『Dear Glenn』―伝説的ピアニストに捧げる、AIと人間の共創を追求するプロジェクト グレン・グールドの音楽表現にAIで迫ったコンサート、その様子を動画で公開
[19/10/23]
提供元:PRTIMES
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9月7日(土)、世界最大規模のメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」で披露
ヤマハ株式会社は、オーストリアのリンツ市で開催された世界最大規模のメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」において、1982年に没した伝説的ピアニストであるグレン・グールドらしい音楽表現でピアノを演奏できる世界初※1のAIシステムを9月7日(土)に公開し、同システムを用いたコンサートを披露しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-233284-7.jpg ]
膨大なグレン・グールドの音源から学習したAIシステムが、彼の代表曲や未演奏曲の演奏を披露し、さらに現代の名演奏家との合奏にも挑戦した様子をこのたび動画で公開します。なお、今回の取り組みは、オーストリア日本友好150周年事業の一つにも認定されています。
<動画>
本日公開の「コンサートビデオ」と9月4日公開の「メイキングビデオ」を以下よりご覧いただけます。
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=wmn0vKs_2dM ]
「コンサートビデオ」(本日公開)
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=vyUgY3R9-GQ ]
「メイキングビデオ」(9月4日公開)
<『Dear Glenn』オフィシャルサイト>
このコンサートを支えた技術については、下記オフィシャルサイトも併せてご覧ください。
https://www.yamaha.com/ja/about/ai/dear_glenn/
<取り組みの概要>
ポイント
伝説的ピアニスト グレン・グールドのタッチやテンポでピアノを演奏できる世界初※1のAIシステムを開発
グールド未演奏曲の披露や、現代の名演奏家との共演にも挑戦したコンサートの様子を動画で公開
AIと人間の共創の可能性について議論を深め、新しい音楽表現のあり方を追求
今回公開したのは、楽譜さえあれば、未演奏曲でもグレン・グールドらしい音楽表現でピアノを演奏できるAIシステムです。自動演奏機能付きピアノとAI(ソフトウェア)から構成されるシステムで、AIはグレン・グールドのタッチやテンポを加味した演奏データを瞬時に生成し、ピアノに演奏を指示します。グレン・グールドの音楽表現を任意の楽曲に適用する方法としては世界初※1となる「深層学習技術」※2を採用しており、昨今急速に進化を遂げるAIテクノロジーによって、その音楽表現に限りなく近づくことを可能にしました。
AIの学習過程では、グレン・グールド財団の協力のもと100時間を超える音源から生成した学習データを使用。さらに現代の気鋭のピアニストであるフランチェスコ・トリスターノをはじめとする、彼の演奏方法を熟知したピアニストたちの演奏による「ヒューマン・インプット」もAIに学習させることで、グレン・グールドの持つ感性や表現技法をあらゆる楽曲に適用して演奏することを可能にしました。
さらにこのシステムには、人間の演奏をリアルタイムに解析し先読みすることで、人間と協調して合奏できる機能も搭載されており、単に自動演奏を行うのではなく、往年のグレン・グールドの音楽表現を感じながら互いに刺激し合い、息の合った合奏を楽しむことができる“共創型”のシステムという特徴も持っています。
今回、当社は、世界最大規模のメディアアートの祭典として知られる「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」でこのAIシステムを公開し、同システムを用いたコンサートを開催しました。
コンサートは、会期3日目にあたる9月7日(土)に聖フローリアン修道院にて開催され、AIシステムによるピアノ独奏曲をはじめ、フランチェスコ・トリスターノとのピアノ二重奏やリンツ・ブルックナー管弦楽団のメンバー(バイオリン、フルート)との三重奏といった“現代の演奏家との時空を超えた合奏”も披露しました。いずれの楽曲も学習データには含まれておらず、目標となる音源情報が無い中でAIはどこまで彼の音楽性に迫ることができるのか、そして合奏という協調作業の中でどこまで人間との関係性を構築できるのかに注目が集まりました。演奏後、満員の会場からは大きな拍手が巻き起こり、同イベント内のメインプログラムである「AI x Music Festival」において最も注目を集めたコンサートの一つとなりました。
グレン・グールドは早くから電子メディアによる録音に傾倒し、奏者と聴衆の新しい関係性に着目したことでも知られています。プロジェクト名の『Dear Glenn』は、新しいテクノロジーに可能性を見出した彼の姿勢に敬意を評し、着想を得たことに由来します。当社は今回の取り組みが、現代のテクノロジーであるAIと人間が互いに刺激し合い共創する新しい音楽表現のあり方を提示する確かな一歩となったと考えています。
※1: 2019年8月現在、当社調べ。 ※2: コンピューターに物事を理解させるための機械学習方法の一つ。ニューラルネットワークという数理モデルを多層的に使用して情報処理を行うことが特徴。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-994362-4.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-839047-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-945551-1.jpg ]
<『Dear Glenn』参加メンバーのコメント>
マーティン・ホンツィック (アルスエレクトロニカ シニアディレクター)
To bring artificial intelligence into connection with music should not end as an objective in a competition or an exhibition of achievements of two different forms of intelligence, but should be the beginning of a discussion which searches for forms of application in order to improve us in our being human and to expand and improve our virtuoso actions. "Dear Glenn" in its many different and wonderful manifestations, has proved to be a congenial example in this context and has more than met Ars Electronica's high-quality standards.
