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脂質成分を髪に補給するラメラ構造シャンプー剤型の技術を確立

今までよりも脂質成分を多量*1に配合可能に

花王株式会社(社長・長谷部佳宏)ヘアケア研究所は、シャンプーのベースとなる処方に、水層と油層が交互に重なり合ったラメラ構造を使用することで、これまで困難であった脂質成分*2の多量配合*1を可能にしました。これにより、髪に脂質成分を補給しながら洗うことができるようになります。
今回の研究成果は、第2回日本化粧品技術者会学術大会(2024年11月18〜20日・兵庫県)にて発表予定です。
*1 脂質成分を含んでいる花王の既存シャンプーに対して10倍以上 
*2 オリーブ果実油やラノリン脂肪酸などの成分




[画像1: https://prtimes.jp/i/70897/428/resize/d70897-428-bbfdb5c7c5fa968a169b-0.jpg ]

背景
毛髪は約80〜90%がタンパク質、約1〜8%が脂質、残りは水分やメラニン色素などで構成されており、その中で脂質は、含有量は少ないものの髪のまとまりやツヤに影響する重要な役割を担っています。毛髪内在脂質は日頃の洗髪などで失われやすい一方、これまでの技術では、水に溶けない脂質成分は分離や泡立ちの阻害を引き起こしやすいため、十分な量をシャンプーに配合することができませんでした。 
そこで花王は、脂質成分を安定的に今までより多く配合できる新しいシャンプー剤型の技術確立に挑戦しました。


シャンプー内に脂質成分を多量に配合できるラメラ構造化技術
これまでのシャンプーでは、界面活性剤が水中でミセルと呼ばれる球状の集合状態を形成しており、その内側にしか脂質成分を抱え込めませんでした。そこで花王は、水層と油層が交互に重なり合ったラメラ構造に着目(図1)。ラメラ構造では、油層に多量の脂質成分を取り込むことができるため、シャンプーのベース処方に応用することを考えました。  
[画像2: https://prtimes.jp/i/70897/428/resize/d70897-428-d23db6e2d8b85d835513-1.jpg ]

一般的に界面活性剤と脂肪酸を組み合わせることによって、ラメラ構造を作ることが可能です。しかし、シャンプーに応用しようとすると、泡立ち性やすすぎ時のなめらかさが不足することがわかりました。そこで、界面活性剤と脂肪酸に加えて、さまざまな成分の組み合わせを繰り返し検証。脂肪族アルコールを加えることによって、すすぎ時のなめらかさが向上し、脂肪酸グリセリドを加えることによって泡立ち性と仕上がり時のまとまり性が良くなることを見いだしました。これにより、シャンプーの基本性能を備えつつ、脂質成分も多量*1に配合することが可能なラメラ構造シャンプー剤型の技術を確立しました。


脂質成分を配合したラメラ構造シャンプーの評価
脂質成分を配合したラメラ構造を有するプロトタイプのシャンプーで毛束を30回洗髪し、脂質成分の毛髪への残留量と毛束の外観を調べました*3。その結果、洗髪を繰り返すことで、配合した脂質成分の毛髪への残留量が増加すること、および、毛束が揃い、まとまることを確認しました(図2、3)。
*3 31歳女性の健常毛1gの毛束に、脂質成分(液油)を3.5%配合したラメラ構造を有するプロトタイプのシャンプーで洗髪処理(泡立て・なじませ20秒、すすぎ30秒)を行い、毛髪に残留した脂質成分量の解析と、毛束の外観を確認しました。コンディショナーは使用していません。
[画像3: https://prtimes.jp/i/70897/428/resize/d70897-428-49e1b06d87a2d1534172-4.jpg ]



まとめ
これまでの技術では、シャンプーには水溶性成分は配合できる一方、脂質成分を多量に配合することはできませんでした。今回、水層と油層が交互に重なり合ったラメラ構造をベース処方に使用することで、水溶性成分と脂質成分の両方を十分量配合可能な新しいシャンプー剤型の技術確立に成功しました。
これにより、毛髪に脂質成分を補給しながら洗うことが可能となり、従来は洗浄が主目的のシャンプーに、髪に対するさまざまな効果を付与できるようになることが期待できます。


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