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高校生から60代までの約3,000名を対象 「第2回 現代人の語彙(ごい)に関する調査」 結果速報 〜厳選540語の語彙の認知と、「語彙力」に関する推察〜

働き方改革に関する「プレミアムフライデー」高認知、「ワーママ」は上昇!語彙力が高いと授業や仕事で活躍できる実感あり




 情報を正しく理解し、自分の考えをわかりやすく伝えるコミュニケーション力の必要性がますます高まる現代、語彙力の重要性も年々増しています。次期学習指導要領に向けた中教審答申でも「全ての学習の基盤として育まれ活用される資質・能力」として「言語能力の確実な育成」との方針が示されるなど、教育改革においても言語力の重要性が高まっています。
 そこで「語彙・読解力検定※」を主催する株式会社ベネッセコーポレーション(株式会社ベネッセホールディングスのグループ会社。本社:岡山市)は、グループ内シンクタンク「ベネッセ教育総合研究所」の協力のもと、2017年7月に、全国の高校生から社会人3,130名を対象に「第2回 現代人の語彙に関する調査」(略称:語彙調査)を実施しました。
 本調査は、「語彙・読解力検定」の辞書語彙*・新聞語彙*の2領域から厳選した540語の「熟知度*」を調べ、現代を生きる人々の言語活動の実態、およびその年代、生活、行動などによる「語彙力*」の違いを明らかにすることで、現代人に必要な言葉の力を高める方法を検討することを目的としています。
(*は、ページ中段の「*補足」をご参照ください。)


【主な調査結果】 ※項目2以降については、詳細データは後半に掲載しています。
1.【語彙と世代】高校生は「新語」、大学生は新聞語彙、親世代は全分野で「語彙力」が高い
 全540語の熟知度(その言葉を知っている人の割合)を世代別に見たところ、高校生や大学生の親世代(社会人40〜60代)が他の世代より「知っている」語が420語と最も多く、漢熟語、和語、外来語、新聞語彙などの偏りもなく、すべての分野で他の世代を上回った。
 高校生・大学生が親世代よりも「知っている」語は《表1》《表2》、辞書語彙ではSNS等仲間内で使われる「新語」が多く、若者が新しい言葉を積極的に生み出し活用していることがわかる。新聞語彙では、特に大学生で現代社会の多様な価値観や社会の変化にかかわる語が見られた。

《表1》高校生が親世代よりも「知っている」割合が高い語(差が大きい順に15語ずつ)

[画像1: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-179491-0.jpg ]



《表2》大学生が親世代よりも「知っている」割合が高い語(差が大きい順に15語ずつ)

[画像2: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-660831-10.jpg ]


2.【社会を反映する語彙】「プレミアムフライデー」の認知は高い。「ワーママ」「LGBT」は昨年比で上昇
 新聞・ニュースを賑わせた主な語では《表3》、「プレミアムフライデー」は84.0%と熟知度が高かった。他の労働に関する語では、「イクメン」が91.5%と高い。「ワーママ」は、全体熟知度は35.3%だが、昨年比プラス18.7ポイントと、昨年度と比較できる調査語の中で最も熟知度が上がった《表4》。他に、「なる早」「LGBT」の熟知度が、昨年度に比べて伸びが大きかった。「忖度(そんたく)」は「語彙・読解力検定」では社会人に必要とされる準1級相当の語彙だが、最も熟知度が低い高校生でも49.5%と、難度の割には低くはなかった。

3.【語彙力と社会への参画意識】社会への参画意識が高い人は「語彙力」が高い
 政治への関心の有無、および選挙での投票意欲を尋ねた結果と「語彙力」の関係を見ると、政治への関心、選挙での投票意欲が高い方が「語彙力」が高い《図1》。さらに高校生では、学校での新聞学習経験がある方が政治への関心、選挙での投票意欲が高かった《図2》。また、新聞学習経験がある方が「語彙力」が高いという結果も見られた《図3》。

4.【語彙力が役立つ場面とは】「語彙力」が高い人は授業や仕事での活躍や出世への役立ち感が高い
 大学生以上(大学生、社会人20〜60代)に、語彙力が実際に役立った経験を尋ねたところ、大学生・社会人ともに、「語彙力」が高い人ほど「語彙力が実際に役に立った」と感じていることが分かった。語彙力が役立った場面について大学生・社会人ともに高かったのは《図4》、授業や仕事での発表やレポート、次いで家族、友人、学校・職場などでの人間関係だった。また、社会人では仕事での活躍や出世、就職試験でも語彙力が役立ったと感じている。