[当社参考訳] 人工知能の音楽分野における活用は、人と機械という異なる形式の知性を有する存在を、相互に競争させたり、エキシビションを披露させたりすることを目的としているわけではありません。むしろこれは対話の始まりであるべきです。私達はこうした対話を通して、人工知能をいかに活用していくべきかについて探求を進めていきます。これらの目標は、私達の人間としての能力を向上させ、名演奏を披露する楽器装置の一層の発展と改良を実現することです。『Dear Glenn』は、さまざまな素晴らしい実演によって、私達の意図にぴったりのプロジェクトであることを証明し、「アルスエレクトロニカ」をさらなる高みへと引き上げてくれました。
ブライアン・M・レヴィン (グレン・グールド財団 エグゼグティブ・ディレクター)
It was a pleasure to work with you all on this great research project, which is such a fitting tribute to the spirit and legacy of Glenn Gould. I am suggesting that this project be taken into the musical mainstream, where I know it will command keen interest and generate a great deal of attention as well as spirited debate.
[当社参考訳] 皆様と協力してこの傑出した研究プロジェクトに取り組むことができたことを大変嬉しく思います。このプロジェクトはまさしく、グレン・グールドの精神と遺産に対する格好の賛辞といえるでしょう。このプロジェクトが音楽シーンのメインストリームに取り入れられ、人びとの興味を掻きたてるとともに、幅広い関心と活発な議論を引き起こすことを期待しています。
フランチェスコ・トリスターノ(ピアニスト・作曲家)
The lines between music, people, machine & algorithm are dissolving and “we are all part of it.” I want to express my deepest gratitude to Yamaha for trusting in me and allowing me to contribute to the first AI that will provide an interpretation of one of the most visionary musicians in the history of the piano: Glenn Gould. This project means everything to me.
[当社参考訳] 音楽、人、機械とアルゴリズムのあいだの境界線は消えつつあり、私達全員がその流れに含まれています。ヤマハに対して、心からの感謝を伝えたく思います。ヤマハは私を信頼し、グレン・グールドの演奏スタイルをAIに再現させるという、前例のない試みに協力する機会を与えてくれました。グレン・グールドはピアノの歴史においてもっとも先見の明があった音楽家のひとりです。現在も進行中のこのプロジェクトは、私にとって全てであるといえます。
森田浩一(ヤマハ株式会社 執行役員 技術本部 研究開発統括部長)
まず今回のプロジェクトの意義に共感し、ご支援くださったすべての方々に深く感謝申し上げます。20世紀に始まった情報処理技術の流れは、産業革命がピアノにもたらしたハードの技術群と同様に、私たちにAIというソフトウェアとしての可能性を提供してくれました。私たちは、感性の視点からこのAIを音楽の創造の可能性を広げる新たなきっかけとして理解し、様々な研究を進めています。今回、その結果の一部を、音楽を理解する皆様と共有することにより、次のページの可能性を描き出すことが出来たのではないかと考えています。
<グレン・グールド>
[画像5: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-228119-5.jpg ]
1932年カナダ・トロントに生まれ、1982年に50歳の若さで没した伝説的ピアニスト。1956年に発売されたデビュー盤「ゴルトベルク変奏曲」を皮切りに、特にJ.S.バッハの演奏について極めて高い評価と功績を残したことで知られる。1964年、コンサートからの引退を表明し、以降、録音に没頭するなど、電子メディアでの発表に傾倒した。また、低い椅子に腰掛けかがみこむように演奏する姿勢や、録音時にもかかわらず鼻歌を歌いながら演奏するなど、その斬新かつ独特の奏法も世間からの注目を集めた。晩年にはバッハの「ゴルトベルク変奏曲」をはじめ3枚のアルバムをヤマハのコンサートピアノで録音した。
<グレン・グールド・ファウンデーション>
比類なきミュージシャン、コミュニケーターまた思想家でもあるグレン・グールドの名を広めるのみならず、個々の生活や社会に芸術で斬新な影響を与える取り組みを通じ、彼のレガシーを広めることを目的に1983年にトロントで設立されたカナダの慈善団体。これまでに、コンサート、シンポジウム、新しいアートワーク、若者や新進アーティストのサポート、美術展、学校教材用ガイドや出版物の制作、アーティストや研究者支援等、多岐にわたる芸術、文化、そして教育的活動を行っており、特にその中で最も顕著な取り組みとして、芸術を通して生涯にわたり人類を豊かにしていると認められる人物を表彰するグレン・グールド賞を主宰している。
公式サイト(英語):https://www.glenngould.ca/
<アルスエレクトロニカ・フェスティバル>
[画像6: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-891359-6.jpg ]
