伊東豊雄・千住博・ヤマザキマリ・宇野常寛・真鍋大度 が、大学生と徹底討論!
[14/10/27]
提供元:PRTIMES
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『SMBC presents FMフェスティバル2014 未来授業〜明日の日本人たちへ』2014年11月3日(月・祝)16:00〜19:00、11月8日(土) 22:00〜22:55放送
TOKYO FMをはじめとするJFN 38局では、脳科学者の茂木健一郎が総合司会を務めるスペシャルプログラム『SMBC presents FMフェスティバル2014 未来授業〜明日の日本人たちへ』を、11月3日(月・祝)16:00〜19:00、8日(土)22:00〜22:55の2日間にわたって放送致します。
番組では、日本を代表する“知のフロントランナー”である伊東豊雄・千住博・ヤマザキマリ・宇野常寛・真鍋大度を講師に迎えて、10月2日、10日、17日、18日の4日間、岐阜・東京・神戸の3会場で大学生を対象に行われた公開授業の模様をお届けします。
さらに、授業の模様を収めたビデオPodcastを、ラジオ放送終了後、公開致します。http://fes.jfn.co.jp/
《今年の授業テーマは・・・「未来を変えるイノベーションは起こせるのか?」》
未来授業は、日本を代表する“知のフロントランナー”たちが、現役大学生と自由闊達に討論し、
グローバル化だからこそ、個を尊重し、改めて日本人としての誇りと自信を持って、未来を生きるヒントを探っていく授業です。5回目を迎える今年のテーマは、「未来を変えるイノベーションは起こせるのか?」。
5人の講師から、それぞれの専門分野で培った豊かな知見に基づいた、様々なヒントが飛び出しました。
☆伊東豊雄 「自分だけで考えても何も出てこない。胸を開いて対話する」
☆千住博 「創造力とは、誰もが考えつくことを、一番最初にやること」
☆ヤマザキマリ 「守るべきボーダーと、超えるべきボーダーを見極める」
☆宇野常寛 「地方が生き残る、ということは、“土地”と“文化”が生き残ること」
☆真鍋大度 「人間とコンピューターの境界線が、今、面白い」
《「FMフェスティバル2014未来授業〜明日の日本人たちへ」講義内容》
【岐阜会場】
■10月2日(木)/情報科学芸術大学院大学IAMAS/18:00開場 19:00開演
◇講 師: 真鍋大度/映像クリエイター、メディアアーティスト
◇テーマ: 「真鍋大度と考えるライフスタイルデザイン〜人生のイノベーション」
プロジェクションマッピングなどを使ったメディアアート作品で知られ、最近ではPerfumeの舞台演出も担当。Perfumeの衣装に映像が映る斬新な作品はカンヌ広告祭でも高く評価された真鍋大度。
そんな彼の授業のキーワードは「コグニティブ・コンピューティング」。瞬時にさまざまな情報源からの大量データを統合・分析し、自立的にどんどん学習していく、人工知能の先にあるテクノロジーです。
真鍋は「これからは心拍や発汗といった人間の生体情報や、個人的な趣味趣向、興奮とリラックスなどの“ビッグデータ”を、どうマーケティング的に活用するかがテーマになっていく」といいます。「自分より自分のことを知っているもの」が増える時代がやってくる。授業では、学生たちに「他人に教えたくない情報とは何か」を問いかけるとともに、その先の、コンピューターが定量化・演出・決定できない感性的な価値を考えることも大切だと示唆。学生からは、コンピューターに任せられないものとして「子供の世話」「話し相手」「恋愛」「料理」など多様な意見が出されました。
「今まで人間にしかできないと思っていたことがコンピューターに取って代わられることも増える。でもそれは逆にチャンス。人間とコンピューターの境界線が、今、面白いと思っている」と真鍋。最新のテクノロジーと、人間の根源を同時に見つめ、そこに新たな可能性を見出していく。真鍋流クリエイティブスタイルの神髄を学生たちと共有する授業となりました。
〜大学生の感想より〜
「“自分より自分のことを知っている存在が増える”という言葉が印象的だった。便利になることは代償が伴っていくこともあると思うが、今後どうなっていくのか楽しみでもある。発展していく技術をうまく取り入れていきたい。」
