4年ぶりに、大学生の学習・生活実態を調査 「主体的な参加が必要な授業」は増えているが、学生は受け身 教員・保護者への依存傾向も強まる
[13/04/23]
提供元:PRTIMES
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「興味がなくても単位を楽に取れる授業がいい」は55%(6ポイント増加) / 「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」は46%(6ポイント増加)
4年ぶりに、大学生の学習・生活実態を調査
「主体的な参加が必要な授業」は増えているが、学生は受け身
教員・保護者への依存傾向も強まる
「興味がなくても単位を楽に取れる授業がいい」は55% (6ポイント増加)
「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」は46% (6ポイント増加)
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株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育研究開発センター」では、2012年11月上旬に、全国の大学1~4年生4,911人を対象に、大学での学習や生活に関する意識・実態について、インターネット調査を実施しました。本調査は、第1回調査を2008年に実施しており、この4年間の大学生の行動や意識の変化や、大学生を通した大学の変化をみることができます。
主な調査結果は以下の通りとなります。
【大学の教育改革の進展と大学生の意識】
1.主体的な参加が必要な授業を経験している学生が増加。
「ディスカッションの機会を取り入れた授業」(54.2%)、「教室外で体験的な活動や実習を行う授業」(39.1%)、「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」(57.6%)といった、学生の主体的な参加が必要な授業(アクティブ・ラーニング=能動的学修型授業)で、経験割合(いずれも、「よくあった」+「ある程度あった」の%)が08年度比でそれぞれ7ポイント前後増加している。
2.一方で、授業に受け身な姿勢の学生が多く、「主体的な学び」に転換しているとは言えない。
授業に対して、「あまり興味がなくても単位を楽にとれる授業がよい」とする割合が、5.9ポイント上昇し54.8%と半数を超えた。また、学生が調べ、発表する演習形式の授業より、「教員が知識・技術を教える講義形式の授業が多い方がよい」とする割合も83.3%と依然として高い値となった。
3.保護者への依存が強まり、親子の親密度が増す傾向。その傾向は男子に顕著で、男女差が縮小。
「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする学生が08年度比5.8ポイント増で45.9%、「困ったことがあると、保護者が助けてくれる」とする割合は7.2ポイント増で49.0%といずれも5割近くとなった。
性別にみると、「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする割合は男子7.6ポイント増の43.2%、女子は2.8ポイント増の49.5%で、女子の方が全体の割合は高いものの差は縮小しつつある。
大学に対しても、「学生生活については、大学の教員が指導・支援するほうがよい」とする割合が14.7ポイント増え、30.0%となった。
【海外留学・大学のグローバル化】
4.「海外留学をしたい」学生は全体で約4割。しかし、「すでに海外留学をした」4年生はわずか。
「海外留学をしたい」かどうかについては、「とてもあてはまる」12.3%、「まああてはまる」25.7%であるが、4年生の11月時点で、実際に「海外留学をした」のは4.9%にとどまる。留学の希望時期は、「2年生」の時が最も多く、次いで「3年生」となり、両学年で6割を超える。
5.学年が上がるにつれて、語学力が「身についている」と感じる割合は低下。
語学力が「身についた」(とても+まあ)と感じている層の海外留学意向は50%を超えるが、感じていない層だと30%程度である。しかし、語学力は上の学年ほど「身についた」と感じる比率が低下し、「外国語で聞き、話す」で1年生42.7%→4年生27.0%、「外国語で読む、書く」は1年生45.7%→4年生33.7%となっている。
◆学生の主体性を喚起するための実質的な改革へ
文部科学省の中央教育審議会の答申において、学生の主体的な学修を促すための「アクティブ・ラーニング(能動的学修)※の重要性が謳われるなど、大学教育のあり方が課題になっています。このような背景も受けて、今回の調査結果では、大学の授業の取り組みに変化がみられました。大学の教育改革は少しずつ進んでいるようです。しかしながら、学生の学びに対する姿勢は、むしろ受け身になっている傾向がみられます。授業の形式に加えて、学生の意欲を喚起する教授方法のあり方や、大学・学部全体としてどのように位置付けるのが効果的なのかということも、併せて考えていくことが重要です。
