[ジャパン プロパティ ダイジェスト 2018年第4四半期]
[19/02/25]
提供元:PRTIMES
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空室率 東京Aグレードオフィスは1.0%、大阪Aグレードオフィスは1.1%
東京 2019年2月25日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西 利信)は日本のオフィス、リテール(店舗)、ロジスティクス(物流)、ホテル市場の空室・賃料・価格動向、需要・供給動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018 年第4四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
空室率:
2四半期連続で1%台
空室率は1.0%、前期比0.5ポイント低下、前年比1.5ポイント低下となった。中心業務地区全体で低下し、渋谷は引き続きほぼ0%で推移した。既存ビルの空室がきわめて限定的となる中、供給予定の予約契約率が好調となっている。
賃料:
27四半期連続の上昇
月額坪当たり38,178円(共益費込)、前期比1.4%上昇、前年比3.9%増となった。新規供給が上昇を牽引し、27四半期連続で上昇した。2018年通年の上昇率3.9%は、2012年第2四半期に賃料が上昇基調に入って以来3番目に高い水準だった。上昇を牽引したサブマーケットには新宿のほか、新規供給がみられた日比谷、日本橋、渋谷が挙げられる。
価格:
2四半期連続で上昇
価格は前期比1.9%上昇、前年比7.2%上昇となった。賃料の上昇を反映し、2四半期連続で上昇した。投資家の投資意欲は引き続き旺盛となっているものの、当四半期でのAグレードオフィス取引事例は確認されなかった。
12ヵ月見通し:
賃料、価格ともに緩やかに上昇する見通し
賃貸市場では、新規供給は比較的大規模となっており、過去10年平均比でみると、2019年は130%程度、2020年は210%程度となっている。一方で、既に予約契約率はそれぞれ80%、40%程度を達成していることから、空室率の上昇は限定的となり、賃料は緩やかな上昇基調を維持する見通し。投資市場では、投資利回りが一層低下する可能性があり、価格は緩やかに上昇すると予測される。
大阪のAグレードオフィス市場
空室率:
前期比わずかに上昇
空室率は1.1%となり、前期比0.05ポイントの上昇、前年比0.8ポイント低下となった。梅田や御堂筋におけるテナントの入れ替えを反映し、0.05ポイントの小幅上昇となった。
賃料:
年間上昇率は3四半期連続で10%超を記録
月額坪当たり20,694円(共益費込)、前期比2.1%上昇、前年比は10.1%上昇となり、18四半期連続で上昇した。四半期で見ると上昇ペースは2四半期ぶりに加速、年間上昇率は3四半期連続で10%超を記録した。賃料上昇は中心業務地区全体でみられた。
価格:
21四半期連続上昇
価格は前期比7.2%上昇、前年比27.9%上昇となった。賃料上昇を反映し、21四半期連続で上昇した。
12ヵ月見通し:
賃料と価格は引き続き上昇
賃貸市場は、2019年のオフィス供給予定がないことから、全体の市場規模の拡大は抑制される。空室率は一層低下するとみられ、賃料の上昇モメンタムは引き続き強くなる見通し。投資市場では、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、これと賃料上昇を反映して価格は上昇する見込み。
JLLリサーチ事業部長 赤城 威志は、次のように述べています。
「景気が緩やかに回復する中、設備投資は増加し、労働需給も引き締まっています。こうした状況の中で、東京と大阪のAグレードオフィスの賃貸市場は上昇モメンタムを維持しています。東京では、既存ビルの空室率が1%に低下したことを背景に、底堅い需要は潤沢な新規供給・供給予定ビルへと向かい、2018年の賃料上昇率は3.9%へと2017年の1.4%から大きく加速しました。今後の供給予定物件においても予約契約状況が好調であることから、引き続き空室率の上昇は限定的であるものと思料され、賃料も上昇モメンタムを維持するものと予想しています。大阪では、堅調な需要と限定的な供給を背景に、既存ビルの空室率は2018年を通して1.2%を下回る低水準で推移、2018年の賃料上昇率は10.1%の2桁台へと2017年の7.6%から大きく加速し、賃料は2008年以来初めて2万円台を回復しました。