人手不足の企業は51.1% 「旅館・ホテル」「飲食店」の非正社員では75%超…時間外労働も前年同月から急増
[22/12/01]
提供元:PRTIMES
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人手不足に対する企業の動向調査(2022年10月)
人手不足感の上昇に歯止めがかからない。2022年10月時点における人手不足を感じている企業の割合は、正社員では51.1%、非正社員では31.0%となり、国内で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した2020年4月以降でそれぞれ最も高くなった。
特に、直近では上昇傾向が顕著だ。正社員では6カ月連続、非正社員では5カ月連続で上昇しており、人手不足は深刻さを増している。企業からは、人件費の高騰や供給の機会損失などさまざまな懸念点があげられており、今後に悪影響を及ぼすリスクとなろう。近年注目を集めているDXやリスキリングは人手不足の解消につながるとも聞かれ、安定的な事業継続に向けて早急な対策が求められる。
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-c5d08a4cc240dd25ed6f-0.jpg ]
1.正社員
人手不足割合は51.1% コロナ禍以降で最高、2019年同月時点を上回る水準に
2022年10月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」と感じている企業は51.1%だった。前年同月から7.3ポイント上昇、2年前と比較すると17.1ポイントの大幅上昇となった。既にコロナ禍前の2019年10月(50.1%)の水準を上回っており、10月としては2番目の水準となった。また、人手を「適正」と感じている企業は40.2%、一方で「過剰」は8.7%となった。
[画像2: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-04dc3d22e12bc12272f6-1.jpg ]
<業種別> IT人材の不足が目立つ「情報サービス」が69.1%でトップ、受注機会の損失も
業種別では、「情報サービス」が69.1%で最も高く、7割に迫る水準まで上昇している。昨今の旺盛なDX需要を受け、景況感も他業種と比較して活況であるものの、慢性的なIT人材不足がより顕著なものとなっている。実際に「受注機会が多いが人手不足で対応できない」(ソフト受託開発、東京都)との声が相次ぐ。次いで「旅館・ホテル」(65.4%)、「飲食店」(64.9%)といったBtoC業種が続き、前年同月からの上昇幅も大きい。そして「建設」(64.5%)や「運輸・倉庫」(63.8%)など8業種が6割超となり、それぞれ前年同月より上昇している。
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-dd7e510e4ca2e898a365-2.jpg ]
2.非正社員
31.0%が人手不足、10月としては3番目の高さ
非正社員について「不足」と感じている企業は31.0%となった。正社員の傾向と同様に前年同月から大幅に上昇し(5.9ポイント増)、2018年、2017年に次いで10月としては3番目の高水準となった。
また、非正社員の人手が「適正」とした割合は61.6%、「過剰」は7.4%だった。
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<業種別> 「飲食店」と「旅館・ホテル」が7割超、群を抜いた高水準に
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が76.3%となり最も高くなった。僅差で「旅館・ホテル」が75.0%で続き、特に前年同月からの上昇幅は39.1ポイントと大幅な上昇を記録した。旅館・ホテル業界からは、「訪日外国人の個人旅行が解禁されたことなどによってホテル需要は回復してきているが、人手不足で受け入れ態勢が不十分であり、機会損失が発生している」(旅館、東京都)との声があがっている。
さらに続いたのは「人材派遣・紹介」で57.5%と高く、「深刻な人手不足で派遣の支払単価が上がるなかで、受注単価の上昇が追い付かず派遣業界は厳しい状況」(労働者派遣、群馬県)といった声があがっている。他にも「娯楽サービス」(55.3%)や総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(51.2%)など3業種が5割台となった。
[画像5: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-cbe4f997af038fda7cc3-4.jpg ]
人手不足が特に深刻な「旅館・ホテル」と「飲食店」、時間外労働の増加も際立つ
人手不足を感じる企業の割合は“コロナ禍以降で過去最高”という局面が続くなかで、正社員・非正社員それぞれ不足感が顕著となっているのが「旅館・ホテル」および「飲食店」である。
「旅館・ホテル」は、2回目の緊急事態宣言が発出された2021年1月には5.3%まで低下。そこから再び増加し続け、2022年後半は正社員・非正社員それぞれ6割以上で推移している。
「飲食店」は、特に非正社員で人手不足が目立ち、2020年以前から7割を上回る水準で推移していた。コロナ禍直後は大きく減少したものの、「ウィズコロナ」の定着が進んできた2021年の後半から従来の水準へと戻った。さらに正社員でも10月時点で64.9%と高水準になっている。
[画像6: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-3504b44379012461f279-5.jpg ]
さらに前年同月と比較した時間外労働の増減について尋ねたところ、「増加」とした企業は「旅館・ホテル」が66.7%と最も高かった。10月11日より46道府県で開始した全国旅行支援や水際対策緩和によって需要が高まるなかで、時間外労働が急増している。次いで「飲食店」でも40.6%と高く、人手不足が顕著な2業種で時間外労働の増加も目立った。
