強まる「ゾンビ淘汰」の波 年間倒産件数は前年を361件上回り、3年ぶり増加 倒産件数は6376件、破産はリーマン・ショック時以来の増加幅― 全国企業倒産集計2022年報
[23/01/24]
提供元:PRTIMES
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負債総額は2兆3723億8000万円、5年ぶり2兆円台を記録
帝国データバンクは、2022年の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。
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<概況>
2022年の倒産件数は6376件(前年6015件)と、前年から6.0%増加し、2019年以来3年ぶりの増加となった。コロナ禍での減少が続いてきたなか、2022年5月以降は増加基調が続いたこともあり、前年から300件以上の増加を記録するなど、コロナ禍で初の増加。
負債総額は2兆3723億8000万円(前年1兆1633億900万円、103.9%増)と、6月に発生したマレリホールディングス(株)(埼玉、民事再生法、負債1兆1856億2600万円)の法的整理の影響もあり、2017年以来5年ぶりに2兆円台を記録した。
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<調査結果(要旨)>
業種別にみると、小売業除く全業種で前年比増加。サービス業(前年1425件→1601件、12.4%増)は、2017年以来5年ぶりに100件以上の増加
主因別にみると、「不況型倒産」の件数は4923件、「経営者の病気、死亡」は過去最多更新
態様別にみると、破産は300件以上増加、リーマン・ショック時である2009年以来の増加幅
業歴別にみると、業歴10年未満の新興企業で前年から300件以上増、2008年以来14年ぶり
地域別にみると、9地域中6地域で前年比増加。東北(前年232件→348件、50.0%増)は前年比50%の大幅増を記録。一方、四国(同123件→100件、18.7%減)は過去40年で最少件数
■業種別:小売業除く全業種で増加、サービス業は5年ぶりに100件以上増加
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/600/resize/d43465-600-265974f163efa5ed7f35-14.jpg ]
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業種別にみると、小売業を除く全業種で前年を上回った。サービス業(前年1425件→1601件、12.4%増、負債2103億200万円、1358億6800万円減)は、2017年以来5年ぶりに100件以上の増加。特に老人福祉事業(同67件→129件)で大幅増となり、2000年以降で初めて3ケタを記録した。年間を通して資材価格の高騰が続いた建設業(同1066件→1204件、12.9%増、同1217億4800万円、150億6200万円増)は、2008年以来14年ぶりに前年から件数増加となった。運輸・通信業(同272件→334件、22.8%増、同756億4800万円、394億5400万円増)は、2024年問題が迫るトラック運送など道路貨物運送(同169件→238件)で大幅に増加、2015年以来7年ぶりに200件台を記録した。
一方、小売業(前年1362件→1207件、11.4%減、負債1741億5900万円、599億1000万円増)は、3年連続で前年から件数減少。飲食店(同569件→452件、同479億6200万円、103億4400万円増)では人流回復などの影響により件数は減少したが、負債規模が増加した。
■倒産主因別:「不況型倒産」の件数は4923件、「経営者の病気、死亡」は過去最多を更新
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主因別にみると、「不況型倒産」は4923件(前年4609件、6.8%増)と、3年ぶりの前年比増加。構成比は77.2%(対前年0.6ポイント増)を占めた。
最多は「販売不振」の4836件(前年4536件、6.6%増)で、構成比は75.8%(対前年0.4ポイント増)を占めた。また、「業界不振」(同36件→58件、61.1%増)は、2008年以来の大幅な増加率を記録した。「経営者の病気、死亡」(同268件→279件、4.1%増)は、過去20年で最多だった2021年を超え、過去最多を更新した。一方、「売掛金回収難」(同22件→15件、31.8%減)では、3年連続の前年比2ケタ減となった。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■倒産態様別:破産は300件以上増加、リーマン・ショック時以来の増加幅