今後は、供給予定がきわめて限定的となることから、賃料は上昇モメンタムの一層の高まりが期待される一方で、二次空室を含む空室獲得競争が継続する可能性があります。投資市場では、引き続き国内外の投資家の投資意欲は旺盛となったものの、2018年の投資総額は前年比3%減少と、ほぼ前年並みとなりました。セクター別投資割合をみると、オフィスとロジスティクスが拡大した一方で、リテールとホテルは縮小、この理由には、良好なリファイナンス環境と賃料上昇の期待を背景にした限定的な物件供給、価格高騰による成約目線の違いが挙げられます。今後も投資家の高い投資意欲が継続する中、物件供給の不足や価格高騰が懸念されますが、2019年も昨年並みの投資総額を予想します」
東京のリテール(店舗)市場
賃料:
銀座1階賃料10四半期ぶりに上昇
第4四半期末時点の賃料は月額坪当たり80,405 円となり、前期比1.0%の上昇、前年比1.2%の上昇となった。上昇を牽引したのは銀座の1階賃料で、10四半期ぶりの上昇となった。インバウンド需要の安定化を反映した。
価格:
価格は前期比0.5%上昇、前年比3.7%の上昇となった。
12ヵ月見通し:
消費の見通しはポジティブながら賃料・価格の上昇は限定的
賃貸市場は、堅調な需要に対して比較的限定的な供給が続くことから、銀座と表参道の賃料は引き続き高位にて安定的に推移する見通し。投資市場では、価格は賃料の動きを反映して概ね安定的に推移すると予測される。
東京のロジスティクス(物流)市場
空室率:
各エリアで空室率が低下
東京圏の空室率は4.1%、前期比1.0ポイント低下、前年比横ばいとなった。東京ベイエリアの空室率は0.0%、前期比0.1ポイント低下、前年比1.0ポイント低下した。内陸エリアの空室率は6.3%、前期比1.6ポイント低下、前年比0.2ポイント上昇した。
賃料:
内陸エリアでの新規供給により平均賃料が下落
東京圏の賃料は月額坪当たり4,217円、前期比0.3%下落、前年比0.4%上昇となった。新規供給物件が相体的に賃料の低い内陸部に集中したことが賃料の下落につながった。東京ベイエリアは前期比横ばい、前年比2.2%上昇、内陸エリアは前期比0.1%下落、前年比0.7%上昇となった。
価格:
緩やかに上昇
東京圏の価格は前期比2.0%上昇、前年比4.8%上昇となり、賃料の下落と投資利回りの低下を反映した。
12ヵ月見通し:
賃料は緩やかに上昇、投資利回りは一層低下
賃貸市場は、賃料が比較的低いサブマーケットでの新規供給による賃料下落圧力があるものの、地価や建築コストの高騰による賃料上昇圧力がそれを上回ると予測され、平均賃料は上昇する見通し。投資市場は、安定的なコア資産として当セクターに対する投資家の強い関心は続くとみられ、投資利回りが一層低下する可能性がある。
東京のホテル市場
需要:
インバウンド需要の拡大が旺盛な宿泊需要を創出
2018年通年の訪日外国人客数は、過去最高の3,100万人を記録した。2018年は自然災害が多く発生したものの、アジア経済の中心地であり、旅行先としても人気が高い東京では、宿泊需要の増大が進んだ。2017年11月から2018年10月までの12か月間における都内延べ宿泊者数は、前年同期比4.8%増の5,620万人となった。全宿泊者数の36.3%を占める外国人宿泊者数は前年同期比12.2%増、日本人宿泊者数は横ばいに推移している。
供給:
4ツ星及び5ツ星ホテルの新規供給は限定的
2018年第4四半期の新規ホテル供給は、10月1日に開業した「プルマン東京田町」(客室数143室)が挙げられる。今後数年間で複数のラグジュアリーホテルの新規供給が予定されている。このうち代表的な計画としては、「ホテルオークラ東京本館」が2019年9月に「The Okura Tokyo」としてリニューアル開業するほか、2020年開業予定の「フォーシーズンズホテル大手町」、虎ノ門および銀座でそれぞれ開業予定の「エディションホテル」、2022年開業予定の「ブルガリホテル東京」が挙げられる。
運営パフォーマンス:
ADRの上昇がRevPAR成長に貢献
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2018年初来11月までの累計で前年比8.6%の増加となった(出典:STR)。客室単価(ADR)の上昇がパフォーマンス改善に貢献した。
売買:
2018年第3四半期に続き、第4四半期も東京の5ツ星ホテルの売買取引は見られなかった。投資家の投資意欲は強い一方で、全国的に売却案件が少ない状況が続いている。
12ヵ月見通し:
世界的スポーツイベントにより更なるパフォーマンス改善が見込まれる