【東京会場】
■10月10日(金)/TOKYO FMホール/18:00開場 19:00開演
◇講 師: ヤマザキマリ/漫画家
◇テーマ: 「辺境のない生き方」
シリア、ポルトガル、アメリカ、イタリアと海外を転々としてきたから、自分のアイデンティティが曖昧。でも「タガ」がはずれたおかげで「テルマエ・ロマエ」が描けた、と語るヤマザキマリ。
育った家庭もボーダレス。親からの重圧は無かったが、「ボーダレスであるということは、自由であると同時に、ものすごい孤独感や頼りない自分と直面することでもあった」といいます。
そんなヤマザキマリの授業は、会場の学生たちに質問を投げかける形で進行しました。「本当はやりたいけど躊躇していることはあるか」という問いには、3分の1以上が海外旅行や留学を躊躇していると回答。ある学生が「奨学金返済があるから、就職浪人もできない。やりたいことをやると親に迷惑をかけてしまう」と答えると、ヤマザキは「この選択しかない、と思うのはつらい。そういう時は360度あたりを見回すと、意外と後ろに広い空間が広がっていたりする」とアドバイス。「人生には守るべきボーダーと越えるべきボーダーがある。常にそれを選択していく、見極める審美眼が必要」と語りかけました。
さらに、現在連載中の「スティーブ・ジョブズ」にちなんで「変わっている人とつきあうのは苦手?」と問いには、ほとんどの学生が「苦手」と回答。これに対してヤマザキは「異質なものを排除しない勇気、受け入れるエネルギーが必要」と進言。「血となり肉となる“強壮剤”が欲しいなら、動くしかない」「動いてみて何かが見えてくる。誰かの経験論を読んでも答えは書いていない」など、自身の経験から滲み出た力強いメッセージがあふれる授業となりました。
〜大学生の感想より〜
「“守るべきボーダーと超えるべきボーダーを見極める必要がある”“変わっている人を排除しない勇気を持つ”という言葉が心に残った。自分が受け入れられる幅が広がったような気がする。自分がこうだと思ったことから大きくはずれている人は苦手だった。けれど、そういう人を受け入れることで、自分がどう変わるのか知りたいと思った」
■10月17日(金)/TOKYO FMホール/16:30開場 17:20開演
《1時限 17:30〜18:40》
◇講 師: 千住博/日本画家、京都造形芸術大学教授
◇テーマ:「境界という幻想、芸術的思考への誘い」
第46回ヴェネツィア・ビエンナーレで名誉賞を受賞した「THE FALL(滝)」。
千住博はこの作品に「静と動」「白と黒」「自然と人間」など、さまざまな「境界」の概念を盛り込んだと言います。「境界」は「二つの世界を分断するもの」だが、別の見方をすれば、「二つの要素が重なりあう豊かな場所」でもある。もしかしたら、「境界」を生み出しているのは、私たちの心そのものなのかもしれない・・・。そんな千住の思いが込められた今回の授業は、「境界という発想はやめましょう、そんなの最初からないですよ」という言葉からスタートしました。
代表作「THE FALL」については「僕は、滝を見てなんとかこれを掴みたいと思った。そう思ったら、誰でも絵の具を上から流すんじゃないか?たぶん原始時代の人もそうだと思うし、僕もそうだった。想像力とは、変わったことをすることじゃない。誰もが考え付くことを、一番最初にやること。そのために必要なのは、徹底的な観察です」と千住。そして、芸術とは「和」であるとも続けます。「和」とは、全く異質なものが、ある約束事に基づいて調和すること。絵を描くことは20色なら20色のバランスを整えていく行為。つまり「ピースメーキングプロセス」そのもの」と、芸術の根源的な意義に斬りこみます。「その芸術が理解されなかったらどうするか?」という学生からの質問に対して、「理解されるまでやる。ネバーギブアップ!」と力強く答える場面も。「6000枚の絵を描いてきたが、僕が唯一自慢できるのは、常に学んでいるということ」と、まさに学びの過程にある学生たちにエールを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「学生から“芸術が理解されなかったらどうするのか?”と質問が出た時、“不屈の精神でネバーギブアップでやっていく”と答えていたが、それが一番大事だと思った。簡単に結果は出ないし、評価されない時期も絶対あるので、折れない自分を創るために、みんなが自分が信じていることをやったらいいと思った」
