ストロー使用量が半減 プラスチック廃止&紙ストロー有料化の実証実験
[19/10/25]
提供元:PRTIMES
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千葉大学環境ISO学生委員会では学内からプラスチックごみを減らすとともに、学生・教職員の海洋汚染への意識の啓発を図る目的で、「プラスチックストローの配布を一時停止」「紙ストローの有料化(1本5円)」「販売データおよびアンケートによる検証」の実証実験を行い、その効果について報告をまとめました。
背景・目的
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-652742-0.png ]
近年、プラスチックごみが川や海を流れ、「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かな塵となり、海洋汚染に大きな影響を及ぼしています。最近では、絶滅が危惧されるウミガメの鼻からストローを取り除く動画が拡散されたことから大きな話題となりました。千葉大学生活協同組合(以下生協)では500mL紙パック飲料購入者に、プラスチックストローを無料で配布しており、年間およそ30,000本を使用しています。そのような現状を受け、千葉大学で環境活動を実施する「環境ISO学生委員会」では、環境問題の深刻性を伝えるために、プラスチックストローに関する実証実験を行いました。
経緯
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-484801-3.png ]
2018年12月、環境ISO学生委員会の学生がプラスチックごみの減量化推進のために本企画を発案し、生協と会議を重ねていきました。千葉大学の環境活動に関する審議を行う環境ISO企画委員会に何度も企画を提案して改善していき、2019年3月に、実証実験の時期と内容が決定しました。その後、紙ストローの購入や事前アンケート、広報などの準備をすすめ、2019年7月に実験を行いました。その結果について10月21日に環境ISO企画委員会に報告書を提出しました。
内容
[画像3: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-951556-4.png ]
期間:2019年7月9日(火)〜12日(金)の4日間
場所:千葉大学西千葉キャンパスの大学生協(2店舗:ライフセンター、工学部店舗)
内容:500mL紙パック飲料の購入者に対し、プラスチックストローの配布を一時停止し、代替となる紙ストローを1本5円で販売。実験データとして、飲料やストロー販売数の確認とアンケート調査を実施。
広報:実証実験への理解と協力を求めるとともに、プラスチック汚染の問題に対する意識啓発を行うためにプレスリリース、SNS広報、ポスター掲示、呼びかけなどの広報活動を行った。
プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000354.000015177.html
結果
【ストロー販売数】
500mL紙パック飲料は実験期間中に251本を販売し、そのうち、紙ストローを購入した人は129人(51.4%)でした。48.6%の利用者がストローの購入を控えたため、ストローの使用量は半減しました。
なお、興味本位で紙ストローを購入する人も少数ながらいたため、長期で実験を行った場合はさらにストローの購入率は減少すると予想されます。
【飲料販売数】
実験した週の500mL紙パック飲料の販売数は前後の週より少なかったですが、500mLペットボトル飲料や飲料全体においても同様の変化がありました。これは、実験週の平均気温が前後週と比べて低かったことが影響していると思われます。しかし、紙パック飲料の購入減にストロー有料化による抑止力が働いている可能性も無視できません。
【アンケート結果】
[画像4: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-439332-1.png ]
・紙ストローを利用した感想「使いやすかった32%」「使いにくかった37%」
・今後、プラスチックストローの代わりに紙ストローを有料で導入することについて「とてもいいと思う21%」「どちらかといえばいいと思う19%」「どちらかといえば悪いと思う35%」「とても悪いと思う25%」
以上より、使用する紙ストローの製品を変更するか、生分解性プラスチックなど環境負荷が低い他のストローに変更するなどの改善を検討する必要があると考えます。
まとめ