また、生活面全般についても保護者や教員に依存する傾向が強まりつつあります。大学の努力だけでなく、社会や家庭においても自立に向けた関わり方はどうあるべきか、見直してみることが必要です。
◆留学の促進には4年間を通じた語学力の育成が重要
海外留学に関しては、留学意向のある学生が4割いるのに対し、実際に留学をした学生の割合は少なく、実現のハードルが高いことが推察されます。調査結果では、学年が上がるにつれて「語学力が身についた」と感じる割合が低下しますが、語学力によって留学の意向は大きく異なります。このことから、4年間通して語学力を身につけられる環境を整えることが、留学を促進し、大学のグローバル化を進める鍵になると言えそうです。
※アクティブ・ラーニング
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
中央教育審議会「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」用語集より
●調査概要
・名称
第2回大学生の学習・生活実態調査
・調査テーマ
大学生の学習・生活に関する意識・実態をとらえること
・調査方法
インターネット調査
・調査時期
2012年11月3日〜8日
・調査対象
全国の大学1〜4年生 4,911名(留学生、社会人経験者を除く)
インターネット調査会社の約130万人のモニター母集団のうち、「大学生」として登録されている約7万人に対して予備調査を実施。このうち、大学1〜4年生(18〜24歳、日本の大学校・海外の大学に通う場合を除く)にアンケートの協力を依頼。文部科学省の『平成24年度学校基本調査(速報)』の男女比、学部系統別の人数比率に近いサンプル構成を目指して回収を行った。
・調査項目
高校での学習状況/大学選択で重視した点/大学受験の準備/入試方法・受験科目/大学の志望度/入学時の期待/大学生活で力を入れたこと/大学への適応/通学日数・通学時間/学習時間/学習以外の時間の過ごし方/課外活動の実施状況/授業の出席率/大学教育の選好/授業への取り組み/授業の経験/成績/学習成果/先生との交流/友人関係/学生支援の利用状況/海外留学/進路意識/進路支援の活用状況/大学満足度/社会観・就労観/保護者との関係 など
●Benesse教育研究開発センターの活動
Benesse教育研究開発センター(http://benesse.jp/berd/)では、今後も、時代の変化に即したテーマで調査や研究活動を行い、その結果を広く社会に開示することで、さまざまな方々との議論の輪を広げていきたいと考えています。
4年ぶりに、大学生の学習・生活実態を調査
「主体的な参加が必要な授業」は増えているが、学生は受け身
教員・保護者への依存傾向も強まる
「興味がなくても単位を楽に取れる授業がいい」は55% (6ポイント増加)
「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」は46% (6ポイント増加)
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株式会社ベネッセコーポレーション(本社:岡山市)の社内シンクタンク「ベネッセ教育研究開発センター」では、2012年11月上旬に、全国の大学1~4年生4,911人を対象に、大学での学習や生活に関する意識・実態について、インターネット調査を実施しました。本調査は、第1回調査を2008年に実施しており、この4年間の大学生の行動や意識の変化や、大学生を通した大学の変化をみることができます。
主な調査結果は以下の通りとなります。
【大学の教育改革の進展と大学生の意識】
1.主体的な参加が必要な授業を経験している学生が増加。
「ディスカッションの機会を取り入れた授業」(54.2%)、「教室外で体験的な活動や実習を行う授業」(39.1%)、「プレゼンテーションの機会を取り入れた授業」(57.6%)といった、学生の主体的な参加が必要な授業(アクティブ・ラーニング=能動的学修型授業)で、経験割合(いずれも、「よくあった」+「ある程度あった」の%)が08年度比でそれぞれ7ポイント前後増加している。
2.一方で、授業に受け身な姿勢の学生が多く、「主体的な学び」に転換しているとは言えない。
授業に対して、「あまり興味がなくても単位を楽にとれる授業がよい」とする割合が、5.9ポイント上昇し54.8%と半数を超えた。また、学生が調べ、発表する演習形式の授業より、「教員が知識・技術を教える講義形式の授業が多い方がよい」とする割合も83.3%と依然として高い値となった。
3.保護者への依存が強まり、親子の親密度が増す傾向。その傾向は男子に顕著で、男女差が縮小。