《2時限 19:00〜20:10》
◇講 師: 伊東豊雄/建築家
◇テーマ:「イノベーティブな建築が、日本の未来を創る」
日本建築学会賞作品賞、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、プリツカー建築賞などに輝く世界的建築家が、最初に学生に伝えたのは、こんな言葉でした。「建築を考えることは今の社会を考えることと同じ。東日本大震災後、僕は何十回と被災地へ通っているが、そこで建築に対する考え方を変えさせられた・・・」
震災後の仮設住宅は「どれもワンルームマンションを横に並べただけ。住人と話してみると、農業とか漁業をやっていた人が多いから、隣の人と縁側や土間で話をしたりする生活だった。そういう人たちが、狭くて、扉一枚で仕切られている部屋に押し込められている。これは家じゃないよと」。そこで、彼らが集まって話したり、お酒を飲んだりできる場所として作ったのが、小さな木造の『みんなの家』。こんなふうに、人と対話し、社会を考えることから建築が始まる、と伊東豊雄は学生たちに語りかけます。
さらに伊東は、東京オリンピックに向けた都市計画においても、日本の「画一的」で「新しいことを求めない」傾向が色濃く出ていると指摘。学生たちの意見はさまざまで「東京がさらに大きな都市に発展する」「すでに都市機能が飽和状態で成長はできない」「社会が行き詰まっているからこそ、オリンピックによるインパクトが必要」など異なる意見が飛び交いました。時には伊東が「君の意見は他人事みたいだね…誰かにやってもらおうじゃなくて、君がやるんだよ!」と学生を鼓舞するなど、終始、学生の意見を主役としたインタラクティブな授業が展開されました。
授業の最後には、あらためて学生へ伝えたいこととして、1.社会のできごとに関心をもつ。2.アジアの一員という視点をもつ。3.対話をする。4.どんな小さなことでも行動を起こす。5.地方の魅力を発見する。という5つのメッセージが伝えられました。「とにかく自分の心と体で感じること。縁側っていいなあ。でもどうして、今の家には縁側が無いんだろう?そこから発想していくことが大事だよ」と、学生たちに暖かいエールを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「行動を起こしてみたくなった。やはり自分で行動していかないと何も得ることはできない。伊東さんが私たちに伝えてくれた5つのことは、全部取り入れたいと思う。こういう講義を聴けることはなかなかない」
【神戸会場】
■10月18日(土)/神戸大学/16:30開場 17:00開演
◇講 師: 宇野常寛/評論家、批評誌〈PLANETS〉編集長
◇テーマ: 「地方創生の時代へ〜イノベーションは“どこ”に起きるのか 2020年へのブループリント〜」
AKB48、仮面ライダーなどの「オタクカルチャー」から「政治・社会問題」まで論じる気鋭の評論家・宇野常寛。元々は地方出身。「東京にいまだになじめない」という彼が、関西圏の学生が集まる神戸会場で掲げた授業テーマは、『地方創生の時代へイノベーションは“どこ”に起きるのか 〜2020年へのブループリント』。
まず「地方はもうダメだと思うか?」という事前アンケートの結果がYESが8割、NOが2割だったことを受けて、会場の学生たちとディスカッション。「鳥取出身だが、FMコミュニティを作ったり企業がクリエイティブなことで地元を盛り上げようという取り組みをやっている。地方はまだこれから」「イノベーションは人が集まって話し合わないと生まれてこない。三人寄れば文殊の知恵。なのに地方の人口は少なくなっている。危機感を持っている」などの意見が出されました。さらに宇野は問いかけます。では、地方が栄えている、とはどういう状態なのか?たとえば宮崎県の高千穂は、古事記の舞台なのに過疎化が起きている。観光資源はあるが活かせていない。ではどうしたらいいか?「地方が生き残るという“定義を変える”しかない」と宇野。その新たな定義とは「土地と文化が生き残る状態」。つまり高千穂の森や棚田、神社、夜神楽が生き残るということ。そのために必要な人口はせいぜい1000人。町の外に10万人・100万人のファンがいればいい」と、学生たちに発想の転換を提案します。