2019年のラグビーワールドカップに続き2020年にオリンピック・パラリンピックを控える東京では、5ツ星ホテルマーケットの更なるパフォーマンス改善が見込まれる。今後12ヵ月間のホテル投資マーケットに関しては、2020年以降のRevPAR成長率が鈍化すると予測される。売却の検討を始める機関投資家が出てくる可能性があり、取引件数が再び増加すると考えられる。
JLL 取締役 執行役員 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳 知彦は、次のように述べています。
「都内の5ツ星ホテルでは、継続的に増加しているインバウンドを背景にパフォーマンスの改善が続いていますが、3ツ星ホテル以下のセグメントは、ここ数年で客室単価が急上昇した結果、国内ビジネス客や低予算の外国人レジャー客に対する客室単価の更なる向上は期待しにくく、成長ペースが伸び悩み始めています。2018年のホテル投資マーケットでは、販売用不動産として新規開発された都心部のビジネスホテルが竣工後に売買されたことで取引件数は2017年を上回った一方、売買金額については、2017年までに大型ホテルの売買が多数成立した反動で伸び悩んでいます。しかし最近では、東京オリンピック後のRevPAR成長ペース鈍化を見据えて譲渡益確定を見込んだ売却を検討するホテル投資家も現れており、2019年は活発なホテル取引が期待されます」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018年第4四半期」の詳細はJLLウェブサイト(http://www.joneslanglasalle.co.jp)をご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは不動産市場を再考し、皆様のアンビション実現を支援する不動産の機会やスペースを提供するとともに、お客様、人、コミュニティにとってよりよい明日を築くことを目指します。フォーチュン500に選出されているJLLは、2018年12月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約90,000名を擁し、売上高は163億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com
東京 2019年2月25日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西 利信)は日本のオフィス、リテール(店舗)、ロジスティクス(物流)、ホテル市場の空室・賃料・価格動向、需要・供給動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018 年第4四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。
東京のAグレードオフィス市場
空室率:
2四半期連続で1%台
空室率は1.0%、前期比0.5ポイント低下、前年比1.5ポイント低下となった。中心業務地区全体で低下し、渋谷は引き続きほぼ0%で推移した。既存ビルの空室がきわめて限定的となる中、供給予定の予約契約率が好調となっている。
賃料:
27四半期連続の上昇
月額坪当たり38,178円(共益費込)、前期比1.4%上昇、前年比3.9%増となった。新規供給が上昇を牽引し、27四半期連続で上昇した。2018年通年の上昇率3.9%は、2012年第2四半期に賃料が上昇基調に入って以来3番目に高い水準だった。上昇を牽引したサブマーケットには新宿のほか、新規供給がみられた日比谷、日本橋、渋谷が挙げられる。
価格:
2四半期連続で上昇
価格は前期比1.9%上昇、前年比7.2%上昇となった。賃料の上昇を反映し、2四半期連続で上昇した。投資家の投資意欲は引き続き旺盛となっているものの、当四半期でのAグレードオフィス取引事例は確認されなかった。
12ヵ月見通し:
賃料、価格ともに緩やかに上昇する見通し
賃貸市場では、新規供給は比較的大規模となっており、過去10年平均比でみると、2019年は130%程度、2020年は210%程度となっている。一方で、既に予約契約率はそれぞれ80%、40%程度を達成していることから、空室率の上昇は限定的となり、賃料は緩やかな上昇基調を維持する見通し。投資市場では、投資利回りが一層低下する可能性があり、価格は緩やかに上昇すると予測される。
大阪のAグレードオフィス市場
空室率:
前期比わずかに上昇