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倒産態様別にみると、「清算型」倒産の合計は6186件(前年5818件、6.3%増)、「再生型」倒産は190件(同197件、3.6%減)発生した。清算型倒産は3年ぶりの前年比増加、再生型倒産は3年連続の前年比減少となった。
「破産」は5912件(前年5518件、7.1%増)、「特別清算」は274件(同300件、8.7%減)だった。特に破産は300件以上増加し、リーマン・ショック直後の2009年以来13年ぶりの増加幅を記録した。また、特別清算は2年連続の減少となった。
このほか、「民事再生法」は186件(前年195件、4.6%減)。うち115件を個人事業主が占めた。「会社更生法」は4件(同2件、100.0%増)発生した。
■規模別:負債「5000万円未満」の倒産は3682件、中小零細規模で大幅増加
負債規模別にみると、負債「5000万円未満」の倒産は3682件(前年3665件、0.5%増)、構成比は57.7%を占めた。また、「1億円未満」や「5億円未満」で前年から100件以上の大幅増を記録するなど、中小零細規模での倒産増加が目立った。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は4297件(前年4041件、6.3%増)発生し、負債は2999億4700万円(403億9100万円増)だった。
■業歴別:業歴10年未満の新興企業で前年から300件以上増加、2008年以来14年ぶり
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業歴別にみると、業歴「3年未満」(前年266件→319件、19.9%増)、「5年未満」(同399件→469件、17.5%増)、「10年未満」(同892件→1087件、21.9%増)といった業歴10年未満の新興企業(同1557件→1875件、20.4%増)は3年ぶりに増加。新興企業全体で前年から300件以上増加したのは、2008年以来14年ぶり。負債は1兆4132億9900万円(1兆2205億5900万円増)で、マレリホールディングス(株)を除いても349億3300万円増加した。
また、業歴「30年以上」の倒産は2138件(前年2046件、4.5%増)で、前年から増加した。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は65件発生した。
このほか、「15年未満」(前年836件→771件、7.8%減)、「30年未満」(同916件→892件、2.6%減)で減少、特に「30年未満」は10年連続で減少が続く。
■地域別:9地域中6地域で前年比増加、四国は過去40年で最少件数を記録
地域別にみると、9地域中6地域で前年を上回った。関東(前年2246件→2348件、4.5%増)は、卸売業(同316件→383件)やサービス業(同631件→676件)などの増加が、全体の件数を押し上げた。東北(同232件→348件、50.0%増)は、1月〜10月まで10カ月連続で増加した影響もあり、前年比50%の大幅増を記録。また、近畿(同1529件→1578件、3.2%増)は、京都(同188件→231件)や滋賀(同43件→68件)の増加が目立った。
一方、中部(前年855件→836件、2.2%減)、四国(同123件→100件、18.7%減)の2地域では前年を下回った。特に四国では徳島(同25件→30件)以外で減少し、過去40年で最少の件数を記録した。
注目の倒産動向-1
■「フィットネスクラブ」倒産動向
物価高で「不要不急」? 家計節約で苦戦する会員獲得競争
倒産急増、過去最多の27件 前年の3倍に
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フィットネスクラブの倒産が急増している。2022年に発生したフィットネスクラブ(スポーツジム)運営会社の倒産は27件発生した。前年(9件)から大幅に増加したほか、年間で初めて20件台に到達し、リーマン・ショック直後で需要が大きく後退した2008年の13件をも上回り、2000年以降で過去最多となった。
フィットネスクラブは、コロナ禍で感染リスクの高い施設として営業自粛要請などが相次ぎ、平時の営業が困難な状態に陥った。それでも、リモート環境を活用した非対面型の在宅サービスやアウトドア型事業を提案するなど、利用者のライフスタイルに合わせた新たなニーズを掘り起こしたことで、利用者の早期回復につなげてきた。