5.【語彙力と大学新入試で求められる力】「語彙力」の高い高校生は思考力・表現力も高い
 2020年の大学入試改革で重視される「思考力・判断力・表現力」と「語彙力」との関連について見たところ、「語彙力」の高いグループの方が、「筆者の意見と事実とを区別して読むことができる」「文章を読むとき、細部より先に大枠をつかむことができる」「筆者の主張を裏づける理由や根拠に気をつけて読むことができる」などの項目に「あてはまる」と答える割合が高かった《図5》。「語彙力」の高い高校生は思考力も高いことが推察される。

【調査結果からの考察】
 第1回の調査結果と同様に、語彙の熟知度には世代によってそれぞれに特徴があり、親世代である社会人は漢熟語・新聞語彙を含めた幅広い分野の語彙力が高いのに対し、若い世代は「新語」と呼ばれる新しい言葉に特に強く、社会人を上回ることがわかりました。SNSの台頭によってコミュニケ―ションのあり方が変わるとともに、若い世代を中心に語彙にも変化が起きているといえそうです。
 一方で、大学生のほうが社会人よりも知っている言葉には「ダイバーシティ」「LGBT」など、現代社会の多様な価値観や、社会や働き方への意識の変化を表した語が多く見られ、これからの社会を牽引する世代としての社会への意識の高さもうかがえる結果となりました。
「語彙力」が高い人の方が政治への関心や選挙への投票意欲など、社会への参画意識が高いという結果からも、学校での国語教育だけではなく、社会に関心を持ち、幅広く語彙を身につける姿勢が「語彙力」を高めることにつながると考えられます。
 今後、調査結果についての考察を深めていくとともに、「語彙・読解力検定」を通じて、広く語彙力を身につける大切さを伝えていきたいと考えています。

【調査概要】

[表: https://prtimes.jp/data/corp/120/table/602_1.jpg ]



*補足
■「語彙・読解力検定」は、ベネッセコーポレーションと朝日新聞社の主催で、2011年の開始以来、累計
 約33万人が受検している検定です。(2017年8月時点) http://www.goi-dokkai.jp/ 第1回語彙調査の
 データについてもこちらにあります。
■調査対象語について
・語の難度・分野・語種のバランスを考慮して、「辞書語彙」・「新聞語彙」各270語ずつを選定。第2回調査では、第1回調査の対象語のうち約7割を引き続き使用し、約3割を差し替えた。
・「辞書語彙」「新聞語彙」は「語彙・読解力検定」の出題領域に合わせて分類した。
  辞書語彙:主に国語辞典に掲載されている、文章や会話を理解し、的確に表現するために必要な語彙。
  新聞語彙:新聞に掲載されることの多い、社会生活で必要な基礎知識や時事知識に関する語彙。
  ※辞書語彙の「新語」については、「語彙・読解力検定」の分類によらず、SNS・インターネットなどから
   近年使われるようになった新しい語や新しい用法を収集し、選定した。
■調査方法について
 今回の調査では、「語彙力」「熟知度」を測るにあたり、2段階評定尺度法を用いた。
 ・ 各語彙について、意味を「知っている」「知らない」の2段階評定尺度法で回答を得た。
 ・ 一部の語について、正しい意味を選択肢5つから選ばせる多肢選択型設問も設け、
  2段階評定尺度法の精度を確認した。
■調査結果の集計・分析について
 今回の調査では、回答結果をもとに、以下のように集計・分析を行った。
 1.回答者の「語彙力」
  各回答者が、自身が回答した調査対象語のうち、「知っている」と答えた語の割合。(各回答者が「知って
  いる」と答えた語の数/回答した語の数×100(%))また、例えば「高校生の語彙力」といった場合、
  高校生の回答者の「語彙力」の平均を指す。
 2.語の「熟知度」
  調査対象の各語について、「知っている」と回答した回答者の割合。
  (各語彙について 「知っている」と答えた人の数/回答者数×100(%))