空室率は1.1%となり、前期比0.05ポイントの上昇、前年比0.8ポイント低下となった。梅田や御堂筋におけるテナントの入れ替えを反映し、0.05ポイントの小幅上昇となった。
賃料:
年間上昇率は3四半期連続で10%超を記録
月額坪当たり20,694円(共益費込)、前期比2.1%上昇、前年比は10.1%上昇となり、18四半期連続で上昇した。四半期で見ると上昇ペースは2四半期ぶりに加速、年間上昇率は3四半期連続で10%超を記録した。賃料上昇は中心業務地区全体でみられた。
価格:
21四半期連続上昇
価格は前期比7.2%上昇、前年比27.9%上昇となった。賃料上昇を反映し、21四半期連続で上昇した。
12ヵ月見通し:
賃料と価格は引き続き上昇
賃貸市場は、2019年のオフィス供給予定がないことから、全体の市場規模の拡大は抑制される。空室率は一層低下するとみられ、賃料の上昇モメンタムは引き続き強くなる見通し。投資市場では、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、これと賃料上昇を反映して価格は上昇する見込み。
JLLリサーチ事業部長 赤城 威志は、次のように述べています。
「景気が緩やかに回復する中、設備投資は増加し、労働需給も引き締まっています。こうした状況の中で、東京と大阪のAグレードオフィスの賃貸市場は上昇モメンタムを維持しています。東京では、既存ビルの空室率が1%に低下したことを背景に、底堅い需要は潤沢な新規供給・供給予定ビルへと向かい、2018年の賃料上昇率は3.9%へと2017年の1.4%から大きく加速しました。今後の供給予定物件においても予約契約状況が好調であることから、引き続き空室率の上昇は限定的であるものと思料され、賃料も上昇モメンタムを維持するものと予想しています。大阪では、堅調な需要と限定的な供給を背景に、既存ビルの空室率は2018年を通して1.2%を下回る低水準で推移、2018年の賃料上昇率は10.1%の2桁台へと2017年の7.6%から大きく加速し、賃料は2008年以来初めて2万円台を回復しました。今後は、供給予定がきわめて限定的となることから、賃料は上昇モメンタムの一層の高まりが期待される一方で、二次空室を含む空室獲得競争が継続する可能性があります。投資市場では、引き続き国内外の投資家の投資意欲は旺盛となったものの、2018年の投資総額は前年比3%減少と、ほぼ前年並みとなりました。セクター別投資割合をみると、オフィスとロジスティクスが拡大した一方で、リテールとホテルは縮小、この理由には、良好なリファイナンス環境と賃料上昇の期待を背景にした限定的な物件供給、価格高騰による成約目線の違いが挙げられます。今後も投資家の高い投資意欲が継続する中、物件供給の不足や価格高騰が懸念されますが、2019年も昨年並みの投資総額を予想します」
東京のリテール(店舗)市場
賃料:
銀座1階賃料10四半期ぶりに上昇
第4四半期末時点の賃料は月額坪当たり80,405 円となり、前期比1.0%の上昇、前年比1.2%の上昇となった。上昇を牽引したのは銀座の1階賃料で、10四半期ぶりの上昇となった。インバウンド需要の安定化を反映した。
価格:
価格は前期比0.5%上昇、前年比3.7%の上昇となった。
12ヵ月見通し:
消費の見通しはポジティブながら賃料・価格の上昇は限定的
賃貸市場は、堅調な需要に対して比較的限定的な供給が続くことから、銀座と表参道の賃料は引き続き高位にて安定的に推移する見通し。投資市場では、価格は賃料の動きを反映して概ね安定的に推移すると予測される。
東京のロジスティクス(物流)市場
空室率:
各エリアで空室率が低下
東京圏の空室率は4.1%、前期比1.0ポイント低下、前年比横ばいとなった。東京ベイエリアの空室率は0.0%、前期比0.1ポイント低下、前年比1.0ポイント低下した。内陸エリアの空室率は6.3%、前期比1.6ポイント低下、前年比0.2ポイント上昇した。
賃料:
内陸エリアでの新規供給により平均賃料が下落
東京圏の賃料は月額坪当たり4,217円、前期比0.3%下落、前年比0.4%上昇となった。新規供給物件が相体的に賃料の低い内陸部に集中したことが賃料の下落につながった。東京ベイエリアは前期比横ばい、前年比2.2%上昇、内陸エリアは前期比0.1%下落、前年比0.7%上昇となった。
価格:
緩やかに上昇
東京圏の価格は前期比2.0%上昇、前年比4.8%上昇となり、賃料の下落と投資利回りの低下を反映した。
12ヵ月見通し:
賃料は緩やかに上昇、投資利回りは一層低下