しかし、2022年は「物価高」が新たな逆風となって、フィットネスクラブの業績を押し下げている。食品値上げだけでも月間約6000円増と家計を直撃する物価高の前に、毎月の会費は不要不急の支出としてコストカットの対象とされやすい。経済産業省の調査では、22年におけるフィットネスクラブ会員数の月間平均は180万人前後とコロナ前の水準を下回り、新規入会の不振や退会が多い状態が続く。一人当たりの平均会費は月約7600円と前年を上回ったものの、当年は光熱費の増加などを背景に会費を値上げしたケースも多く、利用者からの会費引き下げ圧力や退会の動きは前年以上に強まっており、収益改善が難しい経営環境が続いている。他方で、足元では電気代の高騰などで空調やプールの運営コストが上昇傾向にあり、コスト増を会費収入で補うことが難しいフィットネスクラブでさらに倒産が増加する可能性がある。
■コロナ融資後倒産
2022年は384件発生、前年比2倍超の大幅増加 焦げ付き総額は推計335億円
「コロナ融資後倒産」は、2022年において384件(前年167件、129.9%増)発生した。建設業のほか飲食店、運輸業、食品卸といった業種で多く発生した。実際の融資額が判明した約180社のコロナ融資借入額平均は約5900万円だった。コロナ融資損失総額は推計334億9588万円にのぼり、国民一人当たり約280円の負担が既に発生している計算になる。
■人手不足倒産
2022年は140件発生、3年ぶりに増加 「2024年問題」運輸業は倍増
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「人手不足倒産」は、2022年において140件(前年111件、26.1%増)発生した。過去最多を記録した2019年(192件)以来、3年ぶりに前年を上回った。業種別では「建設業」(34件)や「運輸業」(20件)で多く、この2業種で全体の約4割を占めた。なかでも運輸業は前年から倍増し、2024年問題を前に人手不足による悪影響が深刻化している。
注目の倒産動向-2
■「ゾンビ企業」倒産動向
強まる「ゾンビ淘汰」の波 ゾンビ企業倒産、3年ぶり増加
2022年のゾンビ企業倒産332件
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低金利環境でなければ存続できない「ゾンビ企業」に、淘汰の波が強まってきた。2022年の倒産件数6376件のうち、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄うことができなかった「ゾンビ企業」の倒産は少なくとも332件発生し、3年ぶりに増加に転じた。また、22年のゾンビ企業の倒産1社当たり負債額(トリム上下0.5%)は約3億1100万円/社となり、全体(7700万円/社)に比べて約4倍の規模に達した。コロナ関連融資や各種助成金といった多額の支援金が「塩漬け」のまま、有効に活用されずに霧散した可能性がある。
倒産したゾンビ企業には、コロナ危機がなくとも既にビジネスモデルが破綻してしまっていた企業も含まれる。再建の見込みがないままコロナ融資などで延命してきたゾンビ企業が、物価高や人手不足、円安といったショックの前に、過剰債務を抱えたまま為す術なく市場退出を余儀なくされている。昨年8月に実施したコロナ関連融資に関するアンケート調査では、コロナ融資を受けたのは回答企業全体で5割だった。一方、ゾンビ企業に限ると8割に迫り、このうち今後の返済に不安を抱える割合が約2割を占める。
2023年はゼロゼロ融資の元金返済も迫り、実質的に免除されてきた利払いもスタートする。さらに、今後は低金利を支えてきた金融緩和も縮小に向かい、金利上昇によって「債務ショック」が起きる可能性が残されている。低金利や各種金融支援を支えによろめき歩く状態を容認し、リストラやリファイナンスなどによる経営再建の可能性を追求するべきか、それとも市場健全化に向けゾンビ企業の淘汰を進めるべきか、分岐点が近づいている。
■後継者難倒産
2022年は476件発生、過去最多 倒産主因、半数が「代表者の病気・死亡」
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後継者難倒産は、2022年において476件(前年466件、2.1%増)発生し、年間で過去最多を更新した。2022年の後継者不在率が60%を下回り過去最低を更新するなかで、事業承継がうまくいかない中小企業が増加している。特に、「代表者の病気・死亡」が直接的な原因となった倒産は後継者難倒産全体の半数を占め、前年に引き続き高止まりの傾向が続いている。
■物価高(インフレ)倒産
2022年は320件発生 前年の2.3倍に急増、初の年間300件突破