「2020年は手が届く未来。五輪にかこつけて、僕らの責任が発生する未来について一緒に語りたかった」という宇野。今日の授業を手がかりにアクションを起こしてもらいたい」と学生たちにメッセージを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「“地方が生き残ることは、土地と文化が生き残ること”という発想の転換が新しかった。宇野さんは“考え抜くこと”をものすごく実践されている方だと感じた。本当に考え抜くことで、新しい考えは出るということを学びました。」
《番組概要》
◇タイトル: SMBC presents FM フェスティバル 2014 未来授業〜明日の日本人たちへ〜
『未来を変えるイノベーションは起こせるのか?』
◇放送日時: 2014年11月3日(月・祝) 16:00〜19:00 伊東豊雄・千住博・ヤマザキマリの授業を紹介
2014年11月8日(土)22:00〜22:55 宇野常寛・真鍋大度の授業を紹介
◇放送局: TOKYO FMをはじめとするJFN 38局
◇番組総合司会: 茂木健一郎
◇提 供: 三井住友銀行、損保ジャパン日本興亜、寺岡精工
◇特設サイト:http://fes.jfn.co.jp/ ※ラジオ放送終了後に特設サイトにてビデオPodcastを配信します。
《FMフェスティバルとは》
1972年にスタートしたFM フェスティバル。音楽を中心に、音声メディアであるFMメディアの特性と全国に展開するネットワークの強みを最大限に活かし、全国のJFN加盟全FM局が結集。全国のFMリスナーがひとつとなる日として、若者リスナーと一緒に毎年毎年積み上げて実施してきたFMメディアの祭典です。
2010年度からは、これからの未来を担う若者たちが、社会を生き抜いていくうえで抱えるであろう将来への不安に対して、明るい未来を展望し、生きるためのヒントを送り届けたいという思いのもと、「知の未来授業」を開講しています。各専門分野で日本の第一線で活躍し、時代のオピニオンリーダーである「知のフロントランナー」が大学生と真剣に向き合い、直接、熱い討論を交わすインタラクティブ型特別授業です。
☆ビデオPodcastも大好評!シリーズ累計2,000万ダウンロード突破!
未来授業では、2011年から、授業の模様をビデオPodcastとして無料配信しています。2014年7月30日現在、シリーズ累計2,000万ダウンロードを突破!昨年の「未来授業2013」は、日本国内における「iTunes Best of 2013 今年のベストビデオPodacst」にも選出されました。
なお、「未来授業2014」の模様を収めたビデオPodcastは、ラジオ放送終了後、ご覧いただけます。
【現在お楽しみ頂ける「未来授業」ビデオPodcastの一部】
◇「FMフェスティバル2012」
開催日: 2012年10月29日、10月31日、11月2日
テーマ: 『世界の中のニッポン〜自らの立ち位置の確認』
出 演: ロバート・キャンベル(日本文学者)、北川智子(歴史学者)、養老孟司(解剖学者)、小山薫堂(脚本家・放送作家)、福岡伸一(分子生物学者)
◇「FMフェスティバル2013」
開催日:2013年9月23日、10月5日、10月8日
テーマ: 『ニッポンの転換点・未来を創る』
出 演: 安藤忠雄(建築家)、池上彰(ジャーナリスト)、スプツニ子!(アーティスト、MITメディアラボ助教)、姜尚中(国際政治学者)、倉本聰(脚本家・劇作家・演出家)、長沼毅(生物学者)
【料金】 無料 【制作・著作】 TOKYO FM、JFN(全国FM放送協議会)
【アドレス】 http://fes.jfn.co.jp/ 英語字幕版 http://www.tfm.co.jp/fes/english/
☆電子書籍も配信中!
