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設計情報から建物の高精度無線環境予測に成功

〜3次元建物モデルと無線電波伝搬シミュレーション(Cradio(R))技術を活用した共同トライアル実施について〜




 西日本電信電話株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:北村 亮太、以下「NTT西日本」)と株式会社竹中工務店(本社:大阪府大阪市、取締役社長:佐々木 正人、以下「竹中工務店」)は、日本電信電話株式会社(以下「NTT」)が開発した無線電波伝搬シミュレーション技術(Cradio(R)(クレイディオ)※1)と、3次元の建物モデル(BIM(ビム)データ※2)を活用した、建物完成後の無線環境を正確かつ効率的に推定する共同トライアルを実施し、成功しました。Cradio(R)によって無線環境をシミュレーションする場合、これまでは建物完成後に現地で建物の3次元形状を計測するのに膨大な時間がかかり、実際の現場では導入が困難でした。BIMデータを利用することで現地での計測作業を省略することが可能になり、より簡易に室内の無線環境を正確に推定することができました。

※1 Cradio(R):マルチ無線プロアクティブ制御技術。無線電波伝搬シミュレーション技術は構成要素の1つ。IOWN構想の実現に向けて、NTTアクセスサービスシステム研究所が研究開発を進める技術です。
https://journal.ntt.co.jp/article/13100
※2 BIMデータ:Building Information Modeling。コンピューターで作成した3次元の建物のデジタルモデルに、あらゆる情報・属性をプラスして構築するモデルデータです。

1:共同トライアル実施の背景
スマートフォンやIoTの普及に伴い様々なモノが通信を介して接続され、Beyond 5G※3など新たな通信技術も検討されています。無線通信は社会インフラとして重要な要素となっているとともに、今後さらに需要が高まっていくと想定されます。一方で、建築デザインの多様化や超高層建築の拡大により、無線通信において電波遮蔽や干渉などが発生しやすくなってきており、複合ビルなどの大型建築物における建物内部の安定した通信環境の確保・整備は、必要不可欠な要素となっています。
※3 Beyond 5G:2030年代の実現が期待される5G通信の次の情報通信インフラです。
https://www.ntt-west.co.jp/business/glossary/words-00044.html

2:トライアル概要
本トライアルでは、NTTが開発した無線電波伝搬シミュレーション技術(Cradio(R))と、BIMデータを活用し、建物完成後の無線環境を正確かつ効率的に推定できるかを評価しました。
トライアル期間:2023年12月7日(木)〜2024年3月29日(金)
対象建屋:コモングラウンド・リビングラボ(2室 234.9m2)
     大阪府大阪市北区天満橋3-3-5

(1) トライアルのフロー
事前に作成されたBIMデータをShapeファイル※4 (SHP)に変換しCradio(R)に入力することで、無線環境のシミュレーションを行います。その結果をBSAP※5に取り込みビューワによる可視化を行います。

※4 Shape File: Cradio(R)へ入力可能なファイル形式。建物や地理的特徴の表現が可能です。
※5 BSAP: 建物に集約されたデータを空間の情報に基づいて分析するスマートビルのための分析基盤です。
https://datafluct.com/news/7wxmk7z1ss/
[画像1: https://prtimes.jp/i/32702/415/resize/d32702-415-ffcb1f7e7a7377100240-0.png ]

※6 IFC:Industry Foundation Classes。建設業界で使用されるオープンなファイル形式

(2)トライアル項目
1. BIMデータの変換精度およびCradio(R)による電波伝搬推定の正確性の確認
2. 無線LAN用アンテナなどの無線基地局設置位置の設計/確認時間、コストに関する、一般的な従来方式との比較検討
3. BSAPの専用ビューワを用いた、Cradio(R)のシミュレーション結果(電波強度)の可視化の確認
4. 建設業界における電波伝搬シミュレーションの有用性評価

3:トライアル結果と考察
1. BIMデータを用いて適切に無線電波伝搬シミュレーションが可能であることを確認
- シミュレーションによる受信電力推定値と実測値の比較:比較誤差5dB未満
(無線基地局の設置設計に必要な精度を満たす。一般的には8dBを基準に採用)
2. 無線基地局設置位置の設計/確認時間の短縮、コスト削減効果を確認
- シミュレーションによる設計時間と従来方式での設計/確認時間の比較:
  30%削減※
  (従来方式での作業時間130分、シミュレーションによる作業時間90分)
※ より複雑な建物への適用の場合、従来方式では無線設置場所の修正や設計の複雑化により作業時間の増加が想定され、シミュレーションによる削減効果が更に高まると考えられる。
- シミュレーションによる設置位置の設計と従来方式での設計による設備数の比較: 設備削減数:50%
(従来方式の半分の無線基地局数で十分な通信環境の確保が可能なことを確認)
3. 電波伝搬シミュレーション結果をヒートマップとして可視化
Cradio(R)により、電波伝搬エリアの各地点における受信電力推定値を実際の建物設計情報上にプロットすることで、設計段階における無線環境の可視化(ヒートマップ)が可能
 例)受信電力が強いほど明るく、弱いほど暗くなるように可視化したケース
[画像2: https://prtimes.jp/i/32702/415/resize/d32702-415-792ceddbcbd0fa309830-1.png ]

4. 建物の設計者の声を通して、設計業務におけるCradio(R)の有用性を確認
- 創造的な建築設計を支援する様なソリューションの展開が期待できる。

4:各社の役割
[画像3: https://prtimes.jp/i/32702/415/resize/d32702-415-56f279655775eeb8a8e7-4.png ]

5:今後の展開
本トライアルにおいてBIMデータとCradio(R)を活用して、建物設計情報から高精度に無線環境を推定することに成功しました。これにより、建設プロジェクトの設計段階で、建物完成後の無線環境を高精度に検証し、お客様のニーズに合った建物内の通信環境を効率的に構築することが可能となります。
2024年度はより大きな建物での活用検証を行い、2025年度に実際の建物への導入のためのソリューション確立をめざしています。


※ニュースリリースに記載している情報は、発表日時点のものです。現時点では、発表日時点での情報と異なる場合がありますので、あらかじめご了承いただくとともに、ご注意をお願いいたします。
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