物価高(インフレ)倒産は、2022年において320件(前年138件、131.9%増)発生し、前年の2.3倍に急増、過去最多を更新した。業種別にみると、鉄鋼資材や木材などの高騰で打撃を受けた「建設業」が70件で最も多かった。前年からの増加が最も大きいのは、燃料費高騰などの要因を受けたトラック運送業など「運輸業」で、前年の4倍と急増した。
今後の見通し
■企業倒産は3年ぶり増加 物価高や過剰債務、人手不足の影響鮮明に
2022年の倒産件数は6376件発生し、2021年(6015件)を361件(6.0%増)上回り、3年ぶりの増加となった。月ベースでみると、5月を転換点に12月まで8カ月連続で前年同月を上回るなど、増加基調が顕在化した。年間8000件台、月平均で600〜700件台だったコロナ禍前(2015〜19年)に比べると大幅に倒産発生が抑制された低水準であることには変わりないものの、企業倒産は「2022年に底を打った」といえる。
約3年に及ぶコロナ禍に加え、物価高に過剰債務、人手不足といった企業経営を取り巻く「負の影響」に耐えきれなくなり、事業継続そのものを“あきらめる”中小企業の増加が背景にある。なかでも、原材料等の仕入れ価格上昇や価格転嫁難などにより、収益が維持できずに破綻した「物価高倒産」は前年から2.3倍に急増。資材や燃料などのコスト増が直接的な打撃となった「建設」「運輸・通信」といった業種の倒産件数を大きく押し上げた。
負債総額は2兆3723億8000万円で、2021年(1兆1633億900万円)から約2倍に膨らみ、エアバッグ大手のタカタ(東証1部=当時)が破綻した2017年(2兆4548億8400万円)以来、5年ぶりに2兆円を超えた。ただ、これは同じく自動車部品大手のマレリホールディングス(6月民事再生法、埼玉、負債1兆1856億2600万円)によるものが大きく、この影響を除けば2021年とほぼ同水準となる。負債5000万円に満たない零細規模の倒産が約6割を占める一方で、負債数億円〜10数億円クラスの中堅規模の倒産も足元でじわりと増加傾向にある。
■「ゼロゼロ融資」倒産抑止効果に逆回転の兆し 「ゾンビ化」拍車、淘汰の動きも
コロナ禍初期の倒産抑止に大きく貢献した「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」。ただ、経済活動の正常化につれてその効果は逆回転の兆しもみられる。ゼロゼロ融資等を受けたものの業況が改善せず倒産した「コロナ融資後倒産」は2022年に384件判明し、2021年(167件)の2.3倍に急増した。業績回復や「筋肉質」な収益体制への再編が遅れた中小企業で、緊急避難的な借入金が過剰債務となってのしかかり、事業継続をあきらめたケースが目立つ。
通常の経済活動下では存続できない企業の延命をはじめとした「後遺症」の顕在化も見逃せない。稼いだ利益で借入金の利子を払えない「ゾンビ企業」は全企業の約1割を占める18.8万社(2022年3月期推定)に上り、前年同期の16.6万社から2.2万社増加した。ゾンビ企業の増加は、金融機関や政府による手厚い支援で「どれだけの企業が救われたか」を示すバロメーターになる一方で、健全な市場形成を阻害する「歪み」の蓄積にも直結する。
足元ではゾンビ企業に淘汰の動きもみられ、2022年の企業倒産のうち少なくとも332件判明し、3年ぶりに前年を上回った。実質的に免除されてきた利払いのスタートに加え、低金利を支えてきた日本銀行の金融緩和も今後縮小に向かうことが見込まれ、金利上昇によって「債務ショック」も可能性として残る。企業支援の内容が本業支援や新事業への業態転換へ切り替わるなか、助成金やリスケなど金融支援に頼り切りで抜本的な再生が困難なこれらゾンビ企業では、周囲からよりシビアな判断を下される局面が今後増える可能性がある。
■2023年の企業倒産、緩やかな増加局面想定 キーワードは中小企業の「過剰債務」
今後は、人手不足が顕著なIT関連や対個人サービスを中心に、予想される賃上げの動きに取り残されかねない中小企業の動向に注視が必要だろう。また、経済活動正常化のなかで中小企業の「過剰債務問題」が従来以上に注目される1年となるとみられる。既に「借り換え保証制度」をはじめとする中小企業の返済負担軽減策に加え、「私的整理の多数決制導入」の議論も本格化するなど「出口」が整備されつつある点は、法的整理による企業倒産の発生を抑制できる可能性を持つ。ただ、万単位に上る根本的なリスクを抱えた企業数に対し、金融機関などで支援可能な企業数は限りがある。今後、事業再建に向けた経営計画を策定するなかで、実現可能性が低いと判断され支援を受けられなくなるケースの増加を織り込む必要があるだろう。