オーストリア・リンツ市を拠点に置くメディアアートの研究機関である「アルスエレクトロニカ」が開催する、最先端のアート、テクノロジー、サイエンスをテーマにした祭典。1979年から40年に渡る歴史を持ち、メディアアートのイベントとしては世界最大規模を誇る。今年は45の国と地域から約11万人が来場し、リンツの様々な場所で催されれる展覧会、パフォーマンス・イベント、国際会議を通して議論を深め、新しい繋がりを生み出した。
日本語公式サイト:https://ars.electronica.art/about/jp/
参考:これまでのヤマハのAIに関する取り組み
●リヒテルのタッチを再現し、AI合奏システムでベルリン・フィルメンバーとの共演を披露:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2016/16090701/
●AIテクノロジーでダンサーをピアニストに:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2017/17122601/
●AIが人間とのピアノ連弾・管楽器アンサンブルに挑戦:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2017/17121201/
●人と楽器をつなぎ合奏の楽しさを引き出すAI技術を搭載した体験型インスタレーションをSXSWで披露:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2018/18030101/
『Dear Glenn』オフィシャルサイト
https://www.yamaha.com/ja/about/ai/dear_glenn/
ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている情報などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。
ヤマハ株式会社は、オーストリアのリンツ市で開催された世界最大規模のメディアアートの祭典「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」において、1982年に没した伝説的ピアニストであるグレン・グールドらしい音楽表現でピアノを演奏できる世界初※1のAIシステムを9月7日(土)に公開し、同システムを用いたコンサートを披露しました。
[画像1: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-233284-7.jpg ]
膨大なグレン・グールドの音源から学習したAIシステムが、彼の代表曲や未演奏曲の演奏を披露し、さらに現代の名演奏家との合奏にも挑戦した様子をこのたび動画で公開します。なお、今回の取り組みは、オーストリア日本友好150周年事業の一つにも認定されています。
<動画>
本日公開の「コンサートビデオ」と9月4日公開の「メイキングビデオ」を以下よりご覧いただけます。
[動画1: https://www.youtube.com/watch?v=wmn0vKs_2dM ]
「コンサートビデオ」(本日公開)
[動画2: https://www.youtube.com/watch?v=vyUgY3R9-GQ ]
「メイキングビデオ」(9月4日公開)
<『Dear Glenn』オフィシャルサイト>
このコンサートを支えた技術については、下記オフィシャルサイトも併せてご覧ください。
https://www.yamaha.com/ja/about/ai/dear_glenn/
<取り組みの概要>
ポイント
伝説的ピアニスト グレン・グールドのタッチやテンポでピアノを演奏できる世界初※1のAIシステムを開発
グールド未演奏曲の披露や、現代の名演奏家との共演にも挑戦したコンサートの様子を動画で公開
AIと人間の共創の可能性について議論を深め、新しい音楽表現のあり方を追求
今回公開したのは、楽譜さえあれば、未演奏曲でもグレン・グールドらしい音楽表現でピアノを演奏できるAIシステムです。自動演奏機能付きピアノとAI(ソフトウェア)から構成されるシステムで、AIはグレン・グールドのタッチやテンポを加味した演奏データを瞬時に生成し、ピアノに演奏を指示します。グレン・グールドの音楽表現を任意の楽曲に適用する方法としては世界初※1となる「深層学習技術」※2を採用しており、昨今急速に進化を遂げるAIテクノロジーによって、その音楽表現に限りなく近づくことを可能にしました。
AIの学習過程では、グレン・グールド財団の協力のもと100時間を超える音源から生成した学習データを使用。さらに現代の気鋭のピアニストであるフランチェスコ・トリスターノをはじめとする、彼の演奏方法を熟知したピアニストたちの演奏による「ヒューマン・インプット」もAIに学習させることで、グレン・グールドの持つ感性や表現技法をあらゆる楽曲に適用して演奏することを可能にしました。
さらにこのシステムには、人間の演奏をリアルタイムに解析し先読みすることで、人間と協調して合奏できる機能も搭載されており、単に自動演奏を行うのではなく、往年のグレン・グールドの音楽表現を感じながら互いに刺激し合い、息の合った合奏を楽しむことができる“共創型”のシステムという特徴も持っています。
今回、当社は、世界最大規模のメディアアートの祭典として知られる「アルスエレクトロニカ・フェスティバル」でこのAIシステムを公開し、同システムを用いたコンサートを開催しました。