賃貸市場は、賃料が比較的低いサブマーケットでの新規供給による賃料下落圧力があるものの、地価や建築コストの高騰による賃料上昇圧力がそれを上回ると予測され、平均賃料は上昇する見通し。投資市場は、安定的なコア資産として当セクターに対する投資家の強い関心は続くとみられ、投資利回りが一層低下する可能性がある。
東京のホテル市場
需要:
インバウンド需要の拡大が旺盛な宿泊需要を創出
2018年通年の訪日外国人客数は、過去最高の3,100万人を記録した。2018年は自然災害が多く発生したものの、アジア経済の中心地であり、旅行先としても人気が高い東京では、宿泊需要の増大が進んだ。2017年11月から2018年10月までの12か月間における都内延べ宿泊者数は、前年同期比4.8%増の5,620万人となった。全宿泊者数の36.3%を占める外国人宿泊者数は前年同期比12.2%増、日本人宿泊者数は横ばいに推移している。
供給:
4ツ星及び5ツ星ホテルの新規供給は限定的
2018年第4四半期の新規ホテル供給は、10月1日に開業した「プルマン東京田町」(客室数143室)が挙げられる。今後数年間で複数のラグジュアリーホテルの新規供給が予定されている。このうち代表的な計画としては、「ホテルオークラ東京本館」が2019年9月に「The Okura Tokyo」としてリニューアル開業するほか、2020年開業予定の「フォーシーズンズホテル大手町」、虎ノ門および銀座でそれぞれ開業予定の「エディションホテル」、2022年開業予定の「ブルガリホテル東京」が挙げられる。
運営パフォーマンス:
ADRの上昇がRevPAR成長に貢献
東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2018年初来11月までの累計で前年比8.6%の増加となった(出典:STR)。客室単価(ADR)の上昇がパフォーマンス改善に貢献した。
売買:
2018年第3四半期に続き、第4四半期も東京の5ツ星ホテルの売買取引は見られなかった。投資家の投資意欲は強い一方で、全国的に売却案件が少ない状況が続いている。
12ヵ月見通し:
世界的スポーツイベントにより更なるパフォーマンス改善が見込まれる
2019年のラグビーワールドカップに続き2020年にオリンピック・パラリンピックを控える東京では、5ツ星ホテルマーケットの更なるパフォーマンス改善が見込まれる。今後12ヵ月間のホテル投資マーケットに関しては、2020年以降のRevPAR成長率が鈍化すると予測される。売却の検討を始める機関投資家が出てくる可能性があり、取引件数が再び増加すると考えられる。
JLL 取締役 執行役員 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳 知彦は、次のように述べています。
「都内の5ツ星ホテルでは、継続的に増加しているインバウンドを背景にパフォーマンスの改善が続いていますが、3ツ星ホテル以下のセグメントは、ここ数年で客室単価が急上昇した結果、国内ビジネス客や低予算の外国人レジャー客に対する客室単価の更なる向上は期待しにくく、成長ペースが伸び悩み始めています。2018年のホテル投資マーケットでは、販売用不動産として新規開発された都心部のビジネスホテルが竣工後に売買されたことで取引件数は2017年を上回った一方、売買金額については、2017年までに大型ホテルの売買が多数成立した反動で伸び悩んでいます。しかし最近では、東京オリンピック後のRevPAR成長ペース鈍化を見据えて譲渡益確定を見込んだ売却を検討するホテル投資家も現れており、2019年は活発なホテル取引が期待されます」
【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット
「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018年第4四半期」の詳細はJLLウェブサイト(http://www.joneslanglasalle.co.jp)をご覧ください。
JLLについて
JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは不動産市場を再考し、皆様のアンビション実現を支援する不動産の機会やスペースを提供するとともに、お客様、人、コミュニティにとってよりよい明日を築くことを目指します。フォーチュン500に選出されているJLLは、2018年12月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約90,000名を擁し、売上高は163億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com