アストラゼネカのイミフィンジ、トレメリムマブと化学療法との併用療法 ステージIVの非小細胞肺がん一次治療において、単独の化学療法と比べて無増悪生存期間で28%、全生存期間で23%のリスク低下を示す
[21/09/22]
提供元:PRTIMES
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第III相POSEIDON試験は、イミフィンジと化学療法との併用療法にトレメリムマブによる短期間の治療を加えることで、治療中止の増加なく患者さんの転帰を改善することを示した
本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年9月9日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第III相POSEIDON試験の結果から、ステージIVの(転移性)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの一次治療において、化学療法の単独療法と比較して、イミフィンジ(R)(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)とトレメリムマブと白金製剤を含む化学療法を併用することで、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の延長を示したと発表しました。
これらの結果は、国際肺癌学会が主催する2021年世界肺癌学会のプレジデンシャルシンポジウムで発表されました(抄録PL02.01)。
テネシー州ナッシュビルにあるSarah Cannon Research Instituteにおいて肺がん研究プログラムのディレクターであり、Tennessee Oncology, PLLCで腫瘍内科医を務めるMelissa Johnson医師は次のように述べています。「転移性非小細胞肺がん患者さんに影響を与える残されたアンメットニーズにおいて、新しい併用療法、特にPD-L1発現レベルが低い患者さんにおける有効性を高め、CTLA-4の阻害で観察されてきた長期的な生存期間の延長を実現する可能性のある併用療法がますます重要になっています。POSEIDON試験の結果は、イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを加えると、この疾患における効果的で忍容可能な治療となることを裏付けています」。
アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「POSEIDON試験のデータは、イミフィンジが患者さんにさらなるベネフィットをもたらしており、新しい併用療法を探索する当社の開発戦略の重要なバリデーションとなっています。すでに化学療法を受けている患者さんに対し、イミフィンジにトレメリムマブを短期間追加することで、化学療法の単独療法と比較して、がんの進行または死亡のリスクが28%低下しました。また、転移性非小細胞肺がん患者さんの一次治療において、生存期間の有意な延長による忍容性の低下はみられませんでした。これらのデータについて、規制当局と話し合うことを楽しみにしています」。
イミフィンジと化学療法の併用療法に加え、16週間にわたって抗CTLA4抗体であるトレメリムマブによる5サイクルの短期間治療を受けた患者さんでは、さまざまな選択肢のある化学療法と比較して、死亡リスクが23%低下しました(ハザード比[HR]0.77;95% CI 0.65-0.92;p=0.00304)。OSの中央値は、化学療法群で11.7ヵ月だったのに対して14.0ヵ月でした。2年を経過した時点においても生存していた患者さんの割合の推定値は、化学療法群で22%だったのに対して33%でした。この併用療法では、疾患の増悪または死亡のリスクも化学療法の単独療法と比較して28%低下しました(HR 0.72;95% CI 0.60-0.86;p=0.00031)。PFSの中央値はそれぞれ6.2ヵ月および4.8ヵ月でした。この併用療法は、イミフィンジと化学療法による併用療法と概ね同様の安全性プロファイルを示し、トレメリムマブを追加したことにより治療の中止は増加されませんでした。
POSEIDON試験では、イミフィンジと化学療法の併用療法についても検証したところ、化学療法の単独療法と比較して、統計学的に有意なPFSの延長を示しました(HR=0.74;95% CI 0.62-0.89;p=0.00093)。イミフィンジと化学療法の併用療法でOSの延長傾向は認められたものの、統計学的に有意な延長は確認されませんでした。
[画像: https://prtimes.jp/i/24308/341/resize/d24308-341-eb987f1c2804ef8f4d19-0.jpg ]
イミフィンジのそれぞれにおける併用療法の安全性プロファイルは、個々の医薬品で知られているプロファイルと一致しており、安全性に関わる新たな懸念は特定されませんでした。グレード3または4の治療と関連ありと判断された有害事象の発現割合は、イミフィンジ、トレメリムマブおよび化学療法の併用群で51.8%、イミフィンジと化学療法の併用群で44.6%、化学療法の単独療法群で44.4%でした。治療と関連ありと判断され治療中止に至った有害事象の発現割合は、イミフィンジ、トレメリムマブおよび化学療法の併用群で15.5%、イミフィンジと化学療法の併用群で14.1%、化学療法の単独療法群で9.9%でした。
イミフィンジは第III相PACIFIC試験の結果に基づき、化学放射線療法後の切除不能なステージIII NSCLCの治療薬として承認されている唯一の免疫治療薬です。また、米国、ヨーロッパ、日本を含む多くの国々で第III相CASPIAN試験の結果に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬としても承認されています。
イミフィンジは、肺がんにおける包括的な開発プログラムの一環として、より早期を含めた全てのステージにおけるNSCLCおよびSCLC、ならびに他の腫瘍タイプに対する治療薬としても開発中です。また、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法は肺がん、膀胱がん、肝がんを対象に臨床試験が現在進行中です。
なお、トレメリムマブは本邦未承認であり、イミフィンジはIV期のNSCLCに対する適応はございません。
以上
