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IBMの調査により、サステナビリティーは依然としてビジネスの必須課題だが、現在のアプローチでは不十分であることが明らかに


- 調査対象の経営層の約4分の3は、ビジネスの中心にサステナビリティーを据えることに同意しているが、半数近くはサステナビリティー投資の資金繰りに苦戦している
- サステナビリティーをビジネス全体に組み込んでいる組織ほど財務的な利益を得られる傾向があるが、サステナビリティー関連のデータやインサイトを業務改善に大いに取り入れていると回答したのは約3割のみ

日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)は本日、IBM Institute for Business Valueが実施した新しいグローバル調査レポートの日本語版『規制対応のためだけの「ESG報告」を超えて-企業経営にサステナビリティーを実装しビジネス価値を創出する方法とは?』を公開しました。世界の経営層5,000人を対象に実施した本調査によると、多くの組織が自社のビジネス戦略にとってサステナビリティーが重要であると認識している一方、サステナビリティー投資への資金繰りに苦戦していることが明らかになりました。また、サステナビリティー活動をビジネスに実装している組織(以下、「サステナビリティー実装企業」)は、他社よりも少ない資金で、より優れたサステナビリティーと財務上の成果を上げていることが明らかになりました。

本調査によると、調査対象の経営層の約3分の1(世界30%、日本32%)は、サステナビリティー戦略の実行において大きな前進(1年前の世界の経営層の10%から増加)があったと回答していますが、野心をインパクトに変えることは依然として課題です。また、調査対象の経営層のほぼ半数(世界47%、日本40%)は、サステナビリティー投資の資金繰りに苦労しており、10人に6人(世界59%、日本66%)が、財務上の成果とサステナビリティーの成果の間でトレードオフを余儀なくされていると回答しています。

サステナビリティー実装企業は、規制当局への報告や企業プロジェクトとしてのサステナビリティーなど、特定の分野にのみ焦点を当てた企業とは明らかに異なる結果を示しています。世界のサステナビリティー実装企業は、サステナビリティーへの取り組みによって収益が大きく向上した割合が75%高く、収益性では他社を上回る割合が52%高くなっています。

この調査結果は、多くの組織が真の事業価値や成果よりも、複雑で多様な報告要件の管理に重点を置いていることを示しています。調査では、サステナビリティーの「報告」にかける費用が、サステナビリティーの「イノベーション」にかける金額を43%上回っていることがわかりました。調査対象となった経営層のうち、サステナビリティー関連のデータやインサイトを業務改善に活用していると回答したのは約3割(世界31%、日本33%)にすぎず、「イノベーションに活用している」と回答したのは世界で14%、日本で18%でした。

IBM Consultingのグローバル・マネージング・パートナーのオデイ・アボッシュ(Oday Abbosh)は、次のように述べています。「サステナビリティーに対する組織のアプローチが、その組織の足かせになっているかもしれません。即効性のある解決策はありません。サステナビリティーには、意図性と企業ビジョンの共有が必要です。サステナビリティーは、日々の業務の一部である必要があり、コンプライアンス業務や報告業務としてのみ捉えるべきではありません。サステナビリティーをビジネス全体に根付かせることで、社内のイノベーションを促進し、優秀な人材を惹きつけ、維持することができます」

その他の主な調査結果は以下の通りです。

組織はサステナビリティーの追求を続けているが、資金調達、スキルの向上、行動の運用化は依然として課題

- 調査対象となった経営層の約7割(世界75%、日本66%)は、サステナビリティーがより良い業績をもたらすことに同意し、7割以上(世界76%、日本78%)は、サステナビリティーが事業戦略の中心であることに同意

- 同時に、経営層の約7割(世界69%、日本67%)は、組織においてサステナビリティーにより高い優先順位をつける必要があると回答

- 経営層の8割以上(世界82%、日本88%)が、持続可能な成果を達成するためには高品質なデータと透明性が必要であることに同意している一方、ERP(財務、人事、サプライチェーン)、企業資産管理、CRM、エネルギー管理、設備管理といった基幹システムからサステナビリティー関連データを自動的に取得できる組織は4割に過ぎない

- また、経営層の約4割(世界39%、日本41%)は、サステナビリティーの進展を阻む最大の障壁として、必要なスキルの不足を挙げている

ほとんどの組織がサステナビリティーをイノベーション・イニシアチブに組み込んでいないにもかかわらず、リーダーは生成AIがサステナビリティーへの取り組みを促進することを期待

- 経営層の約6割(世界64%、日本59%)は、生成AIがサステナビリティーへの取り組みにとって重要になることに同意

- 約7割(世界73%、日本71%)は、サステナビリティーのために生成AIへの投資を増やす予定だと回答


サステナビリティー実装企業は、サステナビリティーへの取り組みをビジネス価値に転換できるメリットを実感

- サステナビリティー実装企業は、組み込んでいない組織と比較して、サステナビリティーに特化した取り組みにかける経費が、収益に占める割合で若干少ない

- 世界のサステナビリティー実装企業の53%は、サステナビリティー活動への投資を正当化するためにはビジネス面での利益が不可欠であると回答

- また、世界のサステナビリティー実装企業は、データとサステナビリティー戦略の整合性をとっている割合が191%高く、サステナビリティーのためにAIを活用している割合が80%高い

本調査は、企業がサステナビリティーの目標をビジネス戦略に組み込み、AIのようなテクノロジーを活用して、より大きな進歩と収益性を実現することが急務であることを強調しています。

日本語版の考察の中では、サステナビリティーを組織全体に実装するためのステップとして、以下の5つの内容を提言しています。これらのステップを通じて、一貫したメッセージを伝え続けることが必要です。

- サステナビリティー経営に移行するリスクと機会を特定し、企業戦略の柱に据える

- 特定したリスクや機会をどの事業領域で対応するか決定し、実行する

- サステナビリティー経営の取り組みを社内外に開示しステークホルダーと対話する

- 社会的な企業価値の向上と経済価値の向上を同時に実現するためのイノベーションを創出する

- 企業だけでなく従業員も働く上でのパーパスを持つことで、企業文化を育てる

調査の詳細は、以下をご参照ください。
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja/report/sustainability-business-value

調査方法について
IBM Institute for Business Valueは、オックスフォード・エコノミクス(Oxford Economics)社と共同で22の業界、22カ国のCxOレベルの経営層5,000人を対象に調査を実施しました。記述分析に加え、回答者のデータを分析し、サステナビリティーが企業にどの程度浸透しているかによってサンプルのセグメンテーションを行いました。このセグメンテーションに基づき、サステナビリティーとビジネスの成果、業務慣行、サステナビリティーの進展を可能にするアプローチの違いについて分析しました。

IBM Institute for Business Valueについて
IBM Institute for Business Value(IBV)は、IBMのソート・リーダーシップ・シンクタンクとして、ビジネス・リーダーの意思決定を支援するため、世界の調査とパフォーマンス・データ、業界の専門家や学者の専門知識に裏付けられた戦略的洞察を提供しています。詳しくは、以下をご覧ください。
https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/jp-ja

当報道資料は、2024年2月28日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。

IBMおよびIBM ロゴは、世界の多くの国で登録されたInternational Business Machines Corporationの商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。
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