コンサートは、会期3日目にあたる9月7日(土)に聖フローリアン修道院にて開催され、AIシステムによるピアノ独奏曲をはじめ、フランチェスコ・トリスターノとのピアノ二重奏やリンツ・ブルックナー管弦楽団のメンバー(バイオリン、フルート)との三重奏といった“現代の演奏家との時空を超えた合奏”も披露しました。いずれの楽曲も学習データには含まれておらず、目標となる音源情報が無い中でAIはどこまで彼の音楽性に迫ることができるのか、そして合奏という協調作業の中でどこまで人間との関係性を構築できるのかに注目が集まりました。演奏後、満員の会場からは大きな拍手が巻き起こり、同イベント内のメインプログラムである「AI x Music Festival」において最も注目を集めたコンサートの一つとなりました。
グレン・グールドは早くから電子メディアによる録音に傾倒し、奏者と聴衆の新しい関係性に着目したことでも知られています。プロジェクト名の『Dear Glenn』は、新しいテクノロジーに可能性を見出した彼の姿勢に敬意を評し、着想を得たことに由来します。当社は今回の取り組みが、現代のテクノロジーであるAIと人間が互いに刺激し合い共創する新しい音楽表現のあり方を提示する確かな一歩となったと考えています。
※1: 2019年8月現在、当社調べ。 ※2: コンピューターに物事を理解させるための機械学習方法の一つ。ニューラルネットワークという数理モデルを多層的に使用して情報処理を行うことが特徴。
[画像2: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-994362-4.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-839047-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-945551-1.jpg ]
<『Dear Glenn』参加メンバーのコメント>
マーティン・ホンツィック (アルスエレクトロニカ シニアディレクター)
To bring artificial intelligence into connection with music should not end as an objective in a competition or an exhibition of achievements of two different forms of intelligence, but should be the beginning of a discussion which searches for forms of application in order to improve us in our being human and to expand and improve our virtuoso actions. "Dear Glenn" in its many different and wonderful manifestations, has proved to be a congenial example in this context and has more than met Ars Electronica's high-quality standards.
[当社参考訳] 人工知能の音楽分野における活用は、人と機械という異なる形式の知性を有する存在を、相互に競争させたり、エキシビションを披露させたりすることを目的としているわけではありません。むしろこれは対話の始まりであるべきです。私達はこうした対話を通して、人工知能をいかに活用していくべきかについて探求を進めていきます。これらの目標は、私達の人間としての能力を向上させ、名演奏を披露する楽器装置の一層の発展と改良を実現することです。『Dear Glenn』は、さまざまな素晴らしい実演によって、私達の意図にぴったりのプロジェクトであることを証明し、「アルスエレクトロニカ」をさらなる高みへと引き上げてくれました。
ブライアン・M・レヴィン (グレン・グールド財団 エグゼグティブ・ディレクター)
It was a pleasure to work with you all on this great research project, which is such a fitting tribute to the spirit and legacy of Glenn Gould. I am suggesting that this project be taken into the musical mainstream, where I know it will command keen interest and generate a great deal of attention as well as spirited debate.
[当社参考訳] 皆様と協力してこの傑出した研究プロジェクトに取り組むことができたことを大変嬉しく思います。このプロジェクトはまさしく、グレン・グールドの精神と遺産に対する格好の賛辞といえるでしょう。このプロジェクトが音楽シーンのメインストリームに取り入れられ、人びとの興味を掻きたてるとともに、幅広い関心と活発な議論を引き起こすことを期待しています。
フランチェスコ・トリスターノ(ピアニスト・作曲家)
The lines between music, people, machine & algorithm are dissolving and “we are all part of it.” I want to express my deepest gratitude to Yamaha for trusting in me and allowing me to contribute to the first AI that will provide an interpretation of one of the most visionary musicians in the history of the piano: Glenn Gould. This project means everything to me.