こうした流れのなかで始まった2023年の企業倒産は、コロナ禍前の水準(年間 8000 件台)まで一気に増える事態は想定しづらいものの、緩やかな増加局面が当面続きそうだ。
帝国データバンクは、2022年の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)について集計し、分析を行った。
[画像1: https://prtimes.jp/i/43465/600/resize/d43465-600-3c09a371640d891658b4-6.jpg ]
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<概況>
2022年の倒産件数は6376件(前年6015件)と、前年から6.0%増加し、2019年以来3年ぶりの増加となった。コロナ禍での減少が続いてきたなか、2022年5月以降は増加基調が続いたこともあり、前年から300件以上の増加を記録するなど、コロナ禍で初の増加。
負債総額は2兆3723億8000万円(前年1兆1633億900万円、103.9%増)と、6月に発生したマレリホールディングス(株)(埼玉、民事再生法、負債1兆1856億2600万円)の法的整理の影響もあり、2017年以来5年ぶりに2兆円台を記録した。
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<調査結果(要旨)>
業種別にみると、小売業除く全業種で前年比増加。サービス業(前年1425件→1601件、12.4%増)は、2017年以来5年ぶりに100件以上の増加
主因別にみると、「不況型倒産」の件数は4923件、「経営者の病気、死亡」は過去最多更新
態様別にみると、破産は300件以上増加、リーマン・ショック時である2009年以来の増加幅
業歴別にみると、業歴10年未満の新興企業で前年から300件以上増、2008年以来14年ぶり
地域別にみると、9地域中6地域で前年比増加。東北(前年232件→348件、50.0%増)は前年比50%の大幅増を記録。一方、四国(同123件→100件、18.7%減)は過去40年で最少件数
■業種別:小売業除く全業種で増加、サービス業は5年ぶりに100件以上増加
[画像4: https://prtimes.jp/i/43465/600/resize/d43465-600-265974f163efa5ed7f35-14.jpg ]
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業種別にみると、小売業を除く全業種で前年を上回った。サービス業(前年1425件→1601件、12.4%増、負債2103億200万円、1358億6800万円減)は、2017年以来5年ぶりに100件以上の増加。特に老人福祉事業(同67件→129件)で大幅増となり、2000年以降で初めて3ケタを記録した。年間を通して資材価格の高騰が続いた建設業(同1066件→1204件、12.9%増、同1217億4800万円、150億6200万円増)は、2008年以来14年ぶりに前年から件数増加となった。運輸・通信業(同272件→334件、22.8%増、同756億4800万円、394億5400万円増)は、2024年問題が迫るトラック運送など道路貨物運送(同169件→238件)で大幅に増加、2015年以来7年ぶりに200件台を記録した。
一方、小売業(前年1362件→1207件、11.4%減、負債1741億5900万円、599億1000万円増)は、3年連続で前年から件数減少。飲食店(同569件→452件、同479億6200万円、103億4400万円増)では人流回復などの影響により件数は減少したが、負債規模が増加した。
■倒産主因別:「不況型倒産」の件数は4923件、「経営者の病気、死亡」は過去最多を更新
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主因別にみると、「不況型倒産」は4923件(前年4609件、6.8%増)と、3年ぶりの前年比増加。構成比は77.2%(対前年0.6ポイント増)を占めた。
最多は「販売不振」の4836件(前年4536件、6.6%増)で、構成比は75.8%(対前年0.4ポイント増)を占めた。また、「業界不振」(同36件→58件、61.1%増)は、2008年以来の大幅な増加率を記録した。「経営者の病気、死亡」(同268件→279件、4.1%増)は、過去20年で最多だった2021年を超え、過去最多を更新した。一方、「売掛金回収難」(同22件→15件、31.8%減)では、3年連続の前年比2ケタ減となった。
※倒産主因のうち、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を「不況型倒産」として集計