[画像7: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-9a17557478258081af8c-6.jpg ]
両業種とも人手不足の解消に向け、採用活動をしてもなかなか人材が集まらないとの声が多いなかで、「まずは社内SNSを活用したコミュニケーションの効率化など、できるところからシステムの改善を重ねたい」(旅館、東京都)や「これから冬場なので、閑散期の農業従事者を一時的でも雇い入れたい」(旅館、長野県)、「POSレジを導入して顧客情報を分析しやすくした。その人員を他に充てて多能工化していきたい」(西洋料理店、佐賀県)など、さまざまな施策が聞かれた。
今後の見通し 〜 DX・リスキリングが人手不足の解消策となるか 〜
2022年10月における企業の人手不足割合は、正社員では51.1%、非正社員では31.0%となりともに上昇し続けている。2019年の後半にそれぞれ過去最高となっていたが、当時に迫る水準まで上昇してきた。「タクシー業界では利用者はそこそこ戻ってきているが、人手不足が深刻」(一般乗用旅客自動車運送、東京都)のように、需要を取り込みきれないとの声が多く聞かれた。
なかでも「旅館・ホテル」と「飲食店」では顕著で、正社員・非正社員ともに高水準が続いている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的に大きくダメージを受けたことを踏まえた需要喚起策である「全国旅行支援」は、当初は2022年内までを予定していたが、年明け以降も継続することが政府から発表された。今後も需要の高まりが期待されるが、「両業種ともコロナ禍において感染状況によって営業時間などが左右されやすく、なかなか就業者が戻ってこない」との声も聞かれる。そうした背景を踏まえると、当面は深刻な人手不足が続いていくものと予想される。
2020年に人流制限の結果として生じた緩和局面は終わり、再び人手不足の解消に向けて動き出す必要に迫られている。政府が力を入れているDXは有効な手段となり得るが、取り組んでいる企業は15.5%にとどまり、半数近くの企業で人材やスキル・ノウハウの不足をあげるなど課題が浮き彫りとなっている*。こうした省力化・省人化への動きだけではなく、リスキリングによる社員への再教育もトレンドだ。生産年齢人口の減少が始まっているなかで、今後は人材の量・質の両面からの積極的なアプローチが、人手不足解消に寄与することが期待される。
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* 帝国データバンク「DX推進に関する企業の意識調査(2022年9月)」2022年10月28日発表
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20221028.php
調査期間は2022年10月18日〜10月31日。調査対象は全国2万6,752社、有効回答企業数は1万1,632社(回答率44.7%)なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2022年10月の結果をもとに取りまとめた
本調査の詳細なデータは、景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している
人手不足感の上昇に歯止めがかからない。2022年10月時点における人手不足を感じている企業の割合は、正社員では51.1%、非正社員では31.0%となり、国内で新型コロナウイルスの感染が本格的に拡大した2020年4月以降でそれぞれ最も高くなった。
特に、直近では上昇傾向が顕著だ。正社員では6カ月連続、非正社員では5カ月連続で上昇しており、人手不足は深刻さを増している。企業からは、人件費の高騰や供給の機会損失などさまざまな懸念点があげられており、今後に悪影響を及ぼすリスクとなろう。近年注目を集めているDXやリスキリングは人手不足の解消につながるとも聞かれ、安定的な事業継続に向けて早急な対策が求められる。
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1.正社員
人手不足割合は51.1% コロナ禍以降で最高、2019年同月時点を上回る水準に
2022年10月時点における従業員の過不足状況を尋ねたところ、正社員について「不足」と感じている企業は51.1%だった。前年同月から7.3ポイント上昇、2年前と比較すると17.1ポイントの大幅上昇となった。既にコロナ禍前の2019年10月(50.1%)の水準を上回っており、10月としては2番目の水準となった。また、人手を「適正」と感じている企業は40.2%、一方で「過剰」は8.7%となった。
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<業種別> IT人材の不足が目立つ「情報サービス」が69.1%でトップ、受注機会の損失も
業種別では、「情報サービス」が69.1%で最も高く、7割に迫る水準まで上昇している。昨今の旺盛なDX需要を受け、景況感も他業種と比較して活況であるものの、慢性的なIT人材不足がより顕著なものとなっている。実際に「受注機会が多いが人手不足で対応できない」(ソフト受託開発、東京都)との声が相次ぐ。次いで「旅館・ホテル」(65.4%)、「飲食店」(64.9%)といったBtoC業種が続き、前年同月からの上昇幅も大きい。そして「建設」(64.5%)や「運輸・倉庫」(63.8%)など8業種が6割超となり、それぞれ前年同月より上昇している。
[画像3: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-dd7e510e4ca2e898a365-2.jpg ]
2.非正社員
31.0%が人手不足、10月としては3番目の高さ