*****
ステージIVの非小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています(1)。患者さんは、肺から離れた臓器に転移した状態であるステージIV肺がんと診断される場合が多くあります(2)。
肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、80-85%がNSCLCと診断されます(2,3)。NSCLC患者さんのうち、扁平上皮がんの患者さんが25-30%、非扁平上皮がんの患者さんがおおよそ70-75%を占めます(2)。ステージIVは肺がんの病状が最も進行した状態で、転移性肺がんとも呼ばれます(4)。
POSEIDON試験について
POSEIDON試験は、ステージIVの(転移性)NSCLCの一次治療として1,013名の患者さんを対象に、イミフィンジとプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはイミフィンジ、トレメリムマブ、プラチナ製剤を含む化学療法の併用療法と化学療法の単独療法を比較する、無作為化、非盲検、多施設共同国際第III相試験です。また、本試験には、全てのPD-L1発現レベルの非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの患者さんが組み入れられていました。なお、EGFR遺伝子変異陽性、ALK遺伝子変異陽性の患者さんは試験対象外でした。
試験治療群の患者さんには、化学療法とイミフィンジ1500mgまたはイミフィンジ1500mgに加えてトレメリムマブ75mgを固定用量で3週間ごとに4サイクル投与後、4週間ごとのイミフィンジによる維持療法、または4週間ごとのイミフィンジに1回のみトレメリムマブを加える維持療法を行いました。比較対照群では、6サイクルを上限に化学療法を実施しました。また、すべての治療群において、非扁平上皮がんの患者さんに対しては、化学療法としてペメトレキセドが投与されている場合は必要に応じてペメトレキセド維持療法の併用を許容していました。非扁平上皮がんの患者さんのほぼ全員(95.5%)がペメトレキセドとプラチナ製剤の投与を受けていたのに対し、化学療法を受けている扁平上皮がんの患者さんの大半(88.3%)がゲムシタビンとプラチナ製剤の投与を受けていました。
本試験はイミフィンジと化学療法併用群でのPFSおよびOSを主要評価項目、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法併用群でのPFSとOSを重要な副次評価項目としています。なお、イミフィンジと化学療法の併用療法およびイミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法の両治療群ともにPFSのエンドポイントを満たしたことから、事前に指定された統計解析計画により、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法群のOSに対する有効性の検証を行うことが許可されています。本試験は、米国、ヨーロッパ、南米、アジアおよび南アフリカを含む18カ国150以上の施設で実施されました。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え] )はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCに対する承認に加え、第III相CASPIAN試験に基づき進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本およびその他の多くの国々で承認されています。また、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても複数の国々で承認されています。2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、肝細胞がん、胆道がん(肝がんの一種)、食道がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。
トレメリムマブについて
トレメリムマブ(遺伝子組換え)は開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強します。トレメリムマブ(遺伝子組換え)はイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムにおいて開発中です。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ(R)(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ(R)(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているサボリニチブなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。
また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf . Accessed September 2021.
2. Abernethy AP, et al. Real-world first-line treatment and overall survival in non-small cell lung cancer without known EGFR mutations or ALK rearrangements in US community oncology setting. PLoS ONE. 2017;12(6):e0178420.
3. Cheema PK, et al. Perspectives on treatment advances for stage III locally advanced unresectable non-small-cell lung cancer. Curr Oncol. 2019;26(1):37-42.
4. Cancer.Net. Lung Cancer – Non-Small Cell: Stages. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/stages . Accessed September 2021.