■倒産態様別:破産は300件以上増加、リーマン・ショック時以来の増加幅
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倒産態様別にみると、「清算型」倒産の合計は6186件(前年5818件、6.3%増)、「再生型」倒産は190件(同197件、3.6%減)発生した。清算型倒産は3年ぶりの前年比増加、再生型倒産は3年連続の前年比減少となった。
「破産」は5912件(前年5518件、7.1%増)、「特別清算」は274件(同300件、8.7%減)だった。特に破産は300件以上増加し、リーマン・ショック直後の2009年以来13年ぶりの増加幅を記録した。また、特別清算は2年連続の減少となった。
このほか、「民事再生法」は186件(前年195件、4.6%減)。うち115件を個人事業主が占めた。「会社更生法」は4件(同2件、100.0%増)発生した。
■規模別:負債「5000万円未満」の倒産は3682件、中小零細規模で大幅増加
負債規模別にみると、負債「5000万円未満」の倒産は3682件(前年3665件、0.5%増)、構成比は57.7%を占めた。また、「1億円未満」や「5億円未満」で前年から100件以上の大幅増を記録するなど、中小零細規模での倒産増加が目立った。
資本金規模別では、資本金1000万円未満(個人事業主含む)の倒産は4297件(前年4041件、6.3%増)発生し、負債は2999億4700万円(403億9100万円増)だった。
■業歴別:業歴10年未満の新興企業で前年から300件以上増加、2008年以来14年ぶり
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業歴別にみると、業歴「3年未満」(前年266件→319件、19.9%増)、「5年未満」(同399件→469件、17.5%増)、「10年未満」(同892件→1087件、21.9%増)といった業歴10年未満の新興企業(同1557件→1875件、20.4%増)は3年ぶりに増加。新興企業全体で前年から300件以上増加したのは、2008年以来14年ぶり。負債は1兆4132億9900万円(1兆2205億5900万円増)で、マレリホールディングス(株)を除いても349億3300万円増加した。
また、業歴「30年以上」の倒産は2138件(前年2046件、4.5%増)で、前年から増加した。このうち、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は65件発生した。
このほか、「15年未満」(前年836件→771件、7.8%減)、「30年未満」(同916件→892件、2.6%減)で減少、特に「30年未満」は10年連続で減少が続く。
■地域別:9地域中6地域で前年比増加、四国は過去40年で最少件数を記録
地域別にみると、9地域中6地域で前年を上回った。関東(前年2246件→2348件、4.5%増)は、卸売業(同316件→383件)やサービス業(同631件→676件)などの増加が、全体の件数を押し上げた。東北(同232件→348件、50.0%増)は、1月〜10月まで10カ月連続で増加した影響もあり、前年比50%の大幅増を記録。また、近畿(同1529件→1578件、3.2%増)は、京都(同188件→231件)や滋賀(同43件→68件)の増加が目立った。
一方、中部(前年855件→836件、2.2%減)、四国(同123件→100件、18.7%減)の2地域では前年を下回った。特に四国では徳島(同25件→30件)以外で減少し、過去40年で最少の件数を記録した。
注目の倒産動向-1
■「フィットネスクラブ」倒産動向
物価高で「不要不急」? 家計節約で苦戦する会員獲得競争
倒産急増、過去最多の27件 前年の3倍に
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フィットネスクラブの倒産が急増している。2022年に発生したフィットネスクラブ(スポーツジム)運営会社の倒産は27件発生した。前年(9件)から大幅に増加したほか、年間で初めて20件台に到達し、リーマン・ショック直後で需要が大きく後退した2008年の13件をも上回り、2000年以降で過去最多となった。
フィットネスクラブは、コロナ禍で感染リスクの高い施設として営業自粛要請などが相次ぎ、平時の営業が困難な状態に陥った。それでも、リモート環境を活用した非対面型の在宅サービスやアウトドア型事業を提案するなど、利用者のライフスタイルに合わせた新たなニーズを掘り起こしたことで、利用者の早期回復につなげてきた。