今回の実証実験を通して、プラスチックストローの配布廃止と紙ストローの有料化は、ストローの使用量を減少させる効果があることがわかりました。一方で多くの課題も発見し、今後このような活動を普及させるためには改善するべき点や、その改善案も検討していく必要があると考えています。
【実証実験の成果】
1. プラスチックストローの使用量を削減することができた(期間中251本)
2. 紙ストローの有料化はストロー自体の使用量も半減させる効果がある
3. 学内関係者に対してプラスチックごみ問題に対する意識啓発ができた
4. 新聞やテレビで報道されたことによって、社会に対しても意識啓発活動ができた
【実証実験の課題】
1. プラスチックごみによる海洋汚染の深刻性の認知度向上に余地があると感じた。
2. 今回の実験で使用した紙ストローは歯ざわり等の利便性に欠けていた。利用者によっては注ぎ口から直接、飲料を飲む人も見られ、不満が高いように見受けられた。
3. 500mL紙パック飲料の売り上げ数や店舗利益に影響を及ぼす懸念がある。
4. 短期間の実験であったため、集計できたデータが少なかった。
【課題に対する今後の対応】
1. プラスチックごみ問題に対する継続的な啓発活動を行っていく。
2. 使用する紙ストローの製品を変更するか、環境負荷が低い他のストローに変更する。
また、ストロー以外の方法、例えば、持ち運べるコップなどの導入を検討する。
3. ストローの設定価格を見直すなど必要に応じて対策を講じる。
4. 長期的な実験(半年〜1年)へ移行し、より多くのデータ集計をする。場合によっては、学生委員会の構内事業者班の1つのプロジェクトとして確立し、今後も他大学や社会に反映させるために活動をしていく。
プロジェクトリーダーのコメント(環境ISO学生委員会 法政経学部3年 浅倉裕登)
このプロジェクトを立案するに至ったのは、環境啓発活動に対して自分自身の考えで働きかけたいと考えたからです。立案当時、鼻にストローが刺さったウミガメを救助した動画がSNSで拡散されていました。このプラスチックごみによる海洋汚染問題について調査して、他人ごとではないと感じた私は、プロジェクトを始動しようと決意しました。このような実験をしている大学の前例がほとんどなく、どのような過程を経て検証すればよいかは手探りの状態でしたが、結果的にメディアに取り上げられることで、自分の環境意識啓発活動に自信を持つことができました。実現にはまだ課題も多くありますが、今回の実験が、国内でこの問題を意識することが当たり前になるきっかけになればと思います。今回のプロジェクトに協力してくださった千葉大学生協と関係者の皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。
千葉大学生協のコメント(千葉大学生協ライフセンター店長 佐々木 誠司)
千葉大学生協ではこれまでレジ袋有料化の取り組みを行ってきました。今回のプラスチックストロー使用量削減の取り組みについては、どれだけの効果があるかは分かりませんでしたが、環境問題の啓蒙活動や学生の主体的な取り組みをサポートする観点で生協として取り組みました。
環境ISO学生委員会と一緒にライフセンターで取り組んだこのプロジェクトを通して、プラスチックストローについて考える学生、環境問題について考える学生が一人でも多くなってほしいと思っています。
レジ袋有料化の取り組みについて
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000245.000015177.html
千葉大学環境ISO学生委員会とは
[画像5: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-192320-6.jpg ]
千葉大学において学生主体で環境活動を行っている学生団体。千葉大学がISO14001の取得に動き出した2003年に発足し、それ以後、大学の環境マネジメントの運営組織の一部としてEMSの運営を担ってきました。毎年1〜3年生まで約200名が所属。内部監査員や環境報告書の作成のほか、エネルギー班、紙班、ごみ班、堆肥化班、学内緑化班、構内美化班、学外教育班、環境報告書班など、活動の内容に応じて20ほどの班や担当があり、環境負荷削減の意識啓発活動や、小中学校幼稚園への環境教育活動、緑化や堆肥化といった活動、エコグッズの作成など、幅広い活動を行っています。
また、2009年にNPO法人格も取得し、NPO法人としての活動も行っています。
NPO法人として、企業と協力して里山保全活動を行ったり、地域の学校へ環境出前授業を行ったりしています。
