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国境なき医師団、IFPMAの新しい抗菌薬イニシアチブに対する見解を表明

国際製薬団体連合会(IFPMA)は7月9日と10日、ドイツ、米国、日本にて新しい抗菌薬イニシアチブの立ち上げに関する会合を開く。製薬業界、高所得国の政府関係者、慈善団体などが進めるこの取り組みに対し、国境なき医師団(MSF)は、市場本位の研究開発(R&D)の枠組みに依存した従来型アプローチでは、新しい抗菌薬の開発は実現しないと懸念を表明する。




[画像: https://prtimes.jp/i/4782/485/resize/d4782-485-941799-0.jpg ]

抗菌薬耐性(AMR)が公衆衛生にもたらす深刻な問題

現在の医薬品のR&Dモデルは企業利益の最大化が前提にあるため、製薬業界は収益性の低い抗生物質の開発投資に非常に消極的だ。その結果、新しい種類の抗菌薬は過去30年以上現れず、MSFは世界中の活動地で抗菌薬耐性(AMR)がもたらす影響を目の当たりにしている。南アフリカの結核患者から、ハイチのスラムに住む熱傷患者、シリア紛争の負傷者、パキスタンの新生児までも――薬剤耐性をもつ感染症の予防、診断、治療は深刻な問題に直面している。

一方で、「グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ(GARDP)」のような開発協力の枠組みは、必要とされる新抗菌薬を効果的に生み出すためのR&Dモデルに、貧しい人びとも薬を入手できるようにする公平なアクセスと適切な抗菌薬管理を条件として取り入れるという、重要な役割を果たしている。

MSF アクセス・キャンペーン、薬剤耐性担当薬剤師のデュシャン・ヤソウスキーのコメント

「MSFが活動する多くの国々では、薬剤耐性感染症を治療する選択肢がなくなりつつあります。開発された薬を迅速に、入手可能な価格で提供し、かつ持続可能なアクセスを確保するといった条件さえ付けずに、製薬企業に多額の公的資金を投入する従来型のアプローチは、もはや十分な解決策ではありません。エボラ出血熱のような新興感染症に対応してきたMSFの経験から言うと、多額の公共投資があったとしても、製薬会社は収益性の低い分野の開発を優先しないことが多々あり、その結果、求められるワクチンや治療薬の登場が遅くなるのです。

同じ試みを続けるだけでは、新しい結果を期待することはできません。新たな抗菌薬の迅速な開発とアクセスを真に確実なものにするためには、企業利益よりも公衆衛生を優先する官民の協力が必要です。このような協力から生じる事業は、情報と研究成果の迅速な共有を促進し、関連する知的財産や治験データを誰もが利用できる形で公開し、全体的な透明性を確保しなければなりません。AMRがもたらす公衆衛生上の緊急事態に対処するためには、また、そうした事業においては公平なアクセスと管理の原則が条件付けられていることも確認しなければなりません。

効果のある抗生剤治療は、持続的に利用可能で、必要なすべての人が利用できるものでなければなりません。薬はぜいたく品であってはならないのです」
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