しかし、2022年は「物価高」が新たな逆風となって、フィットネスクラブの業績を押し下げている。食品値上げだけでも月間約6000円増と家計を直撃する物価高の前に、毎月の会費は不要不急の支出としてコストカットの対象とされやすい。経済産業省の調査では、22年におけるフィットネスクラブ会員数の月間平均は180万人前後とコロナ前の水準を下回り、新規入会の不振や退会が多い状態が続く。一人当たりの平均会費は月約7600円と前年を上回ったものの、当年は光熱費の増加などを背景に会費を値上げしたケースも多く、利用者からの会費引き下げ圧力や退会の動きは前年以上に強まっており、収益改善が難しい経営環境が続いている。他方で、足元では電気代の高騰などで空調やプールの運営コストが上昇傾向にあり、コスト増を会費収入で補うことが難しいフィットネスクラブでさらに倒産が増加する可能性がある。
■コロナ融資後倒産
2022年は384件発生、前年比2倍超の大幅増加 焦げ付き総額は推計335億円
「コロナ融資後倒産」は、2022年において384件(前年167件、129.9%増)発生した。建設業のほか飲食店、運輸業、食品卸といった業種で多く発生した。実際の融資額が判明した約180社のコロナ融資借入額平均は約5900万円だった。コロナ融資損失総額は推計334億9588万円にのぼり、国民一人当たり約280円の負担が既に発生している計算になる。
■人手不足倒産
2022年は140件発生、3年ぶりに増加 「2024年問題」運輸業は倍増
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「人手不足倒産」は、2022年において140件(前年111件、26.1%増)発生した。過去最多を記録した2019年(192件)以来、3年ぶりに前年を上回った。業種別では「建設業」(34件)や「運輸業」(20件)で多く、この2業種で全体の約4割を占めた。なかでも運輸業は前年から倍増し、2024年問題を前に人手不足による悪影響が深刻化している。
注目の倒産動向-2
■「ゾンビ企業」倒産動向
強まる「ゾンビ淘汰」の波 ゾンビ企業倒産、3年ぶり増加
2022年のゾンビ企業倒産332件
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低金利環境でなければ存続できない「ゾンビ企業」に、淘汰の波が強まってきた。2022年の倒産件数6376件のうち、借入金の利払いを自前の営業利益で3年以上賄うことができなかった「ゾンビ企業」の倒産は少なくとも332件発生し、3年ぶりに増加に転じた。また、22年のゾンビ企業の倒産1社当たり負債額(トリム上下0.5%)は約3億1100万円/社となり、全体(7700万円/社)に比べて約4倍の規模に達した。コロナ関連融資や各種助成金といった多額の支援金が「塩漬け」のまま、有効に活用されずに霧散した可能性がある。
倒産したゾンビ企業には、コロナ危機がなくとも既にビジネスモデルが破綻してしまっていた企業も含まれる。再建の見込みがないままコロナ融資などで延命してきたゾンビ企業が、物価高や人手不足、円安といったショックの前に、過剰債務を抱えたまま為す術なく市場退出を余儀なくされている。昨年8月に実施したコロナ関連融資に関するアンケート調査では、コロナ融資を受けたのは回答企業全体で5割だった。一方、ゾンビ企業に限ると8割に迫り、このうち今後の返済に不安を抱える割合が約2割を占める。
2023年はゼロゼロ融資の元金返済も迫り、実質的に免除されてきた利払いもスタートする。さらに、今後は低金利を支えてきた金融緩和も縮小に向かい、金利上昇によって「債務ショック」が起きる可能性が残されている。低金利や各種金融支援を支えによろめき歩く状態を容認し、リストラやリファイナンスなどによる経営再建の可能性を追求するべきか、それとも市場健全化に向けゾンビ企業の淘汰を進めるべきか、分岐点が近づいている。
■後継者難倒産
2022年は476件発生、過去最多 倒産主因、半数が「代表者の病気・死亡」
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後継者難倒産は、2022年において476件(前年466件、2.1%増)発生し、年間で過去最多を更新した。2022年の後継者不在率が60%を下回り過去最低を更新するなかで、事業承継がうまくいかない中小企業が増加している。特に、「代表者の病気・死亡」が直接的な原因となった倒産は後継者難倒産全体の半数を占め、前年に引き続き高止まりの傾向が続いている。
■物価高(インフレ)倒産
2022年は320件発生 前年の2.3倍に急増、初の年間300件突破
