ、10人の患者、身元不明の7人を含む少なくとも30人が命を落としている。調査では病院のベッドの上で焼かれた患者、頭部や手足を失った医療スタッフ、燃える建物から逃げるところを上空から撃たれた人びとについても記述している。
外傷センターの運営で中心的な役割を担っていたMSFベルギーのクリストファー・ストークス事務局長は「病院内からの見方としては、この爆撃は『殺害と破壊』という目的をもって行われたと言えます。しかしどのような理由で行われたのかは依然としてわかりません。爆撃機のコクピットから何が見えていたのか、米軍とアフガニスタン軍の指揮系統内で何が起きていたのかは全く明らかにされていないのです」と訴える。
この調査により爆撃前後に病院内で起きた事実関係は立証された。また本調査は病院のGPS座標をMSFが紛争当事者に提供してきた経緯の詳細、およびMSFが空爆停止を求めるために軍当局者にかけた通話記録も記述している。それはすなわち、国際人道法にもとづいて病院の中立性を尊重することが爆撃以前に取り決められ、MSFは紛争の全当事者から合意を得ていたことを意味している。
MSFインターナショナル会長、ジョアンヌ・リュー医師は、MSFの立場で守るべき取り決めは順守していたと強調、「外傷センターは病院として完全に機能した状態で、空爆が始まった時も手術が行われている最中でした。MSFの『院内への武器持ち込み禁止』ルールは守られ、病院は空爆が始まった時まで完全にMSFの管理下にあったのです」と説明する。
戦闘員にも差別されることなく治療を受ける権利
空爆当時、病院内には105人の患者がいた。中には紛争の両陣営の負傷した戦闘員のほか、女性や子どももおり、等しく治療を受けていた。
ストークスは「現在見られるいくつかの公式見解の中には、私たちがタリバンの兵士を治療していたという理由から病院への爆撃は正当化されると指摘するものもあります。負傷した戦闘員は国際法に明記されている患者であり、攻撃を免れ、差別されることなく治療を受ける権利があります。負傷戦闘員を治療したかどで、医療従事者が処罰されたり攻撃されることなど決してあってはならないのです」と強く訴える。
本報告書は現在もMSFが行っている内部調査の一部であり、この140床の外傷センターで勤務していた現地雇用スタッフと外国人スタッフ合計60人からの聞き取り調査のほか、内外の情報、爆撃前後に撮影された病院の写真、eメールの通信記録と電話の通話記録に基づいている。
リュー会長は「この爆撃によって、患者が最も必要としている時に彼らを治療する手段が失われてしまいました。患者を治療している最中の病院を、いきなり保護の対象から外し攻撃する権利など誰にもないのです」と述べている。
<参考>
内部調査報告書(和文抜粋版)
http://www.msf.or.jp/library/pressreport/pdf/20151106_J_Kunduz.pdf
国際人道法に基づく「医療保護」の原則
http://www.msf.or.jp/news/detail/headline_2559.html