プレスリリースは以下よりダウンロードできます。
https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2021092209-1cc19c6b2dad796718440a18ca9cdc92.pdf
本資料はアストラゼネカ英国本社が2021年9月9日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。
アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot])は、第III相POSEIDON試験の結果から、ステージIVの(転移性)非小細胞肺がん(NSCLC)患者さんの一次治療において、化学療法の単独療法と比較して、イミフィンジ(R)(一般名:デュルバルマブ[遺伝子組換え]、以下、イミフィンジ)とトレメリムマブと白金製剤を含む化学療法を併用することで、統計学的に有意かつ臨床的に意義のある全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の延長を示したと発表しました。
これらの結果は、国際肺癌学会が主催する2021年世界肺癌学会のプレジデンシャルシンポジウムで発表されました(抄録PL02.01)。
テネシー州ナッシュビルにあるSarah Cannon Research Instituteにおいて肺がん研究プログラムのディレクターであり、Tennessee Oncology, PLLCで腫瘍内科医を務めるMelissa Johnson医師は次のように述べています。「転移性非小細胞肺がん患者さんに影響を与える残されたアンメットニーズにおいて、新しい併用療法、特にPD-L1発現レベルが低い患者さんにおける有効性を高め、CTLA-4の阻害で観察されてきた長期的な生存期間の延長を実現する可能性のある併用療法がますます重要になっています。POSEIDON試験の結果は、イミフィンジと化学療法にトレメリムマブを加えると、この疾患における効果的で忍容可能な治療となることを裏付けています」。
アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&Dの責任者であるSusan Galbraithは次のように述べています。「POSEIDON試験のデータは、イミフィンジが患者さんにさらなるベネフィットをもたらしており、新しい併用療法を探索する当社の開発戦略の重要なバリデーションとなっています。すでに化学療法を受けている患者さんに対し、イミフィンジにトレメリムマブを短期間追加することで、化学療法の単独療法と比較して、がんの進行または死亡のリスクが28%低下しました。また、転移性非小細胞肺がん患者さんの一次治療において、生存期間の有意な延長による忍容性の低下はみられませんでした。これらのデータについて、規制当局と話し合うことを楽しみにしています」。
イミフィンジと化学療法の併用療法に加え、16週間にわたって抗CTLA4抗体であるトレメリムマブによる5サイクルの短期間治療を受けた患者さんでは、さまざまな選択肢のある化学療法と比較して、死亡リスクが23%低下しました(ハザード比[HR]0.77;95% CI 0.65-0.92;p=0.00304)。OSの中央値は、化学療法群で11.7ヵ月だったのに対して14.0ヵ月でした。2年を経過した時点においても生存していた患者さんの割合の推定値は、化学療法群で22%だったのに対して33%でした。この併用療法では、疾患の増悪または死亡のリスクも化学療法の単独療法と比較して28%低下しました(HR 0.72;95% CI 0.60-0.86;p=0.00031)。PFSの中央値はそれぞれ6.2ヵ月および4.8ヵ月でした。この併用療法は、イミフィンジと化学療法による併用療法と概ね同様の安全性プロファイルを示し、トレメリムマブを追加したことにより治療の中止は増加されませんでした。
POSEIDON試験では、イミフィンジと化学療法の併用療法についても検証したところ、化学療法の単独療法と比較して、統計学的に有意なPFSの延長を示しました(HR=0.74;95% CI 0.62-0.89;p=0.00093)。イミフィンジと化学療法の併用療法でOSの延長傾向は認められたものの、統計学的に有意な延長は確認されませんでした。
[画像: https://prtimes.jp/i/24308/341/resize/d24308-341-eb987f1c2804ef8f4d19-0.jpg ]
イミフィンジのそれぞれにおける併用療法の安全性プロファイルは、個々の医薬品で知られているプロファイルと一致しており、安全性に関わる新たな懸念は特定されませんでした。グレード3または4の治療と関連ありと判断された有害事象の発現割合は、イミフィンジ、トレメリムマブおよび化学療法の併用群で51.8%、イミフィンジと化学療法の併用群で44.6%、化学療法の単独療法群で44.4%でした。治療と関連ありと判断され治療中止に至った有害事象の発現割合は、イミフィンジ、トレメリムマブおよび化学療法の併用群で15.5%、イミフィンジと化学療法の併用群で14.1%、化学療法の単独療法群で9.9%でした。
イミフィンジは第III相PACIFIC試験の結果に基づき、化学放射線療法後の切除不能なステージIII NSCLCの治療薬として承認されている唯一の免疫治療薬です。また、米国、ヨーロッパ、日本を含む多くの国々で第III相CASPIAN試験の結果に基づき、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬としても承認されています。
イミフィンジは、肺がんにおける包括的な開発プログラムの一環として、より早期を含めた全てのステージにおけるNSCLCおよびSCLC、ならびに他の腫瘍タイプに対する治療薬としても開発中です。また、イミフィンジとトレメリムマブの併用療法は肺がん、膀胱がん、肝がんを対象に臨床試験が現在進行中です。
なお、トレメリムマブは本邦未承認であり、イミフィンジはIV期のNSCLCに対する適応はございません。
以上
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ステージIVの非小細胞肺がんについて
肺がんは男女共にがん死亡の主な原因であり、がん死亡の約5分の1を占めています(1)。患者さんは、肺から離れた臓器に転移した状態であるステージIV肺がんと診断される場合が多くあります(2)。
肺がんは非小細胞肺がん(NSCLC)と小細胞肺がん(SCLC)に大別され、80-85%がNSCLCと診断されます(2,3)。NSCLC患者さんのうち、扁平上皮がんの患者さんが25-30%、非扁平上皮がんの患者さんがおおよそ70-75%を占めます(2)。ステージIVは肺がんの病状が最も進行した状態で、転移性肺がんとも呼ばれます(4)。
POSEIDON試験について
POSEIDON試験は、ステージIVの(転移性)NSCLCの一次治療として1,013名の患者さんを対象に、イミフィンジとプラチナ製剤を含む化学療法との併用療法、またはイミフィンジ、トレメリムマブ、プラチナ製剤を含む化学療法の併用療法と化学療法の単独療法を比較する、無作為化、非盲検、多施設共同国際第III相試験です。また、本試験には、全てのPD-L1発現レベルの非扁平上皮がんまたは扁平上皮がんの患者さんが組み入れられていました。なお、EGFR遺伝子変異陽性、ALK遺伝子変異陽性の患者さんは試験対象外でした。
試験治療群の患者さんには、化学療法とイミフィンジ1500mgまたはイミフィンジ1500mgに加えてトレメリムマブ75mgを固定用量で3週間ごとに4サイクル投与後、4週間ごとのイミフィンジによる維持療法、または4週間ごとのイミフィンジに1回のみトレメリムマブを加える維持療法を行いました。比較対照群では、6サイクルを上限に化学療法を実施しました。また、すべての治療群において、非扁平上皮がんの患者さんに対しては、化学療法としてペメトレキセドが投与されている場合は必要に応じてペメトレキセド維持療法の併用を許容していました。非扁平上皮がんの患者さんのほぼ全員(95.5%)がペメトレキセドとプラチナ製剤の投与を受けていたのに対し、化学療法を受けている扁平上皮がんの患者さんの大半(88.3%)がゲムシタビンとプラチナ製剤の投与を受けていました。
本試験はイミフィンジと化学療法併用群でのPFSおよびOSを主要評価項目、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法併用群でのPFSとOSを重要な副次評価項目としています。なお、イミフィンジと化学療法の併用療法およびイミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法の両治療群ともにPFSのエンドポイントを満たしたことから、事前に指定された統計解析計画により、イミフィンジ、トレメリムマブ、化学療法の併用療法群のOSに対する有効性の検証を行うことが許可されています。本試験は、米国、ヨーロッパ、南米、アジアおよび南アフリカを含む18カ国150以上の施設で実施されました。
イミフィンジについて
イミフィンジ(デュルバルマブ [遺伝子組換え] )はヒトPD-L1に結合するヒトモノクローナル抗体であり、PD-L1に結合しPD-L1とその受容体であるPD-1およびCD80の相互作用を阻害することで、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発します。
イミフィンジは、切除不能なステージIIIのNSCLCに対する承認に加え、第III相CASPIAN試験に基づき進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の治療薬として、米国、欧州、日本およびその他の多くの国々で承認されています。また、前治療歴のある進行膀胱がん患者さんの治療薬としても複数の国々で承認されています。2017年5月に初めて承認されて以来、10万人以上の患者さんがイミフィンジによる治療を受けています。
広範な開発プログラムの一環として、イミフィンジは、NSCLC、SCLC、膀胱がん、肝細胞がん、胆道がん(肝がんの一種)、食道がん、胃がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮内膜がん、その他の固形がんの治療として、単独療法ならびに併用療法においても検討されています。
トレメリムマブについて
トレメリムマブ(遺伝子組換え)は開発中の新薬で、細胞傷害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)の働きを標的とするヒトモノクローナル抗体です。CTLA-4の作用を阻害することによりT細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強します。トレメリムマブ(遺伝子組換え)はイミフィンジとの併用療法として、NSCLC、SCLC、膀胱がん、および肝細胞がんに対する臨床試験プログラムにおいて開発中です。
肺がん領域におけるアストラゼネカについて