ロバート・キャンベル、北川智子、養老孟司、小山薫堂、福岡伸一が登壇した「FMフェスティバル2012」が電子書籍になりました。「Amazon Kindle Store」「紀伊國屋書店Kinoppy」「honto 電子書籍ストア」「楽天koboイーブックストア」にて、計4巻 各162円(税抜)で配信中。
TOKYO FMをはじめとするJFN 38局では、脳科学者の茂木健一郎が総合司会を務めるスペシャルプログラム『SMBC presents FMフェスティバル2014 未来授業〜明日の日本人たちへ』を、11月3日(月・祝)16:00〜19:00、8日(土)22:00〜22:55の2日間にわたって放送致します。
番組では、日本を代表する“知のフロントランナー”である伊東豊雄・千住博・ヤマザキマリ・宇野常寛・真鍋大度を講師に迎えて、10月2日、10日、17日、18日の4日間、岐阜・東京・神戸の3会場で大学生を対象に行われた公開授業の模様をお届けします。
さらに、授業の模様を収めたビデオPodcastを、ラジオ放送終了後、公開致します。http://fes.jfn.co.jp/
《今年の授業テーマは・・・「未来を変えるイノベーションは起こせるのか?」》
未来授業は、日本を代表する“知のフロントランナー”たちが、現役大学生と自由闊達に討論し、
グローバル化だからこそ、個を尊重し、改めて日本人としての誇りと自信を持って、未来を生きるヒントを探っていく授業です。5回目を迎える今年のテーマは、「未来を変えるイノベーションは起こせるのか?」。
5人の講師から、それぞれの専門分野で培った豊かな知見に基づいた、様々なヒントが飛び出しました。
☆伊東豊雄 「自分だけで考えても何も出てこない。胸を開いて対話する」
☆千住博 「創造力とは、誰もが考えつくことを、一番最初にやること」
☆ヤマザキマリ 「守るべきボーダーと、超えるべきボーダーを見極める」
☆宇野常寛 「地方が生き残る、ということは、“土地”と“文化”が生き残ること」
☆真鍋大度 「人間とコンピューターの境界線が、今、面白い」
《「FMフェスティバル2014未来授業〜明日の日本人たちへ」講義内容》
【岐阜会場】
■10月2日(木)/情報科学芸術大学院大学IAMAS/18:00開場 19:00開演
◇講 師: 真鍋大度/映像クリエイター、メディアアーティスト
◇テーマ: 「真鍋大度と考えるライフスタイルデザイン〜人生のイノベーション」
プロジェクションマッピングなどを使ったメディアアート作品で知られ、最近ではPerfumeの舞台演出も担当。Perfumeの衣装に映像が映る斬新な作品はカンヌ広告祭でも高く評価された真鍋大度。
そんな彼の授業のキーワードは「コグニティブ・コンピューティング」。瞬時にさまざまな情報源からの大量データを統合・分析し、自立的にどんどん学習していく、人工知能の先にあるテクノロジーです。
真鍋は「これからは心拍や発汗といった人間の生体情報や、個人的な趣味趣向、興奮とリラックスなどの“ビッグデータ”を、どうマーケティング的に活用するかがテーマになっていく」といいます。「自分より自分のことを知っているもの」が増える時代がやってくる。授業では、学生たちに「他人に教えたくない情報とは何か」を問いかけるとともに、その先の、コンピューターが定量化・演出・決定できない感性的な価値を考えることも大切だと示唆。学生からは、コンピューターに任せられないものとして「子供の世話」「話し相手」「恋愛」「料理」など多様な意見が出されました。
「今まで人間にしかできないと思っていたことがコンピューターに取って代わられることも増える。でもそれは逆にチャンス。人間とコンピューターの境界線が、今、面白いと思っている」と真鍋。最新のテクノロジーと、人間の根源を同時に見つめ、そこに新たな可能性を見出していく。真鍋流クリエイティブスタイルの神髄を学生たちと共有する授業となりました。
〜大学生の感想より〜
「“自分より自分のことを知っている存在が増える”という言葉が印象的だった。便利になることは代償が伴っていくこともあると思うが、今後どうなっていくのか楽しみでもある。発展していく技術をうまく取り入れていきたい。」