[当社参考訳] 音楽、人、機械とアルゴリズムのあいだの境界線は消えつつあり、私達全員がその流れに含まれています。ヤマハに対して、心からの感謝を伝えたく思います。ヤマハは私を信頼し、グレン・グールドの演奏スタイルをAIに再現させるという、前例のない試みに協力する機会を与えてくれました。グレン・グールドはピアノの歴史においてもっとも先見の明があった音楽家のひとりです。現在も進行中のこのプロジェクトは、私にとって全てであるといえます。
森田浩一(ヤマハ株式会社 執行役員 技術本部 研究開発統括部長)
まず今回のプロジェクトの意義に共感し、ご支援くださったすべての方々に深く感謝申し上げます。20世紀に始まった情報処理技術の流れは、産業革命がピアノにもたらしたハードの技術群と同様に、私たちにAIというソフトウェアとしての可能性を提供してくれました。私たちは、感性の視点からこのAIを音楽の創造の可能性を広げる新たなきっかけとして理解し、様々な研究を進めています。今回、その結果の一部を、音楽を理解する皆様と共有することにより、次のページの可能性を描き出すことが出来たのではないかと考えています。
<グレン・グールド>
[画像5: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-228119-5.jpg ]
1932年カナダ・トロントに生まれ、1982年に50歳の若さで没した伝説的ピアニスト。1956年に発売されたデビュー盤「ゴルトベルク変奏曲」を皮切りに、特にJ.S.バッハの演奏について極めて高い評価と功績を残したことで知られる。1964年、コンサートからの引退を表明し、以降、録音に没頭するなど、電子メディアでの発表に傾倒した。また、低い椅子に腰掛けかがみこむように演奏する姿勢や、録音時にもかかわらず鼻歌を歌いながら演奏するなど、その斬新かつ独特の奏法も世間からの注目を集めた。晩年にはバッハの「ゴルトベルク変奏曲」をはじめ3枚のアルバムをヤマハのコンサートピアノで録音した。
<グレン・グールド・ファウンデーション>
比類なきミュージシャン、コミュニケーターまた思想家でもあるグレン・グールドの名を広めるのみならず、個々の生活や社会に芸術で斬新な影響を与える取り組みを通じ、彼のレガシーを広めることを目的に1983年にトロントで設立されたカナダの慈善団体。これまでに、コンサート、シンポジウム、新しいアートワーク、若者や新進アーティストのサポート、美術展、学校教材用ガイドや出版物の制作、アーティストや研究者支援等、多岐にわたる芸術、文化、そして教育的活動を行っており、特にその中で最も顕著な取り組みとして、芸術を通して生涯にわたり人類を豊かにしていると認められる人物を表彰するグレン・グールド賞を主宰している。
公式サイト(英語):https://www.glenngould.ca/
<アルスエレクトロニカ・フェスティバル>
[画像6: https://prtimes.jp/i/10701/363/resize/d10701-363-891359-6.jpg ]
オーストリア・リンツ市を拠点に置くメディアアートの研究機関である「アルスエレクトロニカ」が開催する、最先端のアート、テクノロジー、サイエンスをテーマにした祭典。1979年から40年に渡る歴史を持ち、メディアアートのイベントとしては世界最大規模を誇る。今年は45の国と地域から約11万人が来場し、リンツの様々な場所で催されれる展覧会、パフォーマンス・イベント、国際会議を通して議論を深め、新しい繋がりを生み出した。
日本語公式サイト:https://ars.electronica.art/about/jp/
参考:これまでのヤマハのAIに関する取り組み
●リヒテルのタッチを再現し、AI合奏システムでベルリン・フィルメンバーとの共演を披露:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2016/16090701/
●AIテクノロジーでダンサーをピアニストに:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2017/17122601/
●AIが人間とのピアノ連弾・管楽器アンサンブルに挑戦:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2017/17121201/
●人と楽器をつなぎ合奏の楽しさを引き出すAI技術を搭載した体験型インスタレーションをSXSWで披露:
https://www.yamaha.com/ja/news_release/2018/18030101/
『Dear Glenn』オフィシャルサイト
https://www.yamaha.com/ja/about/ai/dear_glenn/
ヤマハ 企業情報サイト/ニュースリリース
https://www.yamaha.com/ja/news_release/
※文中の商品名、社名等は当社や各社の商標または登録商標です。
※このニュースリリースに掲載されている情報などは、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更される場合もありますので、あらかじめご了承ください。