本件に対するお問い合わせ先
[画像6: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-663658-5.png ]
千葉大学環境ISO事務局
kankyo-iso@office.chiba-u.jp
Tel:043-290-3572
背景・目的
[画像1: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-652742-0.png ]
近年、プラスチックごみが川や海を流れ、「マイクロプラスチック」と呼ばれる細かな塵となり、海洋汚染に大きな影響を及ぼしています。最近では、絶滅が危惧されるウミガメの鼻からストローを取り除く動画が拡散されたことから大きな話題となりました。千葉大学生活協同組合(以下生協)では500mL紙パック飲料購入者に、プラスチックストローを無料で配布しており、年間およそ30,000本を使用しています。そのような現状を受け、千葉大学で環境活動を実施する「環境ISO学生委員会」では、環境問題の深刻性を伝えるために、プラスチックストローに関する実証実験を行いました。
経緯
[画像2: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-484801-3.png ]
2018年12月、環境ISO学生委員会の学生がプラスチックごみの減量化推進のために本企画を発案し、生協と会議を重ねていきました。千葉大学の環境活動に関する審議を行う環境ISO企画委員会に何度も企画を提案して改善していき、2019年3月に、実証実験の時期と内容が決定しました。その後、紙ストローの購入や事前アンケート、広報などの準備をすすめ、2019年7月に実験を行いました。その結果について10月21日に環境ISO企画委員会に報告書を提出しました。
内容
[画像3: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-951556-4.png ]
期間:2019年7月9日(火)〜12日(金)の4日間
場所:千葉大学西千葉キャンパスの大学生協(2店舗:ライフセンター、工学部店舗)
内容:500mL紙パック飲料の購入者に対し、プラスチックストローの配布を一時停止し、代替となる紙ストローを1本5円で販売。実験データとして、飲料やストロー販売数の確認とアンケート調査を実施。
広報:実証実験への理解と協力を求めるとともに、プラスチック汚染の問題に対する意識啓発を行うためにプレスリリース、SNS広報、ポスター掲示、呼びかけなどの広報活動を行った。
プレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000354.000015177.html
結果
【ストロー販売数】
500mL紙パック飲料は実験期間中に251本を販売し、そのうち、紙ストローを購入した人は129人(51.4%)でした。48.6%の利用者がストローの購入を控えたため、ストローの使用量は半減しました。
なお、興味本位で紙ストローを購入する人も少数ながらいたため、長期で実験を行った場合はさらにストローの購入率は減少すると予想されます。
【飲料販売数】
実験した週の500mL紙パック飲料の販売数は前後の週より少なかったですが、500mLペットボトル飲料や飲料全体においても同様の変化がありました。これは、実験週の平均気温が前後週と比べて低かったことが影響していると思われます。しかし、紙パック飲料の購入減にストロー有料化による抑止力が働いている可能性も無視できません。
【アンケート結果】
[画像4: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-439332-1.png ]
・紙ストローを利用した感想「使いやすかった32%」「使いにくかった37%」
・今後、プラスチックストローの代わりに紙ストローを有料で導入することについて「とてもいいと思う21%」「どちらかといえばいいと思う19%」「どちらかといえば悪いと思う35%」「とても悪いと思う25%」
以上より、使用する紙ストローの製品を変更するか、生分解性プラスチックなど環境負荷が低い他のストローに変更するなどの改善を検討する必要があると考えます。
まとめ
今回の実証実験を通して、プラスチックストローの配布廃止と紙ストローの有料化は、ストローの使用量を減少させる効果があることがわかりました。一方で多くの課題も発見し、今後このような活動を普及させるためには改善するべき点や、その改善案も検討していく必要があると考えています。