非正社員について「不足」と感じている企業は31.0%となった。正社員の傾向と同様に前年同月から大幅に上昇し(5.9ポイント増)、2018年、2017年に次いで10月としては3番目の高水準となった。
また、非正社員の人手が「適正」とした割合は61.6%、「過剰」は7.4%だった。
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<業種別> 「飲食店」と「旅館・ホテル」が7割超、群を抜いた高水準に
非正社員の人手不足割合を業種別にみると、「飲食店」が76.3%となり最も高くなった。僅差で「旅館・ホテル」が75.0%で続き、特に前年同月からの上昇幅は39.1ポイントと大幅な上昇を記録した。旅館・ホテル業界からは、「訪日外国人の個人旅行が解禁されたことなどによってホテル需要は回復してきているが、人手不足で受け入れ態勢が不十分であり、機会損失が発生している」(旅館、東京都)との声があがっている。
さらに続いたのは「人材派遣・紹介」で57.5%と高く、「深刻な人手不足で派遣の支払単価が上がるなかで、受注単価の上昇が追い付かず派遣業界は厳しい状況」(労働者派遣、群馬県)といった声があがっている。他にも「娯楽サービス」(55.3%)や総合スーパーなどを含む「各種商品小売」(51.2%)など3業種が5割台となった。
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人手不足が特に深刻な「旅館・ホテル」と「飲食店」、時間外労働の増加も際立つ
人手不足を感じる企業の割合は“コロナ禍以降で過去最高”という局面が続くなかで、正社員・非正社員それぞれ不足感が顕著となっているのが「旅館・ホテル」および「飲食店」である。
「旅館・ホテル」は、2回目の緊急事態宣言が発出された2021年1月には5.3%まで低下。そこから再び増加し続け、2022年後半は正社員・非正社員それぞれ6割以上で推移している。
「飲食店」は、特に非正社員で人手不足が目立ち、2020年以前から7割を上回る水準で推移していた。コロナ禍直後は大きく減少したものの、「ウィズコロナ」の定着が進んできた2021年の後半から従来の水準へと戻った。さらに正社員でも10月時点で64.9%と高水準になっている。
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さらに前年同月と比較した時間外労働の増減について尋ねたところ、「増加」とした企業は「旅館・ホテル」が66.7%と最も高かった。10月11日より46道府県で開始した全国旅行支援や水際対策緩和によって需要が高まるなかで、時間外労働が急増している。次いで「飲食店」でも40.6%と高く、人手不足が顕著な2業種で時間外労働の増加も目立った。
[画像7: https://prtimes.jp/i/43465/574/resize/d43465-574-9a17557478258081af8c-6.jpg ]
両業種とも人手不足の解消に向け、採用活動をしてもなかなか人材が集まらないとの声が多いなかで、「まずは社内SNSを活用したコミュニケーションの効率化など、できるところからシステムの改善を重ねたい」(旅館、東京都)や「これから冬場なので、閑散期の農業従事者を一時的でも雇い入れたい」(旅館、長野県)、「POSレジを導入して顧客情報を分析しやすくした。その人員を他に充てて多能工化していきたい」(西洋料理店、佐賀県)など、さまざまな施策が聞かれた。
今後の見通し 〜 DX・リスキリングが人手不足の解消策となるか 〜
2022年10月における企業の人手不足割合は、正社員では51.1%、非正社員では31.0%となりともに上昇し続けている。2019年の後半にそれぞれ過去最高となっていたが、当時に迫る水準まで上昇してきた。「タクシー業界では利用者はそこそこ戻ってきているが、人手不足が深刻」(一般乗用旅客自動車運送、東京都)のように、需要を取り込みきれないとの声が多く聞かれた。
なかでも「旅館・ホテル」と「飲食店」では顕著で、正社員・非正社員ともに高水準が続いている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で経済的に大きくダメージを受けたことを踏まえた需要喚起策である「全国旅行支援」は、当初は2022年内までを予定していたが、年明け以降も継続することが政府から発表された。今後も需要の高まりが期待されるが、「両業種ともコロナ禍において感染状況によって営業時間などが左右されやすく、なかなか就業者が戻ってこない」との声も聞かれる。そうした背景を踏まえると、当面は深刻な人手不足が続いていくものと予想される。
2020年に人流制限の結果として生じた緩和局面は終わり、再び人手不足の解消に向けて動き出す必要に迫られている。政府が力を入れているDXは有効な手段となり得るが、取り組んでいる企業は15.5%にとどまり、半数近くの企業で人材やスキル・ノウハウの不足をあげるなど課題が浮き彫りとなっている*。こうした省力化・省人化への動きだけではなく、リスキリングによる社員への再教育もトレンドだ。生産年齢人口の減少が始まっているなかで、今後は人材の量・質の両面からの積極的なアプローチが、人手不足解消に寄与することが期待される。
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* 帝国データバンク「DX推進に関する企業の意識調査(2022年9月)」2022年10月28日発表
https://www.tdb-di.com/special-planning-survey/sp20221028.php
調査期間は2022年10月18日〜10月31日。調査対象は全国2万6,752社、有効回答企業数は1万1,632社(回答率44.7%)なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2022年10月の結果をもとに取りまとめた
本調査の詳細なデータは、景気動向オンライン(https://www.tdb-di.com)に掲載している