アストラゼネカは、疾患の早期発見と早期治療を通じて、肺がん患者さんを根治に導く治療を提供するとともに、治療耐性や病勢進行した状況においても効果が期待できる治療法を追求すべくサイエンスの限界に挑戦し続けていきます。また、新たな治療ターゲットを定義し、革新的なアプローチを研究することで、患者さんにとって最も高い治療効果が期待できる医薬品を特定し、提供していくことを目指しています。
当社の包括的なポートフォリオには、革新的な肺がん治療薬であるタグリッソ(オシメルチニブ)、イレッサ(R)(ゲフィチニブ)、免疫チェックポイント阻害剤であるイミフィンジ(R)(デュルバルマブ)およびトレメリムマブや第一三共と共同開発を進めているエンハーツおよびdatopotamab deruxtecan、HUTCHMEDと共同開発を進めているサボリニチブなど、新薬候補となる開発品および多様な作用機序を組み合わせた開発パイプラインが含まれます。
アストラゼネカはLung Ambition Alliance(LAA)の創設メンバーであり、LAAは、イノベーションを促進し、肺がん患者さんの治療を含め、治療を超えた人々に意味のある改善を提供するために取り組んでいます。
アストラゼネカの免疫腫瘍学(IO)への取り組み
免疫腫瘍学(IO)はヒトの免疫システムを刺激し腫瘍を破壊するよう設計された治療アプローチです。アストラゼネカにおけるIOポートフォリオは、抗腫瘍免疫抑制を克服するよう設計された免疫治療によって支えられています。当社は、がん種を問わず、より多くのがん患者さんの長期的な生存に貢献するべく、IOに基づく治療アプローチに投資をしています。
また、イミフィンジの単剤療法およびトレメリムマブやその他新規抗体薬との併用療法に対しては、様々ながん種、病期、治療ラインにおいて、また必要に応じて患者さんにとって最善となる治療の方向性を定義する決定ツールとしてPD-L1バイオマーカーを用いる場面において、包括的な臨床試験プログラムが進行中です。さらに、当社のIOポートフォリオを当社オンコロジー全パイプラインあるいはパートナーの標的低分子化合物の中から広く併用療法を検討していくことにより、広範な腫瘍に対する新たな治療選択肢を提供できる可能性があります。
アストラゼネカにおけるオンコロジー領域について
アストラゼネカは、あらゆる種類のがんに対して治療法を提供するという高い目標を掲げ、がんとその発見にいたるまでの複雑さを科学に基づいて理解し、患者さんの人生を変革する医薬品の開発および提供を通じて、オンコロジー領域の変革をけん引していきます。
アストラゼネカは治療困難ながん種に注力しています。当社は持続的なイノベーションにより、医療活動および患者さんの医療経験を一変させる可能性のある、製薬業界でもっとも多様なポートフォリオと開発パイプラインを構築しています。
アストラゼネカはがん治療のパラダイムを再定義し、将来的にはがんによる死亡をなくすことをビジョンに掲げています。
アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、希少疾患、循環器・腎・代謝疾患、呼吸器・免疫疾患からなるバイオ・医薬品において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。英国ケンブリッジを本拠地として、当社は100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については http://www.astrazeneca.com または、ツイッター@AstraZeneca( https://twitter.com/AstraZeneca )(英語のみ)をフォローしてご覧ください。
References
1. World Health Organization. International Agency for Research on Cancer. Lung Fact Sheet. Available at: http://gco.iarc.fr/today/data/factsheets/cancers/15-Lung-fact-sheet.pdf . Accessed September 2021.
2. Abernethy AP, et al. Real-world first-line treatment and overall survival in non-small cell lung cancer without known EGFR mutations or ALK rearrangements in US community oncology setting. PLoS ONE. 2017;12(6):e0178420.
3. Cheema PK, et al. Perspectives on treatment advances for stage III locally advanced unresectable non-small-cell lung cancer. Curr Oncol. 2019;26(1):37-42.
4. Cancer.Net. Lung Cancer – Non-Small Cell: Stages. Available at: https://www.cancer.net/cancer-types/lung-cancer-non-small-cell/stages . Accessed September 2021.
プレスリリースは以下よりダウンロードできます。
https://prtimes.jp/a/?f=c-24308-2021092209-1cc19c6b2dad796718440a18ca9cdc92.pdf