【東京会場】
■10月10日(金)/TOKYO FMホール/18:00開場 19:00開演
◇講 師: ヤマザキマリ/漫画家
◇テーマ: 「辺境のない生き方」
シリア、ポルトガル、アメリカ、イタリアと海外を転々としてきたから、自分のアイデンティティが曖昧。でも「タガ」がはずれたおかげで「テルマエ・ロマエ」が描けた、と語るヤマザキマリ。
育った家庭もボーダレス。親からの重圧は無かったが、「ボーダレスであるということは、自由であると同時に、ものすごい孤独感や頼りない自分と直面することでもあった」といいます。
そんなヤマザキマリの授業は、会場の学生たちに質問を投げかける形で進行しました。「本当はやりたいけど躊躇していることはあるか」という問いには、3分の1以上が海外旅行や留学を躊躇していると回答。ある学生が「奨学金返済があるから、就職浪人もできない。やりたいことをやると親に迷惑をかけてしまう」と答えると、ヤマザキは「この選択しかない、と思うのはつらい。そういう時は360度あたりを見回すと、意外と後ろに広い空間が広がっていたりする」とアドバイス。「人生には守るべきボーダーと越えるべきボーダーがある。常にそれを選択していく、見極める審美眼が必要」と語りかけました。
さらに、現在連載中の「スティーブ・ジョブズ」にちなんで「変わっている人とつきあうのは苦手?」と問いには、ほとんどの学生が「苦手」と回答。これに対してヤマザキは「異質なものを排除しない勇気、受け入れるエネルギーが必要」と進言。「血となり肉となる“強壮剤”が欲しいなら、動くしかない」「動いてみて何かが見えてくる。誰かの経験論を読んでも答えは書いていない」など、自身の経験から滲み出た力強いメッセージがあふれる授業となりました。
〜大学生の感想より〜
「“守るべきボーダーと超えるべきボーダーを見極める必要がある”“変わっている人を排除しない勇気を持つ”という言葉が心に残った。自分が受け入れられる幅が広がったような気がする。自分がこうだと思ったことから大きくはずれている人は苦手だった。けれど、そういう人を受け入れることで、自分がどう変わるのか知りたいと思った」
■10月17日(金)/TOKYO FMホール/16:30開場 17:20開演
《1時限 17:30〜18:40》
◇講 師: 千住博/日本画家、京都造形芸術大学教授
◇テーマ:「境界という幻想、芸術的思考への誘い」
第46回ヴェネツィア・ビエンナーレで名誉賞を受賞した「THE FALL(滝)」。
千住博はこの作品に「静と動」「白と黒」「自然と人間」など、さまざまな「境界」の概念を盛り込んだと言います。「境界」は「二つの世界を分断するもの」だが、別の見方をすれば、「二つの要素が重なりあう豊かな場所」でもある。もしかしたら、「境界」を生み出しているのは、私たちの心そのものなのかもしれない・・・。そんな千住の思いが込められた今回の授業は、「境界という発想はやめましょう、そんなの最初からないですよ」という言葉からスタートしました。
代表作「THE FALL」については「僕は、滝を見てなんとかこれを掴みたいと思った。そう思ったら、誰でも絵の具を上から流すんじゃないか?たぶん原始時代の人もそうだと思うし、僕もそうだった。想像力とは、変わったことをすることじゃない。誰もが考え付くことを、一番最初にやること。そのために必要なのは、徹底的な観察です」と千住。そして、芸術とは「和」であるとも続けます。「和」とは、全く異質なものが、ある約束事に基づいて調和すること。絵を描くことは20色なら20色のバランスを整えていく行為。つまり「ピースメーキングプロセス」そのもの」と、芸術の根源的な意義に斬りこみます。「その芸術が理解されなかったらどうするか?」という学生からの質問に対して、「理解されるまでやる。ネバーギブアップ!」と力強く答える場面も。「6000枚の絵を描いてきたが、僕が唯一自慢できるのは、常に学んでいるということ」と、まさに学びの過程にある学生たちにエールを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「学生から“芸術が理解されなかったらどうするのか?”と質問が出た時、“不屈の精神でネバーギブアップでやっていく”と答えていたが、それが一番大事だと思った。簡単に結果は出ないし、評価されない時期も絶対あるので、折れない自分を創るために、みんなが自分が信じていることをやったらいいと思った」