【調査結果の詳細】
2.【社会を反映する語彙】「プレミアムフライデー」の認知は高い。「ワーママ」「LGBT」は昨年比で上昇
 新聞・ニュースを賑わせた主な語では《表3》、働き方改革で話題の「プレミアムフライデー」は84.0%と熟知度が高かった。同じく労働に関する語では、「イクメン」が91.5%と高い。「ワーママ」は全体熟知度は35.3%だが、昨年比で18.7ポイント上昇と、昨年度と比較できる調査語の中で最も熟知度が上がった語だった《表4》。他にも、「なる早」「LGBT」などの熟知度は、昨年度に比べて伸びが大きかった。なお、上半期話題になった「忖度(そんたく)」は「語彙・読解力検定」では社会人に必要とされる準1級相当の語彙だが、最も熟知度が低い高校生でも49.5%と、難度の割に熟知度は低くはなかった。

《表3》新聞・ニュースを賑わせた主な語(色が付いたセルは、世代間で最も高かった数値)

[画像3: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-793609-2.jpg ]

《表4》2016→2017年で540語中、熟知度が最も上がった10語(色が付いたセルは、最も上がり幅が高かった世代)

[画像4: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-587162-3.jpg ]

3.【語彙力と社会への参画意識】社会への参画意識が高い人は「語彙力」が高い
 社会への参画意識につながる項目として政治への関心の有無、および選挙での投票意欲を尋ねた結果と「語彙力」の関係を見ると、政治への関心、選挙での投票意欲が高い人は「語彙力」が高い《図1》。
 高校生について、学校での新聞を使った学習の経験との関係を見たところ、高校生の51.3%が新聞学習の経験があり、新聞学習の経験がある人の方が政治への関心、選挙での投票意欲が高い傾向が見られた《図2》。 2016年から選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、2022年からは必修科目として「公共」が新設されるなど、高校現場での主権者教育が注目を集めている。新聞を読むことに加え、読んだ記事について話し合う、自分なりに要約するなどといった新聞学習の活動が、「語彙力」を高め、ひいては社会への参画意識を高めることにつながっていると考えられる。
 また、新聞学習の経験と「語彙力」の関係を見ると、新聞学習の経験がある人の方が「語彙力」が高い傾向も見られた《図3》。

《図1》社会への参画意識(政治への関心/選挙投票意欲)×「語彙力」(数値は平均語彙力)

[画像5: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-973467-4.jpg ]

※ 棒グラフの数値は平均語彙力(「知っている」と答えた語の割合)。
※ 政治への関心に関する質問「あなたは、国や地方の政治に関心がありますか。あてはまるものを
 選んでください。」 について「とてもある」「まあある」と回答した場合は「政治への関心あり」、
 「あまりない」「まったくない」は「政治への関心なし」とした。
※ 投票への意欲に関する質問「あなたは、自分が次の選挙に行くと思いますか(選挙権のない方は、
 選挙権を取得したら、行くと思いますか)。あてはまるものを選んでください。」について、
 「必ず行く」「多分行く」と回答した場合は「選挙投票意欲あり」、「多分行かない」「絶対に行かない」
 は「選挙投票意欲なし」とした。
※ 数値は、小数点以下2桁目を四捨五入して計算している。

《図2》高校生の新聞学習経験×社会への参画意識(政治への関心/選挙投票意欲)

[画像6: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-397366-5.jpg ]

※ 政治への関心、投票意欲に関する質問については、《図1》と同様。
※ 新聞学習に関する質問「あなたは現在通っている学校で、次のような新聞を使った授業を受けたことが
 ありますか。あてはまるものをすべて選んでください。1〜10のいずれも受けたことがない場合は
 『受けたことはない』を選んでください。」に対し、「受けたことがない」を「経験なし」、
 「月に1回より少ない」「月に1〜3回くらい」「週に1・2回くらい」「週に3・4回くらい」「ほぼ毎日」を
 「経験あり」とした。
※ 数値は、小数点以下2桁目を四捨五入して計算している。

《図3》高校生の新聞学習経験×「語彙力」(数値は平均語彙力)

[画像7: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-671666-6.jpg ]