「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする学生が08年度比5.8ポイント増で45.9%、「困ったことがあると、保護者が助けてくれる」とする割合は7.2ポイント増で49.0%といずれも5割近くとなった。
性別にみると、「保護者のアドバイスや意見に従うことが多い」とする割合は男子7.6ポイント増の43.2%、女子は2.8ポイント増の49.5%で、女子の方が全体の割合は高いものの差は縮小しつつある。
大学に対しても、「学生生活については、大学の教員が指導・支援するほうがよい」とする割合が14.7ポイント増え、30.0%となった。
【海外留学・大学のグローバル化】
4.「海外留学をしたい」学生は全体で約4割。しかし、「すでに海外留学をした」4年生はわずか。
「海外留学をしたい」かどうかについては、「とてもあてはまる」12.3%、「まああてはまる」25.7%であるが、4年生の11月時点で、実際に「海外留学をした」のは4.9%にとどまる。留学の希望時期は、「2年生」の時が最も多く、次いで「3年生」となり、両学年で6割を超える。
5.学年が上がるにつれて、語学力が「身についている」と感じる割合は低下。
語学力が「身についた」(とても+まあ)と感じている層の海外留学意向は50%を超えるが、感じていない層だと30%程度である。しかし、語学力は上の学年ほど「身についた」と感じる比率が低下し、「外国語で聞き、話す」で1年生42.7%→4年生27.0%、「外国語で読む、書く」は1年生45.7%→4年生33.7%となっている。
◆学生の主体性を喚起するための実質的な改革へ
文部科学省の中央教育審議会の答申において、学生の主体的な学修を促すための「アクティブ・ラーニング(能動的学修)※の重要性が謳われるなど、大学教育のあり方が課題になっています。このような背景も受けて、今回の調査結果では、大学の授業の取り組みに変化がみられました。大学の教育改革は少しずつ進んでいるようです。しかしながら、学生の学びに対する姿勢は、むしろ受け身になっている傾向がみられます。授業の形式に加えて、学生の意欲を喚起する教授方法のあり方や、大学・学部全体としてどのように位置付けるのが効果的なのかということも、併せて考えていくことが重要です。
また、生活面全般についても保護者や教員に依存する傾向が強まりつつあります。大学の努力だけでなく、社会や家庭においても自立に向けた関わり方はどうあるべきか、見直してみることが必要です。
◆留学の促進には4年間を通じた語学力の育成が重要
海外留学に関しては、留学意向のある学生が4割いるのに対し、実際に留学をした学生の割合は少なく、実現のハードルが高いことが推察されます。調査結果では、学年が上がるにつれて「語学力が身についた」と感じる割合が低下しますが、語学力によって留学の意向は大きく異なります。このことから、4年間通して語学力を身につけられる環境を整えることが、留学を促進し、大学のグローバル化を進める鍵になると言えそうです。
※アクティブ・ラーニング
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。
中央教育審議会「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて〜生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ〜(答申)」用語集より
●調査概要
・名称
第2回大学生の学習・生活実態調査
・調査テーマ
大学生の学習・生活に関する意識・実態をとらえること
・調査方法
インターネット調査
・調査時期
2012年11月3日〜8日
・調査対象
全国の大学1〜4年生 4,911名(留学生、社会人経験者を除く)
インターネット調査会社の約130万人のモニター母集団のうち、「大学生」として登録されている約7万人に対して予備調査を実施。このうち、大学1〜4年生(18〜24歳、日本の大学校・海外の大学に通う場合を除く)にアンケートの協力を依頼。文部科学省の『平成24年度学校基本調査(速報)』の男女比、学部系統別の人数比率に近いサンプル構成を目指して回収を行った。
・調査項目
高校での学習状況/大学選択で重視した点/大学受験の準備/入試方法・受験科目/大学の志望度/入学時の期待/大学生活で力を入れたこと/大学への適応/通学日数・通学時間/学習時間/学習以外の時間の過ごし方/課外活動の実施状況/授業の出席率/大学教育の選好/授業への取り組み/授業の経験/成績/学習成果/先生との交流/友人関係/学生支援の利用状況/海外留学/進路意識/進路支援の活用状況/大学満足度/社会観・就労観/保護者との関係 など
●Benesse教育研究開発センターの活動
Benesse教育研究開発センター(http://benesse.jp/berd/)では、今後も、時代の変化に即したテーマで調査や研究活動を行い、その結果を広く社会に開示することで、さまざまな方々との議論の輪を広げていきたいと考えています。