【実証実験の成果】
1. プラスチックストローの使用量を削減することができた(期間中251本)
2. 紙ストローの有料化はストロー自体の使用量も半減させる効果がある
3. 学内関係者に対してプラスチックごみ問題に対する意識啓発ができた
4. 新聞やテレビで報道されたことによって、社会に対しても意識啓発活動ができた
【実証実験の課題】
1. プラスチックごみによる海洋汚染の深刻性の認知度向上に余地があると感じた。
2. 今回の実験で使用した紙ストローは歯ざわり等の利便性に欠けていた。利用者によっては注ぎ口から直接、飲料を飲む人も見られ、不満が高いように見受けられた。
3. 500mL紙パック飲料の売り上げ数や店舗利益に影響を及ぼす懸念がある。
4. 短期間の実験であったため、集計できたデータが少なかった。
【課題に対する今後の対応】
1. プラスチックごみ問題に対する継続的な啓発活動を行っていく。
2. 使用する紙ストローの製品を変更するか、環境負荷が低い他のストローに変更する。
また、ストロー以外の方法、例えば、持ち運べるコップなどの導入を検討する。
3. ストローの設定価格を見直すなど必要に応じて対策を講じる。
4. 長期的な実験(半年〜1年)へ移行し、より多くのデータ集計をする。場合によっては、学生委員会の構内事業者班の1つのプロジェクトとして確立し、今後も他大学や社会に反映させるために活動をしていく。
プロジェクトリーダーのコメント(環境ISO学生委員会 法政経学部3年 浅倉裕登)
このプロジェクトを立案するに至ったのは、環境啓発活動に対して自分自身の考えで働きかけたいと考えたからです。立案当時、鼻にストローが刺さったウミガメを救助した動画がSNSで拡散されていました。このプラスチックごみによる海洋汚染問題について調査して、他人ごとではないと感じた私は、プロジェクトを始動しようと決意しました。このような実験をしている大学の前例がほとんどなく、どのような過程を経て検証すればよいかは手探りの状態でしたが、結果的にメディアに取り上げられることで、自分の環境意識啓発活動に自信を持つことができました。実現にはまだ課題も多くありますが、今回の実験が、国内でこの問題を意識することが当たり前になるきっかけになればと思います。今回のプロジェクトに協力してくださった千葉大学生協と関係者の皆様にこの場を借りて御礼を申し上げます。
千葉大学生協のコメント(千葉大学生協ライフセンター店長 佐々木 誠司)
千葉大学生協ではこれまでレジ袋有料化の取り組みを行ってきました。今回のプラスチックストロー使用量削減の取り組みについては、どれだけの効果があるかは分かりませんでしたが、環境問題の啓蒙活動や学生の主体的な取り組みをサポートする観点で生協として取り組みました。
環境ISO学生委員会と一緒にライフセンターで取り組んだこのプロジェクトを通して、プラスチックストローについて考える学生、環境問題について考える学生が一人でも多くなってほしいと思っています。
レジ袋有料化の取り組みについて
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000245.000015177.html
千葉大学環境ISO学生委員会とは
[画像5: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-192320-6.jpg ]
千葉大学において学生主体で環境活動を行っている学生団体。千葉大学がISO14001の取得に動き出した2003年に発足し、それ以後、大学の環境マネジメントの運営組織の一部としてEMSの運営を担ってきました。毎年1〜3年生まで約200名が所属。内部監査員や環境報告書の作成のほか、エネルギー班、紙班、ごみ班、堆肥化班、学内緑化班、構内美化班、学外教育班、環境報告書班など、活動の内容に応じて20ほどの班や担当があり、環境負荷削減の意識啓発活動や、小中学校幼稚園への環境教育活動、緑化や堆肥化といった活動、エコグッズの作成など、幅広い活動を行っています。
また、2009年にNPO法人格も取得し、NPO法人としての活動も行っています。
NPO法人として、企業と協力して里山保全活動を行ったり、地域の学校へ環境出前授業を行ったりしています。
本件に対するお問い合わせ先
[画像6: https://prtimes.jp/i/15177/380/resize/d15177-380-663658-5.png ]
千葉大学環境ISO事務局
kankyo-iso@office.chiba-u.jp
Tel:043-290-3572