《2時限 19:00〜20:10》
◇講 師: 伊東豊雄/建築家
◇テーマ:「イノベーティブな建築が、日本の未来を創る」
日本建築学会賞作品賞、ヴェネチア・ビエンナーレ金獅子賞、プリツカー建築賞などに輝く世界的建築家が、最初に学生に伝えたのは、こんな言葉でした。「建築を考えることは今の社会を考えることと同じ。東日本大震災後、僕は何十回と被災地へ通っているが、そこで建築に対する考え方を変えさせられた・・・」
震災後の仮設住宅は「どれもワンルームマンションを横に並べただけ。住人と話してみると、農業とか漁業をやっていた人が多いから、隣の人と縁側や土間で話をしたりする生活だった。そういう人たちが、狭くて、扉一枚で仕切られている部屋に押し込められている。これは家じゃないよと」。そこで、彼らが集まって話したり、お酒を飲んだりできる場所として作ったのが、小さな木造の『みんなの家』。こんなふうに、人と対話し、社会を考えることから建築が始まる、と伊東豊雄は学生たちに語りかけます。
さらに伊東は、東京オリンピックに向けた都市計画においても、日本の「画一的」で「新しいことを求めない」傾向が色濃く出ていると指摘。学生たちの意見はさまざまで「東京がさらに大きな都市に発展する」「すでに都市機能が飽和状態で成長はできない」「社会が行き詰まっているからこそ、オリンピックによるインパクトが必要」など異なる意見が飛び交いました。時には伊東が「君の意見は他人事みたいだね…誰かにやってもらおうじゃなくて、君がやるんだよ!」と学生を鼓舞するなど、終始、学生の意見を主役としたインタラクティブな授業が展開されました。
授業の最後には、あらためて学生へ伝えたいこととして、1.社会のできごとに関心をもつ。2.アジアの一員という視点をもつ。3.対話をする。4.どんな小さなことでも行動を起こす。5.地方の魅力を発見する。という5つのメッセージが伝えられました。「とにかく自分の心と体で感じること。縁側っていいなあ。でもどうして、今の家には縁側が無いんだろう?そこから発想していくことが大事だよ」と、学生たちに暖かいエールを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「行動を起こしてみたくなった。やはり自分で行動していかないと何も得ることはできない。伊東さんが私たちに伝えてくれた5つのことは、全部取り入れたいと思う。こういう講義を聴けることはなかなかない」
【神戸会場】
■10月18日(土)/神戸大学/16:30開場 17:00開演
◇講 師: 宇野常寛/評論家、批評誌〈PLANETS〉編集長
◇テーマ: 「地方創生の時代へ〜イノベーションは“どこ”に起きるのか 2020年へのブループリント〜」
AKB48、仮面ライダーなどの「オタクカルチャー」から「政治・社会問題」まで論じる気鋭の評論家・宇野常寛。元々は地方出身。「東京にいまだになじめない」という彼が、関西圏の学生が集まる神戸会場で掲げた授業テーマは、『地方創生の時代へイノベーションは“どこ”に起きるのか 〜2020年へのブループリント』。
まず「地方はもうダメだと思うか?」という事前アンケートの結果がYESが8割、NOが2割だったことを受けて、会場の学生たちとディスカッション。「鳥取出身だが、FMコミュニティを作ったり企業がクリエイティブなことで地元を盛り上げようという取り組みをやっている。地方はまだこれから」「イノベーションは人が集まって話し合わないと生まれてこない。三人寄れば文殊の知恵。なのに地方の人口は少なくなっている。危機感を持っている」などの意見が出されました。さらに宇野は問いかけます。では、地方が栄えている、とはどういう状態なのか?たとえば宮崎県の高千穂は、古事記の舞台なのに過疎化が起きている。観光資源はあるが活かせていない。ではどうしたらいいか?「地方が生き残るという“定義を変える”しかない」と宇野。その新たな定義とは「土地と文化が生き残る状態」。つまり高千穂の森や棚田、神社、夜神楽が生き残るということ。そのために必要な人口はせいぜい1000人。町の外に10万人・100万人のファンがいればいい」と、学生たちに発想の転換を提案します。