物価高(インフレ)倒産は、2022年において320件(前年138件、131.9%増)発生し、前年の2.3倍に急増、過去最多を更新した。業種別にみると、鉄鋼資材や木材などの高騰で打撃を受けた「建設業」が70件で最も多かった。前年からの増加が最も大きいのは、燃料費高騰などの要因を受けたトラック運送業など「運輸業」で、前年の4倍と急増した。
今後の見通し
■企業倒産は3年ぶり増加 物価高や過剰債務、人手不足の影響鮮明に
2022年の倒産件数は6376件発生し、2021年(6015件)を361件(6.0%増)上回り、3年ぶりの増加となった。月ベースでみると、5月を転換点に12月まで8カ月連続で前年同月を上回るなど、増加基調が顕在化した。年間8000件台、月平均で600〜700件台だったコロナ禍前(2015〜19年)に比べると大幅に倒産発生が抑制された低水準であることには変わりないものの、企業倒産は「2022年に底を打った」といえる。
約3年に及ぶコロナ禍に加え、物価高に過剰債務、人手不足といった企業経営を取り巻く「負の影響」に耐えきれなくなり、事業継続そのものを“あきらめる”中小企業の増加が背景にある。なかでも、原材料等の仕入れ価格上昇や価格転嫁難などにより、収益が維持できずに破綻した「物価高倒産」は前年から2.3倍に急増。資材や燃料などのコスト増が直接的な打撃となった「建設」「運輸・通信」といった業種の倒産件数を大きく押し上げた。
負債総額は2兆3723億8000万円で、2021年(1兆1633億900万円)から約2倍に膨らみ、エアバッグ大手のタカタ(東証1部=当時)が破綻した2017年(2兆4548億8400万円)以来、5年ぶりに2兆円を超えた。ただ、これは同じく自動車部品大手のマレリホールディングス(6月民事再生法、埼玉、負債1兆1856億2600万円)によるものが大きく、この影響を除けば2021年とほぼ同水準となる。負債5000万円に満たない零細規模の倒産が約6割を占める一方で、負債数億円〜10数億円クラスの中堅規模の倒産も足元でじわりと増加傾向にある。
■「ゼロゼロ融資」倒産抑止効果に逆回転の兆し 「ゾンビ化」拍車、淘汰の動きも
コロナ禍初期の倒産抑止に大きく貢献した「実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)」。ただ、経済活動の正常化につれてその効果は逆回転の兆しもみられる。ゼロゼロ融資等を受けたものの業況が改善せず倒産した「コロナ融資後倒産」は2022年に384件判明し、2021年(167件)の2.3倍に急増した。業績回復や「筋肉質」な収益体制への再編が遅れた中小企業で、緊急避難的な借入金が過剰債務となってのしかかり、事業継続をあきらめたケースが目立つ。
通常の経済活動下では存続できない企業の延命をはじめとした「後遺症」の顕在化も見逃せない。稼いだ利益で借入金の利子を払えない「ゾンビ企業」は全企業の約1割を占める18.8万社(2022年3月期推定)に上り、前年同期の16.6万社から2.2万社増加した。ゾンビ企業の増加は、金融機関や政府による手厚い支援で「どれだけの企業が救われたか」を示すバロメーターになる一方で、健全な市場形成を阻害する「歪み」の蓄積にも直結する。
足元ではゾンビ企業に淘汰の動きもみられ、2022年の企業倒産のうち少なくとも332件判明し、3年ぶりに前年を上回った。実質的に免除されてきた利払いのスタートに加え、低金利を支えてきた日本銀行の金融緩和も今後縮小に向かうことが見込まれ、金利上昇によって「債務ショック」も可能性として残る。企業支援の内容が本業支援や新事業への業態転換へ切り替わるなか、助成金やリスケなど金融支援に頼り切りで抜本的な再生が困難なこれらゾンビ企業では、周囲からよりシビアな判断を下される局面が今後増える可能性がある。
■2023年の企業倒産、緩やかな増加局面想定 キーワードは中小企業の「過剰債務」
今後は、人手不足が顕著なIT関連や対個人サービスを中心に、予想される賃上げの動きに取り残されかねない中小企業の動向に注視が必要だろう。また、経済活動正常化のなかで中小企業の「過剰債務問題」が従来以上に注目される1年となるとみられる。既に「借り換え保証制度」をはじめとする中小企業の返済負担軽減策に加え、「私的整理の多数決制導入」の議論も本格化するなど「出口」が整備されつつある点は、法的整理による企業倒産の発生を抑制できる可能性を持つ。ただ、万単位に上る根本的なリスクを抱えた企業数に対し、金融機関などで支援可能な企業数は限りがある。今後、事業再建に向けた経営計画を策定するなかで、実現可能性が低いと判断され支援を受けられなくなるケースの増加を織り込む必要があるだろう。
こうした流れのなかで始まった2023年の企業倒産は、コロナ禍前の水準(年間 8000 件台)まで一気に増える事態は想定しづらいものの、緩やかな増加局面が当面続きそうだ。