※ 棒グラフの数値は平均語彙力(「知っている」と答えた語の割合)。
※ 新聞学習に関する質問は《図2》と同じ。
※ 「難関」「標準」は現在通っている学校について、回答者に選択してもらった結果による。
※ 数値は、小数点以下2桁目を四捨五入して計算している。

4.【語彙力が役立つ場面とは】「語彙力」が高い人は授業や仕事での活躍や出世への役立ち感が高い
 語彙力が役に立ったと感じた経験がある場面について、大学生以上(大学生、社会20〜60代)に尋ねた《図4》。いずれの項目でも、「語彙力」が高い人の方が、語彙力が役立った経験があると答えた人が多かった。「語彙力」が高いグループについて具体的な場面を見ると、「レポートなど長い文章の作成」「授業や仕事での発表・プレゼンテーション」が7割前後と高かった。次いで、学校・職場、友人、家族などとの「人間関係」が5割前後だった。また、図4では示していないが、社会人だけを見た場合は「仕事での活躍や出世」「就職試験の面接」も同様に5割前後だった。

《図4》語彙力の役立ち感

[画像8: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-715172-7.jpg ]

※ 質問「次の項目について、語彙力が実際に役立ったことはありますか。それぞれについて、あてはまるものを
 選んでください。」について、「とても役に立った」「まあ役に立った」と答えた人の割合。
 そのほかの選択肢は「あまり役に立たなかった」「まったく役に立たなかった」「経験がない」。
※ 語彙力「高」は、大学生・社会人(20〜60代)2,090人から、語彙力が高い順に上位約30%(756人)、
 語彙力「低」は「語彙力」が低い順に下位約30%(624人)を抽出した。

5.【語彙力と大学新入試で求められる力】「語彙力」の高い高校生は思考力・表現力も高い
 2020年大学入試改革で重視される「思考力・判断力・表現力」と関連する項目が自分に「あてはまるか」を高校生に尋ねた。「語彙力」が高いグループ・低いグループに分けて傾向を見たところ、いずれの項目でも、「語彙力」が高いグループの方が「あてはまる」と答えた割合が高かった《図5》。
 なかでも、「筆者の意見と事実とを区別して読むことができる」「文章を読むとき、細部より先に大枠をつかむことができる」「筆者の主張を裏づける理由や根拠に気をつけて読むことができる」については、「語彙力」が高いグループの方が約40ポイント高い結果となっている。

《図5》「語彙力」が高いグループ・低いグループと思考力・表現力(高校生)
 ※全15項目より10項目を抜粋。
[画像9: https://prtimes.jp/i/120/602/resize/d120-602-821771-8.jpg ]

※ 数値は当該設問に「とてもあてはまる」「まああてはまる」と答えた人の割合。
※ 「語彙力」高グループは、高校生1,040人から「語彙力」が高い順に上位約30%(345人)、
 「語彙力」低グループは「語彙力」が低い順に下位約30%(347人)を抽出した。
※ 数値は、小数点以下2桁目を四捨五入して計算している。

<その他 調査からわかったトピックス>  ※詳細データは割愛しています。
● 「新語」に強い人の特徴として、世代では高校生・大学生が多く、LINEやTwitterなどSNSの使用率が高い。
 辞書語彙については、男性より女性の方が「新語」に強い傾向がある。
● ノンフィクションの本を「月に1冊以上」読む人のほうが、「月1冊より少ない(年に数冊以下)」人よりも
 「語彙力」が高い(高校生で8.1%、大学生で8.0%、親世代で約6.4%の差)。なお、ノンフィクションの
 ジャンルについては、高校生では「科学」「語学」「社会」、大学生、親世代では「社会」について、「読む」
 人と「読まない」人の「語彙力」の差が大きい。
● 今回の調査結果から、「語彙力」が高いグループ(熟知度平均が高い上位30%)の行動や意識の特徴を抽出
 してみると、「最終学歴は4大卒」、「ノンフィクションの本が好きで月1冊以上読んでいる」、「LINEや
 TwitterなどのSNSを1日に15分以上30分未満程度使っている」「語彙力が役に立った経験を持っている」など
 が挙げられた。

 本リリースの内容につきましては、「語彙・読解力検定」公式ホームページ(http://www.goi-dokkai.jp/
「ごいどっかい」で検索)に順次掲載していく予定です。併せてご覧ください。
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