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【大分高専】地元企業と共同で「次世代パワーデバイス」の開発研究を行う

〜大分高専生と地元企業による磁界特性解析を利用した半導体開発〜

大分工業高等専門学校(大分県大分市、校長・山口利幸、以下「大分高専」)電気電子工学科 石川誠司 助教と、大分デバイステクノロジー株式会社(大分県大分市、代表取締役 安部征吾、以下「ODT」)は、昨年度に引き続き「次世代パワー半導体デバイスの開発」に挑戦しました。この共同研究では高専の特色を活かして、在学中の5年生が主体となって研究開発に取組みました。




[画像1: https://prtimes.jp/i/75419/355/resize/d75419-355-de1e900fdba492040662-0.jpg ]

特徴
 電気自動車を始めとする様々な電気機器の制御に使用されている半導体は、私たちの豊かな生活を支えています。次世代の電気機器開発において重要な素子である半導体には多くの課題があり、半導体の損失や、半導体をパッケージする構成部品の耐圧不足や、高温における動作の誤作動などがあります。現在、解析技術の発展により、コンピュータシミュレーションを駆使することで、従来の半導体を発展させた「次世代パワー半導体」が注目され、現在様々な研究開発が進んでいます。本研究は次世代パワー半導体の製造技術構築を目的として、特異形状の半導体接合構造の磁気特性解析を行い、実装可能な技術知見を追求するとともに、不定形構造の電界評価に関する理論展開を検討したものです。この研究開発が進むことで、複雑な形状における半導体の性能評価や、構成する部品の材料を変更したときの性能評価をすることが可能となり、短期間における次世代パワー半導体の開発が期待されています。
 研究の実施にあたっては、学生が主体となって、企業技術者と議論を行うことで、高専から即戦力となる技術者を育成することを目的としています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/75419/355/resize/d75419-355-93389cd5577166829da4-1.jpg ]

 数値だけではイメージを掴みにくい現象も。左図のように色の違いで表すと、どの部分に特定の値が強く表れるのかが一目瞭然であり、パワー半導体の問題点を抽出しやすいです。今回の研究で着目しているリード線は機器を構成している一部の導線で、導線に電流を流すことによって機器を動作させます。導線の種類は、長さ、太さ、形状に違いがあり、機器に最適な導線を選定する必要があります。磁界解析を行う事で各リード線のインダクタンス値を計算でき、スイッチング性能などに影響を与えることが判明してきました。

研究の背景・内容
 SiC(Silicon Carbide)等のワイドギャップ半導体は、従来の半導体と比較して、低損失、高耐圧、高速スイッチング動作および高温動作が可能という特徴があることから次世代パワーデバイスとして期待されています。しかし、全ての特徴を達成するには、使用されている素子の形状や材料を選定し、コンピュータシミュレーションによって電界解析や磁界解析を繰り返し行うことで、性能評価を行い、従来と比較検討をする必要があります。
 研究に従事した学生は、昨年度の電界解析データを基に磁気特性解析のパターン解析を行いました。素子の種類により、インダクタンスがどのように変化するのか、またバランスよく配線するのではなく、解析結果に応じた特殊な配列での配線では機器内にどのような変化が現れるのかなど考え、工夫を凝らし解析に取り組みました。図の配線は、これまで集めてきたデータを基に機器内の不平衡を解消するため一部のリード線を複数本に変えた解析モデルです。不平衡がすべて解決できたわけではありませんが、リード線を適切に配置することの重要性や、複数の配置によってどの程度の影響が与えられるかなど判明できました。
[画像3: https://prtimes.jp/i/75419/355/resize/d75419-355-ac24cd69fe9455ba94a9-2.jpg ]

今後の展望
 本共同研究は、大分県の半導体産業の活力創造を目的とした、大分県LSIクラスター形成推進会議の取組の一部であり、「大学・高専との連携推進補助事業」を利用することで、企業が抱える技術課題を共同研究のテーマとして公募し、実現したものです。さらに,本研究は高専機構が推進するGEAR5.0事業(未来技術の社会実装教育の高度化)の一環としても取り組んでいるものです。
 大分高専とODTとの共同研究は2年目となり,目標としていたパワー半導体の磁気特性解析評価を得ることができました。基礎部分は解決したので、2023年度の共同研究では機器内の解析により露呈した、熱や電流密度の問題点を解決するべく、引き続き共同研究を行います。今後はより実機に近似している解析と、実測を交えた研究を行い、より社会実装を見据えた研究を行うことを予定しています。
 また、日本政府による半導体に関する生産等への支援や、九州・沖縄地区の9高専を中心とする「半導体人材育成事業」の取り組みが始まることから、今後は産官学が連携し、本研究が更なる大きな事業へ展開することが期待されます。
[画像4: https://prtimes.jp/i/75419/355/resize/d75419-355-63b297df305a73031206-3.jpg ]

【URL】
https://ee.oita-ct.ac.jp/staff/ishikawa (大分高専担当教員 石川誠司)
https://www.odt.co.jp/corp/education/ (大分デバイステクノロジー株式会社)
https://www.oita-lsi.jp/ (大分県LSIクラスター形成推進会議)
https://www.oita-ct.ac.jp/gear5/jigyogaiyo/ (大分高専 GEAR 5.0 未来技術の社会実装教育の高度化)


【大分デバイステクノロジー株式会社概要】
会社名:大分デバイステクノロジー株式会社
所在地:大分県大分市野津原1660
代表者:代表取締役 安部 征吾
設立:1970年7月
URL:https://www.odt.co.jp/ 
事業内容:半導体アセンブリ事業、半導体試作・開発サポート事業、半導体前工程製造事業


大分工業高等専門学校について
 大分工業高等専門学校は、昭和38年に設立された国立の高等教育機関です。機械工学科、電気電子工学科、情報工学科、都市・環境工学科の4つの学科と、平成15年に設置した機械・環境システム工学専攻、電気電子情報工学専攻の2つの専攻科を有しており、これまで本科卒業生・専攻科修了生合わせて約8,400名を輩出してきました。「地域共創テクノセンター」や、本校の技術振興会である「大分高専テクノフォーラム」をはじめとして地域との連携や地域産業への貢献という役割を担いながら、「人間性に溢れ国際感覚を備え、探求心、創造性、表現能力を有する技術者の養成」に取り組んでいます。


【学校概要】
[画像5: https://prtimes.jp/i/75419/355/resize/d75419-355-a0e1ae2e6893adcc3d9c-4.jpg ]


学校名:独立行政法人国立高等専門学校機構 
    大分工業高等専門学校
所在地:大分県大分市大字牧1666番地
校長:山口 利幸
設立:1963年
URL:http://www.oita-ct.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関


◆本リリースに関するお問い合わせ先
独立行政法人高等専門学校機構
大分工業高等専門学校
総務課総務係
TEL:097-552-6075(平日8時半から17時)
e-mail:somu@oita-ct.ac.jp
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