「2020年は手が届く未来。五輪にかこつけて、僕らの責任が発生する未来について一緒に語りたかった」という宇野。今日の授業を手がかりにアクションを起こしてもらいたい」と学生たちにメッセージを贈りました。
〜大学生の感想より〜
「“地方が生き残ることは、土地と文化が生き残ること”という発想の転換が新しかった。宇野さんは“考え抜くこと”をものすごく実践されている方だと感じた。本当に考え抜くことで、新しい考えは出るということを学びました。」
《番組概要》
◇タイトル: SMBC presents FM フェスティバル 2014 未来授業〜明日の日本人たちへ〜
『未来を変えるイノベーションは起こせるのか?』
◇放送日時: 2014年11月3日(月・祝) 16:00〜19:00 伊東豊雄・千住博・ヤマザキマリの授業を紹介
2014年11月8日(土)22:00〜22:55 宇野常寛・真鍋大度の授業を紹介
◇放送局: TOKYO FMをはじめとするJFN 38局
◇番組総合司会: 茂木健一郎
◇提 供: 三井住友銀行、損保ジャパン日本興亜、寺岡精工
◇特設サイト:http://fes.jfn.co.jp/ ※ラジオ放送終了後に特設サイトにてビデオPodcastを配信します。
《FMフェスティバルとは》
1972年にスタートしたFM フェスティバル。音楽を中心に、音声メディアであるFMメディアの特性と全国に展開するネットワークの強みを最大限に活かし、全国のJFN加盟全FM局が結集。全国のFMリスナーがひとつとなる日として、若者リスナーと一緒に毎年毎年積み上げて実施してきたFMメディアの祭典です。
2010年度からは、これからの未来を担う若者たちが、社会を生き抜いていくうえで抱えるであろう将来への不安に対して、明るい未来を展望し、生きるためのヒントを送り届けたいという思いのもと、「知の未来授業」を開講しています。各専門分野で日本の第一線で活躍し、時代のオピニオンリーダーである「知のフロントランナー」が大学生と真剣に向き合い、直接、熱い討論を交わすインタラクティブ型特別授業です。
☆ビデオPodcastも大好評!シリーズ累計2,000万ダウンロード突破!
未来授業では、2011年から、授業の模様をビデオPodcastとして無料配信しています。2014年7月30日現在、シリーズ累計2,000万ダウンロードを突破!昨年の「未来授業2013」は、日本国内における「iTunes Best of 2013 今年のベストビデオPodacst」にも選出されました。
なお、「未来授業2014」の模様を収めたビデオPodcastは、ラジオ放送終了後、ご覧いただけます。
【現在お楽しみ頂ける「未来授業」ビデオPodcastの一部】
◇「FMフェスティバル2012」
開催日: 2012年10月29日、10月31日、11月2日
テーマ: 『世界の中のニッポン〜自らの立ち位置の確認』
出 演: ロバート・キャンベル(日本文学者)、北川智子(歴史学者)、養老孟司(解剖学者)、小山薫堂(脚本家・放送作家)、福岡伸一(分子生物学者)
◇「FMフェスティバル2013」
開催日:2013年9月23日、10月5日、10月8日
テーマ: 『ニッポンの転換点・未来を創る』
出 演: 安藤忠雄(建築家)、池上彰(ジャーナリスト)、スプツニ子!(アーティスト、MITメディアラボ助教)、姜尚中(国際政治学者)、倉本聰(脚本家・劇作家・演出家)、長沼毅(生物学者)
【料金】 無料 【制作・著作】 TOKYO FM、JFN(全国FM放送協議会)
【アドレス】 http://fes.jfn.co.jp/ 英語字幕版 http://www.tfm.co.jp/fes/english/
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